忘却のエルフ 失望のハイエルフ いつの日の約束 作:時雨シグ
お久しぶりです。時雨シグです。
再び何か書きたいと思いこの話を書きました。
特に原作の物語を進めていくとかではなく、恋愛小説とでも言いましょうか。日常小説を書く予定です。続きませんが。
文才が無いため、恋愛シーンなどはしょぼくなりそうです。ご了承ください。
一応読み切りでは無いため1話程度の話です。
side:???
それはとある森でのことだった。その森はほかの森とは違って、ある種族が住んでいた。耳が長く尖っており、誰もが端麗な容姿をしている。
性格に難アリと専らの評判ではあるのだが、美麗さに憧れを持つ者は多くいる。
そんなとある森にて、一組の男女がいた。まだまだ背は小さく顔立ちも幼い子ども。だがしかし、顔立ちが幼いとはいえ既に見目は整っていた。大人になった時どれほど端麗な容姿になるか想像もつかない。
その一組の男女は並んで座り会話をしている。二人の距離感は、他種族はともかく同族すらもあまり親近感のないエルフにしては珍しいものであった。いや幼子故の距離感なのかもしれない。
「そとのせかいをしりたい」
「どうしたのきゅうに」
「おかあさまにほんをよんでもらったんだけどね、そのほんにえがかれてたふうけい?にとてもかんどうしたんだ」
「なにそれ!わたしもよみたい!」
「うん、またかしてあげるね!」
目を輝かせながら『外の世界を知りたい』と言ったのは男の子だった。男の子の言葉に強く興味を抱いたのか感染したかのように目を輝かせる女の子。だが、次の瞬間には寂しそうな顔を浮かべた。
「そとのせかいをしりたいってことは、そとにでるんだよね?」
「まぁそういうことになるね」
「そっか...」
ほんの少しこの森から出ていかないでという希望を抱いたが、そのようなことは叶うことなく分かりやすく落ち込む。彼女はとある理由により気軽に外に行けるような子ではなかった。自身の環境を不満に思いながら溢れそうな涙を必死に抑えた。
今にも涙を浮かべそうな姿に男の子は慌てて言った。
「もちろんそんなすぐでてかないよ!」
「ほんと?ならいついくの?」
「えっとね...20ねんごとか?」
「はやいよぉ...」
まだ留まっていた涙が溢れてしまう。彼女はもしかしたら死ぬまでこの森に居ないといけないかもしれない。
女の子の横に居るのは唯一気軽に話せる同い年の男の子。彼女の環境ではとても貴重な存在と言えるだろう。そんな人が早くても10数年後には出て行こうとしてる。その事実が彼女を悲しませる。
その様子を見てアタフタしていた男の子。すると何かを決意したのか真剣な顔付きになる。
「いつか...」
「え...」
「いつかきみをむかえにいくよ」
「むかえにくるって...そんなこと...」
「きめたんだ。たとえおわれるたちばになろうときみのわらったかおをみれるなら、ぼくはなんだってできる」
まるでプロポーズをするかの如く思いを告げる。その言葉を最初は理解できなくて呆けてしまう。だが少しすると恥ずかしそうに顔を染めた。
「いつむかえにきてくれるの?」
「それは...わからない。でもぼくたちが60さいになるころにむかえにいくよ!」
「ほんとにっ?ぜったいむかえにきてね!やくそく!」
「うん!やくそく!」
小指を絡める。昔から伝わるそのおまじないはどれだけ遠い未来だろうと忘れることはない。たった二人だけしかできない二人だけの大切な約束。
その時の女の子の表情は、神であろうと届かないほど可愛いかった。
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side:リヴェリア・リヨス・アールヴ
「なつかしい夢だ」
ほんの少ししか思い浮かべることが出来ないほど遠い昔の記憶。だがどれほど情景が薄れていようと、交わしたあの約束は1度たりとも忘れたことはなかった。
「いや、もはやどうでもいいものだったな」
だからこそ悲しく、今現在に至っては失望してる。
なぜなら
「あやつは約束を破ったのだから」
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リヴェリア・リヨス・アールヴはエルフである。しかしただのエルフでは無い。
ハイエルフ。全てのエルフに尊敬または崇拝されている''アールヴ''の名を冠する王族の一人なのだ。
その姿形は神の降り立つこの世界にて、完成された神に勝るとも劣らないと言わしめる見目の持ち主。常に冷静であり聡明な頭脳、物事を見据えるその姿は王族に相応しい。また、エルフは頑迷で視野が狭く他者を見下す傾向にあるが、彼女はエルフにしては珍しい人格者だった。
そのような人物でも時には不機嫌になることもある。
「どないしたん?えらいご機嫌斜めやん」
「...なんでもない」
「いや、表情がすごい不機嫌だよ」
「ムッ...」
「エルフらがチラチラ見るから落ち着かんわい」
「それは我慢しろ」
《ロキ・ファミリア》が住まう『黄昏の館』の食事部屋にてそんな会話があった。主神ロキと団長のフィン・ディムナ、ガレス・ランドロックの創設期メンバーでの会話。
多くの派閥が存在するこの都市で、二大派閥と呼ばれるまでに成長させた主神とこの三人は憧れの対象だ。
「で、またあの夢でも見たんかいな」
「......」
「当たりのようだね」
「まだ拗らせておるのか」
「...チッ」
普段は絶対にしない舌打ちを一つ。かれこれ30年弱一緒にいる四人だ。なぜ不機嫌になっているか容易に予想できた。
「リヴェリア、今日からまたダンジョン攻略だ。それまでに何とかするんだよ」
「もちろんそれくらいわかっている」
「大丈夫かなぁ」
「今に始まった事じゃなかろうて」
「せやで。ウチはママを信じてる!」
「貴様ら凍らされたいのか?」
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ダンジョン攻略から帰還し数日後、この日は特に何もすることがなかった。団員との交流でもするかと何となく思いながら館を歩く。すると、一人の少女が館を出ようとしてた。
「どこかに行くのか、アイズ」
「リヴェリア」
見かけたのは、アイズ・ヴァレンシュタインだった。ダンジョンに行く格好には見えなかったため、どこに行くのか気になった。
「新発売のじゃが丸くん買いに行く」
「そうか。アイズは本当にじゃが丸くんが好きだな」
「うん。生きがい。リヴェリアも行く?」
「そうだな...特にすることもないし同行しよう」
そして、二人して館を出る。
「新発売は何味なんだ?」
「チョコバナナアップルパイ味」
「...なぜそれを組み合わせたんだ」
「美味しいと美味しいは美味しいに決まってる」
「まぁ今回のは美味しいとは思うが」
「楽しみ」
「それは良かったな」
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「毎度あり〜!」
ホクホクと湯気を揺らすじゃが丸くん。チョコバナナとアップルパイの匂いが混ざり、よく分からない甘い匂いに首を傾げながらも受け取る。
隣を見ると、アイズは既に頬張っていた。
「どうだ、美味しいか?」
「.........別々でいいかも」
「だろうな」
分かりきっていた答えに呆れながらリヴェリアも一口頬張る。
美味しいとは思わなくもない。ただやはり、
「別々の方がいいな」
「もぐもぐ...うん」
数年前にあれほどの大事件があったにも関わらず、まるでそんなことなかったかのような穏やかな日々。これがいつまでも続けばいいと思うと同時に、数日前に見た夢のせいで寂しさと悲しさが蘇る。
ふとあの男の顔が思い浮かぶ。
腰まで伸びうなじ辺りで一束に纏めた艶々としたシルバー色の髪に、少しタレ目に深翠の瞳。私と同じ身長で飄々とした体つきだった。
そう、目の前を歩いてるエルフの男のような姿形だった。
「......。...っ!!?」
あまりの唐突さに呆然とし驚愕する。約一秒だ。
そんなことはありえないと思った。アイナとの会話で、もしかしたら...と話したこともある。約束を破るような男ではなかったため可能性はあると。もちろん、そんな想像を本気でするわけは無い。だからこそ何故破ったのかと不機嫌になってしまうのだが...
確かめたい。そう思った時には既に声を発していた。
「ジルッ!!」
かなり大きな声だった。周りにいた人が驚いてこちらを向くくらいには。ただ、男はこちらを向くことはなくスタスタと歩き続けた。ムキになったリヴェリアは声を荒らげた。
「ジル・オブリヴィェンッ!!!」
すると、驚いたようにバッと振り向く男。流石に声が大きすぎて気になったようだ。
ズカズカと確実につめり寄り、目の前に立つとじっと顔を見る。
「え、えっと...なんですか...?」
神に勝るとも劣らない美貌の持ち主が恐ろしい形相を浮かべながら詰め寄ってきたことで、恐怖に染まる男。
リヴェリアはリヴェリアで、先程の声で確信を持った。聞き間違えるわけが無いし、見間違えるわけが無い。あの日誓った約束を破った男が目の前にいる。
「私の顔を見て、気づかないのか」
「え.....す、すみません...分からない、です」
「ほう...シラを切るのか。いい度胸だ」
「し、シラ?な、なんの事かわからないですけど...人違いでは?」
「人違いをするわけが無い。貴様と約束を交わしてから、そして破られ今に至るまで鮮明に覚えていたのだぞ」
「約束...」
「そうだ。私たちが60になるころに迎えに来ると言ったではないか!忘れたのか!」
「.........」
要領を得ない返答をする男にリヴェリアは腹を立てた。もしかして本当に人間違いなのでは...?と不安になる。だが、姿形や声質、仕草などは確実にジル・オブリヴィェンなのだ。
怒りを超え、私は忘れ去られる程度の存在だったのかと泣きそうになる。
すると苦虫を噛み潰したよう表情を浮かばせ彼は言った。
「申し訳ありませんハイエルフ様。僕は今から半世紀以上前のことを覚えていないのです」
「.......は?」
「僕は...記憶喪失になってしまったのです。そのため、貴方様との約束を僕は覚えていないのです」
ありがとうございました。
今回も書くとしても途中で終わってしまうかもしれませんし、もう書かないかもしれません。ですが、これから何か投稿された際、お読みいただけることを願っております。
では、さようなら。