シロガネ山に籠もって2週間、ヨウコはまだ生きていた
「定時連絡や、とりあえず今日は5匹のポケモンを捕まえたで」
『お疲れ様であります! ヨウコ殿! 確かにポケモン達は受け取ったであります』
小屋に設置した仮設転送装置はこちらから転送はできても取り寄せをすることはできないが、手帳サイズに小型化することができている
で、元から備え付けられているテレビ電話で話しているのはうちに当てられた部下のアカツキや
ロケット団で働いている女性で、うちが捕まえたポケモンの管理や定時報告の資料を纏めている
幹部であるナツメの部下でもあり、いつもはジムトレーナーをしていたりする
『2週間でかれこれ30匹もの強いポケモンを捕まえて来て凄いでありますな』
「せやろ〜もっと褒めてな〜うちは褒めて伸びるタイプ何やで」
『はいはい、凄いであります! ···シロガネ山の地図の作成はどうでありますか?』
「外周は一応形にはなってきたが、内部は無理や、大型のイワークやゴローンの動きで地形が毎日変わっとる。外部も大雪で目印を書き込む位しかできへんな」
『十分であります。この調子で頼むでありますよ』
「了解や」
ブチンと通話が切れ、椅子にもたれかかる
「ふう、結構無理をしてるんやけどな」
肩をアイシングし、足をお湯で温めながら傷に軟膏を塗っていく
「食料は残り1ヶ月やな。ノルマは無いが捕まえられるだけ捕まえてこいって言われとるし、いつ辞めてもええけど、ボーナスタイムをミスミス逃す訳にはイカンよね~」
手持ちのポケモン達のレベルも急速に上がってきていた
やはり強敵と対峙し、生き延びるというのも大きな経験なのだろう
僅か2週間で1年修行したに等しい経験を得られている
「やっぱりポケモンが成長するのは食事でなくて環境による経験なんやろな。強さで進化する···やっぱりその通り何やろうけど、進化の石で進化する個体も居るからなぁ。別の方法で進化する個体も居るんやろな」
今ヨウコの手持ちで一番強いポケモンはユンゲラーであるが一向に進化する兆しがない
ユンゲラーはフーディンに進化するのは有名な話であるが、進化方法はまだ確立されていないポケモンである
曲がったスプーンを持たせたり、誰かと交換すると進化することもあると聞いたことがあるが···どうなのであろう
「まぁゴルバットとユンゲラーはロケット団からの借り物···いつかは返さなければならないやろからな」
包帯をバチッと巻いてロケット団下っ端の制服を着る
「さて、今日も行こか」
シロガネ山には炎の鳥ポケモンが舞い降り、雪解けの水で体を清めた跡地があらゆる傷を治す秘湯があるとされていた
「本当にあるとはな···秘湯炎の湯」
ファイヤー温泉とも言われる発火性の高いガスがポコポコと地下から漏れ出しており、確認すると少々ぬるい
「もっと温度が高いものかと思ったんやが違うんか?」
湯の周囲を探してみるとこの湯はただ溜まっただけの垂れ流された湯であることがわかった
「源泉が別にあるっちゅうことやな」
更に標高の高いところを探すこと数時間、源泉を見つけることができた
「ポニータ火の粉」
温泉に火の粉を飛ばすと油が燃えるみたいに水の上で炎が燃えていた
ただ不思議な事に燃え広がることは無く、数分もすれば周囲のガスを燃やし尽くしたのか鎮火した
お湯はポコポコとガスが湧き出ている
「せっかくやから浸からせてもらおうか」
真っ裸になったヨウコはお湯に浸かる
「あっつ! でも外がギンギンに冷えとるから外周近くはちょうどええな。皆も出てきな」
手持ちのポケモン達も湯に浸からせる
いつもは水を嫌うサナギラスもこの湯は大丈夫なようでバシャバシャと浮かんでいた
ポニータだけは湯の熱に熱せられた水を飲んだり、そこらの道草を食べて湯には浸からなかったが
「りゅ~」
「ミニリュウも上機嫌やな。あんまり奥行くと熱いで」
「りゅ~!」
バシャンとお湯の中に潜り、大きく飛び上がるとなんか凄い大きくなっていた
「ええ、今進化するん?」
「はくりゅ〜」
ふよふよと空を飛ぶ力を携えてこちらに戻ってきた
「あれだけ特訓したのに進化しなかったのに今進化するんかお前は〜このこの」
「りゅりゅー」
ハクリューは嬉しそうに頬ずりをする
お湯に浸かっていると切り傷や打撲等の傷がじわじわと治っていく事がわかる
「おお、痣が小さくなっとる。綺麗になっとるな」
このお湯の事も地図に書き込み、その日から夜はこの湯に入るようにするヨウコだった
食料的に最終日となるシロガネ山籠もり
洞窟の中で最後は捕獲ではなくどこまで戦えるようになったかの確認をしていた
「バンギラス、ストーンエッジ」
「GAAAA!」
サナギラスからバンギラスに進化し、怪物の様な容姿になり、力を持って相手をねじ伏せるパワーを手に入れたバンギラスはシロガネ山のポケモン達にも臆すること無く戦っていく
リングマを掴むとそのまま噛み砕くで、リングマの皮膚に鋼鉄よりも硬い歯を突き刺す
痛みでリングマは悲鳴をあげるが、そのまま投げ飛ばし、ギガインパクトでトドメを刺す
吹き飛ばされたリングマは壁に真っ赤な染みを付けた後に地面に倒れて動かなくなった
「ナイスやバンギラス」
「バキ!」
バンギラスをボールに戻し、洞窟から出る
「ハクリュー」
「りゅう!」
ハクリューの背中に乗って低空飛行をしながら山を降り、山小屋に戻って撤収の準備を進める
「約1ヶ月半、つらかったが生き延びたんやな」
ヨウコにとってここまで自分を追い込んだ事は今まで無かったが、乗り越えたことでトレーナーとしてひと回りもふた回りも成長することができた
「さて、戻ろうか」
帰還して直ぐに私は中隊長のリョウさんに呼ばれ、ヤマブキシティのロケット団の基地に来ていた
「リョウさん来たで〜」
しかし、そこにはリョウさんは居らず見知らぬ女性が椅子に座っていた
「シロガネ山を生き延びたか、大したものだな」
「···お姉さんは誰や」
「私の名前はナツメ、ロケット団3幹部の1人だ」
「3幹部? カツラは幹部ちゃうんか?」
「あぁ、ヤツも幹部ではあるが、実働部隊は私とキョウ、マチスの3人だ」
「で? 幹部様がうちになんの用や?」
「なに、幹部候補の実力を図りに来ただけだ。お前の一番強いと思うポケモンを出せ、1体1のバトルをしよう」
「···ええで、どこでやるんや?」
「私のジムでだ、勝てたらバッチをくれてやる」
ジムリーダーのナツメが勝負を仕掛けてきた
ナツメのポケモンはフーディンでこちらはバンギラスを出す
「ほう、ここらでは見ないポケモンだな」
「基本生息地はジョウトやからな。シロガネ山でも何体か捕まえて送った筈やで」
「私はエスパーポケモン以外には基本興味が無くてな···悪いか?」
「いや、そのタイプのエキスパートっちゅうのは強くなる秘訣やとうちは考えとるで、下手に色々なポケモンに手を出すより遥かに強くなれる。そのタイプの強みや弱みをちゃんと理解できるからな」
バンギラスが場に出たことで砂嵐が吹き始める
「特性砂起こしか、厄介な」
「岩タイプのポケモンは砂嵐状態やと言われるタイプのポケモンの特殊技の防御が上がるっちゅう効果があるんやで、砂で威力が減衰するんやろな」
「良いのかベラベラと喋って」
「既に指示は出しとるからな」
バンギラスは力を込める様な動作を繰り返していた
「のろいか」
「御名答や」
「フーディン」
ナツメはフーディンと呼ぶとフーディンはサイコキネシスをしてくるがバンギラスには効かない
「···あくタイプか」
「正解や」
カントーにはあくタイプのポケモンが生息していない為エスパータイプが猛威を奮っているが、ジョウトにはあくタイプのポケモンが生息しているし、あくタイプはエスパータイプの技を無効化するという性質がある
つまり天敵だ
「バンギラス噛み砕くや」
バンギラスが噛み砕くをしようと近づくとフーディンはテレポートで逃げる
そのまま一旦距離を取る
「···指示に声をださないっちゅうのは有利よな〜、暗号やサインをしている感じでもないっちゅうことは念話でもしとるんか?」
「強いエスパー使いにはサイコパワーが溜まるものでな、私でもこうして」
空のモンスターボールを念力で浮かせるとバキバキとボールが壊れた
「まぁこんなもんだ」
「おお、さすがやな〜」
こうした会話の最中にもバトルは動いていく
バンギラスは地震で攻撃し、フーディンが直撃を受けるが、お返しとばかりにシャドーボールを放ってくる
「ききまへんよ!」
「もう勝負は付いたぞ」
「へ?」
ナツメはカツカツと歩き始めると空中を歩行し始めた
「バリアで道を作ったんかいな」
「正確には家だ。さて出口は見つかるかな」
「関係あらへんで、バンギラスギガインパクトで粉砕や」
「GAAAA!」
バンギラスが壁に突っ込もうとした時、バンギラスが地面に盛大に転んだ
「ば、バンギラス!?」
「草結び、体重が重いポケモンほど威力が上がる技だ。草タイプの技だが、案外エスパータイプのポケモンも使う技だな」
ドシャーンとバリアが衝撃で砕け散るが、それすらもバンギラスの体に破片が突き刺さる
「力一辺倒だとこうなる。もっとフィールドを上手く使え、フーディン破壊光線」
2本のスプーンを重ね合わせたフーディンはそこから破壊光線を発射する
直撃したバンギラスは目を回して倒れてしまった
「かぁ、やっぱり幹部はごっつ強いわ」
「実力は十分に見れた。合格だ。これからは小隊長としてロケット団に貢献しろ。カツラの所に行く前にお前の次の命令をする」
ペラリと紙を渡される
「ここに描かれたポケモンの捕獲だ。名前をミュウという。新型人造ポケモン作製にこいつの遺伝子がまだ必要だ。やれるな」
「ええで、捕まえたら報酬は弾んでもらいますからな」
「ああ、捕まえたらな」