「ヘイヘイヘイヘーイ!!」
「ギャァァァァァアア!?!」
ゴォォォォォオオオオンンンン!!!!
軽々と宙を舞う山。
散り散りに吹き飛ばされる飛竜種。
直撃を受けて、ドームに突き刺さる哀れな被害者(犬)。
吹き飛ばされた飛竜種の殆どは、落とされた地面で呻き声を上げ、そこに迫るドスファンゴ軍団に跳ね飛ばされる。
そんな惨劇を作り出すのは、千剣山の麓で大暴れする一匹の黒い竜。
まぁ、俺なんですが。
緑化粘菌で引っこ抜いた山の根元を掴み、ぶん回して飛竜種を叩きのめしてます。ハイ。
ここら辺にある山が剣みたいな山でよかったよ。普通の山じゃこんな事出来ないだろうし。
なんかもう、一匹づつ仕留めるのが面倒になっちゃったからさぁ…。
飛び上がったまま降りてこないんだよ?しかもずーっと火球で狙い撃ちしてくるもんだから、堪忍袋の尾が吹き飛んじまいましてねぇ…。
気づいたら山で攻撃してたわ。
しっかし、いい武器拾った(?)なぁ。
あれだけ鬱陶しかった飛竜種が、あっという間に居なくなる。振り回しただけで、その風圧によって落ちるやつも多いし。
ジンオウガさん?知らない子ですね(笑)
山一つ振り回したせいで、周りの山が全部砕けて辺りが更地になっているのは気にしてはいけない。
まぁ、どうせ生態系もクソも無くなってるけど。
なんなんだよこいつら。殺しても死なないとか、どうなってんだし。
まるでゾンビ…いや、もう既に死んでるからゾンビそのものか…。
本当、なんつー現象だよ…。やっぱどう考えても古龍の仕業だよなこれ。
前見た時は思いっきり普通種だったのになぁ…。
こんな事できんのは、古龍くらいしかいなさそうだしね。
…うわ…ドスファンゴに轢かれたくせに、もう起き上がって来てる…どうみてもゾンビだぞ…。
この黒い龍脈にそういう効果でもあんのかな?
さっきからラオ爺の死体も動き出してるし…。
上半身がモゾモゾ動くってかなりホラーだな。
あ、アカムの兄貴が吹っ飛ばした。
にしてもウザイ。
何がウザイって、腕が取れたくらいじゃ動きが止まらない事だ。
むしろ取れる度に動きが機敏になってるような気さえする。
なんせ腕や脚だけで動いてるのもあるくらいだし。
「あぁクソ鬱陶しい!
古龍種勢は龍脈の関係上入れねぇし…。
このままじゃジリ貧ですぜ姉貴!」
「姉貴言うなこのモヒカン野郎!
えぇい面倒くさい!こうなりゃヤケだ!」
「な、何する気なんですかぃ!?」
「取り敢えず空の敵全部吹っ飛ばす!
数が少ないせいで、ただ振り回すだけじゃ当たんなくなっちゃったからな!」
「…に、逃げろー!全員地面に潜れー!あそこに突き刺さってる犬みてぇになっちまうぞ!」
…なんか阿鼻叫喚と化してるんですけど。
俺そんなにマズイこと言ったかな?
一応当たらないように配慮して攻撃してたつもりなのに…。
ジンオウガさん?面白ボディプレスをしようとした方が悪い。
この中に空飛んで攻撃出来るヤツいないし。ジャンプして山を振り回しているから本来当たらないのに、そのタイミングで跳んだジンオウガさんが阿保なだけだ。
大体、この中だと龍脈が使えないのにさぁ…あんな風に体力消耗する攻撃してどうするつもりだったんだろ…。
その関係で、龍脈が生命線の古龍が入って来られないって言うのに…。
一応使えない事も無いけど、その量が極端に少ない。
おそらく、ドームに開けた穴から流れ込んでくる龍脈しか無いんじゃ無いかな?
アカムの兄貴が地面を操作出来ねぇって怒ってたし。
俺?俺は粘菌あるし。
竜菌核と組み合わせて使えば、完全に永久機関だしなぁ…。
粘菌使って体動かす→竜菌核にエネルギーをチャージ→粘菌にエネルギー回す→粘菌が増殖するエネルギーが増える→粘菌が更に増殖する→チャージ出来るエネルギーが増える→以下ループ。
要するに、使うエネルギー<発生するエネルギーという事だ。
今の俺は格ゲーでいうコンボゲージ100%状態。
ならやる事は一つだよね!
「竜菌核全開放。緑化粘菌にエネルギーを移行。」
山を侵食する緑化粘菌全てが光りだし、轟々と音をたてて緑の炎が噴き上がる。
それによって発生したエネルギーを竜菌核に一旦取り込み、それを山へと再度送り込む。山を包む炎が雷に変化した。
…これ以上は制御出来ないな…。
とは言っても、既に災害級の威力を叩き出しそうだけど。
でも前回は砂漠を丸ごと飲み込んでたしなぁ…。もう少し細かい制御をかけるか…。
このままだと馬鹿でかい木ができるだけ。
それだとあまり効果は無い。精々動きを暫く封じる程度しか効力は無いだろう。
だけど仲間が全員地面に潜っている今なら、もう少し効果のあるヤツを出せそうだ。
「…睡眠系を停止…回復系を停止…疲労、麻痺、毒、爆薬、炎、強撃、力、防御、弾丸、拡散、貫通、龍属性、粘着を構成…。」
…おぉ、流石に無理かと思ったけど出来たわ。
緑化粘菌が内包する、全ての植物とキノコの具現化。
そこに回復系の物や、当たっても意味の無い睡眠系の物を取り除き、山全体を一つの爆弾にさせる。
疲労、毒、麻痺を起こす植物とキノコを纏めて発生させ、そこに大量の木の実を配置する。
木の実は螺旋状で何かを貫くような物や、衝撃で実が弾ける物、空の実など様々だ。
中には赤い実、オレンジ色の実、紅い雷を走らせる実なども混じっており、そこから発せられた謎のオーラが山を包む。
更に山の隙間から白い草が伸び、落ちそうになる実などを絡め取っていく。
この時点で、唯の大岩だった山には色とりどりの花が咲き誇り、樹木が伸び、その根本にこれでもかとキノコが生え、まるで森が早回しで作り上げられているような状態になっていた。
俺の所からは一部しか見えて無いけどね。
粘菌から伝わる情報によって、なんとなくだけどわかる。
そして山の内部に大量の火の出る草と爆発するキノコを生やさせ、山の表面にも一定区間ごとに生やしていく。
これで準備完了。
あとは力の限りぶん投げるだけだ。
「オォォォォラァァァアァァアア!!!」
ブンッ!
…やっぱ重てぇ。
ドームの天井まで行くつもりで投げたのに、その半分辺りで止まってしまった。
まぁいいか。起爆すればそんなの関係ないし。
「起爆!」
起爆方法?んなもん岩投げて当てるだけだよ。
導火線つけるほど細く操作出来なかったし。
山に比べてとても小さな岩が当たる。
その瞬間、色とりどりの大爆発が起こった。
黄色、赤、紫、緑、青、白…数える事が馬鹿らしくなるほどの大爆発。
側から眺める分には綺麗な花火のようだが、上空ではとんでもなく悲惨な事が起こっているようだった。
爆発のエネルギーが空の実や螺旋状の実などを弾丸のように吹き飛ばし、これでもかと生えた状態異常系の欠片を浴びて、かなりエグい状態異常弾となってモンスターに襲いかかる。
その容赦ない弾丸を食らって、次々と落ちてくるゾンビ飛竜。
爆発の煙が晴れる頃には、全ての飛竜が地面に叩き落とされていた。
「…」
「…姉貴。やっちまっていいですかぃ?」
「いつの間に出てきたし…まぁ、いっか。
…そうだなぁ…。」
「…」
「取り敢えず、バラバラ死体コースで☆」
「ウォォォォオオ!!やるぞテメェラァァア!!」
「「「「Yes!姉貴さんの為に!」」」」
「誰が姉貴だゴラァ!」
油断も隙もあったもんじゃないな…。
いつになったら姉貴呼ばわり治るんだろう…。
…ん?なんか向こうの方が明るいなぁ。
日の出?いや、まだ昼前だからそれはないか。
だったら何…。
バキンッ!
…!?ドームが割れた?
なんで今更割れたんだ?…気になるな。ここはコイツらに任せて少し様子を見に行くか。