チェンジリング・悪役令嬢と平民主人公の入れ替わり 作:julas
「三番テーブルさんのお茶入ったから持って行って差し上げて」
「了解だ!」
アンジェは元気よく返事し、リオンがセットした配膳を受け取りホールへ向かっていく。
学園祭初日、天気は快晴。正に学園祭日和。
「晴天に恵まれたのもあってか客の入りも上々だな」
「そうだな。まぁアンジェ目当てっぽい男性客が多いのが少々気にかかるが」
「アンジェリカさん、美人な上に平民だから貴族社会に擦れてないからね。そういう姿に癒されるって男子生徒多いんだよ」
「アンジェのチラシ配りのお陰もあるんだろな。お陰で男客ばかりで何とも華やかさに欠けるが……いや、それで良かったのかもな」
女尊男卑の風潮蔓延る学園。そこの女生徒達の酷さは今更語るまでもなく、他の屋台などでも難癖付けて値切ろうとしたり酷いのだと踏み倒そうとする女生徒客の話も届いていた。
そう思うと男性客だらけなのも却って良かったのかも。
だが女性客が少ないとはいえゼロではない。
「何よこのぬるい茶は!」
ここバックヤード迄聞こえてきたヒステリックな金切り声。
その声にリオンはうんざりした様に溜め息を吐きホールへ向かう。
「他のお客の迷惑になる。仕方ないから頭下げてくるよ」
前世で二十台で早逝したとはいえ社会人経験もあるリオンは、他の純粋な十代生徒達とは違う自覚もあってか率先して面倒ごとを受ける程度の甲斐性もあった。
「店主のバルトファルトです。申し訳ありませんでした。ただ今淹れ直してまいります」
リオンが出向いた先でふんぞり返っていたのは亜人奴隷を引き連れた茶髪をツインテールにし額を出した髪型の女生徒。
「さっさとしなさいよ、このグズ! あと、客を不快にさせたんだから詫びにここのお代タダにしなさいよね!?」
「いえ、淹れ直しによる料金割り増しなどはいただきませんが、正規のお代分は頂戴いたします」
「やかましい! こっちは決闘でアンタのせいで大損こいて借金返せないわ奴隷も一人手放すわで散々なのよ! 黙って料金ぐらいタダにしなさいよ!」
言いながら女生徒はカップを持った手を上げる。中に入った茶ごとリオンに投げつけるつもりだろうか。
その時、その手を掴む手が。
「あらあら。貴族の子女たるモノそんなはしたない真似するものではないわよ?」
「誰よ!? 私に指図するのは――ってアトリー伯爵家の御令嬢!?」
女生徒はその手の主の顔を見た瞬間顔を青くし、リオンも声を上げる。
「クラリス先輩!?」
驚いた顔を見せるリオンに向かいクラリスは笑顔でウインクして見せると、女生徒の手からカップを取り上げ一口すする。
「あら、味も香りもちゃんと出てて美味しく淹れられてるじゃない。男爵、腕を上げたんじゃない?」
クラリスの言葉にリオンは「恐れ入ります」と頭を下げる。
「ホラ、貴女もちゃんと味わって飲んでみなさい?」
クラリスからカップを返されると女生徒は恐る恐る口を付け「お、美味しいと思います……」と返す。
「でしょ? じゃぁ飲み終わったらちゃんと代金支払いなさい? それとも借金でお茶代も払えないとか言いうんじゃないでしょうね? 貴方、その顔、一体どこの業者から借りたのよ」
女生徒が答えるとクラリスは呆れ顔を浮かべる。
「また随分質の悪いところから借りたものね。仕方ないわね」
クラリスが目配せすると取り巻きは手帳とペンを差し出す。クラリスはサラサラとペンを走らせそのページを切り取り女生徒に渡す。
「アトリー家とも付き合いのあるところだからここに行って借り直しなさい。利息も猶予もずっと緩やかだから。コレ見せれば取り計らってくれるわよ。あと、貴女の知り合いで同じように難癖付けようなんて馬鹿なこと考えてる子が居たら止めさせなさい。いいわね」
クラリスの言葉の最後の方は声が低くなってたのもあってか、女生徒は恐縮と感謝が入り混じった様にぺこぺこ頭を下げるのだった。
「助かりましたクラリス先輩! 見事なお手並み感服いたしました!」
厄介な客のトラブルを見事納めてくれたクラリスに向かいリオンは溢れんばかりの感謝を伝える。
「良いのよ気にしなくて。男爵も大変ねあんな客も相手にしなくちゃいけないなんて」
言われてリオンは「恐縮です」と頭を下げる。
「クラリスの姉御! わざわざ足を運んでくれてありがとう。それとすまなかったな折角来てもらったのに面倒ごとに巻き込んでしまって」
「ヤッホー、アンジェ。遊びに来たわよ。それがウェイトレスの制服? ヤダ、凄く可愛いじゃない!」
「ありがとう姉御にそう言ってもらえて嬉しいよ」
「うんうん。でも本当可愛いわね。ねぇ、この制服って予備とかある?」
「ん? 私の予備で良ければあるが、姉御も着てみたいのか? と言う事は姉御とお揃いか……」
言いながらアンジェがリオンに目配せするとリオンが頷き「更衣室に案内して差し上げて」と。
――そして数分後。
「ジャーン! どうかしら?」
「とっても素敵ですクラリス先輩! アンジェと並ぶと凄く映えます!」
「そうだろうとも、リオン! なんてったって私の自慢の姉御だからな!」
「フフッ。ありがとう二人とも。私もアンジェとお揃いの制服に身を包めて嬉しいわ」
クラリスはアンジェの肩を抱きながらウインクして見せると周囲から歓声やら拍手が巻き起こる。
クラリスの取り巻き達の「お嬢様もアンジェリカ嬢もとてもお似合いです」との賛辞は元より、茶を楽しんでいた客たちからも拍手や歓声が飛び交う。
「みんな、ありがとっ。じゃっ、このまま接客に入らせてもらうわね」
クラリスの申し出にリオンは恐縮の声を上げる。
「え? いや先輩そこ迄していただかなくても――」
「いいからいいから。私が好きでやらせてもらうだけだから。って、あら、早速お客さんみたいね。見せてあげるわ私の接客。いらっしゃいませー」
「男爵、我々も微力ながら力を貸そう。男子の制服の――ウェイターの制服の予備はあるかな?」
主であるクラリスが手伝いを申し出たのでそれに倣ってと言う事だろうか、取り巻きの先輩たちも申し出てくれた。
ここで断って好意を無碍にしては却って顔を潰すと思い、リオンは承諾する。
「クラリス先輩も先輩方も御好意ありがたく受けとらせていただきます。先輩方のご立派な体格に見合うサイズは生憎無いので前掛け――エプロンでお願いできますか?」
「うむ、お借りしよう」
そうしてリオン達の喫茶店はクラリス達の助けを受けることに。
アンジェに加えクラリスと綺麗所のウェイトレス二枚看板の噂が瞬く間に広がったのか客の入りも一気に増加。
人手も増えた事と相まって回転率も上がり想像を超えた大盛況に。
そんな中、来客の中にまた一人見知った顔が。
「あら、オリヴィア様、いらっしゃい」
「アトリー嬢!? ここって確かアンジェと男爵の……?」
「ええ、合ってますよ。遊びに来て、そのまま流れで手伝わせてもらってるの」
言ってクラリスはウインクして見せ、直後オリヴィアが女性の供をしてたのに気付く。更にはその正体に気付き思わず声を上げそうになる。
それを制する様に女性は自身の口元に人差し指を立て微笑み「お忍びなの」と言葉を紡ぐ。
オリヴィアに視線を送ると困ったような笑みを浮かべていたので、状況を察したクラリスは女性に向かい黙したまま頭を下げ礼を取るのだった。
「ところでアンジェは?」
「ええ、勿論居るわよ。お呼びするわね。アンジェー! オリヴィア様が来てくれたわよー」
「おお、リビア! よく来てくれた。歓迎するぞ!」
クラリスに呼ばれアンジェが笑顔で駆け寄ってくる。
次の瞬間オリヴィアを伴っていた女性が大きく目を見開き眩暈を起こしたかのようによろめき、気付いたオリヴィアと、クラリスもまた慌てて支える。
異変に気付いたリオンも慌てて駆け寄ってくる。
「お客様! どうかされましたか!? ……!?」
リオンは女性の顔に驚き息を飲む。それは気付いたから。
貴族の頂点である公爵家の令嬢であるオリヴィアを伴える女性――それはそれ以上の階位、即ち王族に連なる貴人。
そして輝く銀髪と美貌の持ち主となれば該当する人物はただ一人。
それは実年齢は三十路も半ばながら二十代と見紛う若々しい容貌としても有名なこの国の王妃、ミレーヌ・ラファ・ホルファート以外ありえないと。
「御気分が優れない様でしたら個室もございます。其方にご案内しましょうか?」
リオンが口を開くと王妃の代わりにオリヴィアが「お願いします」と答え、クラリスと共に王妃を支え、リオンの案内に従うのだった。
「見苦しいところを見せてしまったわね。ごめんなさいねリビア。アトリー嬢とバルトファルト男爵にもお手を煩わせてしまいましたね」
個室で落ち着きを取り戻した王妃は礼を述べるとリビアは微笑み静かに首を振り、リオンとクラリスは「滅相もございません」と頭を下げる。
「迷惑かけた直後で申し訳ないのだけれど、リビアとアトリー嬢には席を外してもらえないかしら。バルトファルト男爵と二人きりでお話を伺いたいことがあるの」
王妃の言葉にオリヴィアとクラリスは一瞬驚きと戸惑いの表情も見せるも頷き受け入れる。
「バルトファルト男爵、くれぐれもよろしくお願いします」
「とんでもなく高貴なお方相手だけど、男爵なら大丈夫よね?」
「お気遣いありがとうございます。お二人とも、アンジェの事よろしくお願いします」
リオンは体調を崩したかに見えた王妃を心配そうに気遣い見守ってたアンジェを思い出しながら二人に託すのだった。
そして部屋にはリオンと王妃の二人きりに。
王妃と二人きりの状況にリオンは思案する。一体如何なる目的で人払いしたのかを。大方の予想は着くが。
そんなこと思ってると徐に王妃が口を開く。
「驚きました。まさか彼女、あんなにもそっくりなんて……。公爵が気に掛けるわけですね」
リオンはやはりそれか、と思う。そっくりなのは言うまでもなくアンジェとその実母――亡き公爵夫人のことであろう。
リオンの強張った表情に、王妃は柔らかな笑みを向ける。
「そんなに緊張なさらずとも良いですよ男爵。あの方はね、私にとって姉の様な方でした。他国から嫁いできた私にとても良くしてくださったの」
言いながら王妃は遠い眼をする。その眼差しにリオンも僅かに緊張をほぐす。
「だからね、今わの際の言葉を叶えてあげたいの。"娘達をお願い"って言葉を」
公爵家の令嬢は公にはオリヴィア一人だけである。当時も今も。その上で"達"と言ったという事は彼女が存命中は終ぞ行方を掴めなかった実の娘のアンジェをも指してることを。
そして血の繋がらぬ娘であるオリヴィアも実の娘同様、二人の娘をどちらも大事に想い心配してたのを察することが出来た。
「でも本当にそっくりでびっくりしちゃったわ。先程、リビアに挨拶してくれた笑顔も、私を気遣い心配してくれたその顔も……」
リオンが王妃を個室に案内する際、既にオリヴィアとクラリスが支えてたのでアンジェは出る幕は無かった。だが終始心配そうな視線に王妃も気付いていた。
その眼差しに今は亡き大切な人の面影を重ねてたのだろうか。
「そんなに、そっくりでしたか……?」
リオンは思わず言葉が口から衝いて出てしまった直後、口元に手を当てる。
そんなリオンに王妃は柔らかな微笑みを向ける。
「ええ、とっても。あと、心配なさらずとも良いですよ。ここで話したことは他言するつもりはありません。その為の個室と人払いですから」
王妃はそう言うが、リオンの顔から未だ警戒心は消えない。
「彼女に幸せになって欲しいですが、だからと言って王宮に迎える様な短慮なことはしませんから。平民として育った彼女に王宮の尺度を押し付けるなんて、そんな右も左もしきたりも分からないのに迎えては苦労させるの目に見えてますものね」
王妃の言葉にリオンは気まずそうな表情になる。それは決闘の時にリオンがユリウスに向け言った言葉だったから。
そのリオンの表情に、ミレーヌは悪戯っぽい笑みを浮かべる。
それは実年齢通りには見えず20代か下手すれば少女と見紛う笑顔に見惚れて良いのか慄いていいのやら、とリオンは困惑混じりの表情に。
「やっと砕けた表情を見せてくれましたね」
言われてリオンは思わず自分の顔に手を当てる。
「男爵ってばずっと難しい顔でしたからね。まるで愛しい恋人が奪われるんじゃないかと心配でもしてるかのように。大丈夫ですよ。言ったでしょう"あの方"の言葉を叶えてあげたいって。彼女の幸せを思うのなら男爵、貴方にお任せするのが一番の適役みたいですからね。だから引き離したりしないから安心なさい」
「そのお言葉……信じてもよろしいのですね?」
リオンの言葉に王妃は微笑みで返す。
「本当に大事に想ってるのね。安心して墓前に報告に行けるわ」
そっと目を閉じる王妃のその仕草は、懐かしき亡き恩人に思いを馳せてるのであろうか。
「男爵。天国にいらっしゃるあの方に変わってお礼と引き続きのお願い申し上げます。どうか彼女を、末永くよろしくお願いします」
王妃の表情からその思いを感じ取ったリオンは深く頭を下げる。
「彼女は私にとっても大切な宝です。この身命に変えましても」
リオンの答えに王妃は満足げに微笑むのだった。
「さて、彼女に関する話はここ迄にして、今日あなたに会いに来たのにはもう一つ理由があります」
言って王妃が微笑むと、リオンの顔が引きつる。
「あ、あの……それって若しかして……」
「ええ。息子のユリウスが大変"お世話"になったので是非とも"お礼"に――」
王妃の言葉の途中リオンは片膝どころか両膝を着き、さらにはその頭を床に着きそうな勢いで下げようとしたので慌てて制する。
「待って待って! 御免なさい、ちょっとした悪戯心のつもりで含みある言い方しちゃったんだけど想像以上に怖がらせちゃったみたいね。えっとね"お世話"も"お礼"も額面通りの意味と取って頂戴。皮肉や嫌味じゃなくて」
「と、仰られますと?」
リオンは慎重に言葉を紡ぎながら王妃の顔を伺い見る。
「ユリウスがね、最近のあの子、夏季休暇なんか休日返上で帝王学に執務に王子としての勤めに励んでくれてるの。それこそ人が変わったみたいに。あの子があんなにも王族としての自覚持って頑張ってるのなんて初めてで。だから本当に感謝してるの。それにリビアとの仲もとっても睦まじくってね。寝食を忘れて取り組むあの子の為にリビアがお弁当作って差し入れに行くこともしばしばで」
「オリヴィア様と殿下が……」
王妃の話を聞きながらリオンは感慨深げに呟きを漏らす。
リオンからすれば二人は主人公と攻略対象筆頭。ゲームの本筋を思えば非常に喜ばしい成り行きにその顔がほころぶ。
「ありがとう男爵」
「はい?」
不意に王妃の口から出た感謝の言葉にリオンは戸惑いの声を上げた。
「ユリウスとリビアの仲が良好って話にそんなにも嬉しそうな顔を見せてくれて。本当にあの子達の事を気に掛けてくれてるのね。本当にありがとう」
リオンとしてはそこまで深い思いがあってのことではなかったので逆に恐縮してしまう。そんな姿も王妃には謙虚に映ったのか益々嬉しそうに。
「あの子ったら自分が叩きのめされたのにも拘らず、貴方の事まるで憧れの英雄みたいに語ったのよ」
その言葉にリオンは思わず吹き出しそうになり、直御「失礼しました」と頭を下げると、王妃は「気にしないで」と笑顔で返す。
「そういう訳だから、今後もユリウスと、そしてリビアのことも支えてあげて頂戴ね」
「この身に変えてでも」
王妃の言葉にリオンは恭しくこうべを垂れるのであった。
「お店忙しい中、長々と引き止めてしまって御免なさいね。あと、折角の喫茶店なのだから私にもお茶をいただけるかしら?」
「勿論です王妃様。心を込めて淹れさせていただきます」
「ありがとう。じゃあリビアも呼んできてくれるかしら。それと、お茶を運んでくるの彼女にお願いしてもいいかしら?」
王妃の言葉にリオンは「承りました」と答え一礼し個室を後にするのだった。
暫く後、満足したらしい王妃がオリヴィアを伴い去って行くとアンジェがリオンに尋ねる。
「なぁ、今のお客様って……」
「ユリウス殿下のお母上。つまりこの国の王妃様」
大体は察していたが改めて聞かされると驚きを隠し切れずアンジェは目を大きく見開く。
「それよりアンジェの方は粗相しなかったか?」
「リビアも一緒に居てくれてフォローもしてくれたし大丈夫だったと思う……多分」
アンジェの最後の方の言葉が小さくなってたので、リオンはやれやれと思いつつも、労うようにアンジェの頭を優しくポンポンと撫でる。
リオンが個室を去った後、王妃の供であるオリヴィアが戻り、お茶とお菓子を携えたアンジェが入室した。
その後しばらく王妃に乞われアンジェから色々話をしたのだった。その話に王妃が満足したであろうことは帰り際の表情から伺えたのだった。
今はもう会えない亡き恩人の忘れ形見が健やかに育ってくれたことを嬉しく思い満足したのだろう。
その後も来店し続ける客を捌き続け客足も大分落ち着く。
「さてと、お客のピークも過ぎた頃だしそろそろ行くわね」
「ありがとう。姉御も取り巻きの兄さんたちも。手伝ってくれて凄く助かった」
「クラリス先輩と先輩方。本当にありがとうございました」
クラリスのウェイトレスとしての仕事ぶりは実に堂に入って見事なものだった。
貴族の子女の、それも伯爵家以上の上級ともなれば王宮に入って行儀見習いも受けてるので、クラリスも例に漏れず見事な接客スキルを身に付けてたのだった。
「いいのいいの。私がやりたくてやったことだから。それにアンジェとお揃いの制服着れたしね。それじゃあ行くわね。この後も頑張ってね」
「ああ、姉御たちも学園祭楽しんできてくれ」
「ありがとうね。あ、でも一人だけ残していくわね。私たちが居なくなったの見計らってまた性質悪いのが来ないとも限らないし」
言って取り巻きの一人に目配せすると「お任せください!」と取り巻きは笑顔で答えたのだった。
その後ぽつりぽつりと疎らな客をのんびり捌きつつやがて客足が途絶える。
「お客さんも居なくなったことだし、少し早いけど店仕舞いにしようか?」
リオンがそう言うとアンジェが声を上げる。
「店仕舞いはもう少し待ってくれ。カーラがまだ来てないんだ」
「カーラ……さん?」
問い返しながらリオンは思い出す。ダンジョンでのこと。そして――
「分かった。じゃあ店仕舞いはもう少し待つよ」
そんな事を話し合ってると、ノックする音と共に「あの~」と遠慮がちにドアが開けられ紺色のロングヘア―の女生徒が顔を覗かせる。
「カーラ! よく来てくれた。先ずはもてなさせてくれ。直ぐに茶と菓子を用意するから」
アンジェは待ち人来ると言った感じで笑顔で駆け寄り、カーラを店中に招くのだった。
本音言うと直ぐにでもカーラ出したかったんですが、クラリス先輩とミレーヌ様に尺喰われました(笑
それでも今話のラストに滑り込ませました