第二文明圏の列強第五位の国レイフォルと蜜月関係にあるパガンダレィフォルに用がある場合、この国を通すことが多いために利権も多く、文明圏外の国々の蛮族を見下す国民性があった。
「ドグラス様、文明圏外国家が話がしたいと来ております。レイフォル国、我が国と国交開設をしたいそうです」
パガンダ外交局長のマーサが、レイフォル国と太いパイプを持つ王族の外交長ドグラスに要点を説明し、資料を渡す。
「国交開設を求めてきているのは、ウィルシア帝国という国家です。」
「おそらく新興国家です。我が国を通さずに好き勝手に外交しているようですが失敗しレィフォルに赴いたようですが、当然門前払い受けて我が国に来ています。」
ドグラスの眉間にシワがよって
「外交と言いつつ、我が国なんてどうでもいいぶざけた連中か!それに国家運営しているものが外交の常識知らないはずがないだろうに」
口汚く罵った。
「念のため確認しましたが、広く国交を持ちたいため。我が国とも国交は開設したいと申し出がありました」
「ふざけた国だ。わしが直々に対応してやろう」
ウィルシア帝国の外交団は、控え室に待機するように言われていた。この外交団には穏健派のトップの外務大臣ボリス・ガルージンが同行し、進展がない異世界外交に痺れを切らした形である。
「お待たせいたしました、こちらにどうぞ、外交長が対応いたします。なお、外交長は我が国の王族ですので、言葉に気を付けるように」
マーサの案内で、およそセンスがいいとは言えない、宝石でギラギラに飾った部屋に通された。
「なっ……!」
ウィルシア帝国は前世界において、2強のうちの一つの盟主であった。どんなに国力が離れていても、外交の場では対等として扱っていた。そしてこんな辺鄙な片田舎国家に訪れているにも関わらず、その外交長は椅子に座ったまま足を組んで出迎えた。
部屋には椅子が準備してあり、一時の沈黙のあとも「お座りください」の一言もない。無礼すぎる。元の世界では考えられない外交態度だった。
「初めまして、我が国はここより西側に位置する国家、ウィルシア帝国と申します。今回は第二文明圏全体と国交結びたいと考え、大陸西側代表のレィフォルに訪問しました。レィフォルでは、保護国てある貴国を通すようにと教授していただいたのでこうして足を運んで、次第であります。」
帝国は、「文明圏」と呼ばれる上位共同体がこの世界に存在することを把握していた。その力が定かではない内は軽率な行動をとるべきではない。
こんな国滅ぼすのはたやすいがそれは最終手段である。
「我が国、パガンダ王国は、第二文明圏列強国レイフォルの保護国である!」
帝国の外交官に対し、ドグラスは突き放すように言い放つ。彼は続ける。
「貴国は世界の常識すら知らない田舎国家のようだな。いきなりレイフォル国に国交を求めに行くとは、無礼極まりない!」
「この地方の常識を知らずに、気分を害されたなら失礼した。」
「まったく……これだから田舎国家は。まあよい、俺は寛大だからな。挨拶の品で許してやろう」
「挨拶の品?とは、一体……」
・第二文明圏との交易に際してはパガンダ王国を通し、関税をかける。関税率は項目により――
・パガンダ王国に対し、第二文明圏国家への口利き料金を金に建て替えて支払う。各国への額は――
・パガンダ王国を動かすために当外交局が稼働するため、外交長ドグラス個人に金及び関税の一部を納入する。額は――
「……これは真面目に言っておられるのですか?」
やたらと高い関税率と賄賂がとんでもなかった。最先端のレーザー艦やミサイル艦を作れる金額である。穏健派のボリス・ガルージンも
「貴国の外交長から、品格、礼を感じられない。こちらが下手に出ているのにこの仕打ちはなんだ!最低限の礼儀すらも持っていないのか!」
「なんだと!?たかが文明圏外の蛮族が、このパガンダ王族に品格を説くとはな!」
そう言ってドグラスは衛兵を指差した。
「おい!こやつを不敬罪で逮捕しろ!即日処刑だ!!」
「はっ!」
「な、何を!?」
衛兵が立ち上がり、外務大臣を連れ去ろうとする。
「何をするのです!大臣を離せ!こんなことしたら困難になる国の一つや二つ簡単に吹き飛ぶぞ」
ドグラスにとって、その言葉は火に油であった。
「うるさいぞ!衛兵、こいつらに処刑を見物させてやれ!こいつらの本国に、我が国に楯突くとどうなるのか教えてやるんだ!」
「くそっ!やめろ!やめろぉぉぉぉ!!」
ウィルシア帝国の外務大臣ボリス・ガルージンは、ドグラスが独断で適用した不敬罪により公開処刑され、帝国の外交官たちは国外退去処分となった。
ウィルシア帝国首都ヴォルガ
そして無念ながらに帰国した、外交官は外務省に報告した。そしてその内容は皇帝アレクサンドルにも届き激怒した。
皇前会議にて
「この報告聞いてかの国を報復したい臣民は山ほどいるだろう。」
皇帝は静かに語った。
「わが国を侮辱し、無力な外交官を処刑する国家に対等な外交求める余が愚かであったかー、あの二か国には神罰を下す。あの国を滅ぼし我らの統治下にしてしまえ」
皇帝の意思は決まっているようなものである。
レイフォル、パガンダ二か国の攻撃はこの皇帝の言葉で決定したようなものであるが、会議は始まる。
宰相ミハイル・カリーニン
内務省セルゲイ・スぺランスキー
国防省フィラレット・クザコフ
「国防省の試算からすれば、戦艦大和を旗艦とする極東艦隊だけで十分かと、太平洋艦隊、大西洋艦隊、先端技術艦隊を動かす必要は感じられません。懸念事項があるとすればワイバーンくらいでしょうか」
「宰相の私から、先端技術艦隊使いましょう実地訓練をしてしまいましょう。ウィルシア帝国は、超兵器により急速に技術発達し現場が追いついていないかもしれません。せっかくの的を使わないでどうされるのですか?」
「内務省から予算も世論も大丈夫でしょう。」
報告書見る限り魔法使える近世の国が、近代国家に喧嘩売っているのである。馬鹿馬鹿しいとしか言えないことである。
「極東艦隊と先端技術艦隊派遣しよう」
政府マスコミ発表
「我が国はパガンダとレイフォルを制裁する。外務省大臣殺人という野蛮行為した彼らには文明を我々は与える必要がある。これは、野蛮人を文明化する正しい行いである。言葉でわからない野蛮人には、暴力で躾なければならないのだ!」
怒らせてはいけない国を怒らせてしまったのであった。後の歴史では、もしパガンダレィフォルがきちんと対応していたら後の悲劇が起きなかったとされている。
ウィルシア帝国は架空国家ですゲームにも登場しておりません。