夢の世界の向こう側   作:original

19 / 23
回想の夢

World line change complete [世界線γ]

[世界線γ] 観測時間 13:30:28

 

 「アネモネっ!ここで待ってろ!」

俺はそう言うと外へと駆け出す。流れゆく人の目と街の風が俺に纏わりつく。

場所は分かってる。やるべきことも…!

 「アネモネ!」

俺は勢いよく部屋へと駆け込む。

 「な、何よ…。」

 「凶静燐、俺がTime machine作成を手伝う。アネモネはここに居ろ。」

 「ちょ、ちょっと待って…。何急に?」

 「いいから!!俺は未来から来たっ、アネモネは俺の言うことに従っていればいいんだ!」

 「…そ、か。分かった…。」

少し遠い目をした凶静燐に話しかける。

 「早速取り掛かるぞ。」

 「の作成が……今完成した。」

 「何ともその辺は分からないけど…理論上はこれでTime Travelが…」

PCに表示された数値を見つめるアネモネに、椅子を回転させ振り返った凶静燐は自信に満ちた顔で返答をする。

 

 

「あぁ、できる。人類が夢にまで見た、【世界線移動】が…。」

 

大丈夫だ…俺達と戸塚の接点はない。アネモネはずっとここに居たし…大丈夫なはずだ。

プルルルル…プルルルル…。

 「あら、電話だわ…。ちょっとごめん、電話してくるね。」

 「あ、あぁ。」

取り敢えずはこれで【世界線Σ】に行ける…。が、まぁ

 「凶静燐。アネモネが電話終わったらTime machineを発動させ」

 「―逃げてっ…!!!」

アネモネの声が、遠くの方から響いて、ラボに届いた。と、同時に一発の発砲音。ラボ内にアネモネの悲鳴が、遠くからしっかりと響き轟く。

 「くそっ…この世界線もか…!!」

何で…接点はないはずなのに…!

 「クソッ!!」

俺は装置を被る。

 「放熱20.558…!事象重複領域削減完了…!」

頭痛が俺の脳内を駆け巡る。

ラボの扉が勢いよく開けられる。砂埃舞う階段をゆっくりと戸塚が降りてくる。

入ってきた戸塚は口パクで俺を見て伝える。

 「無駄だよ」

 「またかよォォッ!!!」

 

バサッと白衣をなびかせた凶静燐は、世界に向けて思いっきり叫ぶ。

 

 

「お前たちが望んだ夢は、今!【再構築】されるッ…!!」

 

その瞬間、俺の意識は途切れた。

World line change complete [世界線γ]

[世界線γ] 観測時間 13:30:28

 「やはりね。私は貴方もTime Travelerだと踏んでいたの。口が軽いガキは――」

 「うるさいッ…!」

俺は再び街へと駆け出す。体に、心に、俺に纏わりつく全てを真っ向から無視して。

 

それから俺は数えきれない程の世界線を移動し続けた。

材料の仕入れ場所を再び変えた世界線。

戸塚を迎え撃つ世界線。

全てを捨てて逃げだす世界線。

 

いくつもの世界線を旅し、俺は俺を見失いつつあった。

いくつもの世界線を旅し、世界が俺を殺し続けた。

いずれ俺がいくつもの世界からいなくなった。

いずれ俺がいくつもの俺からいなくなった。

だから、俺は俺を見つけた。

だから、俺は答えを見つけた。

 

World line change complete [世界線δ]

[世界線δ] 観測時間 13:30:28

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。