『首置いてけ!大将首……また女子か!!!!!』   作:三途リバー

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Switchポチポチしてたら、ずっと興味あった戦国恋姫の体験版があったのでダウンロードし、気付いたらこうなってました。
原作ド素人も良いところなので、生温かい目で見てください。

尚、本作の目標はドリフ4巻の例のセリフを豊久に言わせることです。そこまで続くかは分かりません。



漂流先間違ってますよ

 

「……田楽狭間にて小休止か。まさに強者の余裕だな」

 

斥候の報せに鼻を鳴らした久遠に、周囲の将達が僅かに顔を顰める。洒落になっていないのだ、状況が。

 

永禄3年、尾張国桶狭間。

一万五千の大軍を率いて西上を開始した今川義元を迎え撃つべく、織田久遠信長は二千の兵を動員して迎撃……否、()()せんと出陣していた。

 

「常識的に考えれば、敗戦必至の瀬戸際だな」

 

「いかな孔明龐統と言え、この圧倒的戦力差を覆すのは至難の業でしょう」

 

柴田権六勝家に、丹羽五郎左長秀。宿老の2人も、流石に彼我の差を前に希望的観測を持てないでいた。

 

「ふふ、ならば好都合。この織田久遠信長の力量が龍鳳をも凌ぐということ、天下万民に知らしめられるわ。それに、()()()では我らが勝ったのだろう?なぁ、未来の薩摩隼人」

 

揶揄うような久遠の声に、居合わせた全員の視線が1人の男に突き刺さる。

 

 

「………さっっっぱり訳ん分からん。何故(ないごて)女子が信長名乗って戦に出とる」

 

「何度その説明をさせるのだうつけめ」

 

これは、我々の知らない歴史。

そして、我々が知り得た()()()()()()()()()()()()()()()()()()ともズレた物語。

 

戦国最強、島津豊久の新たなる世界での武辺咄である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少々巻き戻る。

 

駿府屋形の今川治部、尾張へ向けて進軍開始の報を受けた久遠は、宿老達が唱えた籠城策を一蹴。野戦にて、一撃で雌雄を決さんと西楚覇王もかくやの速度で出陣した。

砦にて小休止して斥候を出し、今川軍の動向を探らんとしていた矢先にその一隊から報告が入る。

 

瀕死の落武者を拾った、と。

 

「はぁ?犬の拾い食いでもあるまいに、この非常の時に何をやっとるんだあの馬鹿共は」

 

呆れて物も言えぬ、とはこのことである。報告を受けた柴田壬月勝家は自身の額に青筋が浮かぶのを自覚した。

 

「なんでも、意識を失う前に木瓜紋を見て『御味方か』と呟いたそうで。もしや今川の攻撃を受けた砦の生き残りではと、犬子らが大慌てで運び込んできたのですが……」

 

丹羽麦穂長秀も、どう言って良いか分からぬ様だった。頭脳明晰で知られた盟友が言い淀むなど珍しい。壬月は顎を振って続きを促した。

 

「金創医が治療に当たったところ、明らかに槍が胴体を貫通した形跡があるのです。しかも、5本。うち最も深い1本は、自身で無理矢理引き抜いたと思われます」

 

「ッ────!!」

 

悽絶の一言に尽きる。それだけの重傷を負い、即死しない方が馬鹿げている。加えて……

 

「彼を保護した周囲に、敵兵の姿は全く見えませんでした。今川との会敵予想地も遥かに東です」

 

「なんたる…」

 

その武者は、逃げ切ったということだ。身体を刺し貫かれ、出血も止まらぬ中、敵兵を蹴散らし、追っ手を振り切り、この雨の中生き延びていたのだ。

 

「容態は!?」

 

「峠は越えたと聞きました。驚異的な生命力に医師も目を剥いていましたよ。何がこの男をここまでさせるのだと、呆然と言った有様で」

 

「御美事なる烈士。久遠様に褒美を、いや感状の発給を提言する」

 

「その必要はないかと。もう既に、与えた小部屋に興味津々で向かわれました。彼の口から最前線の様子も聞ければ戦の展開も見えてきます。まずは……」

 

 

 

 

『嘘をつけぇぇぇえい!!!!!織田信長公が女子でたまるかァ!!!!!!』

 

 

「……………行くか」

 

「……………行きますか」

 

「「……………はぁ…」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を見ていた。

初陣を終え、挙げた首級を父に披露したあの鮮烈なる夕景が、眼前に広がっている。

 

『豊寿!初陣で侍首か!!』

 

(……親父っど)

 

これは夢だ。間違いようがない。

自分は関ヶ原の大戦にて、伯父を落ち延びさせるため捨てがまった筈。そしてその末に井伊侍従直政を撃ち倒し、されど首級を奪り損ね……

 

『良か!良か()()じゃ!』

 

(親父っど)

 

後悔などはあろうはずがない。

義弘公の御身さえ無事であれば、たとえ己らが死しても島津は安泰。狸爺を相手には切った張ったの大勝負で御家を守ってくれるであろう。豊久が守りたかった、大切なもの達も。

 

そしていつか、島津兵子は徳川を滅ぼす。

己はその礎となった。誇れる最期と、胸を張れる。

 

『うわははは、上方に上ってん、お前ほどの若武者ばおらん!田楽狭間ん頃のうつけ殿も、ぬしゃほどではなかろうて!』

 

(じゃっで、また褒めてくれやんせ)

 

『良か、まこて良かにせじゃ!さぁ元服ぞ、豊寿丸!』

 

 

 

 

「親父っど!!!!!」

 

 

 

「起きたか!頑丈だな貴様!名はなんという!?何処の所属だ、義元は見たか!?」

 

「な、なん、…?」

 

夢の感傷もへったくれもない、怒涛の言葉の洪水。

豊寿丸……島津中務少輔豊久は、混乱の極地に叩き落とされた。

 

己の身体に跨っているのは、17,8といった年頃の女子。

跳ね起きたせいで、顔が異様に近い。その瞳は煌々と輝く夜天の星のようで、思わず反応が遅れる。

 

「なんだ、呆けていないで我が問いに答えよ。そちは何処の何者だ」

 

咄嗟に、豊久は枕元に目を走らせる。共に朝鮮、関ヶ原の戦を乗り越えた愛刀を探すが、やはりと言うべきか取り上げられたらしい。

落武者狩りかと考えを巡らせたが、自分の身体を見れば丁寧な治療が施してある。

 

目の前の尊大な女が、手配したのだろうか。

 

「誰だぬしッ、誰だ!」

 

「は、貴様から名乗れぃ。無礼であるぞ」

 

ふと床の間の掛け旗が目に入る。そこには刻まれていたのは、日の本の将であるならば誰でも知っていようもの。

 

「木瓜紋…織田家家中の者か…?」

 

「話を聞かん奴だな!フン、それに家中だと!」

 

益々態度をふんぞり返らせ、女は高々と名乗りを挙げる。

 

 

「織田とは我で、我こそ織田よ。我は信長。織田三郎久遠信長である!!」

 

 

 

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