もんすたーな世界にもんすたーで転生?   作:ひなあられ

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黒いドーム

…なんだこれ。

なんなんだよこれは!?

 

「ラオ爺!生きてるか!?」

 

「…おぉ…小僧…こんなとこに…何の用じゃ…?」

 

「いや、何の用って黒蝕竜を追っかけてたんだけど…。

って、それどころじゃねぇし!

本当に何があったんだラオ爺!」

 

「…なに…ちょいと…不意を打たれただけじゃて…。」

 

ラオ爺はもう助からない。

それが解るほどラオ爺の容態は酷かった。

寧ろなんで生きてんだろう?だって…。

 

下半身が無いのに…。

 

ラオ爺の周りには無数のモンスターの死骸が転がっていた。

その殆どは地面に沈み込んでおり、手や足を残して息絶えている。

ラオ爺の下半身を奪った奴の見当は付かなかった。

 

「…こんの小童共が!その程度で妾に勝てると思っておるのか!」

 

そんな声が空から聞こえてくる。

上を見上げると、空を赤の怒りの色に染めあげ、極太の竜巻をブレスとして使っているアマツさんがいた。

周りを見回してみれば、そんな感じで戦っている奴らばかりだ。

 

豪炎を使ってドームを攻撃するテオ・テスカトルとナナ・テスカトリ。

見事な連携でモンスターを攻撃するオオナズチ三姉妹。

ゆっくりと進みながら黒い液体を飛ばし、まるで戦艦のように敵を吹き飛ばすゴグマさん。

空から火の玉を降らせて敵を狙い撃つグランさん等、錚々たるメンバーが揃っている。

 

「…クク…儂は…もう長く持たんようじゃの…。」

 

「ラオ爺!?」

 

「…全く…大した小童共じゃて…。

…この…古龍達を…儂を…出し抜くとはのぅ…。

小僧…後は任せる…。」

 

「…ラオ爺…?」

 

…ダメか…。もう意識が無い…。

本当、よく頑張ったよ、ラオ爺。

 

「…久しぶりだな、この作業。」

 

死後どうしても崩れてしまう顔を整え、半開きの瞼を閉じる。

…この世界でもやるなんて思わなかったけどね…。

まぁ、単にバイトの経験だけどな。

実践したことなんてなかったし。

 

…一体何が起きてんだ?

ラオ爺がやられるなんて…相当な事だぞ…。

他の古龍達も同じような状況だ。

天災レベルの力を持つ古龍が押されている。

攻撃が当たっているのに、敵が倒れてない。

あたま以外が無くなってもまだ動いているようだ。

 

バイオ○ザードのモンスター版だろこれ。

しかもモンスターは超強化済みで古龍でも手こずるレベル。

本当にどうなってんだよ。

 

「おらどけどけぇい!覇竜暴走族のお通りだぁ!」

 

…なんだこの地響き。

途轍もなく嫌な予感がするんですけど…。

覇竜暴走族…アカム暴走団?改名したのか?

 

…うわぁ…絶望のドスファンゴ軍団だぁ…。

ガンナーは太刀打ちできないぞアレ。

でも上手くモンスターを轢きながらこっちに来てる。

 

「グハハハハハ!加勢に来たぞラオ師範!

我ら覇竜暴走族に掛かればこんな戦局、あっという間にひっくり返してくれるわ!」

 

「キャッハハハァ♪ここには骨の無い腑抜けしかいないのかぃ?

轢き殺しても血が出ないじゃ無いのぉ!」

 

「…おー怖。程々にしとけよリーロック…。」

 

「…なんで俺はこんな目にあってんだよ…。

くそ…アマツのババアめ…。」

 

濃ーー!

思った以上に濃い連中だったー!

リーロックさんの性格がヤバイことになってるのは…うん、どうでもいいか。

でもなんでジンオウガさんがここに?

 

「よくやった小僧!少々時間がかかり過ぎじゃがな!」

 

「あぁん?1日でここから火山まで行ってきたんだぞ!?

テメェと比べんじゃねぇ!」

 

あぁ、ジンオウガさんが呼んだのか…。

パシられたのかジンオウガさん…。

不憫だなぁ…いつもだけど。

 

俺にキノコだらけにされたり、アマツさんに吹き飛ばされたり、アマツさんに宙吊りくらったり、俺にぶん投げられたり、俺に爆殺されたり、unknownさんに棘だらけにされたり…。

…ん?殆ど俺じゃん。

今度謝っておこうっと。

 

それにしても凄い快進撃だ。

一気に戦局がひっくり返ったんじゃないのか?

これならラオ爺も報われるな。なんせラオ爺の名の下に集まったみたいだし。

 

「ら、ラオ師範!?

…おいマジかよ…。ラオ師範が死んじまったのか…?」

 

…アレは…放っておこうか。

あっちで勝手にカタをつけるだろう。

俺は俺のすべきことをしなきゃな。

 

今、ドームを打ち破ろうとしているのは極少数だ。

例え古龍の力でも打ち破るのは難しいだろう。

だが、俺ならこのドームを打ち破れる。

一点集中して威力を拡散させずに打てるからだ。

 

範囲攻撃は爆破粘菌、状態異常攻撃は緑化粘菌、貫通攻撃は雷撃粘菌。

それぞれの粘菌ごとに得意な攻撃方法が変わる。

その中で最もこの状況に適しているのは雷撃粘菌だ。

 

…雷撃粘菌にシフト。

チャージ開始…ん?

龍脈エネルギーが極端に少ない?

…そうか…これのせいで古龍が押されているんだ…。

逆に普通種軍勢である覇竜暴走族はその影響を受けにくいって訳ね。

だったら強制的に引きずり出してやる。

 

案の定、黒い龍脈が本来の龍脈を潰すようにはびこっていた。

こういう厄介な黒カビみたいなものはカビ○ラーで一掃するに限る。

 

緑化粘菌に切り替え、黒い龍脈の辺りに腕を突き刺す。

更に緑化粘菌を黒い龍脈に沿って侵食させ、複雑に絡め取る。

これを全力で行い、ドーム周辺の黒い龍脈全体を覆ってやった。

この辺りの土地は全て把握したも同然である。

 

「…必殺…『赤いハーブの単体は役立たず』!」

 

技名に特に意味は無いっす。

でもこういうとこって似てるよね。何がとは言わないけど。

 

狂竜ウイルスに効果のある赤い粘菌。

今回はその力をフルに使い、黒い龍脈を一気に浄化する。

全身の粘菌が真っ赤に染まり、地面に白い光の亀裂が走る。

俺の拳を起点に走り始めた白い亀裂は、その速度を上げながら進んでいく。

黒いドームを避けるように走った亀裂によって、ドーム周辺全てが眩い光に覆われた。

 

「…『浄化!』」

 

ーバキリ…ズッッッッツ!!ー

 

亀裂から溢れる光から白い結晶が散る。

あの大樹と同じ浄化反応だ。

…ドームは流石に無理か…。やっぱ周りを潰すだけじゃ消滅しないよね…。

つーかこのドームの中から力が出てんのに、周りの脈切ったくらいじゃ消えんよな…。

 

「…龍脈充填。雷撃粘菌にシフト。

竜菌核へのチャージを開始。」

 

角の磁力をもってして地面の鉄鉱石を浮かび上がらせる。

電磁熱で鉄鉱石を溶解させ、丸く纏める。

少し冷えてきたところで雷撃粘菌の核を大量に貼り付け、最大まで電力を解放。

レールガンの玉が完成した。

 

ふよふよと浮遊を続ける玉をそのままにし、次の準備へ。

両腕の雷撃粘菌に電気をチャージ。

竜菌核に溜め込んだエネルギーを解放させ、両腕にエネルギーを叩き込んで一気に圧縮する。

その途端噴き上がる蒼い炎。

最近身につけたエネルギーを実体化させる技である。

緑の炎ができたんならこっちもできるかなー?って思ってやったらアッサリできたわ。

 

なんにせよこの炎の威力は折り紙付き。

緑化粘菌の時は加減が効かなかったけど、調整しやすい雷撃粘菌ならその辺りの加減も効く。

リーロックさんの時の教訓から、雷に指向性をもたせているので貫通するには十分だと思う。

 

…さぁ、いくか。

 

「蒼火轟雷砲改!」

 

片手ではなく両手で打ち抜き、エネルギーをひたすらに圧縮し、これまでと比べ物にならない程の威力を持たせ、指向性を付随し、一点に集中させたその攻撃は…。

 

ーーーーッッッツゴォォォォンンン!!!

 

壮大な音を響かせてドームに突き刺さった。

何もかもを置き去りにしながら突き進む蒼い弾丸。

もはや暴風の域にまで及ぶ余波と、抉れて何もない地面。

高熱によって蒸発した地面が煙を出していた。

煙が晴れた先には、見事に撃ち抜かれた黒いドームが…。

 

「…は?」

 

無かった。

 

ドームは健在。

微妙にヒビのようなものが見えたが、すぐさま修復されてしまった。

 

「嘘ぉ…。」

 

…え?これってもしかして結構ヤバイんじゃ…。

この攻撃を弾くのかよ。どんだけ硬いんだし。

ここまで局部集中させた攻撃が効かないとなると、本当にやりようがなくなるんですけど…。

うわぁ…ここに来て積みかぁ…。

 

うーん…どうしよう…。

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