Fate/DisspectOrder 作:一般デーモンコマンド
龍魂珠STARTオケアノス
ゴォォォォォォ――
風は吹き荒れ、雷が鳴り響く。
怒り狂う母なる大海原の上を、一隻の船が駆けていく。
「砲弾準備完了!」
「よし、
ドォン!ドォン!!
砲弾が大砲から放たれ、射線の先にいるソレへと撃ち込まれる。
「チクショウ!駄目だ!やっぱ効いてねぇみてぇっす!!」
「見れば分かるよ!!コイツぁまともに相手をするほうがマヌケだねぇ!!取り舵一杯!ズラかり時だよヤロウども!風に乗って離脱するんだ!!」
「風ぇ!?こいつぁ、嵐って言うんじゃいっすかねぇ!こんな嵐で帆を張ったら、船が吹っ飛びますよ!!」
「そりゃあいい、海賊だって空を飛びたくなる時もある!陸に上がってからのヨタ話が増えたじゃないか!女を口説くのに役立てな!」
そう部下であろう海賊といい合いながら、その女海賊は大嵐の中を自らの船で逃げていく。
それをじっと、ある男は見続けていた...
「ハハハ。ハハハ、ハハハハハ、アーーハッハッハドゥーフフフフフwwwwwwww」
...変な笑い声とともに。
◇
「...なんだ、今のは」
自らの
ぼんやりとした頭で先程見た夢を思い出す。
「...あの笑い声が頭から離れん。というか、それ以外が思い出せん」
龍魂珠がため息をつくと同時にドアが開く。入ってきたのはマシュとフォウだ。どうやら、立香を起こしに来たらしい。
「あっ、おはようございます、龍魂珠さん!」
「フォウー」
「...ふん。わざわざコイツを起こしに来たのか?」
ちらりと立香の方を見る龍魂珠。その寝顔は、少しだけしかめっ面になっていた。
「...なんだか、うなされてる...?」
マシュがそう呟くのを他所に、フォウは一直線に立香の顔に飛び乗ると、勢いよくその小さな足で叩き始めた。
「フォーウ、フォウ、フォーウ!!」
てしてしてしてしてしてしてし!!
「いたいいたい」
「い、いけませんフォウさん!もっと丁寧に接触するべきです!」
「...我は先に行っておくぞ」
そう言い残し、龍魂珠は部屋を出た。
朝から騒がしいな...と龍魂珠は思いながら、食堂へと向かう。
そして、食堂に着くと同時に、厨房で絶賛活動中の
カウンター直ぐ側の席から食堂を見渡せば、第一、第二特異点のサーヴァントたちがそれぞれで団らんしている様子が確認できた。
(...セプテムから帰ってきた後、あそこで拾った虹の石を立香に渡したら、まさかこんなことになるとはな)
龍魂珠が拾った石はダ・ヴィンチいわく、多量の魔力が結晶化したものらしい。その石の魔力を使えば、さらにサーヴァントが召喚できることも分かったのだ。
ならば善は急げと召喚してみればあれよあれよとセプテムで戦ったサーヴァント、味方のサーヴァントが皆召喚された。後麻婆豆腐。
そして、そのサーヴァントたちの協力もあり、カルデアはまた一歩完全再建へと進んだのだ。この食堂もその一歩の中の一つである。
(あれは回収済み、あれはまだ...ふーむ、どうやって使えるようにするか)
そんなことを考えながら、龍魂珠はいつの間にか目の前におかれていた朝食を食べ始めるのだった。
◇
「おはよう諸君、昨夜はよく眠れたかな?うん、ボクはあんまり寝れてない」
「寝ろ」
「そりゃそうしたいけどさぁ!あの肉の柱はなんなのかとか、
「お、おいたわしいことになってます、先輩」
「そろそろ慣れてきた気がする」
「フォウ...」
大きく深呼吸をし、ロマニは落ち着くと、ゆっくり喋り始めた。
「...騒いでいても仕方無いね。ともかく、あの肉の柱とか考えることは沢山ある。それを解析するための設備とかも直さなきゃだしね」
「ドクター...あの肉の柱が名乗っていた、七十二柱の魔神と言えば、その...」
「あぁ。思い当たるのは一つしかない。ある古代の王が使役した使い魔のことだね」
「古代の王...?」
「使い魔、だと?」
立香と龍魂珠の疑問の声に答えたのは突如として部屋に入ってきたのはダ・ヴィンチだった。
「その通り!古代イスラエルの王にして、魔術世界・最大にして最高の召喚術士!!その彼が使役するのが七十二柱の魔神というわけなのさ!」
「ハッ!?アナタは、ダ・ヴィンチちゃん!?」
「貴様、いつの間に!?」
「あっはっはっは!マシュちゃん、その反応さいっこう!こっそりカンペを渡したかいがあったね!」
「我は無視か貴様ぁ!?」
高笑いするダ・ヴィンチに辟易とした表情になりつつ、ロマニはダ・ヴィンチを叱りつける。
「朝から疲れさせないでくれ、ダ・ヴィンチちゃん。あと無責任な発言は控えるように。まだなにも確定情報はないんだ」
「そもそも、七十二柱の魔神なんて存在しないんだ。実際は、空想上のものに過ぎない」
そう言うロマニの顔はどこか憂いを帯びているように見えたが、特に興味もない龍魂珠は特に言及はしなかった。
「まぁ、とにかく...色々と調べることは多いが、今は新たに観測された次の特異点だ。時に立香ちゃん。君、ローマのときに船酔いはしたっけ?」
「?平気でしたけど...」
「お、そうかそうか!それなら安心だ。いざとなれば中枢神経にも効く酔い止めを用意するところだった。あ、マシュと龍魂珠は?」
「わたしも平気です」
「船に乗ったことがないから分からんが、まぁ酔うことは我はない」
「龍魂珠がちょっと怪しいけど、まぁ大丈夫かな?おっと、今回もフォウは行くのかい?うん、フォウがいるとマシュの精神状態も安定する、よろしく頼むよ」
「ンキュ」
そうフォウを撫でながら言うと、ロマニは改めて全員に向かって新たな特異点について発表した。
「では改めて。次なる第三の特異点は1573年。場所は――見渡す限りの大海原だ!!」
◇
「ふーむ。つまり、我々は...」
「海賊の皆さんの船に降り立ってしまっていた、ということですね」
船の上に倒れ伏す海賊たちを後目にそう話す龍魂珠とマシュ。
何故こんなことになったかといえば、レイシフトした先が何故か海賊の駆る船、いわゆる海賊船の上だったからである。
『まぁ、いきなり現れたらそりゃ襲われるよね、相手海賊だし』
「それでももうちょっとどうにかならなかったかなぁ...」
「優人間に期待するだけ無駄だ。それより、またサーヴァントを連れてこなかったのか?」
『あぁ、レイシフトするためのコフィンにも限りがあるし...それに、カルデアの設備がもとに戻ってきている状況ではあるけど、それでもまだ難しいところがある。だから、カルデアのサーヴァントの皆はそっちで召喚サークルを置いてもらってからそれ経由で行ってもらうという形になった』
そう説明された龍魂珠はそうかと呟くと、這いつくばっていた一人の海賊に近づいた。
「おい、起きろ貴様。貴様の知っていることをすべて我々に話せ」
「う、うぅ...ん?...ヒィィ、喋る
後退りする海賊にため息をつきながら、龍魂珠は改めて海賊に質問した。
「もういちど聞くぞ?ここで何が起きているか、貴様らの知っていることをすべて話せ」
高圧的な龍魂珠の言葉に顔を歪ませながらも、周りに倒れ伏す同胞たちを見てなにか話さなくては殺られる...そう判断した海賊は震え声ながら話し始めた。
「お、俺たちそれはさっぱりで。気付いたら、このどこともしれねぇ海を漂流してたんですよ。
地図を見てもどこともかみ合わねぇ、羅針盤だってまるで役に立たねぇ。こりゃもうどうしようもねぇ、ってことで...」
「それで?」
「な、なんでかこの辺りは小島が点々と存在してますから。そこに上陸して食いもんや水を食い繋いでる時、同業者に会いまして。この辺りに何だ、海賊の楽園。海賊島って場所があるって言うじゃないですか。俺たちゃそれを目指してここまできてたんでさぁ...」
震えながらそう言う海賊に罪悪感を感じたのか、マシュが落ち着かせるように続けて尋ねた。
「海賊の楽園、ですか。そこには、一体何があるのですか?」
マシュに問われた海賊は高圧的な龍魂珠と違い優しげな雰囲気を纏うマシュに安心したのか、少しフランクな口調で言う。
「そりゃやっぱ食いもんと酒と女じゃないですかねぇ」
『...言いたい事は色々あるけど、それ海賊じゃなくてもただの楽園なんじゃないかなぁ』
話を聞いていたロマニがぼそっとツッコむ。海賊は気にせず続けた。
「どっかの浮島にそれがある、ってことが重要なんでさぁ」
「そういうものなのかな?」
こてんと首をかしげる立香を後目に、たいした情報は持っていなかったなと思いつつ龍魂珠は話を纏めた。
「...とにもかくにもそこに行かなくては話にならんな。おい、貴様、仲間をさっさと起こせ。我らをそこに連れて行くのだ」
「はっ、はい!了解でさぁ!!」
どたどたと急いだ様子で仲間を叩き起こす海賊を見て、龍魂珠にはもう少し言葉遣いを優しくしてもらわなきゃな、と思う立香であった。
FGОももう9周年か...時間はあっという間、私も早く更新できるよう頑張ります!