「ぜぁぁぁあ!!」
ザンッ!
「…レ、レイスターさんって、こんなに強かったのね…。」
「…お前…まだ疑ってたのかよ…。」
「だ、だってそうでしょう!?私が見てきたレイスターさんと言えば、アルンに小タル爆弾を投げてる所しか思い浮かばないのよ!?」
「…あー…うん。確かにアレはなぁ…。
あんまりダメージない所がまたなんとも…。」
本当になんであんな事をするんだろうなぁ…。
こうしてるとメチャメチャカッコイイのにさぁ…。
俺たちは今、突如として開いたドームの中へと進んでいる。
謎の閃光と轟音が辺りに響いた後、その音の発信源に向かうと、ドームに大穴が開いていたのだ。
科学者達がこぞって解析を試みていたドームだったのに、こうもあっさり開いちゃうとなんだかなぁ…。
どっちにしろレイスターさんが開けただろうけどな。
…どうやったらこのドームに斬痕が残せるんだろう…。後ニ、三太刀入っていれば確実に壊れてたよ絶対。
レイスターさん曰く、『物には切る目がある。それを切っただけだ。』らしいけど…俺には全然わからん。
「それにしても…鬱陶しいわね…。
なんなの?このモンスター達。まるで操られているみたいだわ…。」
「そういえばそうだな…。さっきから小型のモンスターしか攻撃してこない。
まるでレイスターさんを警戒して、戦力を減らされないようにしてるみたいだ…。」
「…何かおかしいわよね?」
「…おう。でもまぁ…。」
「ハァァァァア!!!」
ザンッ!
「「「「ギュゥェェア!?!!」」」」
「…あんまし意味無さそうだぞ…。」
「ねぇ、アルン。あれってどうみても気を使ってないわよね?うっすらと龍脈使ってるけど、それだけよね?」
「…多分、地の力が強いから、あんまり強化しなくても十分ってことじゃねぇの?
それにさっきから足だけを狙ってるし、どうみてもこの先に向けて体力を温存してるって感じだろ。」
「そのおかげで、私たちは止めを刺すだけの簡単なお仕事で済んでるものね…。
取り零しなんて一切無いし…。」
「しかも、膝の靭帯だけが綺麗に切れてる…。外傷とか一切無いのに、どうやって切ってんだこれ…。」
さっきから俺たちの出番が無い。
それはそれでいいことなんだろうけど…なんか複雑だ…。
せっかく色々と装備を整えてきたのになぁ…。
俺の武器はライトボウガン。
開拓地で使われている、フロンティアハンター御用達のボウガンだ。
使用者が龍脈を使えないと唯のボウガンにすぎないが、龍脈を使える者が扱うと、威力を上げたり、速射と比べ物にならない程の連射が出来るようになる。
今回は緊急を要するクエストだった為、ギルド特製の新開発ボウガンを使っている。
このクエストが終わったら、返却しなければならないけどな。
リインの武器は相変わらずの笛。
リインはあんまり器用な方じゃ無いので、新しく与えられた武器を扱えなかった。
なので自前の武器を持ってきている。
それでも並みのハンターよりは強いので、あまり心配はしてない。
何せ支給された笛の性能を、自身の技量で再現してたしなぁ…。
ギルドの技術班が驚いてたぜ。
武器名は『叛逆笛ラーガレギオン』
この武器の元となったモンスターであるセルレギオスは、本来ならばフロンティアハンターになる為の登竜門的なクエストだったが、この狂竜病騒ぎのせいで難易度が下がってしまった。
レイスターさんの話によると、一匹倒せば次は二匹、二匹倒せば次は四匹と、倒すごとに数が倍になって襲って来る鬼のようなクエストらしい…。絶対に受けたくねぇ…。
レイスターさんの武器はおそらく『天上天下無双刀』。
だけど妙な光を放ってるし、微妙に色合いも変わっていて、どうみても普通の武器では無い。
発掘武器と言うらしい。
性能は不明。ただ、物凄く強い武器であることだけは確かだ。
「アルン!あの山を見てくれ!おそらくあそこに諸悪の根源がある筈だ!」
「了解!」
俺はライトボウガンのスコープを使い、示された山を見てみる。
…アレか?金色の光と虹色の光が混ざった奇妙な光…。
そこから留めなく黒い霧が噴き出し、山全体が黒く染まっていた。
「よくわからないんですけど…多分、あそこで間違いないみたいです。」
「…そうか…。リイン!強化を頼む!一気にあそこまで行くぞ!どうやら運が良かったらしい。今なら大型のモンスターがこっちに来ないようだ。」
「え?なんでそんなことがわかるんっすか?」
「…もうそろそろ大型のモンスターが出てきてもいい頃なんだが、その傾向が一向に見られない。
罠の可能性も考えたのだが…どうやら俺たちごときに割く戦力がなかったらしいな。
今度会った時は全力で相手したいものだ…。」
「はい?」
「いや、なんでもない。」
「強化行きます!」
リインの奏でる笛の音に耳を傾けつつ、レイスターさんの言った事を考えてみる。
俺たちごときに割く戦力がない?なんでだ?
まるで知っている誰かが、大型モンスターの足止めをしてくれているみたいな口ぶりだなぁ。
その時、複数の雷が地上から天空に向けて走った。
しかも出処は一箇所だけで、どうみても自然の雷ではない。
気になってスコープを覗いてみると…。
<ガハハ!ヤルナァ一歌ァ!
<アネキィ!攻撃ガコッチマデキテマス!
<オイテメェ!自重シヤガレ!
<リィロックゥゥウ!!ソッチハダメダ!
<キャハハハハァ♪
<ア、アネキ?ナンデ山ニ粘菌ヲ?
<ナ、何スル気ダテメェ…
<ハイ?空ヲ飛ブ飛竜種連中ガウザイ?
<アァ?ダカラ一掃スル?何言ッテ…
ゴゴゴゴゴゴゴ…。
<ア、アネキィ!!ソレハマズイデスゥッ!!
<オイ!ハヤマルンジャネェ!!
ズ…ズズズズズ…。
<ァァアア!?持チ上ガッタ!?持チ上ガッタ!?ナンデェ!?
<ニ、ニゲロォォォォォオ!!!
/
ブ
ッ
ラ
キ
|
ン
\
ズガァァァアアア!!!
…俺は何も見ていない。
山が一つ宙を舞ったなんて非常識な光景なんて見ていない。そうだアレは夢だったんだ。気にする事なんて無いんだ。大体、モンスターが山を持ち上げるなんて事出来るわけが無いんだ。きっとそうに違い無い…。
よし、忘れよう。
「どうしたのアルン?なんか顔色悪いけど。」
「リイン…先を急ごうぜ。なんかココヤバそうだ。」
「え、えぇ。」
ぶっちゃけもう負ける気がしねぇ。
なんかこれから対峙するモンスターよりもヤバイもん見ちまった気がするけど、きっと気のせいだ。うん。
シリアスだと思った?残念!ブラキさんによるシリアスクラッシュ回だよ!