人生とは何か、現在進行形で迷走中。
私が風間ファミリーに入るとは思いませんでした。
というか、何でこうも物語の重要な部分に関わるんですか?
神は何をお考えで。
神がいるのか知りませんけど。
ベガスでも行ってるんですかね?
「よーし、ピックリマンシールのレアを当てに行こうぜ!」
「カードの配置に法則があるらしい。新品の箱を狙おう」
行動方針は風間が、直江がその補佐。
そして私は――
「あのお店に商品並ぶの今日の昼ですよね。法則を教えて下さい。ひとっ走りしてきますよ」
実働部隊って感じですかね。
まあ、恋姫の時とやることはあまり変わらない気がします。
「リン。それはロマンがないぞう」
と、風間が言う。ちなみにリンは私のあだ名です。
高校生でも少年ハートを持ってるだけはあります。
確かにカードとかレアな物を手に入れるのは、自分でやりたい男心。
分かりますね。
私も昔はカードゲーマーでしたし。
「でしたら、勝負します?」
「おう、望むところだぜ」
ということで、いきなり始まる店までの競争。
多少は動けるかと思いますが、あっちは塀を飛び越えたりと予想外のルート選択をしてくるでしょう。
「それじゃあ、スタート」
という直江の合図でスタートダッシュ。
私も風間も子供にしては風のように速く駆ける。
私が序盤で一歩リードですが、いきなり後ろで風間が電信柱を登ったかと思うと家の塀の上を平均台みたいに渡り始める。
そのまま猫が通りそうな家の間へ。
幅的に大人ギリギリですが、子供ならすいすいと動けるでしょう。
やっぱり、そう来ますよね。
塀を越えるぐらいは出来ますが、初手で負けましたね。
真っ向勝負なら負けないんですけど。
流石は予想GUYのリーダーと言ったところです。
そのまま走ってみましたが……少し遅れて到着。
「はえーな。あそこで近道してなかったら負けてたぜ」
「ルート間違えました。次は負けませんけど」
「へっ、リンもやるなあ。だけど負けてやらね〜」
風間の子供っぽい意地。
精神が習熟してる私としては微笑ましい限りです。
どうやら家は近所だったようで、よくある子供時代にできる友達のありふれた馴れ初め。
ですが、この関係はきっと続くでしょう。
私が前世の記憶持ちでその上、違う世界であれ張郃であったことは話すかどうかは迷ってます。
突拍子もない話ですし、こんな精神が習熟してない状態で理解があまり出来ない話をしても仕方ありません。
……まあ、不安な心配はしてませんけどね。
彼らとの遊びはそれはもう、子供らしくイタズラや探検。
童心に戻ったようで楽しくありました。
実際に童心は忘れてるつもりはありませんが。
そんな彼らと遊んではたまに、もの珍しそうに剣舞を見せて欲しいみたいな感じでねだられます。
すぐに風間は別の興味に移るんで、
「~~♪」
鼻歌交じりにいつものように私は足運び、そして体幹を意識した重心の移動。
長年の鍛錬で完成された動きを繰り返す。
張郃の時とあまり容姿が変わらないの不幸中の幸いでしょうか?
体躯が変わったらやれることも多少は変わってきますからね。
相手がいれば本格的な鍛錬も出来るんですが、そうなると問題は
武道家じゃなくて自然現象にカテゴライズされるであろう彼女と敵対した場合とか、どうしたものでしょうか?
1人だけドラゴン○ールですし。
いや、この世界に割と他にもいますね……
ただ……そうですね、この世界でも私に武の才能があるのならば、一矢報いることは出来ると思いますけど。
けど、そうなると捨て身ですね。
命の賭け方は知ってるのと、現代の日本なので相手が闇稼業の人でなければなんとでもなります。
本当に通じるかどうかは対峙しないと分かりませんし……戦場に身を置いてたので命のやり取りに生を感じてしまってる部分もなくはありません。
思えば世界を越えて、人生に絶望してた時から随分と遠くに来てしまったものです。
頭戦国と言われても仕方がないですね。
結論として、武を磨きつつも新しい生き甲斐でも見つけるのがこの世界の目標でしょうか?
そんないつもの空き地で遊んでると、誰かが見てる気配がする。
足を止めてそちらを見てみると、木の陰に隠れて見てる少女が1人。
……
いえ、今は岡本 一子ですか。
そんな私が見てる方向を見て、風間も足を止める。
「どうしたんだ、リン?」
「いえ……こっちを見てる子がいたので」
「お、本当だ。おーい、何見てんだよ? 俺達と一緒に遊ぶか?」
そのまま風間は一子のところへ行ってしまった。
こうして風間ファミリーに一子が新たに加わりました。
なんだか……昔の仲間を何となく思い出しますね。
麗羽、鈴花、小夜、斗詩、猪々子、真直。初期の袁紹軍メンバーを感慨深く感じる。
会えないと分かっていても、何となく思わずにはいられません。
彼らの一助になることを取りあえずは心に誓いましょう。
今は失った真名に誓って。
一子の出自は特殊で元は孤児。
両親は何故か、彼女を捨てた。
どういう理由かは分かりませんがそれでも、捨てたという事実に変わりはありません。
ですが……それを感じさせない明るさが彼女にはありました。
放っておけないような感じ、でも陽気で、よく笑ってよく泣いて……愛される訳です。
そんな中でいつものように私は、風間達と別れた後に1人空き地で鍛錬をしている。
いい感じの
どの時代でも子供のおねだりは最強です。
あまり物を欲しがらない娘が珍しくお願いしたのもあるでしょうけど。
あんまり我が
「リンちゃん、なにしてるの?」
珍しく、一子が1人で空き地にやってきた。
気付いてましたけど何となく恥ずかしいですね。
「んー、ちょっとした訓練。私、体動かすの好きだから」
「そうなんだ~」
「かずちゃんは、どうしたの?」
私のあだ名は既に定着してる。
そして、一子を私は何となくあだ名のワン子じゃなくて『かず』と呼んでる。
ちょっと鈴花に似てるせいか特別に思ってるのかもしれません。
「えっとね~、誰かいるかな~って思って。大和達は?」
「もう帰りましたよ。さっきまでバッタを捕まえて遊んでたけど珍しいの捕まえて、調べに帰っちゃった」
「そっか~……さっきの動きって、何だか踊りみたいだね」
「うん。カンフーみたいな感じで朝に体操してるんだ。剣を持ってるのは――何となくカッコイイから」
本当は別の理由ですけど、子供っぽい理由で濁した。
中学生ぐらいには、きっと……子供にしては達観してると思われるでしょうね。
その時には明かせるといいんですけど。
「見せて見せて~」
「いいですよ」
既に何度か披露してますし、前の世界でもそんな風にねだられていたので特に抵抗なく始める。
また鼻歌交じりに私は、手首の剣を返して踊るように草むらを踏み鳴らし、そして流れる。
「~~♪」
世界の流れ、空気の流れ、集中の流れ、風の流れ。
そうした流れに身を任せて、集中する。
ある意味では
「お~……」
そんな一子が私に見とれるようにして口をぽかんと開けてる。
クスリと、思わず微笑ましさを感じていると一陣の風が駆け抜ける。
葉っぱが少し、私の周りに飛んできたところで一閃。2、3枚の葉が切れた。
……玩具でも切れるものですね。
「すごい、すごいわ! 本当に踊りみたい」
「そうですか? こんなの見られたら普通は変だとか思われるんだけど」
「どうして? カッコイイじゃない」
その素直な一子の称賛が少し眩しくて照れくさい。
ここまで無垢だと、なんだか面映ゆく感じてしまう。
「いいな~……アタシも何か、得意なことがあればいいのに」
何となく彼女を知ってると、コンプレックスはここから始まってるような気がしないでもないですね。
「見つかりますよ。好きだと思うことが一番です」
「リンちゃんって大人だね」
「そう。実は大人のお姉さんです」
「え?! そうなの!?」
「いや、一緒の学校にいるでしょ……冗談ですよ」
無垢過ぎて心配になりますね。
そうしてる内に――
「リン姉~♪」
何故か、いつの間にか一子が私の妹分になってました。
……百代のお株を奪いそうなんですけど。
というか、年齢は一緒ですけど一子は早生まれで2月。
私は遅生まれで12月なのでどちらかというと、一子の方が早めに年上になるんですよね。
まあ、このネタはどっかで消化しましょう。
「いつの間にかお姉ちゃんになってました。大和、どうすればいいですか?」
「俺に振らないで、というか同い年だっけ?」
「え? リンは年上じゃねーの!?」
「やかましいですキャップ! 同い年ですよ、そのネタはもういいんです!」
大人びてるせいで年上扱いされるイジリーをされます。
知り合ってから時間と共に距離感も近くなり、今では名前で呼び合う仲です。
「カズも、リン姉は……」
「え……ダメなの?」
私の言葉に目をうるうるさせる、一子。
くっ……悪意がない上に孤児院出身というアレから、突き放せる訳がありません。
「――何とでも言って下さい」
思わず抱き締める。
こんな父性と母性を刺激する生物を放っておけますか!
「よっ、リンの姉貴」
風間――キャップはあとでシメましょう。
そして月日は流れて――
正月を迎え、バレンタインデー、ゴールデンウィーク、夏休み、旬の秋、クリスマス、大晦日。
1年の様々なイベントを4人で何度か過ごした。
そして小学生のある日。
「おいてめぇ風間! クラスの女子に少し人気があるからって、調子に乗るなよ!」
「別にのってねーよ! お前が勝手に怒ってるんだろ!」
同じ小学生の割にはガタイのいい島津
前から小学生だがクラスで女子人気の高いキャップに嫉妬していたのは知ってましたけどね。
「へ、覚悟しろ! ぶっ飛ばしてパンツ脱がして、泣かせてやるぜ! へへ!」
「面白いな、喧嘩は負けたことないぜ!」
売り言葉に買い言葉。
島津の言葉にキャップも乗り気です。
でもまあ、小学生ってそんなものですよね。
私が相手してもいいんですけどね。
でも、島津は女を殴る趣味はないとかで遠慮するでしょうし。
ここはキャップに譲りましょう。
「あわわわ、どうしよう大和」
「カズ、大丈夫ですよ。こういうのは戦う前に先手を打つものです」
右往左往してる一子を
「その通り、策でハメるに限る」
それから大和は決闘場所と時間を指定する。
「……なら喧嘩で勝負を決めようか。殴り合いでよ。夕方の5時に空き地にきな! 逃げるんじゃねえぞ!」
「面白れぇ。ひょろひょろ野郎」
そうして決闘前に仕込みをする。
戦とは準備段階から始まってるのですよ、ふははは!
なんて……ただの喧嘩ですけどね。
そうして夕方の5時、指定された場所と罠の場所に誘導するように喧嘩が始まる。
「うわぁ!? 何だこれ落とし穴!?」
島津は落とし穴に落ちて、その間にキャップが出てくる前にボコボコにしてダメージを与える。
「いい眺めだな。行くぜコラー!」
「うおっ! ちょ、やめ! ヒキョーだぞ!」
これなら、体躯のいい島津とも互角に戦えるでしょう。
「うわわわ、大丈夫かな……リン姉」
「大丈夫です。死にはしません」
見てられないとばかりに私の陰に隠れるようにする一子。
あんなので済むなら全然にカワイイものです。
私の中での基準がアレなので、アレですが。
「うう、たまにリン姉が怖い」
なんて言ってる内に、喧嘩は終わったらしい。
いつの間にか細身の男の子が大和の近くにいた。
名前は――
こうして喧嘩で友情が芽生えた島津と師岡を含めて風間ファミリーは6人に。
また月日が流れて――小学生4年生。
あの空き地は思ったよりも人気らしく……噂になって段々と子供の派閥的なのが出てきました。
そうした中で場所を共有するというのは、子供には難しい話です。
子供は自由なもので、場所を共有して狭くなることより自由に遊べることが何より楽しい。
という訳で奪い合いで、段々と喧嘩が多くなってきました。
子供のヒエラルキーは喧嘩とか駆けっこの速さですね。
「オラ! 二度とくんじゃねーぞ」
「ちっくしょー、覚えてろー!」
岳人が同級生の子をぶっ飛ばして、退散する。
「はっはー! 縄張りの防衛成功!」
これがナワバリバトルですか。
と、内心で冗談言ってる場合ではなくキャップは声高らかに勝利宣言。
子供の世界は残酷で、陰湿です。
幸いにも人気者のキャップと喧嘩の強い岳人がいるので、小学生の地位としては安定した日々。
私が出張る必要もないのですが――
とうとう、上級生である6年生がこの空き地に目をつけました。
数はこちらより多く、相手の方が体躯もいい。
大和の策により卓也を囮にして戦力を分断。
私と一子は念の為に退避してましたが、少し離れたところで隠れていたので一子が様子を見に行ったのに気付けませんでした。
「動くんじゃねー、お前等! こいつがどうなってもいいのか!」
「うわーん! 助けて!」
ああ、もう……世話が焼けますね。
一子を捕らえてコンパスの針を耳元に近付ける6年生。
流石にこれは出張るしかない、そう心に決めます。
こっそりと背後から近寄って、
「はっ!」
私がそのコンパスを持ってた手首を捻って、落とさせる。
「いってー!」
「カズ、逃げて!」
「う、うん」
そのまま、何とか逃げる一子。
怯んでる内に金的キック!
「おぉぉ?!」
さらに、膝を着いたところで軽めの
「ぐはあ!?」
そうしてる内に卓也が分断してた6年生が戻って来た。
3人がこちらに来る。
……さすがに一子のところに行かせる訳にはいきませんね。
「何やってんだ、リン。お前も逃げろ!」
組み敷かれてるのに仲間を逃がすキャップ、男ですね。
ですけど、このまま逃げても一子のところに行けば一緒に追い付かれる。
ここで倒すしかないでしょう。
「俺達は女でもようしゃしないぞ!」
「男なのに女の子襲うなんてみっともないですよ、先輩」
「うるせー!」
大振りの右殴り、振り抜かれる前に左手で肩を押さえてそのまま金的。
連携も何もないでしょうし、フォローに入る感じもなし。
「うぎゃあああ!」
そのまま両膝を着いたところを両足で胸のあたりを蹴って、バク転で距離を取る。
「な、ヒロキ君が……」
相手はよく分からない感じになってるので各個撃破です。
左にいる方へと狙いを定めて、適当に拾った木の枝を投げる。
相手は取りあえずガードですが、体が固まってるので内股から足払い。
そのまま背後に転倒。
受け身なんて出来ないでしょうから、倒れてる所に金的ストンプ!
「いってええええ!」
あまりの光景でそこでみんなが呆然としてる内に離脱。
これで見失うでしょう。
「カズ、どこ~?」
「うぅぅ、リン姉~」
真っ直ぐ一子が逃げた方向に行けば無事に発見。
「こ、こわかったよ~」
「まったく……気になったからって見に行っちゃダメですよ」
「だって、だって~」
「はいはい。心配なんでしょうけど、皆はそんなに弱くないですよ」
そうして一子を慰めている内にそうやら終わったらしく、卓也が知らせに来てくれた。
どうやら男衆は卓也を除いてボコボコにされたらしい。
まあ、そりゃそうですよね。
青タンまで出来ちゃって。
「おい、リン。お前、喧嘩つええんじゃねえか」
「じゃあ、喧嘩させるんですか? 女の子の私に」
「それは……なんか情けねえから嫌だな」
男の意地ですかね。
岳人は食って掛かりましたけど、私の言葉にすぐに意見を取り下げた。
「それに……あの人数は無理です。囲まれたら終わりですから」
いや、本当は出来ますけど。
でも囲まれたらちょっと厳しいのは事実でもあります。
「確かにな、もう陽動も通じないだろう」
大和は冷静に意見を述べる。
子供にしては、やっぱり頭回りますね。
「うぅ、ごめんね……アタシが」
「もう大丈夫だから。泣くな」
泣いてる一子をキャップはなだめる。
「でも、僕達が負けたの初めてだね」
「もちろん、やり返す。報復だ」
卓也の言葉に、少しどんよりするファミリー。
そんな中でも大和は冷静に燃えている。
まあ、仲間を傷付けられて黙ってる男じゃありません。
「もっと強い人が必要ですね」
「そうだな、用心棒が必要だ」
私の意見に同意する大和。
こうして川神 百代が、私達の仲間になるのだった。
波乱の子供時代はもう少し続く。