もんすたーな世界にもんすたーで転生?   作:ひなあられ

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独自解釈の未知の樹海です。



地下世界

おっさんの方は心配なさそうなので、現在子供と一緒に辺りを散策している。

ウイルスに感染してなさそうな肉はケルビぐらいしか無く、狩っても腹の足しにもならないので、子供にあげている。

アプトノスにも感染しているのは流石に驚いたよ…。

 

なら俺の飯は何か?

 

アプトノスなどの肉類は汚染されており、見た目的にも肉的にも食べたくない。

なんか紫色してるんだよ?食う気失せるわ。

そんな俺の食欲を満たす物と言えば…。

 

「やっぱキノコに限るよな〜。」

 

「…ギャ…。」

 

何か言いたそうにしてる子供を無視して、生えてる植物を片っ端から食らっていく。

ここら辺は環境が安定しているのか、キノコ類はそれ程生えていなかった。

代わりに種類豊富な草が生えてるので、キノコと同時にそれらも食う。

ちなみに、チマチマ食うのはしょうにあわないので、土ごと食ったり木ごと食べたりしている。

腹壊して無いから多分大丈夫だろ。

 

順調に飯を食っている時、目の前を小さなゴミらしき物が通り過ぎた。

気になって目線を上げてみる。

 

「…ん?」

 

「ギャウ?」

 

そこには無数の光る虫。

更に見たこともない土地。

どうやらいつの間にか知らない土地に迷いこんだようだ。

 

「…えぇ…ここどこだし…。」

 

「ギュギャウ?」

 

「んー…少なくとも未知の樹海なのは確かだな。」

 

「ギャウ?」

 

「そりゃまぁ、龍脈エネルギーが複雑に入り乱れてるからだよ。

こんだけ入り乱れてるのは未知の樹海以外ありえないからな。」

 

「ギャウ。」

 

見渡す限りの星空。それが第一印象。

よく見ると、それは光る花と虫による、擬似的な光だということに驚いた。

遠くを見据えると、超巨大な木の幹が見える。

どうやらこの薄暗い闇は、途轍もなくデカイ木が太陽光を遮って出来ているらしい。

 

「スゲェ…でも何処からここに来たんだ?

こんなとこに通じそうなとこは通ってない筈だけど…。」

 

「ギュウ…?ギャウ!ギャウ!」

 

「…ん?あぁ、アレか。

キノコごとこの木の枝を食い千切ったのか。」

 

おそらく、この木の形状はあの『このー木なんの木気になる木ー♪』で有名なアレに似ていて、巨大過ぎるが故に枝が地面に付くほどに伸びたのか。

俺が食い破ったのは、枝の末端。

そのせいで何も気付く事なく、中心地が見える場所に来たらしい。

しかも、入り乱れた龍脈はあの木の根に集中し、ゆっくりと波打っている。

 

…こりゃとんでも無いもん見つけちまったな。

もしかしなくても、この木はこの樹海の中心。

膨大な龍脈エネルギーがこの木を山のように育てあげ、多くの目を欺いてきたのか…。

そりゃそうだよな。樹海の中心地がまさかの地下。

しかも上の様子を見るに、遺跡を持ち上げて存在しているようだ。

 

…何となく、この樹海の秘密が見えてきたぞ…。

 

地上を闊歩する竜によって傷つけられた枝は、修復される事によって地上の地形を変え、成長し過ぎた枝は枯れ落ちて道を塞ぎ、枝に絡め取られた遺跡がそこに残る。

 

それが繰り返された結果、地上は豊富な土壌と、日々地形の変わる不思議な土地となった訳だ。

 

…はは。中心に向かう程、中心から遠ざかるのか。

これ程人の目を欺く仕掛けは存在しないよな。

龍脈エネルギーが届く範囲外は木が育てないのか、そこの地形が変わる事は無いようだ。

 

「…取り敢えず、少し近づいて見るか。

ほれ、ガキ、行くぞ。」

 

「ギュウ!」

 

ゆっくりと中心に向かって歩き始める。

地面は緩やかなすり鉢状になっており、緩やかな坂を下りながら幹の元へ行く。

一歩進むごとに光る花弁が舞い、幻想的な光景を作り出す。

だが、その幻想的な光景とは裏腹に、一歩進むごとに空気が重たくなっていく。

理由はこの濃密度な龍脈。

空間に満ちたエネルギーは、最早質量を持つかのように俺たちを襲ってくる。

俺はまだまだ大丈夫なのだが、子供の方はもう限界のようだ。

 

「ギュウ…。」

 

「…仕方ない。そこを動くなよ?

何があるかわからんぞ。」

 

「…ギャウ…。」

 

子供を地面に下ろし、再び歩みを進める。

…重い…。肉体的負担以上に、精神的負担が辛い。

まるでミラルーツみたいな雰囲気だ。

 

ーゾワッー

 

「!?…グルルル…。」

 

何だ!?急に龍脈が真っ黒に…。

しかも、物凄い密度だ…。怨嗟の叫びまで聞こえるぞ…。

 

…何故こんな所に黒い龍脈が…?

…まさか…。

 

慌てて木の幹に駆け寄る。

近づく度に、黒い龍脈は形を成し、黒い瘴気となって辺りを漂っている。

幹に近づくにつれ、木の異常性が明らかになった。

幹はひたすらにドス黒く、地面から吸い上げた龍脈を黒い龍脈に変え、枝に向けて侵食している。

幸いにも枝分かれする前に、赤く変色した幹によって抑えられていたが、アレが無ければここは腐海のようになっていただろう…。

 

…ん?"赤い幹"?

 

少し気になって、幹の上を見上げる。

そこには一部の葉っぱが真っ赤になった枝が…。

って。

 

「あーーー!?」

 

ちょ、過去の俺超グッジョブ!

まさかまさかの展開だよこれ!

娯楽のつもりが土地一つ守ってたよ!アレってこう言うフラグ!?アレってフラグだったのか!?どう考えてもフラグ足り得ないだろ!読者の皆様も絶対忘れてるってこれ!

てか、俺が見つけたあの巨大って、この木の枝だったんだな!通りで周りに高い木が無いはずだよ!周りの木は"木の上"に生えてた木なんだしな!

 

ふぅ…。落ち着こう。

 

ともかく、この木が黒い龍脈の原因なのはわかった。

あのゴキブリ共がどうやって感染させたのかは分からんが、上手くやればこの木を救い出せそうな事も分かった。

ぶっちゃけ殴り倒すなり爆発させるなりした方が早いのだが、この巨木を破壊すると何が起こるか予想も付かんし、何より後味が悪い。

 

救う方法はあの赤い幹。

 

俺が意図せず作り出してしまった物だが、アレには黒い龍脈を抑える効果がある。

それを粘菌を使ってこっちに引き込み、この龍脈を浄化すれば、この木を助ける事が出来る筈だ。

 

早速幹に拳を付け、無属性粘菌を侵食させていく。

内面は力が強すぎて届かないので、表面を滑るように侵食させる。

 

…届いた。

 

空気粘菌をくっ付けたお陰か、赤色のエネルギーはすんなりと無属性粘菌の中を通ってくれた。

みるみる内に木の赤色が抜け、元の木の色に戻っていく。

それと同時に黒い箇所も侵食を始めるが、そこまで早くは無い。

全ての赤色を抜き取り、解析を開始。

 

…ここまでしても、まだ『起きた』感じがしないな…。

一応これでも結構役に立ってるから良いんだけどさ…。

 

この粘菌(?)は、狂心を形作ってる粘菌に似ているな…。

ならばこの粘菌を生産。無属性粘菌に乗せる。

更に無属性粘菌プラスαを増殖。俺の血液中にあった抗体も乗せてみる。

 

…こんなもんかな。

辺りの龍脈が使えないから、この程度が精一杯だ。

 

「…セイッ!」

 

ズドムッ!

 

拳を幹に減り込ませ、浄化を開始する。

赤色の粘菌は黒い箇所に当たった途端、真っ白に変化していく。

変化した部分は操作出来なくなってしまうが、そのうちに白い燐光となって剥がれ落ち、元の木の色が戻る。

 

順調だな。後は俺の力次第か…っ!?

 

《オォォォォォォォオオオオォォォォォォォオオオオォォォォォォォオオオオォォォォォォォオオオオォォォォ!!!!!!!》

 

「…は?…っグゥッ!」

 

ゴオォォォオオオオ!!

 

クソ!この異様な怨嗟の声を忘れてた!

声の正体はこれか!?

…成る程。これは狂竜ウイルスに犯され死んでいった者達の怨み云々か…。南無三。

せめて成仏しろよ。まぁ、(物理)が付くけど。

 

しっかしとんでもない量だなこれ!

後から後から溢れてくるし、尽きる事も無さそうな勢いで吹き出してくるぞ!

一応粘菌に当たった所から浄化されていくけど、それも気休め程度。

角もフルで使ってこの有様かよ。久しぶりの大ピンチだな。

…ゴキブリ野郎へ報復する項目が増えるね…。ケケ…。

 

さてどうするか。

このままだとジリ貧。龍脈が使えれば話は別だけど、このままだと俺のエネルギーが底を尽きる。

だったら…。ここは定石で行くしかないでしょう。

つまり、どデカイ一撃を叩き込む事。

数あるフラグの中で、超一級品のフラグを抱え込む事になるとは、思いもしなかったけどな!

しかもそれが出来ちゃう所が何とも…ねぇ…。

 

愚痴っててもしょうがない。

すぐさまあの三つの機関。命名『竜菌核』を始動。

甲殻、筋肉、排気筒の三種類をスタンバイさせる。

今回は粘菌が増殖する熱エネルギーを蓄えていく。

筋肉は今回使用しないので待機。

竜菌核に熱エネルギーを蓄え、排気器官を全て閉じる。

こうする事によって、一時的に爆発的なエネルギーを解放出来るのだ。

まぁ、チャージに時間がかかりますがね。

 

第一竜菌核、チャージ完了。

残りエネルギー60%

 

第二竜菌核、チャージ完了。

残りエネルギー40%

 

第三竜菌核、チャージ完了。

残りエネルギー20%

 

排気器官系統から白い蒸気が漏れ出し、今か今かと解放されるのを待っている。

だがまだだ。まだダメだ。

狙うのはこの怨嗟の奔流が一段と弱くなる一瞬。

俺の勘だと、もうすぐその一瞬がやってくる。

 

残りエネルギー10%

 

…5%

 

4

 

3

 

2

 

…1

 

0…。

 

「グゥゥゥウウウ!?!!!?」

 

エネルギーが切れ、粘菌がその活動を停止。

粘菌が壊れないように、粘菌を種子の状態に戻すしか無かった。

だけどまだ来ない。

 

怨嗟の奔流に飲み込まれたが、俺の甲殻はその中でもしっかりと存在してくれた。

後は俺が体制を立て直せばいい。

 

…よし、元の位置に戻った。

そろそろ来るか。

 

両拳を後ろに引き込み、排気器官のスタンバイを開始。

粘菌を少しだけ発芽させ、エネルギー供給の器官まで管を繋げる。

準備は整った。後は待つだけ。

 

…まだか…。

 

…まだ来ないのか…。

 

 

…もう直ぐ…。

 

 

 

…来た。

 

「ガァォァァアア!!!(解!放!)」

 

バシュゥゥゥウウウウ!!!

 

俺の背中と排気筒から、轟々と白煙が噴き上がり、体を前に押し進める。

それと同時に粘菌が超活性化。発芽し、一気にその範囲を広げて腕と角全体に広がった。

そして…粘菌が、『起きた』。

 

あれ程赤かった粘菌は、明るい緑に輝き、辺りに燐光を散らしながら真っ直ぐに幹に向かっていく。

漂っていた黒い瘴気は真っ白に変わり、大地を真昼のように染め上げる。

 

幹に叩きつけるようにして拳が減り込み、黒かった樹木が白い燐光を弾けさせ、元の色に戻っていく。

その波は幹を駆け上がり、枝を突き抜け、大地を白く浄化させた。

 

フシュゥゥウウウウ…。

 

「…ふぅ。何とかなったな。」

 

残りのエネルギーを発散。器官を停止させ、リラックスモードに入る。

…あー、疲れた。

土壇場で新しい力に目覚めるとか、何処の勇者なのかと思うが、まぁ、別にいいか。

こうして元に戻せたんだし。

 

「…おぉ、こうしてみると尚更綺麗だな。」

 

黒かった木は正常な龍脈を取り込み始め、その活動を再開させていた。

龍脈が一つ波打つ度に、空間全体がフワリと輝く。

白とも黒とも取れない淡い燐光に合わせて、地面に咲く花も光る。

まるで大地が息をしているかのような光景に、少し見惚れていた。

 

地上でも同じ事が起きてんのかね?これがおっさんの奧さんの治療の糧となれば良いんだけど。

…そう都合よく行かないか。

 

しっかし骨折り損のくたびれ儲けだぜ。

なんか割とスゴイことしたのに、誰も気付かないんだもんなぁ…。

覚えてるのはこのガキだけだし、証人も居ないし…。

何より、ここの秘密をバラす訳にはいかないし。

ここまで鉄壁の安全地帯とか、そうそう無いだろうからなぁ…。

マナーの悪い奴がいたらぶち壊しだしな。

こんなスゴイ所、俺一人知ってるだけで十分だ。

 

…ん?むしろそれが報酬?

俺一人だけが知ってる秘境中の秘境…。

…うん、こりゃいい。そう考える事にしよう。

お金に変えられない光景、ゲットだぜ!

 

「ギャウ!ギャウ!」

 

「ん?おぉ、すっかり忘れてたわ。

そういや居たな、お前。」

 

「ギャウ!?」

 

「さーて、帰るかぁ…。

グズグズしてたら出口が塞がっちまう。」

 

「ギャウ!」

 

ポスッ。

 

「ん、乗ったな?

お前のお父さんに会いに行くぞ。」

 

「ギュウ!」

 

こうして俺はこの地を後にした。

だって…もうすること無いし…。

それにおっさん達の様子も気になるしね。

 

…後は…。

 

「…この粘菌も調べないと…。」

 

新しく動き出した粘菌。

これに関しては謎が多い。

正に未知の存在だ。

 

さて、どんな粘菌なのかな?

 

ーーーーーーーー

 

未知の樹海の奥深く。

そのまた深い所にある秘密のお花畑。

 

そのお花畑は黒い呪いに掛けられてしまいました。

意図して病を振りまく竜が、このお花畑に呪いをかけたのです。

呪いを掛けられたお花畑は、やがて呪いを溜め込むようになりました。

溜め込まれた呪いはジワジワと地上の者達を蝕み始めて行きました。

 

やがて、そんなお花畑の呪いを抑え込む者が現れました。

その人物は自身の喜びを歌に乗せ、呪いを封じ込めたのです。

こうしてお花畑に暫くの平穏が訪れました。

 

しかし、封じ込められた呪いは、その密度を増していき、とうとう封印を突き抜けて、呪いを振りまき始めてしまったのです。

 

そんな時、一匹の黒い竜がお花畑にやってきました。

その黒い竜は、お花畑の異変に気付き、直ぐさま呪いを取り払おうとしました。

 

呪いと竜の戦いは苛烈を極めました。

黒い竜が一生懸命に浄化しても、それを上回る呪いが吹き出していたのです。

やがて竜は浄化の力が無くなってしまいました。

そのまま竜は呪いに取り込まれてしまう。

 

そう、思ったときです。

 

竜は白煙を吹き出して、今まで以上の浄化を行いました。

呪いはその勢いに押されて、綺麗に消滅してしまいました。

 

その後、竜は辺りを一瞥して、振り返る事無くお花畑を後にしました。

 

 

僕は何も出来なかった。

何年も何年も生きて来たのに、何も出来なかった。

自分のせいで死んでいく竜達を、見る事しか出来なかった。

悔しくて悔しくて、でも何も出来なくて。

 

それをあの竜は何でも無いように解決してしまった。

感謝してもし足り無い。

恩返しも出来ない。

僕に出来る事は何一つ無い。

だからせめて、僕はこのお話を残そう。

見る人は居ないだろう。だけど、遺したいんだ。

僕のせめてもの感謝の気持ちを。

 

 

これは誰も、誰も知らないお伽話。

 

 

〜誰も知らない巨木の碑文より〜





…やっぱり無理がありますかね?巨木説。
迷路っぽい所とか、地形が変わるとか、これで説明がつきそう何ですけどね…。
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