「ウラァァアッ!」
「笑止!」
カッーーーードォォォンッ!
「あークソ鬱陶しい!なんだよそのバリア!」
「クク…闇夜のベールだ。お前如きに破れる物では無いぞ!」
「そーかい!なら斬撃を食らわせてやる!」
竜菌核のエネルギーを尻尾に回し、エネルギーを飽和状態にさせる事で黒いオーラを纏う。
自称最強の身体を持つ転生者を容易く斬り飛ばした斬撃。
それの進化バージョンのモーションに入った。
先ずは横に一回転。円形状の黒い痕が宙に浮かぶ。
次にサマーソルト。縦方向に同じような黒い痕が宙に浮かんだ。
今度は右手を付いてジンオウガ版サマーソルト。着地と同時に左手を付いてもう一回。右斜めと左斜めに黒い痕が残る。
「ガァァァァッッッツ!!!」
威嚇寄りの軽い咆哮。それにより、残された黒い痕…高過ぎるエネルギー故に残ってしまった『斬撃』が同時に動きだす。
ゆっくりと不気味に進む黒い斬撃は、黄金色に輝く古龍目掛けて飛んでいく。
俺の周り360度。死角という死角を潰した攻撃だ。難点は…距離が空くと隙間が大きくなるって所か。
「グッ…闇よ!我に力を!」
対する奴も負けていない。
背中から伸びる第三の腕に闇(多分狂竜ウイルス)を纏い、斬撃を強引に捩じ伏せてきた。
その途端衝撃波が轟き、辺りが滅茶苦茶に荒れて行く。
だが地面が抉れた途端、黒い何かが噴き出してあっという間に元通りになった。
…これのせいで生き埋めになりかけたんだよなぁ…。
フルパワー三回目の攻撃の後、急に地面がせりあがって来たんだよ。クレーターの壁をダッシュして無かったら絶対埋まってた。
「闇夜に呑まれろ!」
第三の腕に纏った闇を地面に突き込む古龍。
俺の下の地面が眩い光を放ち始めた。
…喧嘩売ってんのか?これ俺の技に近いんだけど。
うっし。その喧嘩買ったるわ!
「せいっ!」
ドガァァァァアンッッ!!
右脚を振り上げ、思いっきり足踏みをする。
足先に存在する爆破粘菌により、地面を侵食していたウイルスを薙ぎ払う。
ついでにあっちの足元を爆破してやった。ざまぁ。
「ヌグッ!…流石だな…。だが我には効かん!」
そう言うと古龍は黒いウイルスを全身に纏う。
1秒もしない内にそのウイルスが晴れ、その中から現れた古龍には傷一つ無かった。
「フハハハハ!どうだこの力!我が僕の再生力を使えば、我は無敵となる!消耗したエネルギーでさえ回復するのだ!」
「『黒拳』」
取り敢えずなんかウザイことほざいてる古龍に向けて、黒いオーラを纏った左拳を突き込む。
左拳の前の空間がガラスのようにヒビ割れ、無色の衝撃波が地面を抉る。
その衝撃波は古龍の第三の右腕を呆気なく捥ぎ、後方にあった山を円形状に吹き飛ばした。
ん?相手喋ってんだから聞いてやれって?ハッ、生憎、そんな慈悲持ち合わせてないんで。
「グガァァァアア!?!!」
「もう一丁ぉ!」
ー斬ー
尻尾に残っていたエネルギーを軽い斬撃として飛ばし、もう片方の腕を切り落とした。
え?もうモンハンの動き超えてる?何を今更。それはあっちだって同じだろ。
「グゥゥゥウッッ!!…クッ…。やはり強いな…。
おい貴様。」
「あぁ?誰が貴様じゃ馬鹿タレ。負けてる癖に偉そうだなテメェ。」
「…何故私の邪魔をする?」
「貴様呼ばわりは無視かよ…。てか、邪魔も何も、そっちが色々やってきたんだろうが。ウイルスばら撒くとかやり過ぎだろ。お陰で死にそうになったわ。」
「それだけの理由で私の邪魔をしていたのか!?」
「…邪魔ってか、今回が初めて邪魔したように思えるのは俺だけか?その口ぶりだと、前にも邪魔してたような感じがするんだけど…。」
「もしや、無自覚に浄化していたというのか…?私の計画の要となる場所をことごとく貴様に潰されて来たのだが…。」
「浄化?あぁ、アレね。なんか鬱陶しいから結構頑張ったなぁ…。アレってそんな重要なもんだったんだ。グッジョブ、過去の俺。」
主に未知の樹海とか樹海とか樹海とか。
…樹海しかしてないじゃん。
「砂漠と樹海…二つの場所に配置したエネルギーの供給源。本来ならばそれを辿り、周辺のギルドから潰して行く予定だったのだ。
最後にドンドルマを破壊し、力を蓄えてタンジアまで進む…それが私の最終目標。
だが貴様は、それらをことごとく潰してくれた。最早泣いて済まされるものではないぞ!」
砂漠?あー…はいはい、アレね。あの地下に未知の樹海と同じようなモンがあったってことか。
うっわ、スゲェな俺。
「ふーん。羽捥がれて再生中のヤツの言うことは説得力が違いますね(笑)
そういやぁ、なんでこんな事してんだよ。どうせ碌でもないことなんだろうけど。」
「クク…そんな物、決まっておるわ。」
「…次にテメェは『人間を粛清する為だ!』と言う。」
「人間を粛清する為だ!…ハッ!?」
「あー…やっぱりかぁ…。何処の世界にも同じこと考えるヤツはいるんだなぁ…。」
「な、何故私の言うことが分かったのだ!?」
「ギルド云々言ってる時点で予想は出来るし、何よりドンドルマがあの有様だしなぁ…。
こーいう過激な事考えるヤツの行動理念なんて、大概ワンパターンなんだよねぇ…。…思い出したら頭痛くなってきたぞコンチクショウ。」
「…何を…言っている…?ワンパターン?私がか?」
「お前のやってる事ってさぁ…結局は自分の首絞めてんのと変わんないんだよね…。
『この家畜はたった一つの食料源だが、匂いが酷すぎる。そうだ、皆殺しにてしまおう。』って言ってんのと同じなんだよ。わかる?」
「何処が同じなのだ!人間は欲深い!放っておけば必ず私達は死滅してしまう!その前にその芽を摘むことの何が悪いと言うのだ!?」
「面倒くさいなぁ…。こういう説教みたいな事、俺苦手なんだけど…。
じゃあ問題。人間が増えて一番困る種族はなーんだ?」
「そんな物、竜に決まっているだろう。」
「残念。正解は人間でしたー。」
「何?」
「…人が増え、竜が狩り尽くされた後、人間は必ず衰退する。何故なら何も無いからだよ。
いくら鉄を打って物を作っても、俺たちの素材が無ければ長持ちしない。
だからもう一度作る。だけど今度はエネルギーが足りなくなってくる。そういった負の連鎖が重なって、遂に人間は滅ぶんだよ。
逆に竜が増えて困るのも竜さ。縄張り争いの激化、共食い、食料不足、砂漠化…いろんな問題が起きる。
分かる?テメェのやってんのはさっきの例えと同じ事。竜は竜らしく生きてりゃいいのに、なまじバランスとか考えちゃうから、こんなトンチンカンな事おっぱじめちゃうんだよ…。」
「…まさか…私のしてきた事は…。」
「無駄じゃね?確かに人間の武器も強くなるんだろうけど、それ以上に竜が進化してるもんなぁ…。本当、世の中って上手く出来てるよ。もしかして誰が意図して作ったんじゃねえの?って思う位にさ。」
「…私が間違っていたのか?…そんな…嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ!」
ヒステリックな叫びと共に、古龍の周りを大量の闇が覆う。
黄金に煌めいていた身体に黒いシミが付着し、白とも黒とも取れない複雑な色彩を呼び起こす。
それに応じて闇の量も増大し、飛散したウイルスが空を黒く覆っていく。
「…スゲェなこりゃ。流石腐っても古龍だわ。」
「シャガァァァアアアッッ!!」
「はぁ…もしかして我を失ってる感じ?この分だと説得は無駄かぁ…。
まぁ、いいか。殴れば。」
うん、やっぱこういう考えない行動の方が、俺には合ってるわ。
さーて、この逆ギレ野郎に灸を据えてやりましょうかね。