ここは…エリア4辺りか。
そこに、傷だらけのティガレックスがうずくまっていた。
「おーい、生きてるかー?」
「あぁ、なんとかな…。誰だか知らねぇが悪いな、助けてもらって…グッ!」
「おいおい大丈夫かよ…。」
瀕死ではあるけど、会話出来そうな人(?)だ。
…どうやって助けよう?
あちこちに矢が刺さってるし、甲殻が爆発で吹き飛んでいる場所もある。
正直、俺じゃあ手の打ちようがない。
「なぁ、何か持って来ようか?薬草とか色々。」
「ハハッ!嬢ちゃんに助けて貰えるなんて、男冥利に尽きるぜ。」
「いや、俺、女じゃねぇし。
少し待ってろ、直ぐに持ってくる。」
「そうなのか?…薬草なら俺がさっき戦ってた所に生えているはずだ。よろしく頼む。」
「あぁ、任せろ。」
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爆破粘菌だとマズイので、安全な空気粘菌にかえる。
これなら、何かを掴んでも(?)大丈夫だろう。
さーて、採取しますかね…。
それにしても、ウラガンキンの時もそうだったが、なんで女と間違われるんだろう?
俺から見たモンスターなんて、男とか女とかわかんないぞ。
声とか言動からは、なんとなく察する事は出来るけどさ…。
やっぱ俺にはわからない動きとかなのか?
元人間だったから、モンスターから見ると女に見え易いのかな?
…聞く機会があれば聞いてみよう。
…うん、こんなもんでいいだろう。
掴んでいると言うより、張り付いていると言った方が正しいかもしれないけど…。
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「持って来たぞー。」
「ありがとうな。そこに置いておいてくれや。自分で食べれるからな。」
「へいへい。あ、粘菌は我慢してくれよ。」
バサッ!
「いやぁ、本当に不幸だったわ。妻へのプレゼントを取りに来た帰りに、人間に襲われるなんてなぁ…。」
「え、まさかの結婚済みですか。」
「なんだぁ?俺が結婚してたらおかしいってか?」
「いや…なんか独身臭がしたから…。」
「失礼な嬢ちゃん…いや、坊主だなぁ…。子供もいるって言うのによぉ。」
「へぇー。
…なぁ、無理を承知で頼むけど、おっちゃんの家へ行っていいか?色々と聞きたい事があるんだ。」
「あぁ、いいぞ。なんせお前は俺の命の恩人だ。
家族も許してくれるだろう。」
「そこって近いのか?」
「あぁ、この近くの人間の村だ。」
「…へ?」
「いや、だから人間の村だって。」
「…」
…なにそれどういうこと?
この強面のティガレックスが、人間の村に住んでいるって?
しかも家族で?
言葉がわかることをいかして、用心棒でもしているのか?
…本当にどういう事だ一体…。
「…坊主、お前人型になったこと無いのか?」
「ひ、人型!?」
「あぁ、言葉を話せるやつなら誰でも人型になれるぞ?親から聞かなかったのか?」
「い、いや、何も…。」
てか、俺の親死んでるし。
「まさか天然か?…珍しいな…。なら、古龍会議にも出たこと無いんだな?」
「なんだそれ?」
「…うーむ…こりゃあほっとけないな…。
…これも何かの縁だ。
明後日に古龍会議が開かれる。そこまで連れて行ってやろう。」
「え?いいのか?」
「いいんだ。俺も少しそこに用事があるからな。
来年開かれるやつでも構わないが、早いに越したことは無いからな。」
「へー。あ、そうだ。道中で色々と教えてくれよ。
今まで、まともな会話をした事が無いせいで、状況が殆どわからないんだ。頼むよ。」
「もとよりそのつもりだ。
それより、そうと決まればグズグズしてられないな。
直ぐに出発する。ちゃんとついてこいよ!」
「傷はもういいのか?」
「なに、飛ぶのに支障は出ねぇよ。さぁ、行くぞ!」
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俺は地面を走り、おっさんは空を滑空しながら、俺は様々な事をおっさんに聞いた。
どっちもモンスターだから、この程度の距離で会話する事になんの支障もない。
おっさんの説明はこうだ。
言葉を話せるやつは、色々と限られている。
一つめは、言葉を話せる同士の子供。
二つ目は、古龍。
三つ目は、生まれながらに元々話せるやつ。
四つ目は、古龍に仕えたもの。
どれも、なんでそうなるのかは、わからないが、言葉を話せるやつは人間の間でG級と呼ばれるらしい。
どうやって古龍が生まれるのかを聞いたが、おっさんにはわからないんだそうだ。
三つ目のやつは主に、天然物と呼ばれ、生まれる確率が半分くらいの確率で生まれる。
仮に生まれたとしても、親が言葉を理解出来ないせいで巣を追い出されてしまい、他の言葉を理解出来るモンスターに拾われない限り生きていけない。
そうして拾われたモンスターは、仮の親が別種族の事が多いため食性が変化し、体色がかわったり、攻撃パターンが変わったりする。
人間はこれを亜種と呼んでいる。
…亜種が上位にしか出ないのってこれが原因なのか?確かに、知能を持ったモンスターは脅威になりやすいだろうけどさ…。
そして四つ目は、言葉を話せない時に古龍に遭遇し、本能的にその古龍に従った者のことだ。
経験の足りない子供や争う力のない個体は、恐怖のあまり飛びかかってしまうので、殺されてしまう。
逆にそういった条件を満たした者は、古龍に数年間仕えるうちに言葉を話せるようになるらしい。
おっさんもその一人だそうだ。
そうして仕えた個体は古龍の力に当てられて、特殊で強力な動きが出来たり、寿命が延びたりする。
そういった個体は人間で言うところの、特異個体、剛種、覇種、などになるらしい。
…そういえばおっさんの腕、少し青みが強いような…。
特異個体なのか?
…まぁいいや。
そして人型についてだ。
人型になるには、古龍の特殊な力を受けた薬を飲む事によって、変化出来るらしい。
ただ、どのモンスターもそれを飲めばいいわけではなく、喋れる者限定である。
喋れる同士の子供は、生まれるときは人間の姿をとる。
この子供は、薬を飲まなくてもいい。
そして、母体は強制的に人の姿を取らされる。
破水と同時に人型を取らされるので、夫婦は人の村での生活を強いられる。
その辺りの悩みもあるので、喋れる同士の子供は数が少ない。
だけど何かと便利な事もあるため、喋れる者は基本的にその薬を古龍に貰いに行くらしい。
言葉を話せて人型になれても、それまでの生活をしている者もそれなりにいる。
人間の生活がまどろっこしいとか、癖が抜け切らなとかがその理由らしい。
人型といってもそこまで万能な物ではなく、感情の起伏やふとした瞬間に、その個体の特徴が出てしまったりする。
あまりそういった事が器用に出来ないやつは、そもそも村に行こうともし無い。
喋れる者同士の争いもよく起こるそうだ。
…ウラガンキンの事、一応心配してたけど大丈夫みたいだな。
なんか竜の間で法律的な物があったらどうしようかと思ったぜ。
そう言えば、あのジンオウガも古龍に仕えているのかな?
なんかそんな雰囲気があったし。
あと、俺を女と勘違いした事に関してだけど…。
なんか匂いがそうらしい。
…あの辛い草でも全身に塗り込もうかな…?
「よし、ここら辺で休むか。
坊主!ここら辺で寝るぞー!」
「りょーかい!」
どうやらここで一晩過ごすらしい。
それに会話している間にだいぶ打ち解けた。
「おっさん、この調子でつけるか?」
「あぁ、大丈夫だ。明日にはつくと思うぞ?
他の奴らも来てるだろうから、暇はしねぇと思うが…。」
「ふーん。まぁ、つけばなんでもいいけどさ。
てか、目的地どこだよ?」
「塔だ。
この時期になると、ポイントが開く。
そこに行けばどこからでも塔に行ける。」
「…ファッ!?」
「…これに関しては見た方が早そうだな…。
説明はよしとくぜ…。」
「…そうですか…。」
ここが何処だかは暗過ぎてわからないけど、湿度は低めだ。
この分なら大丈夫そうだな。
…てかポイントってなんだよ…。
まぁ、害がなければいいや…。
…おやすみなさい。
文字数は少しづつ増やしていくつもりです。