「お主!妾のペットになれ!」
…どーも。
なんか面倒なもんに絡まれたクロさんだよ。
大丈夫かこのメイド。頭沸いてんじゃないだろうか。
しっかし、まさか行き倒れるとは思わなかったなぁ。
やっぱ砂漠なんて大嫌いだ。後unknownさん。
セルレギオス追っかけてたら、何処からともなく現れるんだもんな。
マジで神出鬼没な竜だ。まぁ、追っ払ったけど。
んぇ?さっき倒したのはunknownじゃないのかって?
何言ってんだよ。あんなのがunknownな訳ないでしょうが。
アレは狂竜ウイルスに罹ったリオレイアだよ。
しかもあの時のイビルジョーみたいな状態の。
unknownさんはもっと強いからね?馬鹿みたいに熱線はいたり、阿呆みたいに突進繰り返すだけの単細胞なんかと比べもんにならないからね?
大体、本物ならこのメイドなんてとっくに死んでるって。
視線から逃れられるとか、注意が岩に向くとか、そんな獣みたいな思考を竜がする訳ないでしょうに。
理性失った状態だからこそ、無機物に対して攻撃的になってたんだよ。
と言うか、unknownさん追っ払ったはいいけど、そのせいでスタミナ切れ起こして倒れちゃった訳だし。
本当は龍脈エネルギーを吸い上げて回復しようとしてたんだけど、このメイドが『助けてくれるなら飯やる』って言ったからお言葉に甘えて回復させてもらったと言う訳だ。
…スタミナ切れで休んでいたせいで、セルレギオスの大群は見失うし、狂竜ウイルスに罹ったモンスターに攻撃されるわで大変だったんだよ。
本来なら、こんなとこ抜けんのに1日もかからんわ。
…で、だ。
「お主!聞いておるのか!?ぜーったい聞いておらんじゃろう!?」
これ、どうしようか。
全くメイドの癖にやたらと傲慢と言うかなんと言うか…。
ぶっちゃけ、俺を養うのに飯なんざいらんから、飼うのは簡単なことなんですがね。
空腹といっても、龍脈エネルギーを使えば解消される訳で。
まぁ、飼われる気なんてさらさらありませんがね。
一応自由に生きてるもんで。
他人の指図とか糞食らえとか思ってるんでな。
さーて義理も果たしたし、とっとと立ち去りますか。
「…グァァ(あー、眠。)」
「な!?ど、何処に行くと言うのじゃ!?
待て!待つのじゃ!」
ありゃ?セルレギオスの大群が行った先ってどっちだっけ?
あーもう、毎度毎度の事だけど旅をする度に迷子になるなぁ…。もう慣れちまったぜコンチクショウ。
「待ってくれなのじゃー!
妾を置いて勝手に行くでない!」
…太陽は…よし、あっちに行ってみるか。
方角の確率的に4分の1。歩けば着くだろ。いつになるかは分からんが。
「…うぐっ…えぐっ…。ま、待ってくれなのじゃ〜…グスッ…。」
…。
ーーーーーーーー
『泣かしたら問答無用で負けですにゃ。』
『無理ゲーじゃん。勝ち目ないじゃん。』
『子供とはそういうものですにゃ。』
ーーーーーーーー
はぁ…しょうがないか。
「えぐっ…。ぬ?」
メイドの前まで戻り、その目の前で体を伏せてやる。
ペットにはなれないけど、乗せて散歩するぐらいなら大丈夫だろ。
「…グァァ(乗れよ)」
「これは…乗れということかの?いや、しかし…。」
なんかメイドがブツブツ言っていたが、結局は俺の後頭部辺りにまたがった。
いい感じに角の後ろに座っているし、しっかりと俺の角を掴んでいるので落ちる心配もないだろ。
このままセルレギオスの大群追っかけるかぁ…。
その内ハンターが来て回収してくれる筈だ。それまで護衛の真似事でもしながら歩きますかね。
ここは一見不毛の土地だが、龍脈エネルギーだけなら大量に存在する。それを利用して、緑化粘菌を使えば食料も問題無いと思う。
メイド?知らん。こんだけ適応力があればなんとかやっていくだろ。
後はフルスピードでこの砂漠を脱出…あ。
このメイド…どうしよ。
どう考えても音速とか耐えられ無いよな?
しかもこの先、さっきのリオレイアみたいな状態の竜もわんさか出るし、ナルガクルガの時みたいにならないとも限らんし…。
…緑化粘菌でどうにか出来ないか?
例えばサボテン辺りの植物から水分と材料を取り込んでその性質を変化させるとか…流石に無理そうだな…。
まぁ、物は試しってやつだ。
もし失敗しても晩飯を確保できそうだし。問題無いか。
「おぉぉ!凄いのじゃ!
ここら一帯を一望出来るとはのぅ…。
むぅ、ますますペットに欲しくなって来たぞ。」
「…」
俺が言うのもなんだけど、能天気だなぁ…。
しかもまだそれ言ってんのかよ。そんな気はさらさらないってーの。
お、サボテン発見。
ちょっと道草していくか。
「む?お主、サボテンを食うのか?
いやしかし、先程は妾のこんがり肉を十個も平らげておったな。
もしや雑食か?」
…どーでもいいっしょ、そんな事。
雑食ってか究極の悪食だと思うんですけど。
肉だろうと砲弾だろうと鉱石だろうと何でも食えっからね。
さて、ここで緑化粘菌を使うとしますか。
粘菌…と言うより、菌は枯れた植物や動物の死骸などを分解すると言う力が備わっている。
生物の大半があり得ない程の生命力を持つこの世界では、その菌の分解速度は前世に存在する菌をはるかに超えた速度を持つ。
つまり、植物を生やす程の活性化を可能とする緑化粘菌を持ってすれば、サボテン程度の植物を跡形も無く分解する事など造作も無いと言うことになる。
この場に第三者がいたら、俺がサボテンを食った途端、サボテンが消えるように見えると思う。
それ程までに速いのだ。
よーするに、超高速で栄養吸収出来る仕組みなのだ。
ただし粘菌だけで、体力は一切回復しないけど。
ーパキンー
取り敢えず試食。
お、おぉ?
ヤバイ…結構簡単に出来るぞこれ。
食した質量分粘菌が増えてる。しかも密度が濃くて、直ぐさま樹木に変化しそうな勢いだ。
…あ、変化した。
勢い余って変化しちゃったっぽいね。
でも暴走はしてないから操作は出来るという。
てか、粘菌って呼んでいいのかこれ。
完全に樹木じゃん。いや、中身は粘菌だけどさ…。
ん?
この調子で全身を覆うようにすれば良いんじゃ無いかな?
メイドのいる角の後ろだけ空っぽにする感じで。
よし、やってみよう!