非常識にも程があるんじゃねーの。ハンターってみんなこうなのか?だったら見つけ次第ぶっ殺さねーとな。ホント腹立つ。
ったくよー。唯でさえゲボ引っ掛けられて気分悪いのに、追い打ちでウンコ投げるかフツー。メッチャ臭かったわ。鼻曲がるんじゃねーかと。
……しっかし、見事に傷だらけだな。一発一発のダメージは軽いんだけど、いかせん技量に違いがあり過ぎる。もしかしたらウラガンキンの時より傷を負ってるかもしれん。ハンター怖い。
バフーと溜まった蒸気を吐き、戦闘態勢を解く。完勝とは言えないものの、危なげなく勝利出来た。ラングロトラ?あの腐ったゲボ野郎に慈悲は無い。今度性懲りもなく挑んで来やがったら、手加減抜きの全力ストレートをお見舞いしてやる。
ちなみにその横には双剣使いがサボテンダーのポーズで減り込んでいる。ハンマー使いは頭から地面に刺さっているし、ボウガン使いは泡を吹いてぶっ倒れている。唯一ガンランス使いが、まともな状態で地面に減り込んでいた。
ただし盾は逆側に凹んでいるし、下半身は完全に埋まっているし、白目剥いて絶賛気絶中。おとなしく吹っ飛ばされていた方が良かっただろうに…。
まさに死屍累々。今はアイルーが一生懸命救出作業をしている。なんか和むね。荒れた心が癒される…。
「グルル……」
それにしても…なんと言うか、得るものがほぼ無いな。ハンターとか進んで戦うような相手じゃない。倒しても腹は膨れないし、どう足掻いても傷を負うし、倒したら倒したで今度はもっと強い奴が来るだろうし…。
こうして敵対する側に立ってみると、本当、ロクでもないな人間。俺別に何もしてないぞ?それだけでこの仕打ちだ。頭に脳味噌入ってんのかね?
…もういいや、邪魔されない所で寝よ。
適当な溶岩にダイブ。溶岩に侵されていない地面を枕がわりにして欠伸を一発。今日は疲れた。おやすみ。
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朝も昼も夜もよくわからない土地。敢えて言うなら溶岩で赤く照らされ続けているから夕方が近い。そんな場所よりおはようこんにちは。ブラキディオスです。
一晩経って色々とスッキリした。うん、なんであんなイライラしてたんだろうね?不思議だわ。
よっこいしょと溶岩から抜け出す。のそのそと這いずるように蠢いていると、お腹の辺りから物凄い轟音が響いた。形容しがたい不思議な音。竜の雄叫びと言われても納得出来そう。
問題解決。お腹すいて無意識に機嫌が悪くなってただけっぽい。
ヒュパッとジャブを一発。頭が綺麗に弾けたアプトノスをもしゃもしゃと頂く。味?血生臭くてやってられないけど何か。調理?この拳で何をしろと。鉱石?好き好んで食うもんじゃ無いでしょアレ。
生きるとはかくも難しい。そんな事を痛感する。同じパワータイプならラージャンとかの方が良かった。あいつなら人に近いし指もあるし…。それにもしかしたら人と交流出来たかもしれない。
今はそんな気は微塵も起きないけども。例えラージャンになったとしてもお断りだ。人付き合いも面倒そうだし、いざと言う時に余計な枷があっては話にならない。
人恋しくはあるけども、多分進んで交流する事は先ずないだろう。あるとしても殴り合いでの説得だけだ。負けたら殺される前に逃げるとしよう。
……竜って、孤独なんだな。食って寝て戦って。そうして得るものは何も無く、ただ死から逃れる為にもがき続ける。戦って戦って戦って。…その先に何を得る為に竜はいるんだろうか。
そう言えば竜の寿命ってどの位なんだ?長く生きれば強力な個体になる事は明記されていたけど、詳しい事はあまり分からなかったなぁ。古龍は果てしない年月を生きるみたいだけど。
通常種かつ粘菌のないブラキディオスなんて直ぐに淘汰されてしまいそうで怖い。イビルジョーとか勝てる気がしないんだが。
骨ごと頂いたアプノトスにご馳走様をして、地形の変化が比較的安定しているエリアで惰眠を貪った。…飯も寝床も無いが、多分今が一番幸せだと感じる。人間様には味わえないだろうからね。うん。
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一週間くらい経った。俺は立ち上がった。立ち上がって、必ずかの邪智暴虐な人間どもを滅殺しなければならないと奮い立った。裸一貫。着るものは無く、携えるのは拳だけ。相手は毒麻痺睡眠水投げナイフ閃光玉落とし穴シビレ罠…えぇい、とにかくどんな手段を用いても殺しにかかって来る死の化身だ。
って、おい。今更ながら思うが人間。テメェら容赦ねぇな。落とし穴→シビレ罠→毒→落とし穴→麻痺→シビレ罠→閃光玉→睡眠→爆弾→落とし穴のコンボを決められた時はマジで死を覚悟したぞコラ。
いい加減ブチ切れてバインドボイスからの怒り移行、そして怒涛の岩盤送りで事なきを得たが。罠とか状態異常に特化してたせいで、防御力に難があったのかもしれない。全員一撃で沈んでたし。
ハメられるって殺意しか湧かないというのも学んだ。ブチ切れ過ぎて身体の感覚ほぼ消えてたもんな。なんとなく眠かったり麻痺ったり体調が悪かったりした様な気がしたが、全部無視出来るレベルまで落ちた。アドレナリンってスゲーって思った。
昨日ほどゲリョスとヒプノックとババコンガに喝采を送った日は無い。そうか、アイツらはハンターにされて嫌な事を率先してやっていたんだな。クソモンスなんて呼んでゴメンなさい。真にクソなのはハンターでした。
この一週間、休みなく送られて来るハンターの数々。中にはとんでもない手練れもいて、こちらの攻撃が掠りもしない太刀遣いとか居た。アレも手強かった。だけど武器を破壊される経験は無かったのか、武器を壊されるとアッサリと撤退して行った。
ハンター達の動きは、モンスターを狩る事に特化し過ぎているのか、その動作は意外と隙だらけだ。ハンター自身に隙は無くても、振るわれる武器の軌道は全て大雑把。スカッた所を狙って殴れば割と壊せる。
…その方法も対処されつつあって、結局殴った方が早いという事に戦慄気味ですが。やっぱ人間こえーわ。知能こそ最大の武器とはよく言ったもんだよ本当に。
さて、そんな訳で俺は一世一代の決断を取る事にする。
衣食住の住すら満たせないこの環境…。他の大型モンスターもいないので被害は俺に集中する。そして引っ切り無しに来る人間。
これはもう引っ越すしかない。そして雲隠れするに限る。他のモンスター?知るか。人間の方がよっぽどヤバイ。潔さという面ではウラガンキンの方が圧倒的だ。今でこそ勝てているが、その内対処され切ってしまうだろうし。
それに何だかんだ旅立ち時だと思うのだ。今のところ第一目標のイビルジョーは、その行動力で数多の生物を食らい尽くす。どの環境だろうと適応し暴れまわる力は、ひとえにその桁違いのスタミナに起因する物だと思う。
ぶっ叩かれようが焼かれようが突っ込むあのタフネス。正直羨ましい。俺は何故だか身体が小さいので、その分ウェイトや体力に欠ける。実際、ハンターとやり合った後は暫く動けないし。
それでも改善はしてるんだけどね。やっぱりあのお化けスタミナは無い。疲労状態を突かれて割とピンチになった事もある。
それを克服するには、旅しか無いと思う。何時迄も同じ環境に引きこもっていても、新しい境地が見える訳でも無いし。
あと純粋に飽きた。代わり映えしない溶岩見ててもなぁ…。これはこれで風情があるけど、火山がある位なら他にもそう言う地域はあるんだろう?是非とも訪れてみたい。
寝床を抜け出し火山の麓。行く当て無い旅だけど、不思議と不安は無かった。限界突破したボッチニートスキルの為せる技かもしれない。…取り敢えずこのまま進んでみよう。どうせ右も左も未知の世界なんだし。
食糧も気にしないで良いしね。はは、なんかモンスターが神出鬼没に現れる理由が分かった気がするわ。こういう気持ちなんだな。うん。
雨ヲ喰イ
風ヲ切リ裂キ
雪ト夏ノ暑サヲ滅ボシテ
極メテ黒イカラダヲモチ
欲ヲ睨ミ
決シテ許サズ
イツモシズカニネムッテイル
一日ニ毎ニ不気味ナ呻キト
少シノ瘴気ヲハナチ
アラユルモノヲ
一切滅ボシ尽サントスル
ヨクミキキシ理解シ
決シテ忘レズ
古キ古城ノ王座ノ間ノ
滅ボサレタ人ノ営ミノ中ニ居テ
東ニ病ノ人アレバ
行ッテ灰モ残ラズ焼キ尽クシ
西ニ動ケヌ軍アラバ
行ッテ全テヲ踏ミ潰シ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテ凄惨ニ惨殺シ
北ニ喧嘩ヤ粗鬆ガアレバ
更ナル惨禍ヲ呼ビ起コス
ヒドリノトキハ呵々ト笑イ
寒サノ夏ハ喜色ヲ含ミ
人ノ世カラ絶望ノ象徴ト呼バレ
憎シミヲ糧ニ
苦難ヲ纏ウ
ソウイウモノヲ
ヒトハ黒ナル龍ト呼ブ