ちなみにサブタイトルは龍騎第一話のサブタイトルと、精霊イフリートの誕生をかけてます
「あち、あちち!マジでこれ死ぬって!」
真司がいたのは普通の住宅街だった。とてつもない業火で辺り一面が覆われていること以外は…。
このままでは炎に焼き尽くされてしまうと判断した真司は、鏡を探した。この子供の体で、この見知らぬ場所で、変身できるかは分からないが、何もしないよりはマシだと真司は判断した。
「あ!あった!」
真司は燃えている家の中に、割れた窓ガラスを発見した。幸い自分の姿は映っている。つまり、鏡として機能するということだ。
真司はデッキをかざし、構える。すると鏡に映る自分の腰に、見慣れたベルトが現れる。同時に、実体の自分の腰にもベルトの巻き付く感覚を感じる。
「小学生サイズにも調節してくれんのか…ホントどういう原理なんだろ。あとライドシューターはどうなんのかな…まあいいや。変し……」
(おにーちゃん…おにーちゃん…!)
そのとき、少女のものと思われる泣き声が聞こえた。
「な!?まだ人がいるのか?」
真司は声のする方へ向かおうとする。しかし、その行く手に『何か』が立ちふさがる。それは、ノイズのようで、姿を認識することができない。しかし、確かにそこに存在していた。
「なんだお前!この火事、さてはお前の仕業だな!」
【確かに力を与えたのは事実だ。だが、それを制御できなかったのは彼女さ。もっとも、力は封じられた…じきに火も収まるだろう】
「このやろー!やっぱりお前の仕業か!やい、この火どうにかしろ!」
【……きみ話聞いてた?】
むろん話など聞いていなかった真司は、『それ』をどうにかして倒す、あるいは捕まえることを考えていた。だが…
【それにしても、きみは…普通の人間とは少し違う気がする。でも、きみ自体から特殊な霊力を感じるわけではない…。一体何者だい?】
その言葉と同時に『何か』の手(実際には認識できないので手か分からなかったが)が真司に迫る。真司は身構えたが、結果的に『それ』が真司に触れることはなかった。
先程の窓ガラスから飛び出した存在が、二人の間に割り込んだからである。
【ほう…こいつは…】
猛々しい雄叫びをあげながら現れたのは、無双龍・ドラグレッダー。非常に荒い気性と、高い戦闘能力を兼ね備えた、龍騎の契約モンスターである。
【成程…
『何か』は実に興味深そうな様子だったが、真司にはなんのことかさっぱりだった。
「向こう?何の話だよ!」
【知りたい?なら、教えてあげる。その代りに、きみの力についても教えて…】
(その必要はない)
突如、その場にはいないはずの第三者の声が響く。真司が先程のガラスに目をやると、そこには神崎士郎が映っていた。
「神崎!?」
「その通りだ龍騎、いや、城戸真司」
【きみは…あちら側の支配者かな?】
『何か』は士郎に問いかける。
「お前の言うあちら側というのが、
【ふうん…それは残念だ。ならこの辺で失礼するよ。あの子は霊結晶を受け取り、
そう言って『何か』は姿を消した。突然の急展開に、真司は暫しの間放心していたが、思い出したかのように士郎の方へ向き直る。
「神崎!一体あいつは何なんだよ!それにオレの体とか、この大火事とか…」
と、そこまで言ったところで、真司の頭の中にあの聞き慣れた音が聞こえる。キィン…キィンと響くその音は、ミラーモンスターの出現を知らせるものだった。しかし自分のそばのガラスには、自分の姿と士郎しか映っていない。
「まさか…」
「城戸真司。詳しい説明は後でする。お前も気づいている通り、外に一組の兄妹がいるがモンスターに狙われている。彼らを救ってくれ。」
「ああ!勿論…え?」
その言葉に真司は思わず固まってしまう。何故なら真司の知る士郎は、妹の優衣のことしか見えておらず、そのために誰が犠牲になっても気にしないような男だったからだ。その上、ミラーワールドの支配者でもある彼なら、真司に頼む必要もなくモンスターを止められるはずだった。
「説明は後だ。今は時間がない。ひとつだけ伝えておくと、同じミラーワールドでも、俺はこちらの世界に近い場所、つまり今現れているモンスターたちは支配することが出来ない。加えて、訳あってオーディンの力も使えない。」
「それって…」
「今あいつらを助けられるのはお前だけだ、城戸真司。頼む…」
自分の知る士郎とのあまりの違いに真司は戸惑うが、すぐに切り替える。
「わかった…いや全然わかんないことだらけだけど、お前のこと信じるよ。それにオレは、人を守るためにライダーになったんだ!言われなくても助ける!」
「…恩に着る」
「その代わり、後で全部ちゃんと説明しろよ!」
と、そのとき先程の少女の悲鳴が聞こえた。
「まずい!捕食のために外へ出てきた!」
その言葉を聞いて、真司は声のした方へ急ぐ。
「間に合ってくれよ…。あれか!おりゃああ!」
間一髪、怯える兄妹と、それを捕食しようとしているモンスターを発見した真司は、走ってきた勢いで体当たりを仕掛ける。
体が小さくなっていたので、大人の体で放つそれより威力は当然低い。だが、完全に兄妹に意識が向いていたモンスターは、突然のダメージに驚いて、そばに落ちていた鏡の破片から逃走した。
「早く逃げて!」
真司は兄妹にそう叫びながら、鏡の欠片に向けてデッキを構える。そして…
「変身!」
デッキを腰に着けたベルト「Vバックル」にセットすると、真司は赤色を基本とした鎧のような姿・仮面ライダー龍騎へと姿を変えた。
「しゃッ!」
真司は気合を入れると、モンスターを追ってミラーワールドへと飛び込んだ。
おまけ
浅倉「お前は…泥を食った事があるか?」
十香「泥はないが、フライパンは食べられるぞ」※原作5巻・著者紹介参照
浅倉「え」
神無月「たとえ泥でも、司令が食べろと仰るなら…アァン司令、お慈悲を~!」
浅倉「…」
お読みいただいてありがとうございました