もんすたーな世界にもんすたーで転生?   作:ひなあられ

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サブタイトル詐欺なんて当たり前。


圧倒的暴力【改】

それは竜と言うより獣にみえた。

ずんぐりとした体格に比べほっそりとした足。異様に短い手。けっして鋭く無いが当たればタダでは済まされないであろう爪。大木の様な尻尾。大きくこそ無い物の、どんな物であろうと食い破りそうな口。全身が暗い緑の皮膚で覆われており彼方此方に傷がある。何よりもその眼差しは、全てに餓えていた。

 

…どう見てもイビルジョーですね。ハイ。

 

一ついいか?

 

ハードモード過ぎんだろ。何故に?何故にイビルジョー?この世界に産まれて(?)三十分足らずでラスボスとエンカウントって何その無理ゲー。上位の乱入確定クエのトラウマ植え付け要員筆頭だろ?ファイヤー○ン○レムでさえもう少し優しめだぞ。

 

 

いや、冷静になれ。

今現在、俺のいる場所は人一人が何とか通れる狭い場所の先だ。崖のように反り立った場所から見下ろすようにして見ているからこそ、こんな風に襲われる事なく観察出来ている。此処ならあのイビルジョーと言えど、やって来る事は出来ないだろう。

 

…それにしても何故此処にきたんだ?ゲームでも確かにイビルジョーは火山に居たが、現実的に食う物が圧倒的に少ないこの場所に、貪食の恐王とも呼ばれる奴が来るとは思えないんだが…。しかもさっきから辺りの匂いをしきりに嗅いでいる。なんのために?

 

…ああそうか、ゲームの中でモンスターが意味もなくうろうろしていたのって匂いを嗅いでいたからなのか。

 

一つ謎が解けた所でイビルジョーに変化があった。一見すると何も無い、しかしイビルジョーにはその何かが見えるかの様にそこを掘り出したのだ。

 

…掘る?…あ。

 

そうだ、何故忘れていた?今俺がいる場所は大型モンスターが休息に来る場所じゃないか。休息する為にモンスターは何をしていた?決まってる。エリア移動だ。エリアを移動する際、通常ならば歩いて移動する。しかし、そのモンスターが大型だった場合、モンスターは穴を掘って移動するのだ。つまり、イビルジョーは今正にエリアを移動しようとしている訳で…。

 

 

「…!」

 

 

俺は卵の殻を被り、流れるマグマへと躊躇なく飛び込んだ。この灼熱の地で産まれただけあって、非常に高い熱耐性を持つモンスターの卵の殻は、マグマの上でも沈む事なく浮いていた。中にいる俺も、無事とは言いづらいが何とか耐えれている。…やっぱ無理。熱すぎて死にそう…。

 

ゆっくりとだが流れるマグマに身を任せ、ソロリと外を伺う。…2、3分ぐらいだろうか?地響きと共に地面が割れ、其処から巨大な何か…見るまでもなくイビルジョーが現れた。滴るマグマがその皮膚を焼いているのか、不快な匂いが辺りに立ち込め、怖気の走る圧倒的なプレッシャーを振りまき、全ての者を畏怖させる唸り声を上げる。その様は正に悪魔と言うに相応しかった。

 

焼かれた肌を気にしているのか、暫くその場所に佇んだ後、奴は顔を上げて巣に突っ込んだ。そして何の躊躇いもなく巣を漁った後、仰ぐようにして天を見上げる。…その口には俺が入っていた物と同じ卵が咥えられていた。そしてそいつはその卵を噛み砕いた。

 

パキュッ!

 

見なければよかったと思った。なぜならそいつの口の端からブラキディオスの尻尾がはみでていたからだ。自然の脅威だとか、口で言うのは簡単だが、それはあまりにも無責任な言葉だという事を思い知った瞬間だった。とてもまともにみれるものではなかった。やはり同じ種族としてそういった仲間意識が有るのだろうか?俺は人間だった筈だと言うのに、その様子を見続けるのはとても堪えた。

 

だが、そんな事よりも強く感じたのは俺もああなっていたかも知れないと言う恐怖だった。…多分産まれるのが後二十分でも遅れていたら俺はあんな風にくわれていだろう。そう考えると震えが止まらない。恐怖で震えるなんて初めての経験だったし、何よりも二度と味わいたく無いと思った。

 

今までどんな事にも無気力で適当にこなしていた俺が、生きていて初めて強い願いをもった。生きたい。本当にただ、それだけの願いだが、純粋にそう思った。漠然としていてあまり具体的にではないが、それでも強く思う事が出来た。

 

生きるにはどうしたらいい?…逃げる?いや、無理だろう。どんなに逃げても隠れても、アレに喰われておしまいだ。俺はまだ死にたく無い。

 

…だったら戦うしか無い。今はまだ無理でも、将来的には勝てる確率が高い。何故なら、俺はブラキディオスだから。臆病で逃げる事しかできない貧弱な人間では無く、俺はまごう事なきモンスターだ。モンスターがモンスターに勝てない道理は無い。人間より遥かに体力も力もあるモンスターなら、あの悪魔に勝てる。勝てるのだ。

 

…今はまだ、足元にも及ばない。だけど、いつか必ず超える。そうしなければ喰われる。それがこの世界だ。

 

正直もうガクブルで、悍ましい咀嚼音を出来るだけ聞かないようにしながら卵の殻に閉じこもっているので、全く格好が付いていないが、喰われるよりマシだ。改めて強くなろうと思った。ムシャムシャバッドエンド怖い…。




更新頑張んなきゃなぁ…
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