「ここは…初めて来た街だが工場しかねぇな…。」
ウィスキーから貰ったパンをかじりながら、俺は一人街の中を歩いていた。
「――他の国をあたるとするか…。」
「どいてどいてぇーー!!」
ダァンッ!!
「いてててて…。」
俺が突然の出来事に驚いていると、俺にぶつかってきた女の子が少し慌ただしそうに散らばった資料を集め始めた。
「ちょっと貴方!前見て歩きなさい…よ…。」
俺を見た少女は俺を見るなり、じっくりと俺の顔を見始めた。
「貴方…何処かで…。」
ゴォォゥン…ゴォォゥン…。
その時、時計台の鐘が鳴る。
「やっばーーい、時間ないんだった!! 戸塚おじさんの所いかなくちゃ!!」
少女はそう言うと資料をかき集め、スッと立ち上がった。
「じゃぁね、また会いましょ。」
そう言うと少女は慌ただしく去っていった。
「ったく…何だったんだ。」
―――しかし、どこかで…。
その時。通りの奥から怒鳴るような声が聞こえてきた。
「だぁぁから! 俺は“Traveler”で!お前は【世界線ε】のRPC-3317なんだろう!」
「私はRP09-33198、この街に新たに来た人間にこの街を紹介する“案内人”です。」
「お前は【世界線ε】の…! くっ…人、というよりはロボ違いか。」
白衣を着た青年はそう言うと俺の方面へと歩いてきた。
「む…何だね君は。さっきから私のことを見ているが、なにか気にかかることでもあったかね?」
「い、いえ…。」
白衣を着たそいつは、どこかで見覚えがあるような、何処か懐かしい面影がある奴だった。
「…君、どこかで……む、あのロボ。アイツこそRPC-3317だ…ちょっと止まってもらおうかそこのロボ!!」
白衣の男はそう言うと、どこかに去っていった。
「――何だったんだあの男は…。」
―――何なんださっきから。どこか見覚えがあるような、この街も…人も…。
「ま、いっか…。次の街に行かないと。」
俺は再び歩き出す、次の街を目指して。初めてなのにどこか懐かしい、そんな街を残して。
「――ここは…。」
相当な距離を歩き続けた俺だったが、長い道のりの先、一つの国に辿り着いた。
国の中に入ると、イタリアの街並みによく似た、洋風の光景が広がっていた。決して活気づいた感じではないが、どこか穏やかな街。
「ねぇそこの兄ちゃん、ここのポーションは質が違うから寄っていきな!」
俺が街を歩いていると、商店で呼び込みをしているおばちゃんが声をかけてきた。
「ポーション…?」
何か飲み物かなんかか…?
「あぁ、ここに置かれてるポーションは他よりも質のこだわってるのさ。ちょっと他よりも値は張るけど、効力は間違いないよ!」
「あぁ~つっても俺今手持ちがないからなぁ…。」
「なんだい、冒険者じゃないのかい?」
「冒険者…?」
「冒険者も知らないのかい?この世界じゃ知らない人の方がいないんだけどねぇ。けどまぁ、確かに見てみりゃここらじゃ見ない顔だもんねぇ。」
何だ…この街は冒険者が主流なのか…?それにこのポーションとか、まさにファンタジーの世界だな…。
「やぁおばさん。回復と解毒のポーションを10個ずつ貰ってもいいかな?」
俺がそんなことを考えていると、隣から二人の女の子を連れた青年が売り手の女性にに話しかけた。
「あいよ!あと、何回も言うけどおばさんじゃなくておねぇさんね。」
「はいはい…。」
その青年は呆れたように首を振ると、商店の隣にいる俺に気が付いて話しかけてきた。
「やぁ。君、見ない顔だね。名前は?」
「あ、えと…。」
「あ、そか。俺の名前言ってなかったや。 俺の名前は[天龍ユウキ]! 気軽にユウキって呼んでくれな!」
ユウキはそう言うとニッと笑って見せた。