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クエスト名:
謎の竜の調査
場所:
最後の楽園
依頼者:白いワンピースの少女
内容:
月に一度開く楽園の地♪
何物も住めない火山の火口にて、その竜はあなたを待ち受ける♪
もし挑むなら気を付けて?その竜は、かつて古龍をも打ち倒した最強の竜♪
竜でありながら古龍でもある、誇り高き最強の竜♪
もし面白半分で受けるなら…その時は覚悟せよ。
…人間よ、畏怖せよ恐怖せよ。
最強の最強たる所以をその本能に刻み込め。
竜の誇りを傷つけた代償をその身に刻み込め。
強く、荒々しく、堂々たる竜の魂の鼓動を…。
…その魂に…刻み込め…。
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「…その話、本当か?」
「本当なのじゃ!妾が嘘をつく訳なかろう!」
「しっかし…親父達が倒せなかった…いや、倒し損ねた竜だろ?確か死んだって聞いたんだが…。」
「それが生きとったらしいんじゃ!まさかあの者が死ぬとは思わず、当時は随分と泣いたもんじゃが…。
フフ…やはり生きとったか…。」
「だがなんで今頃になって姿を現したんだ?今までそんな存在、少しも聞かなかったんだが…。」
「おそらくじゃが…あの怒れる邪龍を倒したのが原因のようじゃな。
それまで調査の進まなかった火山の火口にて、新しい地帯が発見されたそうじゃ。
その地にて新種の竜が発見され、一時騒然としたそうじゃが、その調査隊にはベテランのハンターが幾人もおってな…その竜と戦ったそうじゃ。」
「へぇ…なら俺らには関係ないな。もう討伐されたんだろ?そいつ。」
「…全滅じゃ。」
「何?」
「じゃから全滅したんじゃよ。
幸いにも死者は出ておらんようじゃがな…その調査隊に参加したハンターは暫く復帰出来んそうじゃ。」
「…マジかよ…全滅?ベテランがか?」
「そうじゃ。しかも新種の武器、穿龍棍を担いだ者もいたそうじゃよ?」
「それでも負けたってのか?…信じられねぇ…。」
「ギルドは騒然としておるようじゃな。
しかも、報告によればかつてのそれとは格が違うそうじゃ。
そのせいで名前まで変えられる始末じゃ。…カカッ!あの竜ならばあり得る事じゃのう!」
「…へぇ…なんて名前になったんだ?」
「黒闘竜改め『魂砕竜』(こんさいりゅう)、正式名『アニムレムレ』。今、祖龍を除いて最強と名高い竜じゃよ。」
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火口…それは何物も入れぬ未開の地。
かつては黒龍ミラボレアスの亜種、ミラバルカンが支配していたこの土地は、今は人間によって綿密な調査が進められている。
…筈だった。
「ぎゃぁぁああ!!」
「おい!…チクショウ…なんなんだこいつ!」
それは緑生い茂る果てなき楽園の中心にて待つ者。
「焦るなぁッ!幸い、これは調査だッ!回復薬ならば幾らでもあるッ!先ずは態勢を立て直せッ!」
「「「おうッ!」」」
体色は黒。光を飲み込む純粋なる黒。
それは景色でさえも飲み込んで、妖艶な光を朧気に放つ。
ガギィンッ!
「クソッ!なんだこの硬さ!甲殻の隙間すらねぇぞこいつ!」
「尻尾、口、足の指辺りは一応刃が通るぞ!…直ぐに再生しちまうがな…。」
右目は金、左目は赤。知性と凶暴性を秘めた目は、鋭く敵を射抜く。
「打撃なら通る!どけぇっ!新武器の穿龍棍、とくと味わえ!」
ドッ!ドガッ!ガスッ!ドコォッ!ドンッ!
「行けェ!やっちまえ!」
「ハッハァ!どうよ化け物!手も足も出まい!
くらえ!龍穿撃!」
ズドンッ!
「…」
「チッ!ヒビすら入らねぇ…。
…んなッ!?」
…フッ…
人の動体視力を超え、竜はかき消える。
その重量故に、決して空を飛ぶ事は叶わずとも、地上にて彼に勝てる者はいない。
故に、最強。
「クソッ…何処に…」
「おい、後ろだ!」
竜は拳を振るう。掴むための指も、切り裂く為の爪もない拳は、ただ敵を打ちのめす為にある。
指も爪もない純粋な拳。その為、弱点らしい弱点がみられず、弱体化も不可能。
故に、最強。
ドッ!
「ッガァ…!」
「おい、やべぇぞ!あいつ打ち上げられちまった!
誰か粉塵を用意しろ!」
…スッ…ゴギュガァァァァアア!!!!
超質量を誇る凄まじく重い拳が、限界を超えて振るわれる。
大気は焼き切れ、地面は溶け、烈風が辺りを切り裂く。
それ故か、辺りに響くのはおぞましい怪音。
足踏みによって打ち上げられたハンターの姿は、拳の振るわれる残像によって確認出来ない。
やがて止む、拳の乱打。
ボロボロになり、意識を失ったハンターがゆっくりと地面に落ちていく。
それさえ許さぬ、竜の一撃が炸裂する。
ズドォォォォオオオンッッ!!!
「…かっ…はぁ…。」
「おい…まさか…アレって…。」
「りゅ、龍穿撃…。あいつ、この短時間に俺らの技を真似しやがったのか!?」
恐怖。得体の知れぬ物に対する明確な恐怖。
その最中でも、仲間を救う為に奔走出来るのは、ひとえにその修練の高さからだろう。
だが。
その竜はまだ…。
「…………ォォォォォォオオ。」
「な、なんだ?」
「何する気だコイツ…。」
本気の欠片でさえ…。
「ヤベェ…ともかくヤベェ!逃げろ!ニゲロォッ!」
「う、うわぁぁああ!?!」
「走れぇ!」
「クソッ!こんなん聞いてねぇぞ!」
出していなかった。
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咆哮。生物であるならば、どんな生き物でも出来る威嚇。
竜はただ、それを全力でしただけだ。
だが、それは、人間の心を砕くのに、十分過ぎる物だった。
脇目もふらずに逃げだした人間は、見る事さえも叶わなかったが、そこには威風堂々たる竜がいた。
二本足で大地を掴み、緋色に燃える拳を構え、隙なく構えられた尻尾の先からヒレのような物が伸びる。
額から鼻先に向けて伸びる角は炎こそ発していないものの、近づくだけで押し返されるような威圧感を放っている。
紅く燃える左眼と、黄金に燃える右目。日に照らされ、白金に輝く後方に伸びる角。
そこから噴出された蒸気は煌々と金の光を放つ。
並みの者は近づく事さえ出来ず、半端な者は魂ごと砕かれる。
故に、『魂砕竜』
その竜は今。
「ォォォォォォオオオオォォォォ!!!!」
勝利の雄叫びを空に上げた。
はい、と言う訳でブラキさん死んでません。
脱皮しただけです。
抜け殻を適当な所にポイしただけです。
ミラルーツさんによって火口付近に封印されてました。
解かれる条件はミラバルカンが死ぬ事。
そんだけの事です。
いやー…終わりましたねぇ…。
大体一年ですか?本当にこんな駄文がよく完結したって感じですよねぇ…。
ではこの物語の最後に、最後の後書きを。
この作品の主人公である一歌さんの元ネタは、宮沢賢治の雨ニモマケズだったりします。
過酷な環境に耐え、欲を持たず、自分の信念で行動する…。作者が最も憧れる人物像です。
その為、最初は普通の日常生活環境の中のつもりで書こうとしてたんですよ。
でもそうすると、どうしても時代背景が古くなってしまいます。
その為、思いっきり原始的な環境に放り込んでやろうと考えて作ったのが…この作品でした。
まぁ、副次的な理由ですけどね(笑)
一番の理由は強いブラキディオスが書きたかったから。これに尽きます。
そのせいで色々拗れてますが…まぁ、今更ですね(笑)
なので読み返してみると、所々にそういった要素があると思います。
デクノボーの下りはブラキさんの過去、夏ノ暑サの下りはブラキさんの辿ったルート。
でもまぁ、個人的に気に入らない箇所は容赦なく(物理)してますが。
とまぁ、色々野暮な事を書きましたが、何はともあれ、これでこの物語はおしまいです。
今までの御愛読、本当に、本っ当に!ありがとうございました!