「おぉ、ここが砂漠か!
前来た時よりも大分変わっておるのう。
先ずは調査じゃ!」
…ふむ、地形が一変しておる…。なんと!あの滝が流砂に変わってしもうたのか!やはり年月は侮れんのう…。
しかし、思った通りここは暑過ぎるのじゃ…。
やはりクーラードリンクは必須じゃったか。
支給品より頂戴してしもうたが、まぁ問題なかろう。置いておく方がいけないのじゃ。
うむ、幸先はいいのう。
いつもは自分で調合しなければならぬと言うのに…。
…そうじゃ、せっかくじゃしこんがり肉でも焼いておくとするかの。
いつも爺のせいで直ぐに連れ戻されてしもうたが、今回は長丁場になりそうじゃし、クーラードリンクの素材ついでに肉も焼けば良いのじゃ。
ベースキャンプの焚き火を利用すれば妾でも焼けるじゃろ。十個も焼けば足りるに違いないわ。
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「さぁ、冒険の始まりじゃ!」
ふふふ…これ程までに順調な旅は久しぶりじゃのう。
いつもは小型のモンスターに攻撃されるのを恐れて、中々出発出来ぬと言うのに、今回はそれが全く無かったのじゃ。
…しかし…妙じゃの。
超限界態勢がどのような物なのかはわからぬが、メラルーの一匹もおらぬ…。少々不気味じゃの。幸い、縄張り意識の強い小型モンスターが多かった故に、肉は手に入ったがの。
じゃが、不自然な天候の乱れも見えぬし、テオ・テスカトルの龍炎による陽炎も見えぬ。
それにガブラス種も飛んでおらんしのぅ…。
思い過ごしだといいんじゃが。
「あー!もうアルン!なにしてんのよ!」
「いや、そう言われてもさぁ…まさかこうなるとは思いもしなかったし…。」
ぬ?ハンターか?
不味い、このままでは連れ戻されてしまうのじゃ。
何処かに隠れる場所は…ぬ?
なんじゃあのでっかい真っ黒な岩は。
あんな物、この砂漠には出来ぬ筈なんじゃがのぅ…。
じゃが好都合じゃ。
しばらくこの岩の陰に隠れさせて貰うとするかの。
…ぬ?この岩、日向にあると言うのに、冷たいのぅ。
じゃが、モンスターではなさそうじゃ。
あのバサルモスでさえ、表面には体温が存在するからの。
…しかし、見ればみるほど不思議な岩じゃのう。
この岩、モンスターの甲殻のような継ぎ目があるのじゃ。
ここまで近づいても動かぬという事は、やはりモンスターではないようじゃがの。
「御託はいいからとっとと逃げる!
だいたい、なんでディアブロス狩りにきてunknownなんかと出会うのよ!ここは開拓地じゃないのよ!?」
「あー…超限界態勢ってこのことかぁ…。」
「今更!?今更気付いたの!?
大体、レイスターさんからの宿題が、こんなに簡単な訳無いと思ったわよ!
どうすんのよこの状況!」
「…音爆で落ちてくれないかなぁ…。」
「そんなんで落ちるなら、とっくに私の笛で叩き落とせてるわよ!
なんでそんなもん持って来てんの!?
必要ないでしょうがぁ!」
「あ、やべ、手が滑った。」
ゴトン…。
「ザギャァアアア!!!!」
ギュゥゥゥンンンン…。
「き、来たー!
アルン!そんなもん置いといてさっさと走る!
死ぬわよ!?」
「…!リイン!こっちだ!
あの黒い岩の陰に行こう!あそこなら熱線を避けられる!」
「りょ、了解!」
ぬ!?まずい、こっちにハンターが来てしもうた!
…顔を隠せば、ばれぬかのう…。
「はぁっ…はぁっ…。
本当にここは大丈夫なのアルン?」
「…多分な。レイスターさんに教えてもらった龍脈感知をしてみると、この岩だけ高エネルギーを発していた。
あのブレス?光線?くらいなら耐え切れると思う。」
「…」
ば、ばれておらんようじゃな。
端っこの方にしゃがんだのが功を奏したようじゃ。
後はゆっくりとここを離れることが出来れば、妾の勝ちじゃ。
ドォォオオオンン!
「んにゃぁあ!?」
「くぅっ…!やっぱり撃って来たわね。
でもやり過ごせそうよ!」
「そうだな。それに、unknownの注意がこの岩に向いたみたいだ。
今の内に逃げるぞ!」
「えぇ!」
ひ、ひぅぅ…なにが起こっておるのじゃ?
いきなり熱線が飛んできおったぞ?
しかも熱線が終わった後に、何度も突進されておる…。
この岩も、いつ壊れるか分からんわ。
あぁ、ハンターが逃げてしまうのじゃ…。このままでは…このままでは死んでしまうのじゃ…。
うぅ…こんな事なら、あのハンター達に声を掛けておれば…。
ゴンッ!
「にゃう!?」
〜っ!痛い!頭に何か当たったのじゃ!
…これは…男のハンターが持っておった音爆弾かのぅ?
この熱線に煽られて、ここまで飛んできたのやもしれぬ。
…えぇい!ヤケクソじゃ!これを投げて怯んだ隙に逃げるとしよう!運良く怯めば逃げる隙ぐらい作れるじゃろう!
「それ!」
ギィィーーーンンン!!
…ズズッ…。
「…グァ?」
「んにゃ!?」
な、何事じゃ!?
岩が動いたのじゃ!…ぬ?何やらモンスターの顔らしき物が目の前に…。
…グギュゥルルルルルルゥゥゥ…。
「…グルル…。」
「…成る程、岩では無くモンスターじゃったのか。
しかし、何故温度が無かっ…」
ドォォオオオンン!
「んにゃぁあ!」
「…グアゥ?」
そ、そうじゃった!まだモンスターの攻撃は続いておったのじゃった!
…じゃが…このモンスターに全く焦りは見られないのぅ…。
あのモンスター程度では驚異にならぬと言う事なのか?
グギュゥルルルルルル…。
「…グアアゥ…。」
「…いや、もしやお主、腹が減って動けぬだけなのか?」
「…(コクッ。)」
「…そうか…なら、このこんがり肉を食うか?」
「…(ピクッ)」
「その代わり、妾を助けてくれぬか?
あの竜に襲われてここから動けぬのじゃ。」
「…(コクッ。)」
「よし、交渉成立じゃ!
それ!全て食らうが良い!」
「(ガパァ…モキュモキュモキュモキュ…。)」
「ど、どうじゃ?」
「…グルルル。」
ードクンッ!
…っ!強い…!
この威圧、この風格、どれを取っても並みのモンスターを超えておる!
とても空腹で倒れるとは思えんほどじゃ…。
…ズズッ…ザァァァア…。
これが…この竜の全容かの。
ふむ、かなりブラキディオスに酷似しておるのう。
威圧感諸々は格が違うようじゃが。
「…ザガァァア…。」
「…グルルル…。」
ドウンッ!
…ドォォオオオンン!
は、速すぎるのじゃ!
妾の目の前におったと言うのに、一瞬で掻き消えてしもうた!
どうやらあっちの竜の下顎に一撃を加えたようじゃが、爆煙で殆ど見えぬのぅ。
「ギャガァァォアア!?」
ゴッ!
…ドォォオオオンン!
…ぬぅ…。もはや動く姿が見えぬのぅ。
頭部が地面にめり込んでる様からして、頭頂部を殴ったようじゃがな。
「ギャアォォォ……」
ズズゥンン…。
「凄い!凄いのじゃ!
あっという間にあの竜を倒してしまうとは!
いやはや、流石黒闘竜じゃのぅ!」
「グアァア?」
この竜、面白い!
決めたぞ!妾はこの竜を飼う!爺がなんと言うか分からぬが、まぁ大丈夫じゃろ。
ふふ…楽しみじゃのう…。