デート・ア・サバイブ   作:亜独流斧

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更新遅くなってしまい申し訳ありません。今回文字数が多い割に、伏線回収しようとしてあんまり進みませんでした。前回も同じようなことを言ったのに、学習してなくてすみませんでした。
あと、ゼブラスカルアイアンとの戦闘は演出と尺の都合で省いています。ゼブラスカルくんのファンの方がいらっしゃったら申し訳ありません。
あと、今回はおまけがありません。ネタ切れです。完全にノリで書いてるものでしたが、もし楽しみにして下さってる方がいらっしゃったらごめんなさい。
そして最後に。今回なんか謝ってばっかりで本当にすみません。


秋山蓮の現在

「…そりゃそうだよな、普通に考えりゃ休校だよな……」

 

精霊・十香と話をした翌日。普通に登校した士道は、瓦礫の山と化した校舎の目の前で己の間抜けさを呪った。普通に考えれば、空間震やASTたちの攻撃によって校舎が使えないことは分かり切っているのだが、なんとなく来てしまったのだ。

 

 

 

真司が教室を出た後、士道は真司とドラグレッダーのおかげで邪魔をされずに十香と語り合うことが出来た。

そして、ラタトスク機関員たちの声援(というかはやし立てるかのようなコール)に後押しされ、士道は十香をデートに誘うことができた。だが、そこで十香は消えてしまった。後で琴里に聞いた話では『消失』(ロスト)と呼ばれる現象らしく、その時点でASTも撤退した。

残された士道はモンスターを倒した真司と合流してフラクシナスへと戻り、琴里に一晩中その時の映像を見ながらの反省会をさせられ、寝不足のまま今に至る。

 

 

 

「やっぱり真司の言う通りだったな…」

 

ちなみにその真司は現在、自宅でまだ寝ていた。一度士道に起こされたのだが、「昨日の感じじゃ学校は休みだ」と言って二度寝してしまったのだ。結果的に真司が正しかったとはいえ、全く確認をしようとせずに寝続けるその姿はある意味潔かった。

 

「どうすっかな…確か卵と牛乳切れてたよな」

 

そのまま帰るのも何だと思い、買い物をして帰ることに決めた士道は家への帰路とは逆の方向へと歩き出す。

が、数分と待たず、士道は再び足を止めることとなった。

 

「…っと、通行止めか」

 

道の真ん中には立ち入り禁止の看板が立っている。とはいえそんなものが無くても、目の前の道が通れないのは明らかだった。アスファルトの道は滅茶苦茶に掘り返され、ブロック塀は崩れ、雑居ビルまで崩落している。まるで戦争でも起こったかのような有様だった。

 

「…いや、違うな。実際ここで戦争みたいなことやってたな」

 

士道はこの場所に見覚えがあった。そこは、初めて十香にあった空間震現場の一角だったのだ。

 

「…ドー」

 

士道は改めて昨日の出来事を思い出す。――――――十香。昨日まで名を持たなかった、精霊の少女。

昨日、以前よりもずっと長い時間話をしてみて―――士道の予感は確信へと変わっていた。

 

「…い、…ドー」

 

確かに彼女は普通では考えられない程の力を持っている。それこそ、国家機関が危険視する程に。

だがそれと同時に、士道は彼女がその力を無慈悲に振るう怪物だとは到底思えなかった。

 

「おい、シドー」

 

昨日の真司の言葉が士道の頭の中に響く。

 

(ちょっと人と違うってだけで化け物扱いするなんて間違ってる!)

 

あの時、士道も同じことを感じた。あの少女の鬱々とした顔を何とかしたいと思ったのだ。だが、そのためにはもう一度彼女と会わなければいけない。十香と会うための手段が無い士道は、どうにかしてもう一度あの子と会えないかと…

 

「…無視をするなっ!」

 

「―――え?」

 

視界の奥―――通行止めになっているエリアの向こう側から響いてきたそんな声に、士道は首を傾げる。どこかで聞いたことがあるような声。それもつい最近、昨日学校で聞いたようなものであった。

何気なくその方向へ視線を向けた士道は、自分の目を疑った。何故ならそこにいたのは…

 

「と、十香!?」

 

「やっと気付いたか、ばーかばーか。まあいい。シドー、『デェト』とやらに行くぞ」

 

昨日士道が学校で遭遇した、あの精霊の少女だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えへへ…まさかアギトの仲間まで助けに来てくれるなんて…ムニャ…。ギルスさんカッコいいですね…」

 

士道が学校で十香と再会していたのと同じ頃、五河家宅で真司は未だに眠り続けていた。幸せそうな表情で眠る彼だったが、その平穏は「いい加減起きろ」という一言と共に襲ってきた衝撃によって打ち壊された。

 

「グハァ!!何すんだアナザーアギト!」

 

「お前が何言ってんだ。さっさと起きろ」

 

「あ…あれ?北岡さん?なんでうちに?…ていうか、なんでオレの上に乗ってんの?」

 

真司の体を踏みつけていたのは北岡秀一だった。見ると、部屋の入口付近には手塚海之と由良吾郎もいる。

真司の疑問に答えるように、秀一が説明する。

 

「城戸、オレたちはお前に話があったんだよ。それも重要な」

 

「大事な…話?」

 

「そ。なのに待っててもお前が全然起きないから、司令に鍵借りて入ったってわけ。いやー、フラクシナスの転送技術ってホントすごいね」

 

「なるほど…で、なんで北岡さんはオレの体踏んでるの」

 

「お前起こすためだよ。司令はいつもこうしてるんだろ?」

 

「いつもじゃないし、それで起こせって頼んだわけでもない!ていうか、琴里と体格差考えろよ!!」

 

真司は文句を言うが、秀一はそれを興味なさそうに軽く流す。

 

「さっきも言ったろ。オレたちはそんな事よりももっと大事な話をしに来たんだって」

 

「大事な話ってなんだよ!」

 

「秋山のことだ」

 

先程のダメージによる不満からほとんど突っかかるように聞いた真司だったが、秀一の言葉に思わず思考が停止する。

 

「北岡さん…今なんて…?」

 

「何度も言わせるなよ。秋山のことについての話だ」

 

秀一の言葉を引き継ぐように、海之が説明する。

 

「…あいつもオレたちと同様に、神崎にここへ連れて来られたんだ。小川恵理の身の安全を条件にな。神崎は彼女も連れて行くかと提案したが、あいつは危険に巻き込みたくないとそれを断ったんだ。」

 

「そーゆーわけで、あいつは一人でこっちに来たんだ」

 

「じゃ、じゃあ蓮はもしかして近くにいるのか!?」

 

かつての親友がこちらの世界にいる。その思いに真司は興奮を隠せなかった。だが、その質問を聞いた三人の表情は険しいものだった。

 

「な、なんだよみんな怖い顔して…」

 

「城戸。あいつは確かにこっちにはいる。もっと言えば天宮市内の、この近くの大通りにある建物で暮らしてる」

 

天宮大通りといえば五河家からすぐの距離で、士道や真司もよく利用している。予想以上の近さに真司は驚きを感じるが、同時に何故そこまで分かっていながら、彼が今ここにいないのかという疑問を感じた。

 

「お前は今、『なんでそこまで分かっているのに秋山はここにいないのか』と思っているだろう。…やつがここにいないのは理由がある」

 

「理由ってなんだよ手塚…。もったいぶるなよ…」

 

「あいつは記憶喪失だ。自分のかつての名字すら覚えていない」

 

「え?」

 

海之の言葉に真司はポカンとなる。記憶喪失などそんな簡単になるものではない。真司は海之の言葉が最初は信じられなかった。

だが、海之がそんな冗談を言う理由が無い。そもそも真司はかつて蓮が記憶喪失になったことを見た事があった。

予想外の事態に唖然としている真司に、海之は説明を続ける。

 

「あいつはそもそも、お前の次にこの世界に来てお前や士道をサポートする予定だった。…だが、あいつがこちらに来る際にトラブルがあったらしく、あいつは記憶を失っていた。神崎は何度か記憶を戻そうとしたらしいが、全て失敗。神崎はやむなく秋山を一時的に計画から外した。そして秋山の居場所をオレたちに伝え、オレたちはヤツ自身が記憶を取り戻すのを待つことになった…というわけだ」

 

「そんな…」

 

「ちなみにあいつと何度か話をしてみた感じ、元の世界のことに関して覚えていたのは、『蓮』って名前とデッキに関してだけだったな。ま、デッキに関してはなんで自分がこれについて知っているか覚えてないみたいだったから、所謂『体が覚えている』って感じだな」

 

秀一の言葉に真司は愕然とする。今の蓮の状況は、かつて記憶を失ったときとまるっきり同じだったからだ。しかも、以前彼の記憶を取り戻す鍵となった小川恵理はここにはいない。完全に手詰まりの状況であった。

 

「じゃ、じゃあ蓮のやつは今どうなってんだよ!オレの後に来たんなら、あいつも当時は小学生だろ!?」

 

「あの人も真司さんと同じように、こちらの世界の人に拾われて暮らしています。ちょうど天宮市火災の直後にこっちに来たらしいんで、記憶が無かったのと家族がいなかったことについても、火災が原因だと思われたみたいですね」

 

真司の質問に、それまでずっと黙っていた吾郎が答える。

 

「それにあの人を引き取った人も、真司さんを引き取った五河氏同様に、細かいことを気にしない方だったらしいです」

 

「らしい…?」

 

「ええ…。蓮さんを引き取った羽黒氏は、五河夫妻同様に仕事で海外に赴任していることが多くて…オレたちも直接会った事は無いです。蓮さんがこっちに来た経緯は、蓮さん自身の発言と、神崎士郎が言っていたことから繋ぎあわせて推測しました」

 

「そんなわけであいつは『羽黒蓮』として、海外からの仕送り、それに店の売上げで一人暮らししてんのよ」

 

「店?売上げ?」

 

ここまでの会話と一切関係無い単語に、真司は首を傾げる。そんな彼の疑問に手塚が答えた。

 

「最初に大通りに住んでると言っただろう?羽黒氏の亡くなった奥さんが元々は喫茶店をやってたらしい…。奥さんが亡くなってからはずっと店を閉めていたらしいが、秋山の作る料理とコーヒーが美味いと近所で評判になったらしく、あいつの気が向いたときだけだが店を開けてるらしい」

 

「へえ…確かにあいつ、花鶏(あとり)でも器用だったからなぁ」

 

「そういうわけで、オレたちは今日またあいつのところを尋ねてみるつもりだ。幸い学校も休みだし、今日はお前にも来てもらいたい」

 

「お前のバカで、あいつも何か思い出すかもしれないしな」

 

「北岡さんはいちいち一言多いんだよ!…けどまあ分かった。すぐ支度するから、少し待っててくれ」

 

自分のことを覚えていないというのは少し寂しさを感じたが、真司の中ではそれよりも、もう会えないと思っていた友人に会える喜びの方が勝っていた。真司はベッドから降りて、急いで着替えを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よかったー開いてて。一度来てみたかったんだよね」

 

「…この店はそんなに人気なのかい?店員の少年の態度はお世辞にも良いとは言い難かったが」

 

「んー…まあそれはそうなんだけど。でも、ここの料理やスイーツってどれも美味しいって評判なの。それこそ愛想の無さも有名だけど、それを上回るくらいに。この店いつ開いてていつ閉まってるかが分からないんだけど、それでも経営面に余裕があるっていう話は有名らしいよ」

 

「…それはすごいな。喫茶店でそんな一流シェフのような真似ができるとは…この混み具合も頷ける」

 

琴里は、令音と共に天宮市大通りにある小さな喫茶店に来ていた。士道同様にいつも通り中学校に登校した琴里だったが、琴里の通う中学も昨日の影響で休校となっていた。そのまま帰るのも癪に思った琴里が令音を呼び出し、大通りをぶらぶらしていたところ、『店主の気が向いた時しか開いてない』とこの近くでは有名な喫茶店が開いていたので入ってみた…という流れで今に至る。

 

 

「…お待たせしました。ごゆっくり」

 

琴里と令音が会話をしていると、二人の注文した品が運ばれて来た。料理人とウェイターを兼任しているこの店唯一の店員は、ニコリともせずにそう言い放つと、さっさとカウンターに戻って行く。

黒髪の短髪に整った顔立ち、そして愛想の無さが特徴的な男だった。

 

「うわ~美味しそう!…って令音、どうしたの?」

 

早速運ばれて来たケーキに手を付けようとしていた琴里は、令音が難しい顔をしながら店員を眺めているのに気付く。

 

「…いや。以前この店のことをどこかで聞いたような気がしていたのだが、今思い出した。海之たちから聞いたのだが…あの店員も仮面ライダーだ」

 

「…え!?そ、それ本当なの!?」

 

「…ああ。間違いない。彼の外見的特徴や店の住所も、海之から聞いていた話と一致する。…ただ、彼は昔の記憶が無いらしいが」

 

「記憶がないってどういうこと!?それに……」

 

と、そこまで言った琴里が不意に黙り込む。その視線は、店の入り口の方向へ注がれていた。

 

「…?どうしたんだい琴里」

 

「ん……ちょっと非科学的かつ非現実的なものを見た気がして」

 

そう言って琴里は令音の後ろを指さす。そこには…

 

「ほう、この本の中から食べたいものを選べばいいのだな?」

 

「ああ、そうだよ」

 

「きなこパンは。きなこパンは無いのか?」

 

「…や、流石に無いだろ。……と思ったらあるし…。けど最初のパン屋で散々食いまくったじゃねえか」

 

「また食べたくなったのだ」

 

来禅高校の制服に身を包んだカップル風の男女―――士道と十香がいた。




仮面ライダーデータ
『仮面ライダーライア』
変身者・手塚海之
契約モンスター・エビルダイバー(4000AP)
ファイナルベント・ハイドべノン

カードデッキは元々海之の友人である斉藤雄一が与えられたものだったが、戦闘を拒否したために雄一はガルドサンダーに殺害され、戦いを止めるべくデッキを海之が引き継いだ。浅紅のボディーに後頭部の弁髪『ライアエンド』が特徴的。
ライダー相手の戦闘では苦戦している様子が多く見られたが、初戦でナイトを追い詰めるなど実際の能力は高い。近距離武器の中ではリーチの長い『エビルウィップ』や、相手の武器をそのまま再現できるコピーベントなどを用いたトリッキーな戦い方を得意とする。サバイブ・疾風のカードを神崎士郎から与えられたが、一度も使わないまま後に蓮に譲った。
ライダーバトルにおいて数少ない善のライダーであり、戦いを止めるために真司や蓮とも共闘した。今作ではラタトスク機関員として真司と士道をサポートする。実は真司と合流する前から、フラクシナスにモンスターが現れた際にはほとんど彼が倒していたが、これは令音や神無月すら知らない(そもそも空中艦なので、モンスターが現れること自体少ない)。
デート・ア・ライブの世界に来たのは真司や蓮よりも数年後、ラタトスク機関が組織として完成する直前のタイミングで、令音や神無月とは神崎士郎を介して接触した。彼のこちらの世界での戸籍などは、全てラタトスクが手を回して用意したものである

「あいつの信じた正義を無駄にしないためだ。それと……変えられなかった運命を変えるために」



お読みいただいてありがとうございました。蓮の名字の元ネタはディケイドのナイトです。
ご意見、ご感想、お待ちしています。
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