話が変わりますが、沢山の方がこの作品に感想をくださり、とても嬉しく有難いことだと感じています。…ですが、最近本編への感想をあまり見かけない気がします。やっぱりつまらないのでしょうか…。どんな些細なことでもいいので、ご意見やご感想をいただけると嬉しいです。
最後に、以前の後書きでやってみたいと書いた番外編についてのアンケートを始めました。興味のある方は今回の後書き、及び活動報告をご覧ください。
家の前にたどり着いた士道は、浮かない顔をしていた。
雨でびしょびしょだからというのもある。昼間の十香VS折紙の件での疲労も大きい。しかし一番の理由は…
(さっきも足手まといだった…。オレ…何の役にも立てないのか……)
先程の神社での出来事が士道の頭から離れなかった。
真司に加えて蓮までもがライダーだった。恐らく彼も人知れずモンスターと戦っているのだろう。そして、以前聞いた話によれば、ラタトスクの北岡秀一や手塚海之もライダーとのことらしい。
周りに沢山のライダーがいて、人々を護るために戦っている。しかし自分は、そのことを知っていながら何も出来ない。そのことが士道の無力感を一層強いものにしていた。
そんな事を思いながら、士道は玄関に鍵を差し込む。と、そこで士道は違和感を感じ、ドアノブを握ってそのまま引いてみる。すると士道の予想通り、出掛けに鍵をかけていたはずの扉が、なんの抵抗も無く開いた。
「琴里か…?」
士道が不審に思いながら家の中へ入ると、予想もしていなかった人物が彼を出迎えた。
「よう、久しぶりだな」
「手塚さん!?なんでここに?」
「司令に呼ばれてな。上がらせてもらっているよ」
そこにいたのは、先程士道が思い浮かべていたライダーの一人である手塚海之だった。海之は士道に微笑みながら事情を説明する。
「お前たちに話があるらしくてな。司令や北岡、令音さんもいる」
「話?」
「ああ。それで城戸にも関係があるんだが…一緒じゃないのか?」
海之の何気ない問いかけに、士道は再び憂鬱な気分になる。
「真司は…モンスターと戦ってます。オレは何も出来なくて…力も何もない、弱いやつだから」
そんな風に自嘲気味に話す士道を、海之は「そこまでだ」と遮った。
「事情は大体分かった。だが士道、お前は自分を安く見すぎだ」
「え?」
「お前は何も出来ないと言ったが、お前にはお前の良さがある。例えお前に、精霊の力を封じる能力が無くても、それは変わらない」
「でもオレは戦いじゃ役に立たなくて、モンスターが出たときはいつも真司に助けてもらっていたし…。それに十香のことも、オレだけじゃ何も出来なくて、フラクシナスの人に助けてもらった……」
「さっきも言っただろう。お前は自分を悲観しすぎなんだよ。何も出来なかった?いいや、肝心なところで十香の心を救ったのは、フラクシナスのコンピューターでもクルーでもなく、お前が自分自身で考え出した答えだったと聞いている」
「それは…」
まだ何か言いたそうな士道を遮り、海之は力強い言葉で続ける。
「それにオレは、力が無いことが弱いこと、何も出来ないことだとは思わない。――――――オレの親友は、ライダーになることを拒絶して死んだ」
「!?それって…」
「あいつはピアニストとして、ようやく周りから認められ始めたというときに…ピアノを弾けなくなった。そして絶望していたあいつは、神崎士郎にライダーとして選ばれたんだ」
「そんな…なのにどうしてライダーになることを拒んだんですか?」
「あいつは自分の全てだったピアノと、他人を傷つけたくないという思いを天秤にかけて―――――他人の命を選んだんだ。その結果、モンスターに食われて死んでしまった…」
士道は何も言う事が出来なかった。そんな士道に、海之は微笑みかける。
「暗い雰囲気になってしまったな…。だが、今の話を聞いて、お前はその男の事を弱いと思うか?何も出来ない奴だったと思うか?」
「それは…」
「お前の気持ちもよく分かるし、人を護るためにデッキを使っている今の状況と、ライダーバトルの真っ只中だったオレの話とでは状況が違うのも理解している。………だが、オレは力がある奴よりも、自分の正しいと思ったことを貫ける奴の方が、よっぽど素晴らしいことだと思う」
「手塚さん…」
「……まあそうは言っても、これだけで気持ちの整理が着くかと言われれば、そう簡単にはいかないだろう。取り敢えず風呂にでも入ってこい。全身ずぶ濡れだぞ」
「あっ…すっかり忘れてた。そうします。……ありがとう手塚さん。気を遣ってくれて」
海之の言葉に気分が少し楽になった士道は、彼の言葉に従って風呂場へと向かった。
今は自分の出来ることをしよう。自分が正しいと思ったことをやり通そう。正直、まだ力への未練や自分の無力感が消えたわけでは無かったが、士道の足取りは先程までよりずっと軽やかだった。
そして、軽やかな足取りのまま脱衣所の扉を開けた士道は
「なっ…、し、シドー!?」
本来ここにいるはずのない、十香の一糸纏わぬ姿を目撃した。
状況を理解出来ずにフリーズしている士道の耳に、リビングの方からの会話が聞こえてくる。
「司令!十香が風呂に入っているってどういう事ですか!?オレさっき士道を風呂場に行かせちゃったんですけど!?」
「そうそう海之、いい仕事してくれたわね。今頃士道はドキドキのハプニング中、ってとこかしら」
「いや何言ってるんですかアンタ!?」
いまだに頭が正常に働かない士道だったが、海之のらしくない全力のツッコミから、この状況が琴里に仕組まれたものだと何となく理解した。
「え、えと、十香…これはだな………」
本能的に危険を感じ取ったのか、士道の口は無意識にそんな事を発していた。しかし――――――――
「い、いいから出て行け!!」
「ぐぇふッ……!?」
抵抗虚しく、士道の腹部に本日何度目になるか分からないボディーブローが炸裂した。
「なんか今、士道がラッキースケベで殴られた気がする」
「……お前はいきなり何を言っているんだ」
士道が十香と脱衣所で鉢合わせしていた頃、モンスターを倒した真司は、蓮に連れられて例の喫茶店を訪れていた。
「何か飲むか」
「あ、じゃあコーヒーで」
「900円だ」
「タダじゃないのかよ!それどころかメニューの表示価格よりもずっと高いし!!」
「誰がわざわざ淹れてやると言った。缶コーヒーで充分だろう」
「それで金取るつもりなのお前!?」
そんなやり取りを交わした後、二人は向かい合う。そしてまず、先に話を切り出したのは、真司の方だった。
「それにしても、どうしてオレのこと信じてくれる気になったんだ?手塚たちのときは信じてくれなかったのに」
「…勘違いするな。オレはお前を信じたわけでは無いと言っただろう」
「じゃあ、なんでオレの話を聞いてくれる気になったんだよ」
真司のこの問いかけに、蓮はほんの一瞬思案するような表情を見せた。
「実際にデッキを使って戦うお前を見て、少し興味が湧いた。…というのも事実だが」
「だが?」
「実際のところ自分でもよく分からん。何故よりにもよって、一番頭の悪そうなお前の話を聞く気になったのかな」
「うおい!お前なあ…」
余計な一言に真司は抗議しようとするが、蓮は全く取り合わなかった。
「お前が頭が悪そうなのは事実だろう。―――だが、何となくお前の話は聞いてみたくなった。理由としてはただそれだけだ」
再度抗議しようとした真司だったが、後から付け足された言葉に驚いて口を閉じた。
「…お前、今何か失礼なことを考えていなかったか」
「え!?き、気のせいだろ…。そ、そんな事より、オレの知っている事を話すから、ちゃんと聞いておいてくれよ」
「……まあいいだろう」
心を読まれたことに動揺しつつも、真司は気持ちを落ち着かせて語り始めた。
かつて起こった戦いについて。
そして、蓮が誰を愛し、何を思って戦っていたのかについてを。
「十香の精神状態を安定させるため…ってのは分かります」
先程の風呂場での一件の後、着替えを済ませた士道は、リビングにいた琴里と令音から「今日からしばらく十香が五河家に住む」と宣言された。
士道としては、突然そんな事を言われても納得できない。故に琴里らに説明を求めたところ、二つの理由からその必要があると説明された。
一つ目の理由は『十香のアフターケア』。現在、十香と士道の間には霊力の
十香は今はフラクシナス艦内に住んでいるのだが、まだ完全には人間への不信感を克服できてはおらず、更に1日2回の検査によってストレスも蓄積しやすい。そういった理由から、検査の数値も安定してきた今、最も信頼されている士道の家で十香がきちんと生活出来るかを見たいとのことだった。
自分が十香に信頼されているというのは嫌な気はしない。それに、十香の力の危険性を身をもって知っている士道としても、力の逆流を防ぐというのは納得できる理由だった。
しかし士道が分からないのは、もう一つの理由の方だった。
「オレの訓練のためって、どういう事ですか?もう訓練なんていらないんじゃ?」
二つ目の理由が『士道と真司の訓練のため』と聞かされたのだが、士道はこの言葉の意味が理解出来なかった。
「…ふむ?なぜそう思うのかね」
「なぜって……だって十香の精霊の力はもう封印したわけで…」
士道が言うと、令音はゆらゆらとした調子で首を横に振った。
「…精霊が十香一人だなんて、誰が言ったのかな?」
「えっ!?それってどういう…」
「…そのままの意味さ。特殊災害指定生物―――通称精霊は、現在の段階でも十香の他に数種類確認されている。このことは真司も知っているだろう」
「そーいうわけで、士道にはまた精霊をデレさせてもらう必要があるのよ」
二人の言葉に、士道は心臓が引き絞られるのを感じた。
「……じょ、冗談じゃ―――」
「ふうん?もう精霊とデートして、キスして力を封印するのは嫌だっていうのね?」
士道の言葉を遮って、琴里は彼に問いかける。
「あ、当たり前だ!!」
士道は即座に拒否しようとするが、
「じゃあ、このまま空間震で世界がボロボロになっていくのを見ているか、ASTが精霊を倒すなんて奇跡的なイベントを待つわけね?」
琴里のこの言葉の前に、何も言えなくなってしまった。
士道は自分の知らぬ間に、想像以上の重責を背負わされていたのだった。そのあまりの重さに、士道は胃が痛くなるのを感じる。
だが、士道には気になる点があった。それは、デートによって精霊の力を封じるという行為の、そもそもの前提として確かめておかなければならないことであった。
「―――琴里」
「何かしら?」
なんとなく質問の内容を推し量ったのか、琴里は悠然と返してくる。
「まず、聞かせてくれないか。『ラタトスク』ってのは、一体何なんだ?お前はいつ、そんな組織に入ったんだ?それに…オレのこの力ってのは、一体何なんだ?」
「―――そうね。丁度いい機会だし、簡単に話しておこうかしらね」
そう言って琴里は、ふうと息を吐くと、ポケットからチュッパチャプスを取り出す。それを口にくわえてから、琴里はラタトスク機関について話始めた。
―――――キィン…キィン…
?「初めまして。それとも久しぶり、というべきか…。オレの名は神崎士郎。かつて妹の優衣を救うためにライダーバトルを開催し、そしてこの『デート・ア・サバイブ』では城戸真司らライダーを『デート・ア・ライブ』の世界に送り込んだ男だ」
神崎「今回この作品の番外編を執筆しようと思い、それに関連していくつかのアンケートを実施することにした。主な内容としては、クロスさせる龍騎以外のライダー作品についてだ。詳しいことは活動報告を見てくれ。なお、一人一票でお願いしたい。
…そんな事よりさっさと本編進めろ?もっともな意見だが、どうかここは大目に見て欲しい。一人でも多くの方の投票をお待ちしている」
―――――どのような物語になるのか、決めるのは貴方だ―――――