かつて、人類史が始まるよりもはるか彼方の時代。
狭間の地と呼ばれた世界の中心には、黄金樹と呼ばれる樹が存在していた。
その時代の民たちは黄金樹を信奉し、女王マリカを中心に狭間の地は数千年の間繫栄し続けた。
しかし盛者必衰の理を表すがごとく、その時代は終焉を迎えた。
女王マリカは隠れ、彼女の残した子孫たちが争いを始めた。
子孫たち、デミゴッドと呼ばれた神々は互いの命を奪い合い、狭間の地はすでに滅びの道をたどっていた。
故にその招かれざる客は狭間の地に招かれたのだろう。
狂い火の王。
突如現れたその人物は争っていたデミゴッドたちを殺し、そして黄金樹を焼き滅ぼした。
その炎は、正に地獄の業火であった。こうして黄金の時代は終わりを告げ、新たな人類の歴史が始まったのだ。
しかし今、人類史は滅びを迎えようとしているだろう。
地球は白く漂白され、今にもその歴史は歩みを止めんとしている。
故にいつの日か必ず現れるだろう。
時代の終わりを告げる、狂った王が。
♢
かつて黄金樹と呼ばれる樹、その足元にあった玉座。
黄金に輝いていた樹の面影はなく、灰にまみれているその玉座に座る、たった一人の男。
「......」
かつてすべてを焼き尽くしたその男は、そっと目を開く。
そんな彼に声をかける人物がいた。
「お目覚めですか、われらが王よ。」
「ハイータか。ずいぶん久しぶりだな。」
かつて彼に指の言葉を伝え、燃え尽きた狂い火の巫女、ハイータその人であった。
狂い火の王たる彼の言葉に、ハイータは頷く。
「はい。今の世はずいぶんと長く栄えていたようですから。」
「それは良いことだ、あの時代を溶かしつくした甲斐はあった。」
そうつぶやいたのち、男は彼女に目を向ける。
「それで。私を起こしたということはまたあれをやれということか。」
「......指様のお言葉をお伝えします。」
『我が下僕、忠実なる狂い火の王よ。新たな時代は、不遜にも神を名乗る愚か者にそそのかされた人間の内戦により再び滅びようとしている。故に再び滅ぼすのだ。争いなき平和な時代のために。』
その言葉を聞いた男はいらだったように舌打ちをする
「天上の神とやらはどうやら数千年時間をかけても人を理解していないらしい。散々いじくりまわした挙句に失敗すれば私に押し付けるか。それも二度目だ、馬鹿馬鹿しい。愚かな神の後始末は二度とごめんだ。」
「では、どうなさいますか。」
「このまま傍観するのはありだろう、しかし神を名乗る愚か者とやらは気になる。」
男は座っていた王の椅子から立ち上がると言った。
「神は手の届くうちにすべて焼き滅ぼす。例えそれに巻き込まれて文明が滅ぼうとな。」
「......では。」
「やるとも。三本指共々天上の神に伝えておけ、任せておけとな。」
男はかつてカーリア騎士の鎧とよばれた、しかし指跡にまみれたそれを着込み、彼の正面で控えていた幻影たちに声をかける。
一人は男と同じように指跡にまみれた騎士鎧を着込み。槍を持つ男。
一人は竜を付き従える、肉体のみ残されたデミゴッド。
一人は狂気にのまれ、蛇に自らの身を食わせたデミゴッド。
そして最後の一人は、かつて狭間の地の王であった、時の間に住む竜王。
彼らは椅子から立ち上がった王を見ると、
一人は自らと同じ道をたどってしまった彼に憐憫を向け、
一人は考える心を持たず、ただ機械的に彼を見つめ、
一人は志した道と同じような道をたどった彼に尊敬の念を抱き、
そして一人はいつか彼を殺さんと殺意をはらんだ目を向けた。
王はそんな彼らに何の感情もこもっていない視線を向け、そして言った。
「諸君。久しぶりの宴だ、存分に暴れ、殺すといい。」
その言葉を聞いた指跡の騎士は言う。
「委細承知した。だが王、貴公はそれでいいのか。」
「構わん。前にも一度やったし、何よりあれの傀儡になったほうがよほどマシだろうさ。」
その言葉を聞いた騎士は、その憐むような悲しむようなの表情を兜に隠しつつ、目の前に立つ王に言う。
「人は変わるかもしれない。あの指の傀儡を演じる必要もないのではないか。」
だが王は、彼の言葉に耳を貸さず、自嘲するように笑う。
「人は変わらないだろう。神がいるのならば尚更な。」
「......そうか。貴公がそれでいいのならば。」
騎士はそれっきり口を開かず黙った。
代わりに、彼の隣にいた蛇に身を食わせた男が話す。
「我が友、道を同じくする者よ。再び我が家族を増やしても構わんのかね?」
「ああ、いいとも。存分にその口を開き、食らうといい。家族とやらをな。」
その男は王の言葉に嬉しそうに高笑いを上げる。
「素晴らしい!ああ、我が新たな家族よ!すぐに我が身で食らってやろうぞ!」
狂ったように笑うその男を押しのけ、竜王と呼ばれた彼が口を開く。
「......またとない機会だ。その座、すぐにでも奪ってやろう。我らが王よ。」
「期待しているぞ、かつての王。私を殺して見せろ。」
それぞれの反応に、しかし王は無感情のまま、手元から地図を取り出す。
それは現在の地球を映し出す地図である。
「諸君も知っての通り、この星はすでに漂白され、我々、そしてこの7か所を抑える神とやらに仕える愚か者のみが残っている。我々がやることはたった一つだ。」
王は地図に表示される7か所の点を眺めながら言う。
「この7か所すべてを焼き尽くし、最後に現れるであろう"神"を焼く。跡形もなく。
故に諸君らにはすぐに動き始めてもらおう。...ヴァイク。」
「ここに。」
王の呼び声に、指跡の騎士がすぐに答える
「君にはこの場所に手勢を連れてすぐに向かってもらう。この場所がどんなものかは知らんが、所詮愚かな神の手駒だ、すぐにでも焼き尽くせるだろう。」
「委細承知。」
指跡の騎士は王の言葉にうなずくと、いつの間にか彼の隣に控えていた竜の背に乗り込み、すぐさま飛び去っていった。
王はその姿を見届けると、残った3人に順々に指示を出していった......。
エルデンリング...友達がPC版はじめたので僕も久しぶりにやってるのですがめちゃくちゃ面白いですね。但し火の巨人、てめーはだめだ。