もんすたーな世界にもんすたーで転生?   作:ひなあられ

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番外編:あるいは竜と人の頂上決戦 2

咆哮と共に溜めのモーションに入る竜。

一気に凝縮されたエネルギーが、爆音を伴って辺りに放たれた。

態勢を下げ、腕を顔の前に翳す事でそれを避ける人間。

迂闊に近づけないと判断したのか、その場で次の現象を観察するかのように佇んだ。

 

魂砕竜が右足をジリジリと浮かせる。

角、尻尾、腕に存在していた緑の炎は消え、その全てが足に集中している。

ジャキン!という音と共に右の排気筒が伸び、煌めく蒸気が吹き上がる。

黄金に輝く右眼が静かな炎を上げた途端…。

右足が振り下ろされた。

 

バギャァァァンンン!!!

 

凄まじい怪音。それは一本の大木が奏でる音。

ほぼ一瞬ともいえる間で急激に成長した真っ黒な大木。

快晴だった空がにわかに曇り始め、遥か地平線まで続く楽園の木々が轟と騒めく。

竜の右側にそびえ立つ黒い大木は、まるでこの世の全ての呪いを受けたが如く、楽園を地獄へと変えていった。

花は枯れ、果実は萎び、樹木は葉を落としていく。

吹き荒れる破滅の風。黒い樹木の成長が止まる頃には、楽園に存在していた草木は全て消え、黒々とした地面だけが残っていた。

ヒビ割れた地面に黒々と不気味に立つ一本の樹木。

人間は、ただ呆然とそれを眺める他無かった。

 

それを意に介さぬかのように、今度は左足を振り上げる竜。

再び起こる怪音。…しかしその音は、先程の音と違い、何処か神秘的な響きを持っていた。

 

シャキャァァァアア!!!

 

満ち溢れる光。

黒い樹木と双璧を成すかのような白い樹木は、竜の頭上で黒い樹木とより合わさり、更に巨大な大木へと変化していく。

荒廃とした地獄に白い風が起こる。

それに触れた地面は黄金に輝き始め、新たなる命を芽吹かせる。

白とも金とも取れぬ、不思議な色合いを放つ丈の低い草。

それが地面を隙間なく覆った時、伸び続けていた大木がようやく成長を止めた。

 

「ガァッーーーァァァァアアアア!!!!」

 

再び咆哮。

衝撃波を伴って放たれたそれは地面をめくり上げ、大木を黒と白の燐光に変える。

ドーム状に爆散する燐光。

 

その瞬間。人間は左の腰に差していたナイフを4本、目の前の地面に投げて突き刺した。

 

バチ…チリ…チチチチチ…。

 

不穏な音を響かせ、青白いスパークを散らすナイフ。

吹き散らされる燐光。

乾いた雷鳴が天地を穿ち、変質した酸素が焼け焦げたオゾンの匂いとなって辺りに漂う。

その中心にいるのは粘菌を蒼く染めた魂砕竜。

眼の炎と排気筒は元に戻っているが、粘菌は既に蒼い炎を吹き上げていた。

 

本来ならばなす術もなく感電してしまうであろう全方位への雷撃。

それをナイフのみで回避してしまった人間の知略には末恐ろしい物がある。

使い物にならなくなってしまったナイフには目もくれず、腰だめに構えた太刀を持って疾走するハンター。

刀には白い光が灯り、彼自身の体も薄く発光している。

 

ズギュオォ!!

 

「…ッツ!」

 

未だ散る燐光の中より現れる竜。

予想外のスピードに驚きつつも、それに対応するべく抜き身の太刀を体の前に水平に保つハンター。

竜はそのままの勢いで、両腕を後ろに引き絞る。

その両腕に一層の光が集まり…。

凄まじい勢いで連続で打ち出された。

 

「ガァッッツァァア!!!」

 

ズギャァァア!!!

 

赤熱する地面。焼け焦げる空気。一振り毎に放たれる強烈な雷光。

例え古龍でもまともにくらえば死にいたるであろう連撃を前にして…。

人は、小揺るぎもせずにその攻撃を見据えていた。

人の動体視力を超える速さで打ち出される拳。いくらベテランのハンターである彼でも捉える事は出来なかった。

だがしかし、それで詰むほど彼は甘くない。

 

水平に構えた太刀に走る僅かな感触。

ただそれだけを頼りに太刀を動かすハンター。

スパークも、熱も、手応えさえも無い。

まさに流れるが如く攻撃をさばくハンター。

攻撃は横に逸らされるも、竜は態勢を崩す事なく再び攻撃。

ハンターは後退しながら攻撃をさばいているので、一見ハンター側が押されているように見えるが、実の所押されているのは竜の方だった。

 

ハンターの足元の地面は一切赤熱しておらず、的確な位置に逸らされた攻撃はその衝撃波でさえハンターに届かない。

竜はしばらく連撃を続けていたが、敵わないと悟ったのか連撃を止めた。

 

それを見逃すハンターではない。

 

攻撃が止まる数瞬前に攻撃をさばきながらまえに出る。

抜き身の太刀を大上段に構え、その角めがけて振り下ろす。

刀身の輝きはオーラどころではなく、最早近代の光学兵器のような光を放つ。

太刀が角に触れるか否かどうか。

その瞬間。

 

ハンターは雷光と共に吹き飛ばされた。

 

ハンターは見誤っていたのだ。

竜の連撃の真骨頂は、連撃を止めた後に放たれる必殺の一撃。

連撃を止めた時、その両拳が後ろに引き絞られている事さえ見ていれば、このような手痛いしっぺ返しを食らう事も無かっただろう。

 

吹き飛ばされつつも態勢を整え、体から立ち上る僅かな煙に苦笑しつつ回復薬を煽る。

全快とはいかないものの、手足に残る痺れは取れたようだ。

少しよろめくが、それでも身軽に立ち上がるハンター。

 

人間では竜に敵わない。

この戦いは竜の勝ちであると誰もがそう思うであろう。

その竜に異変が無ければの話だが。

 

両拳を打ち出した姿勢のまま微動だにしない竜。

いや、正確にはどの程度の損傷があったのかを粘菌で調べているのだろう。

竜の両拳。

それらは見事に欠けていた。

まるで剣の束に拳を突っ込んだかのように走る刀傷。

所々甲殻が取れており、少なくない損害が出ている事は明白だった。

 

ハンターは『抜き身』の太刀で拳をさばいていた。

なら攻撃をさばく時、当てられていたのが刃の方だとしたら?

そうなると、竜の連撃の早さが仇となってしまう。

なぜなら攻撃の速度が早ければ早い程、その甲殻に大きな傷が出来てしまう事になるのだから。

その結果が今の竜の拳である。

いかに硬い甲殻とはいえ、自身のスピードさえ利用された攻撃を当てられればひとたまりもない。

 

両者、静かに互いの状況を確認する。

 

それを一秒に満たない間に終わらせ、次の攻撃に備えた。

ハンターはより一層の輝きを放つ太刀を鞘にしまい、居合の態勢へ。

竜は蒼く燃える粘菌を鎮め、紅い粘菌を活性化させる。

 

最後のぶつかり合いが始まろうとしていた。




解説:
7、陰陽樹形成
unknownの四股踏み咆哮の超強化バージョン。近くにいると最初の咆哮で打ち上げられ、黒大樹→白大樹→陰陽樹→大咆哮の超絶オーバーキルを食らう。これといった特殊効果はなし。ただし地形が大幅に変化する為、ジャンプ出来る箇所が極端に少なくなってしまう。

雷撃粘菌ブラキさんモーション
1、全方位雷撃
判定は一瞬。ただし『全方位』は伊達ではなく、例え空中にいても当たる。当たればスタン必須。
2、超速移動
ガンナーだし遠くから撃ってりゃいーや。という輩を瞬殺する動作。「…残像だ」を素でやってくる。移動時は全体に霞がかかる。
3、連撃
その名の通りただの連撃。ただし、捕まれば超絶オーバーキル一直線。止めに遥か彼方まで届くパンチが放たれる。慈悲など欠片もない。
4、轟雷竜砲
ようはレールガン。今回出番なし。電磁浮遊で持ち上げた物体を殴り飛ばす。ガンナー殺し。しかも地面には暫く地形ダメージ(熱)が残る。
5、雷尾
今回出番なし。尻尾に溜めた電気を斬撃状に飛ばしたり、サマーソルトで前方に連続して雷を落とすなどしてくる。
6、雷拳
今回出番なし。振り下ろしによってジンオウガよろしく雷撃を出す。
※上3つは隙が多過ぎてレイスターさん相手に通用しないと判断しました。…ケッシテテヌキジャナイヨ?ホントダヨ?レイスターサンガツヨスギルダケナンダヨ?
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