Fate/DisspectOrder 作:一般デーモンコマンド
「アンさん!?」
「カルデアの仲間のまんまる...!」
命をかけた大決戦を遮ったのは、空から降って来た龍魂珠。名前を呼ばれた龍魂珠はマリーの方へと向く。
「...ん?げっ、マリー...」
「げっ、て!ちょっと酷くありません!?というか、立香さん達と行動しているはずの貴方がどうしてここに...?」
龍魂珠に対してマリーは率直に疑問を投げかける。それにバツが悪そうに答えた。
「...えーと、だな。あっ、実はな、我、あいつ等と一緒に行動してたら、敵が現れてな。それで戦闘に巻き込まれて、ここまでふっとばされてしまってなぁー!」
ハッハッハ、と笑う龍魂珠を嘘ついてるなー、とジトッとした目で見るマリーだったが、ジャンヌ・オルタとの戦闘中だったことを思い出して、龍魂珠に協力するよう言った。
「...。って、そんなことより!敵ですわ、アンさん!」
「ん?...あぁー!
「今私のこと聖杯って呼びました?」
「呼んだぞ」
「そこは否定するところでしょうが!ふざけたことを言って!」
うがー!とジャンヌ・オルタは龍魂珠を睨みつける。一瞬空気が緩むが、ジャンヌ・オルタが一息つくと、その宿す魔力を開放した。
「っ!このまま戦わなくてすむかもと思いましたが、やっぱり駄目ね!」
マリーが構える。龍魂珠も殺気を感じ、2体のディスタスを召喚する。
「召喚、Disガンバ、勇騎バクアイラ−1!アレから聖杯を奪うのだ!」
「ふん...やれるものならやってみなさい!」
ガンバのマッハファイターが発動し、文字通りマッハでジャンヌ・オルタに肉薄した。しかし、ジャンヌ・オルタもサーヴァント。ガンバのパンチを難なく受け止め、そのまま弾く。
「――!」
「バクアイラ!」
バクアイラが後ろから斬りかかる。それも難なくジャンヌ・オルタは受け止めるが、その隙を見逃さない。マリーの操る水晶の馬がジャンヌ・オルタに攻撃する。
「ちぃっ!」
「ナイスです、えっと、バクアイラさん!」
ぐっ、とバクアイラが親指を上げる。それを後目に、龍魂珠はさらにディスタスを呼び出す。
「無頼ブロンズ−1、勇猛ギガホン−1召喚!バクアイラ、ガンバと合わせて4体のディスタスだ
!さぁ、かかれっ!」
ギガホンが突進してジャンヌ・オルタの動きをかく乱し、ガンバとバクアイラ、ブロンズでジャンヌ・オルタに襲いかかろうとする...その時だった。
空から、黒い影が降り立つ。その正体は...
「不味いです、ここでファフニールがやってくるとは!」
「流石にこれだけの雑魚を相手にするのは面倒でしたから。行け、ファフニール。その4体を潰せ」
吠えるファフニール。その巨体も相まって、かなりのプレッシャーをマリーは感じていた。
しかし、龍魂珠はハッ、と鼻で笑った。
「何が来たかと思えば...ただのドラゴンか。ドラゴンはもう見飽きたわ」
「へぇ、ずいぶんと余裕ですね。...その余裕ごと潰してさしあげましょう!」
ファフニールがディスタス達にブレスを吐き、それに追撃するようにその巨大な足でディスタス達を踏み潰す。
「ちょ、ちょっと、アンさん!?仲間のディスタスさん達皆つぶされちゃいましたわよ!?」
「...いやぁ、これは驚いた。まさかあんなあっさりディスタスがやられるとは。思ったより強いのか、あのドラゴン」
目をまんまるにする龍魂珠(どこが目か分からないが)。それに勝ち誇った顔をするジャンヌ・オルタ。と、マリーが龍魂珠に耳打ちする。
「アンさんアンさん、いちかばちか、わたしの全力の宝具をあの邪竜に放ちます。アンさんは、どうにか気を引いてくれませんか?宝具のチャージに時間がかかりますので」
マリーがそう提案する。しかし、龍魂珠には懸念点があった。
「...別にそれでも我はいいが。貴様、そんなことして身体がもつのか?」
それにマリーは苦々しく答える。
「...消滅はしないはずです。しかし、動けなくなるのは間違いないです」
「それであのドラゴンが倒せればいいが...耐えられたらその動けない隙で貴様はやられてしまうと。...1人だったら確実に死ぬやり方だな。我がここにいるのを感謝するといい」
「えぇ。わたし史上最も深い感謝をさせていただきますわ!」
マリーが魔力を練り、チャージを始める。龍魂珠はそれを後目にケルトン−1、Disゾン、そしてDisノメノンを召喚。
ケルトン、ゾンをジャンヌ・オルタへ、ノメノンをファフニールにけしかけた。
「何度雑魚をぶつけようと、無駄です!」
「ォォォォ!」
「無駄かどうかは貴様が決めることではないわ、銀色ジャンヌモドキ!」
ノメノンがマッハファイターでファフニールに攻撃する。しかし、そこは邪竜。ノメノンの攻撃を食らっても平然している。ファフニールがブレスを吐き、ノメノンを焼き尽くそうとする。
が、ノメノンはまるで水に潜るようにそのブレスを避けた。ジャストダイバーが反応したのである。
一方、ジャンヌ・オルタと戦っているケルトンとゾンは、あっさりとやられてしまっていた。
(よわよわディスタス...後でササゲールに使うか)
龍魂珠は賢樹エルフィ−1を召喚し、ノメノンのサポートをさせつつ、さらに黙示ケンジャコ−1、腐勇ドルマーク−2を召喚した。
ノメノンにブレスが効かないと判断したファフニールは、ノメノンに爪による攻撃をするが、エルフィがガードマンでノメノンを守る。エルフィは死んでしまったが、ノメノンがその分時間を稼ぐ時間を作ることができた。
しかし、横から攻撃してきたジャンヌ・オルタによってノメノンもやられてしまう。しかし、時間は充分に稼ぐことができた。
チャージが完了したマリーが叫ぶ。
「いけますわ!危ないので避けて下さい!」
「ようやくか。よし、ぶちかませ!」
「何をしようが無駄なのです!ファフニール!」
「ォォォォォォ!!!」
華の王妃と邪竜が睨み合う。そして、双方の必殺技が放たれた。
「さんざめく花のように、陽のように!セーヌの流れ、モンブランの
「『
「ギャォォォォォォォォォォォ!!!!」
ファフニールの口から放たれる、今までとは比べ物にならないブレスと、マリーの全力の宝具がぶつかり合う。
その二つは拮抗しあい、そして...
「きゃあっ!」
「ォォォォォォ!?」
...結果は、相打ちで終わるのであった。
「...ファフニールの全力に相打ちとは。こればかりは素直に称賛します」
ジャンヌ・オルタは素直にマリーを褒める。が、直後にニヤリと笑うと、ファフニールを見て言った。
「しかし、先ほどの宝具で貴女はもう動けない。だが、ファフニールは...」
みれば、ファフニールはあれだけのブレスを撃ったあとだというのに、まだ溢れんばかりの魔力を感じる。対して、マリーはもうほとんど魔力は残っていなかった。
「さて。マリーはやられたも同然。後は貴方だけですよ、まんまる」
ジャンヌ・オルタとファフニールが龍魂珠を見て笑う。
「フン。それは折り込み済みでな。...既にそこのデカドラゴンを倒す算段はついている」
マリーに城で拾った虹色の石を渡しながら龍魂珠は答える。
「ほぅ?どうやって倒すのです?まさか、貴方が呼び出す雑魚達で倒すとでも?」
「冴えてるじゃあないか。当たりだ」
「...プッ、アハハハハ!面白い冗談ですこと!...はぁ、もういいです。さっさと消えなさい」
ファフニールが再びブレスをチャージし始める。それに龍魂珠はニヤリと笑い...先ほど呼び出したディスタスに指示をだした。
「ケンジャコ−1の能力を発動!ファフニールの動きを止める!」
ケンジャコが光り輝くと、光の拘束具が現れ、ファフニールの動きを完全に封じた。
「何っ!?」
「まだ終わらん。ドルマーク−2!ファフニールとバトルだ!」
ドルマークがファフニールに攻撃する。しかし、かろうじて動かせた前足であっさりと潰されてしまった。
「は、はは。何だ。動きを止められたから焦ったが、それで終わりか!」
それに対して、龍魂珠はドスのきいた、低い声で答えた。
「まだ終わらんと言っているだろう?」
ドルマークが潰された場所から...黒い瘴気が溢れ始める。その瘴気はファフニールの身体を包んでいき...
「オォォォォ!ォ、ォォ、ォ...」
その巨大な身体を、一瞬にして消し去った。
「は...?」
ジャンヌ・オルタは目の前で、起こったことが理解できなかった。最強の切り札であるファフニールが、竜殺しでもない、雑魚だと侮っていた相手に消し去られたのだ。信じられるはずがない。
「さぁて?後は我だけ...だったか?この言葉、そっくり返してやろう。...後は貴様だけだ、銀色ジャンヌモドキ」
笑う龍魂珠に対して、ジャンヌ・オルタは睨みながら、距離をとった。そして、近くに降りてきていたワイバーンに乗ると、忌々しげに叫んだ。
「お、覚えていろまんまる!ファフニールがやられても、聖杯はまだこの手にある!次に会うときは、大量のサーヴァントと共に貴様を殺してやる!」
そう言って、ジャンヌ・オルタはワイバーンに乗って撤退するのだった。
◇
「や、やったぁーーー!やりましたわ、アンさん!」
「がっ、お、おい、そんなに締め付けるな、息ができん...!」
「だって、嬉しいんですもの!アンさんが来てくれたおかげで、街も、人々も無事!しかも、あの邪竜も打ち倒せた!こんなの嬉しすぎますわー!」
ぱっ、と龍魂珠を離したマリーは軽やかに走り回る。先程まで動けなかった人物と同じとは思えなかった。
(あの虹色の石...まさかあそこまで回復させるとは。ただ魔力がかなりあったから回復のために渡してやったが...やっぱり渡すべきではなかったか...?)
龍魂珠が悩んでいると、近くからうめき声が聞こえた。見れば、そこにはマリーに倒されてそのままほっておかれたサンソンが虚ろな目をして倒れていた。
「おぉっ!?びっくりしたな。こいつは...人間モドキか。しかも、銀色ジャンヌが召喚していたやつだ」
龍魂珠が観察すると、もう霊基もまともに機能しておらず、戦闘は不可能のようだった。龍魂珠は喜んだ。ようやくこの特異点で素材が手に入るチャンスがやってきたのだ!
「ふーむ、これはこれは。頑張った我のための報酬というわけだな。では、喜んで受け取ってやろう!...チラッ」
マリーの方を見る。マリーは街の住民と笑って話している。もはや、邪魔者はいない。
「では。...御免!」
「ガッ...!」
サンソンの胸を連結に使うジッパーで貫く。サンソンの身体は、光の粒子となって消滅していった。
断片を身体に吸い込む。無事、素材ゲットである。
(さて。後は聖杯を手に入れるためにあの銀色ジャンヌを倒すだけだ。...ククク、震えて待っていろ、銀色ジャンヌゥ...!)
そう思い、怪しく笑う龍魂珠だった。