ウロコトルに辛うじて止めを刺し、そのまま眠った俺。
んで、起きて見てビックリ。ものの見事に身体が動かない。…まぁ、あれだけズタボロにされればこうなるか…。昨日の内に巣へ移動したのは正解だったな。
暇…とまでは行かないが、する事が無い。何かしようにも身体が動かないのでは仕方が無い。今日はゆっくりと休息を取るしか無い様だ。
…まぁ、何はともあれ、安定した生活は出来る様になったのでは無いだろうか?暫くはこのまま生活出来るだろう。…問題はイビル位か…あいつが食料を食い尽くした時は…どうにかして新しい食料を見つけないとなぁ…。
取り敢えず、明日には身体が治る事を祈ってその日は眠る事にした。
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…穴掘るの忘れてた…また噴石直撃のダイナミック目覚ましだよクソッタレ。
身体の調子は良好。怪我もある程度治っており、それなりに動ける感じだ。この分なら、通常のウロコトル程度も狩れるんじゃ無いだろうか。
割と食っちゃ寝食っちゃ寝のサイクルになりそうだなぁ…。いや、現在進行形で命の危機ではあるけれど。暇だし、日数感覚を忘れないように日数でも記しておこう。足でガリガリ引っ掻けばいけるだろ、多分。
ー一日目ー
ウロコトルの捜索中に、ロケット生肉を見つけた。この突進しかしない巫山戯た存在は、頭をタコ殴りにしたら直ぐに倒れる。…ウロコトルよかよっぽどカモだな。
そう思ったから、バチが当たったのだろう。食ってる最中に他の個体に突進食らって溶岩に叩き落とされた。死ぬかと思った。
ー三日目ー
イビルに追いかけられ、堪らず溶岩ダイブ。俺の仕留めたロケット生肉は美味しく頂かれてしまった…。まぁ、命あっての物種と考えよう。
どうやら血の匂いを嗅ぎつけたらしい。リノプロスは兎に角硬く、この腕では皮膚や甲殻を取り除くのは難しい。これからは手っ取り早く皮膚毎食うしか無さそうだ。
あと、仲間を食われた事に怒ったのか、能無し共がイビルに突進していた。あ、ヤバイと思った瞬間、イビルがブチ切れて薙ぎ払いブレスを一発。
真っ黒な煙と紅い雷が混ざった不気味なブレスを食らった生肉は、外傷も無いのにコロッと死んでしまった。…怖っ。
恐らく龍属性のブレスだと思われる。…アレ、本当は生物の怨念かなんかじゃ無いだろうか。
ついでに薙ぎ払われたブレスの一部が角に直撃したが、然程痛みは無かった。多分、獣竜種なのであまり効かないのだろう。
ー五日目ー
人も竜も慣れはある。例えば、毎日コンピューターに噛り付いているニートと、毎日汗水垂らして働く土木作業員の間では天と地程に体力の開きがある事だろう。
…まぁ、何が言いたいのかと言えば、そういった『慣れ』は身体や精神に影響を及ぼすという事だ。慣れというより、『習慣がそのまま力になっている』と言った方が正しいだろうか。
耐性…とまでは行かないが、溶岩から受けるダメージが減った気がする。…イビルに追いかけられたが故の溶岩ダイブが、こんな所で成果を発揮するとは…。
そのおかげで行動範囲が微妙に増えた。なんと浅い溶岩程度ならば問題無く歩ける。流石に深い流れは無理だったが…。
その為、寝床までの往復が大分楽になってきた。甲殻の厚みも増し、ウロコトルの突進を食らってもあまり身体に響かない。…微微たる変化に過ぎないが、強くなる兆候ではある。素直に嬉しい。
ー十日目ー
ゆっくりと、だが着実に食料が減っている。あの暴食に恐れを成さないのは突進生肉程度であり、その他の物達は基本的に姿を現さなくなってしまった。
こうなると困るのは俺である。今の所、日々着実に増えている体力が功を成し、広い範囲を捜索する事で何とか飢えを凌いでいる感じだ。…俺もその内、一日に一匹単位での狩りが必要になる。イビルのお零れだけでは生きて行けないのだ。
場合によっては麓まで降りないといけない。イビルと鉢合わせる可能性も上がり、麓では逃げ切れる可能性も下がるが、そのまま待っていても餓死するだけだ。
ー十五日目ー
遠くの空に飛行船っぽい何かがみえた。ここら辺の生態調査に来たのだろうか?見つかると面倒そうなので、岩陰に隠れつつ移動することにする。
話しは変わるが、成長してジャギィ程の大きさになった。勿論、ジャギィと違ってゴツイ為、迫力はそれ以上だろうが。
住処もあらゆる所に場所を移している。イビルが追いかけて来られない溶岩地帯を中心に、小型の肉食竜が使っていた洞穴を利用したりもする。
ー三十日目ー
久しぶりに元の寝床に戻ってみた。引っ掻いて付けた傷は消えており、ウロコトルの卵が増えた位の変化しかない。…という事は、此処にアグナコトルが来たのか。よくイビルに気付かれなかったな。
そしてふと、火薬岩が目に付いた。跳ねたマグマが火薬岩に落ち、一人でに爆発したからだ。…そう言えば、何だか物凄く大事な事を忘れている気がする。なんだろうか…。
取り敢えずイビルが来たので、麓の寝床まで帰る事にした。
ー三十一日目ー
…とんでもない事を思い出した。寧ろ何故今まで忘れてたんだ俺は…。いや、単に自分の命が懸かっていたからか。…それでも気付こうぜ俺。
ブラキディオスの戦闘スタイルは、近距離における物理的殴り合い…では無い。確かに搦め手もブレスも無いが、それ以上を補って余りある力を持っている。
粘菌だ。
強烈な打撃と併用して使われる爆発性の粘菌。それは殴り付ける度に地面へ付着し、一定時間後に爆発。その爆発力は容易く岩石を粉砕し、それは敵対するモンスターも例外では無い。
更に言えば、角に付着した粘菌は腕を遥かに上回る量を誇り、怒り時にそれを地面に突き刺して広範囲爆破や前方爆破すらやってのける。つまりブラキディオスは、ミドルレンジでの凶悪な打撃戦と、粘菌による中距離戦闘を得意としているモンスターなのだ。
…そう、ブラキディオスの代名詞、それは他でも無い粘菌である。一部では粘菌が本体とすら言われており、実際、ゲームでも粘菌の使えなくなったブラキディオスは格段に弱体化していた。…一応、疲労時と言う条件が付くが…まぁ、それはどうでもいい。
問題は俺が粘菌を持っていないという事だ。ふざけんな。
…確か、ブラキディオスの粘菌は親のテリトリーで生活する事で身に付くんだっけか?…成る程、俺が粘菌を持っていない訳だ。
で、俺は無駄に知識だけはあるから生き残った…と。…どっちにしろ、俺の兄弟達は死んでたのか。自然って厳しい…。
かと言って何が出来る訳でも無く。精々、勝てない相手から逃げる事くらいだ。ハンターや猫に会った事無いから知らんが、もしかしたら有益なモンスターとして扱ってくれるかもしれない。…まぁ、希望的観測でしか無いけど。
ー三十五日目ー
ドッグゥォ!ガァァンン!ゴァァァァァアアア!!!ガァァァァァァァァァァァァ!!!ッッッォォォオオオオオンン!!
爆発音、咆哮、得体の知れない音、鉄板をぶっ叩いたような音、衝撃波…発生源?そんな物、モンスター以外あり得ない。
そんな訳で、イビルジョーvsウラガンキンのガチバトルである。いきなり擬音ばかりですまんね。
いやはや、流石と言うか何と言うか…兎に角凄まじい。イビルの滅龍ブレスに身体をバチバチ焼かれているにも関わらず、それが何だと言わんばかり間合いを詰めて顎でぶっ叩くガンキン。
しかし、筋肉の化け物なイビルには然程効かず、逆に喉へ噛み付き返す。が、その分厚い鉄板のような鱗を前に歯が立っていない。
ゲーム?何それ美味しいの?と言わんばかりの攻撃の応酬。何一つとしてワンパターンな攻撃は無く、予測出来るのは大雑把な攻撃のみ。
…俺がウロコトルに立ち向かった時の戦闘など比べるまでも無い。純粋な強者同士の戦い。…ガンキンごめん。お前地味何かじゃ無いよ。現場監督でも無い、マジ物の戦士だ。
想像してみてほしい。ウラガンキンの体長は約20メートル。数字にしてみるとそれ程でも無いように見えるが、日本の大型バスの全長は約十五メートル。…もうこの時点でどれだけの迫力かわかるだろう。
更に言えば、全身がガッチガチの重装甲で覆われ、身体を振れば爆発性の岩石が飛び出し、極め付けは猛スピードで地面を転がり回る…。
敢えて現代日本風に表現してみよう。…バスをガッチガチの重装甲で覆い、タイヤ周りをアーミーに変え、対人地雷射出機を搭載し、変態じみたドリフト走行をかましてくる…。結論、ウラガンキンヤバイ。
ちなみに、件のイビルはその転がりを体当たりで逆に吹っ飛ばしている。少しは自重して下さいお願いします。
…イビルを現代日本風に?…何だろ…悪魔?化け物?溶岩に浸かっても、皮膚が軽く焼ける程度だぞ?頭を戦車砲で吹っ飛ばしても死なないんじゃなかろうか。寧ろ食い千切りそうな勢いである。…あ、ガンキンの顎を噛み砕きやがった。この化け物め。
ガンキンも善戦はしていたが、酸性の唾液を前にしてなす術無く喉を食い千切られた。改めてイビルのヤバさを感じた日であった。
ー三十六日目ー
可能性は極低だが、やらないよりはマシだと思い、ガンキンの内臓を掻っ攫う事にする。方法は簡単。リノプロスを半生半死にした上で解放するだけである。リノプロスは目に映った敵…この場合はイビルに向けて突進する。
イビルがブチ切れた所で、食い漁られたガンキンの内臓を横から盗む。それだけである。幾ら鼻の効くイビルと言えど、すぐ近くに濃密な血の匂いを滴らせる物が有れば鈍るだろうと考えたのだ。…それでも気付かれたけどな!死ぬかと思った…。
なんだかんだあったが、ガンキンの内臓をゲット出来た。鉱石、食べれるようになれれば…と言うか、食べれなければ漏れなく餓死である。最後の頼みの綱だ。
ー四十日目ー
やっぱり、試してみるもんだな。まさか本当に鉱石食を獲得出来るとは…。
勿論、初めはモロに石を食っている様な感じだったが、次第に味を感じる様になった。四日前から鉱石しか食べていないが、問題無く動けている所からみて消化出来ているのだろう。
イビルによる食料の減少は今も続いており、このまま生態系を破壊するのも時間の問題だと思う。そうなる前に鉱石食を手に入れる事が出来たのは僥倖だった。これならば何とか生き延びれそうである。
ー四十五日目ー
…げふ…。辛…。
うぅ…鉱石何て食うもんじゃ無いな…。
よく考えたら…いや、よく考えなくともこうなると分かった筈なのにな…。鉱石食えたってチートになる訳じゃ無いのだ。その分のリスクだってしっかりある。
先ず量だ。その日一日を支える食事量は、肉を遥かに凌駕する。その為、鉱石を食う為に動き続ける羽目になった。
次に味と質。意外にも鉱石には味があり、そこら辺に転がっている石ころでは腹は全く満たされない。拳大の石ころを食った所で、米一粒程度の満足感しか無いのだ。それに、鉱石の味は何方かと言うと野菜に近い。肉よりもレパートリーはあるが、ジューシーさが足りない。
そして最後に…鉱石は消化する際、ガスを生産するという事だ。…厳密には違うかもしれないが…。
ウラガンキン、バサルモス、グラビモス。これらに共通する物として、可燃性ガスを放出するという特徴がある。そのガスは何処から来た物なのか…そんな物、鉱石に決まっている。ウラガンキン、グラビモスは腹の下からガスを噴霧し、攻撃に転用する事がある。勿論それには意味があり、何と体温調節の一環に過ぎないと言う。
アグナコトルは少し違う様だが(モロに溶岩をブレスとして使っている)、グラビモスのブレスも体温調節の一環であり、上がり過ぎた熱を体外に放出する手段だ。
つまり、鉱石食に纏わりつく問題として、ガスを体外に放出する器官が必要不可欠という事だ。無論、ブラキディオスにそんな物ある訳が無い。よって、ある一定の運動量を超えると、オーバーヒートが如く機能停止してしまう。更に口から高熱のガスが噴き上がると言う素敵仕様だ。…機械か俺は。
…まぁ、悪い事ばかりでも無く、肉よりも大量の活動エネルギーを得れる。肉よりも遥かに栄養素が乏しい影響か、その分、純粋なエネルギーを得れる様だ。
それがどう作用しているか分からないが、栄養失調を防ぎ、尚且つ短期間のみ爆発的な運動が出来る。戦闘には持ってこいの能力であり、決着を早めたい時等に使えそうだ。
…まぁ、当分先の話になりそうだけど。
文字数が相変わらず安定しません。
ごめんなさい。