ギルドを後にした俺達は防具屋に来ていた。
「早速だが、どうかな?苦しくないかい?」
装備一式と黒のコートを買ってくれたユウキは俺にそう尋ねた。
「あぁ、なんか護られてる感じがするぜ。」
これが防御力ってことなのか…。RPG系のゲームは何回かやった時があったからかなんとなく勝手がわかる気がする…。
「そう言えばユウキ、魔法使いとはいえ攻撃とかどうするつもりなの?見た感じ杖とか持ってそうにないけれど…。」
アリスはそう言うと俺をまじまじと見つめた。
「まぁ確かに…。夢から覚まさせる魔法だったか…あまり想像がつかないけど、杖を買えばいいのか…?」
ユウキはそう言うとムッとした顔をして考え始めた。三人して考えてくれている所に俺が割って入る。
「た、多分武器とかは大丈夫だ!今までもこのカッターで何とかなって来たし!」
「カッター…そんなので魔法は使えないし、短剣の方がマシだと思うんだけれど…。」
アリスはこいつマジか…みたいな目をしてジー…と俺を見つめる。
「なんていうか多分特殊なんだろうけど、これで血を出して取り込むことで相手の夢に入り込むことが出来るんだ。」
レイスがへぇ…と俺のカッターを見つめる。
「血気術みたいなものなのかしら…気になる、気になるわ…。」
そう呟いたレイスを横目にユウキが俺にアイテムを渡してきた。
「まぁ、真がそれでいいって言うならいいけれど…一応回復のポーションと短剣、その他諸々渡しておこう。早速アイテムウィンドウを開いて。」
「アイテム…ウィンドウ…?」
戸惑う俺にユウキはため息をつくことなく穏やかに微笑む。なにか懐かしさを感じているかのように。
「よし、明日の作戦会議をするとしようか。」
馬鹿みたいに賑わっていた昼間の酒場…じゃなくてギルドは集まった全員が全員ユウキの言葉を聞き逃さんとばかりに緊張感に溢れた静寂に囲まれていた。
「まず、魔法攻撃部隊は後列で援護を、ランス部隊は俺かレイス、アリスの三人のいずれかから指示があるまで攻撃待機、防衛部隊はランス・魔法部隊の防護を優先すること。基本的には俺とレイスが最前線で討伐に挑む。アリスは援助と基本的な指示を頼む。」
「分かったわ。」
「そして今回、みんなに紹介したい人がいる。我々の同盟に招き入れることになった樫木 真君だ。」
ユウキはそう言うと、
「さ、自己紹介してくれ。」
と呟いた。
「この度、この同盟で幻夢龍の討伐を手伝わせてもらう樫木 真だ。不慣れではあるがよろしく頼む。」
俺が自己紹介を終えると、同盟のメンバーからの盛大な拍手が送られてきた。
「真、よくやった。 皆の者、真は今回重要な人物となる。だが、自己紹介でもあった通り戦闘面においては不慣れなところも多い。故、指示含め援護を…ラインセント、任せてもいいかな?」
ラインセント、そう呼ばれたその男はスッと立ち上がるとユウキに向け一礼をする。
「ありがたき幸せ。このラインセント、必ずやお役に立つように尽力いたします。」
そう自信満々に言い放ったラインセントは俺の方を見ると笑みを浮かべる。
「一緒に頑張ろう。」
ラインセントのその笑みは、どこか不気味に見えた。