もんすたーな世界にもんすたーで転生?   作:ひなあられ

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ブラキさんピンチの回です。



ある密猟団の会話

「そっちの配置は終わったか!」

 

「終わりやした!後は檻を用意するだけですぜ!」

 

「抜かるなよ!今度の獲物は今までと格が違う!

キリン以上の慎重さで掛かるようにしろ!」

 

「「「ヘイッ!」」」

 

…まったく…今度の依頼は滅茶苦茶だな…。

今用意しているのは、ドボルベルクなどの巨大獣竜種の全身が入る程の巨大落とし穴が10個。

嘘か本当かアマツマガツチを打ち止めたと言う拘束バリスタ弾100発。

ギルドの最新式バリスタ発射装置を改造した移動式バリスタ発射装置30機。勿論弾も完備されている。

最新式の龍撃槍10機

動員人数二千人。その殆どが密猟経験豊富な団員達。

特殊改造された捕獲用麻酔弾を各自に8発ずつ支給され、違法改造されたヘビィボウガンを装備している。

 

大砲や爆弾などの火薬を大量に使う物は持ち込めなかったが、それでも十分過ぎる程の火力を持つ。

キリンを密猟した時以上の高火力なのは間違いない。

 

これ程の備品を支給されて失敗した暁には、俺の命は無いだろうなぁ…。

だがまぁ、それを補って有り余る程の報酬が手に入るし、何よりこの一方的な戦闘が楽しくてしょうがない。

この前の水没林の仕事と同じだ。

 

あの時は楽しかったなぁ…。

俺一人では到底敵わないモンスターを一方的にやり込めれるあの感覚。

あれに勝る物は無いと俺は自負している。

 

本来持ち込めない数の痺れ罠を大量に持ち込み、超絶火力のヘビィボウガンを持っていく。

痺れ罠の設置を仲間に任せて、罠に掛かった途端に弾を打ち込み続ける。

なす術も無く打ちのめされていく獲物。

痺れ罠の効果を切らさない為に、効果が切れる直前を見計らってまた仕掛ける。

 

完璧で完全で何より安全。

こんな仕事が他にあるだろうか?

あのナルガ二頭がどうなったかなんて知ったこっちゃないね。

俺が楽しけりゃそれで良いんだよ。

 

今回の仕事はそれ以上の興奮をもたらしてくれるに違いない。

相手は古龍に匹敵する力を持ち、この世で一匹しかいない超特別な獲物。

報酬は古龍以上の膨大な物になるだろうし、多分一生遊んで暮らせる額が一気に手に入る事だろう。

そんな奴がこの狩猟区外を通るとの情報が入った。

観測隊員の手紙をパクった奴からの情報だから信用できる。

 

手紙をパクった奴からどんな攻撃をするかを聞かされたが、正直どうでもいい。

どうせ抵抗する間も無く捕獲されるだろうからな。

 

「ボス、終わりやしたぜ!」

 

「わかった。各自配置に付けぇ!

いいか?絶対に失敗すんじゃねぇぞ!」

 

「「「おぅっ!」」」

 

さぁ来いよ俺の獲物ちゃん?

 

ーーーーーーーー

 

「ギャァアア!」

 

「おい!死ぬな!お前が死んだら俺が怒られんだろうが!」

 

「拘束バリスタ弾をもっともってこい!

何?発射台にこれ以上括り付けるのは危険だぁ?

何良い子ぶってんだ!言われたらとっととやるんだよ!このノロマ!」

 

…なんだこれは…。

 

「サガァァァァアアアァァア!!!」

 

「ぬあぁぁ!?咆哮じゃねぇだと!?

なんだこの風圧は!まさか唯の吐息か?冗談じゃねぇぞ!」

 

なんなんだこいつは…。

落とし穴に掛かったんだぞ?拘束弾を打ち込まれているんだぞ?バリスタ弾を無数に浴びてるんだぞ?

 

「もっと弾幕を張れ!殴り返されるぞ!」

 

「…嘘だろ…左腕だけでバリスタが全部防がれた…?」

 

「何ぼさっとしてんだよ!幸い左側面への攻撃には対応出来ねぇみてぇだ。移動式バリスタ発射装置を左側面に集めろ!」

 

「拘束弾係!何してんだ!全然動きが止まってねぇぞ!」

 

「うるせぇ!こっちだって精一杯やってんだよ!右腕の腕力が予想以上に強い!40発打ち込んでやっと抑えれてんだ!

てか、100発全部打ち込んで動きが止まらねぇこいつが悪い!」

 

「そこ!何してんだ力を緩めろ!引きちぎられるぞ!」

 

何故こんなにも抗えるんだ!

しかもまだ第一段階の粘菌しか使って無いだと?

冗談じゃ無いぞ!

くそ…何とかしてこいつをブチ殺さねぇと…。

捕獲と言われたがこの際しょうがない!このまんまじゃ全滅しちまう!

 

「狼狽えんじゃねぇぞテメェら!

意識を切り替えろ!これからはあれを殺す気でかかれ!」

 

「ボ、ボス?」

 

「捕獲に失敗すんのか死骸を持ち帰るか、どっちの方が罰が軽いかは一目瞭然だ。

龍撃槍の準備を始めろ!狙うのは左側面!どうにかしてダウンを取れ!そうすりゃこっちの勝ちだ!」

 

「「「おうっ!」」」

 

…何処だ…?

あいつの弱点は…?

頭にはイマイチ攻撃が通ってねぇ…。潰しても潰しても生えてくるあのキノコが盾みたいになって、弾を一切通さない。

腕も駄目だ。硬すぎてどんな攻撃もことごとく弾かれちまう。

足に至ってはフットワークが軽すぎて狙いが定まらない。

尻尾も駄目だ。ダウンを取るには弱すぎる。

 

何か…何かいい方法は…。

 

「…ん?」

 

なんだ…?あれの胸にあるおかしな膨らみは?

紫でも黄色でも青でもない。

白くてぼんやりと光ってるあれは…。

 

「くそ…胸か背中を狙え!そうじゃねぇと無駄弾になっちまう!」

 

…!そうか!胸のあれはなんらかの弱点だ!

ブラキディオスの骨格上、無防備なのは背中と尻尾。

だが、最も無防備なのはあの胸だ。

普段強力な腕と角に守られている胸には攻撃が通りにくい。

その為甲殻が存在せず、全てが鱗で覆われている。

このとんでもないパワーを司っているのがあの胸の部位だとしたら…。

…勝機はあるな…。

 

「全員胸の膨らみを狙え!

拘束係は20発分を引き抜いて左腕に刺し直せ!

あの膨らみは弱点に違いない!」

 

「「「おうっ!」」」

 

「ボス!龍撃槍の準備が整いやしたぜ!」

 

「よし!龍撃槍で全方位を囲んで一斉砲撃しろ!

多少甲殻が傷んでも構わん!」

 

「わかりやした!」

 

それからの戦況は一変した。

俺の読みは外れてなかったらしく、胸の膨らみを撃とうとすると、殴り返す事無くガードするだけになった。

両腕を抑えているので殴り返す程の余力が無くなったせいだろう。

 

「どけどけぇい!龍撃槍様のお通りだぁ!

ボス!配置が完了しやした!」

 

「よし、全員離れやがれ!拘束係は全力で押さえつけろ!

これで最後だ!離れた奴らはボウガンに麻酔弾をセットしとけ!生き残ってたら全力でぶち込むんだ!」

 

「ボス!全員配置につきやした!」

 

「ぶっ放せぇ!」

 

カンッ…ガシュン!

 

古龍でさえも食らえば一撃で怯む龍撃槍。

運搬用に小さくしてあるとはいえその威力は折り紙付きだ。

それが一気に10本。流石のあれも耐えきれんだろ。

…結局弱点には一撃も入れる事が出来なかったな…。

余程大事な器官なのか…?

 

そんな考え事をしている時、それは起こった。

 

ボシュンッ!

 

「き、キノコ?…まさかあんの野郎!龍撃槍をあれで防ぐつもりか!?」

 

だがそれは杞憂だったようだ。

あれの周りに一斉に生えたキノコだったが、龍撃槍を防ぐには至らず、少し軌道を逸らしただけだった。

 

ガガガガガガガガガガン!

 

10本の槍が命中するとんでもない音が聞こえる。

腕や甲殻にヒビが入り、角が砕け散る。

貫通する事は無かったが、それでも槍は減り込んでいた。

 

「グ…グルルル…。」

 

生きていた。

この猛攻にも関わらず奴は生きていた。

尻尾を腹の下に隠し、腕で頭を抱えている姿は無様そのものだったが、それでも奴は生きていた。

 

…だか、その努力も無に帰すことになるけどな…。

 

「ダウンを取った!野郎共!麻酔弾をありったけぶち込んでやれ!」

 

「「「オォォォォ!!」」」

 

ダダダダダダダ…。

 

一斉に打ち込まれていく麻酔弾。

あっという間に奴の体全体を白い煙が覆う。

そしてその煙が晴れた時…。

 

「…グ…ガァ…。」

 

ズゥゥゥン…。

 

奴は丸まるようにして眠りについた。

 

 

「や、やったのか…?」

 

「た、多分な…。まさか動いたりし無いだろうな…?」

 

「馬鹿野郎。こんだけの麻酔弾打ち込まれたんだぞ?

古龍だってイチコロな麻酔弾を食らえば、流石のあいつとて無事じゃないだろうさ…。」

 

シーン…。

 

「おいこら、何してんだ。どう見ても眠ってんだろうが。

拘束弾のロープを利用して奴を縛り上げろ!

龍撃槍はそのままにしておけ。抜いて死んじまったら厄介だ。

おらとっとと動け野郎共!」

 

「「「へ、へい!」」」

 

…何とか捕獲出来たか…。

しかし…。

 

「こりゃ始末書で済むレベルじゃねぇな…。」

 

龍撃槍の転用は難しい。

あのキノコの一撃のせいで、先が曲がって使い物にならなくなってるだろう。

拘束弾も逝かれてやがる。

ロープと弾の接続部位がグチャグチャだ。更に先端の返しの部分が綺麗に無くなってる。多分刺し直した時に根こそぎ取れちまったな。

バリスタ弾なんか論外だ。

殴り返された弾はその殆どがひん曲がっており、鏃の部分が粉々になってる物さえある。

無事なのは使っていない弾だけか…。

砲台もやられてるな。

とんでもない力が加わったせいで、拘束に使ったバリスタ台がただの鉄屑だ。

 

やってくれたなあのクソ野郎…。

上司にどんな言い訳かんがえりゃ良いんだよこれ…。

はぁ…憂鬱だ…。

 





ブラキさんが通るルートがわかったのは、古龍観測隊のあの人が優秀だからです。
けっして密猟団の連中の力ではありません。

…この密猟団…一体どうなってしまうのでしょうか?
ブラキさん?心配するだけ無駄だと思いますよ?
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