ビターエンド後ゲーム原作世界に無駄tsモブ転生した僕は犠牲となった主人公のツンデレヒロインと仲間のヤンデレ双子姉妹を元気づけたいのだが、勘違いにより曇らせを加速させてしまう話   作:Atlantis

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「ああ、やらかしてしまった……」

 

 帰宅後自分の部屋で体育座りをしながら脳内反省会を開き、自身の行動を振り返り後悔をする。自己紹介の途中で、いきなり倒れてしまうなんて……

 

 僕の第一印象なんて物はどうでもいい。問題なのはみんなを困惑させてしまった事。

 

 余計な心配をさせて、みんなの貴重な脳のリソースを無駄に消費させてしまった。これは本気で反省する必要がある。

 

 特に、照美ちゃんに迷惑をかけてしまったのが最悪だ。

 

 元々もし原作キャラと出会ったとしても関わりは最小限にするつもりだった。……それなのに、初っ端から大いに、照美ちゃんの手を煩わせてしまった。

 

 これは本当にまずい。下手したら、彼女は僕という余計な存在を認知してしまっている可能性がある。

 

 ……いや、まだ大丈夫だ。最初に強い印象を与えてしまっても、それ以降関わり合いを希薄にしていけば、彼女もすぐに僕の存在を忘れるはずだ。

 

 感情を高まらせることなく冷静に。それでうまくいくはず。よし。

 

 

 ……それにしても、気絶から目覚めた時は驚いたな。照美ちゃんの顔が、僕の視界一杯に広がっていたんだもの。

 

 最初見た時は何かと思った。どうして、あんな近くで、照美ちゃんの顔……。

 

 あまりにも近い、あの瞳が僕の心に強い衝撃を与えた。……あれは、うん。色々とヤバかったね……。

 

 さらに、彼女と密着していることに気付き、その感触に脳がショートし、再び意識を失ってしまった。

 

 あの時は幸せ……罪悪感がかなり強かった。照美ちゃんは力強いとは言え、女の子だ。それなのに、僕を背負って……

 

 それに加え照美ちゃんが僕を心配している様子も見て取れたため、もう本当に色んな感情が混ざって頭がパンクしそうだった。 

 

 今も思い返すだけでドクドクと鼓動が早くなるのが分かるし、顔が熱い。

 

 ……彼女との出来事をしっかりと反芻し、自分の気持ちを落ち着けた。

 

 だが、途中であることに気づき、再び頭の中で考えを巡らせる。

 

 ゆみえ先生だけでなく、照美ちゃんがいる。それどころか、思い返してみると生徒たちの中には何人か原作キャラたちがいたような気がする。それはつまり、今の時間軸は原作と近いという事を意味するのではないか?  明日、落ち着いた状態で確かめて見よう。

 

 ……僕が今出来る事。それはクラスの中で気絶しないようにするための試行錯誤だ。

 

 僕はこの世界で先生になって、特別な体験をしたい。

 

 その為にも、毎回教室で倒れるなんて、絶対にあってはならないのだ。

 

 先生が毎回教室で倒れていたら、まともな授業にならない。クラスのみんなを不安にさせるようでは先生失格だ。

 

 ということで、そうならない為に、色々と考えてみる。

 

 まず、倒れてしまった原因は何なのか。

 

 ……それは、感情を強く揺さぶられたからだ。異能管理学園の生徒たちを見て、脳内に様々な感情が駆け巡った結果、その負荷に耐え切れず気絶してしまったんだ。

 

 ならば、強い感情に耐性をつける必要がある。

 

 その為にも、強い心を持たなければならない。一番印象的だった時の事を思い出し、再び強く感情を揺り動かす。

 

 あの時に抱いた感情は……

 

 照美ちゃんの姿が、僕の視界一杯に広がっていた。

 

 ……うん、間違いない。あの時は照美ちゃんに抱えられていたから、当然体が密着していた。その事を思い浮かべるだけで、あの時の感情が鮮明に蘇る。

 

 ……倒れちゃ、ダメ。絶対に。

 

 脳内で意識的に感情を揺り動かし、その負荷に耐える。強い感情の波に飲まれないように、精神をしっかりと保つ。

 

 ……よし、大丈夫。何とか耐えられた。この調子で、どんどん強い感情を思い出し、耐性をつけていこう。

 

 次は、自己紹介の時に見た景色について思いだそう。

 

 まず、僕の目の前に広がっていた景色。それは、まさに壮観だった。

 

 様々な思いを持つ生徒たち。思い返した途端に、彼らの輝きが僕の体にのしかかった。

 

 その強すぎる光の圧は、僕に凄まじい衝撃をもたらした。

 

 ……ダメだ!これ以上は思い出すとまずい……! 僕は瞬時に思考を切り替え、感情を無理やり鎮める作業に戻った。

 

 危ないところだった。もう少しでまた気絶するところだったよ……

 

 はぁ……まだまだ耐性が足りないな。……早く慣れていかないと……

 

 ……そうだ! 気絶に耐えようとするより、何度も気絶して耐性をつけていった方が早いはず。

 

 学校行くまでの間に気絶を繰り返そう。そうすれば、明日までには気絶への耐性がつくはず。

 

 気絶しなければ騒ぎにならないし、生徒たちにも迷惑をかけなくてもいいし、そして何よりも先生になる為にも、気絶への耐性が必要がある。

 

 もう一度、昨日のことを思い返す。……次第に感情が高ぶってきた。

 

 気がついたときには外は真っ暗。もう真夜中になっていた。……だけど、明日までまだ充分時間がある。何度も繰り返して、絶対に耐性をつけて見せる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……」

 

 次の日の朝、僕は絶不調だった。

 

 昨日、あの後何回も気絶を繰り返し、調子を崩してしまった為だ。

 

 これじゃ、逆にみんなを心配させてしまうよ。本末転倒じゃないか。

 

 一瞬休んでしまおうか考えたのだけど、それじゃ逆に心配させてしまう。

 

 僕は平然を装いながら学校へと向かうことに決めた。

 

 皆を心配させないように。精一杯元気に振る舞うんだ。

 

 ……やっぱり、元気が一番。みんなも安心できるだろうしね。

 

 元気な人がいれば、みんなが明るくなれる。みんなが幸せになる。

 

 元気に振る舞おう。元気が一番。

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