Fate/DisspectOrder 作:一般デーモンコマンド
励みになってます。
「大聖杯はこの奥だ。ちぃとばかり入り組んでいるんで、はぐれないようにな」
薄暗い洞窟を立香達は進む。龍魂珠はその後ろを不気味なほど静かについて行っていた。
そんな中、所長がキャスターに質問する。
「そういえば、キャスターのサーヴァント。
貴方セイバーの真名は知ってるの?何度か戦っているような口ぶりだったけど」
それに、キャスターは重々しく答えた。
「...あぁ、知っている。ヤツの宝具を食らえば誰だって真名...その正体に突き当たるからな。他のやつらが倒されたのもそれだけヤツの宝具が強力だったからだ」
「強力な、宝具ですか...それはどういう?」
「王を選定する岩の剣のふた振り目。お前さんたちの時代においてもっとも有名な聖剣。
その名は...」
「
エクスカリバー。それを聞けば歴史に疎い立香でも流石に察しがつく。その時、黙っていた龍魂珠が呟いた。
「待て。...今の声は誰だ」
同時に所長が叫ぶ。
「皆、距離を取りなさい!アーチャーのサーヴァントよっ!!」
現れる黒いサーヴァント。どうやらこのサーヴァントはアーチャーのようだ。キャスターが往年の知り合いのように話しかける。
「おう、言ってるそばから信奉者の登場か。相変わらず聖剣使いを護ってんのか、テメェは」
「ふん、信奉者になった覚えはないがね。つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ」
「ようは門番じゃねえか。何からセイバーを守っているのかは知らねぇが、ここらで決着をつけようや。永遠に終わらないゲームは退屈だろう?良きにつけ悪しきにつけ、そろそろ駒を進めないとな」
「その口ぶりではことのあらましは把握済みか。大局を知りながらも自らの欲望に熱中する...」
その時だった。龍魂珠から歪にジッパーで合体された怪物が現れる。
「!?何だこいつは!キャスター、貴様の仕業か!」
「ちげぇよ!そこの丸いのの仕業だ!」
龍魂珠に視線が集まる。それを気にせず、龍魂珠は高らかに言った。
「さっきからぐちぐちぐちと...要するにそれは敵だろう!貴様等が無駄に話すだけなら我が倒してやる!ディスペクターの試運転には丁度いいしな!行け、ピカガジラ!」
ピカガジラがアーチャーに襲いかかる。しかし、紫に光る剣を持ったピカガジラの攻撃を、アーチャーは寸分の狂いなく防いでいた。
「まぁまぁの力だな。初見故に驚いたが...俺の敵ではない!」
アーチャーの剣がピカガジラに迫る。
それが後もう少しで突き刺さる...という時に、剣が弾かれる。見ると、ピカガジラの白い鎧のような部分の拳にエネルギーのようなものが纏わりついていた。
「何だとっ...」
アーチャーの態勢が崩れる。その隙をキャスターは見逃さなかった。
「わりぃな」
一言言うと、キャスターはアーチャーに向けて叫んだ。
「“
炎の巨人が現れる。そして、その足でアーチャーとついでにピカガジラを燃やし尽くした。
「ぐぁぁぁぁっ―――!」
「―――――――!?!?」
「あ、やべ。巻き込みすぎた」
炎が収まる。そこには、満身創痍で今にも消滅しそうなアーチャーと、無傷のピカガジラが立っていた。
「ぐ、考えたな、花の魔術師...!まさかその宝具に、そんな使い道があったとは...」
そう言い残して、アーチャーは消滅した。その時、龍魂珠はまた断片をこっそりと回収していた。
「おう、未練なく消えろ消えろ。聖剣攻略はオレと嬢ちゃん達でやってやる。...しかし、オレの宝具で無傷とは。これでも、結構ガチでやったんだがなぁ」
そう言うキャスターに、龍魂珠は答える。
「これがディスペクターの力だ。一つの身体に二体のクリーチャーの命がある。一度ぐらい死んでも蘇れるのだ。これこそ、
「まるっきり生き物のルールを無視してんじゃねぇか、ソレ」
キャスターはヤレヤレと首をふり、改めて前を向いた。
「さて、
それに、立香が力強く答える。
「もちろん、準備万端だ」
こうして、大聖杯の前へと向かうのだった。
◇
道中、怪物を倒しながら、とうとう大聖杯の前へと辿り着いた立香達。大聖杯からは、おどろおどろしい雰囲気が醸し出されていた。
「これが大聖杯...超抜級の魔術炉心じゃない...なんで極東の島国にこんなものがあるのよ...!」
『資料によると、制作者はアインツベルンという錬金術の大家らしいです。魔術協会に属さない、
「わりぃな、話はそこまでだ。奴さんに気づかれたぜ」
金属のブーツが大地を踏み締める音と共に姿を現す相手。病的なまでに白い肌、そしてそれを覆う漆黒の鎧。
その手に握られた黒く染まった聖剣。
姿を現したセイバーはまずキャスターを一瞥すると、すぐにマシュへと視線を移した。
「なんて魔力放出...あれが、本当にあのアーサー王なのですか?」
『間違いない。何か変質しているようだけど、彼女はブリテンの王。聖剣の担い手、アーサー王だ。伝説とは性別が違うけれど、何か事情があってキャメロットでは男装をしていたんだろう。
ほら、男子じゃないと玉座につけないだろ?お家事情で男のフリをさせられてたんだよ、きっと。
宮廷魔術師の悪知恵だろうね。マーリンも趣味が悪い』
ロマニはそう嫌そうに呟いた。
「肉体的には大した事なさそうだが」
龍魂珠がそう言うとキャスターが答える。
「あれは筋肉じゃなくて魔力放出でかっ飛ぶ化け物だからな。油断してると、バカみてぇに重い一撃で上半身ごとぶっ飛ばされるぞ」
そこまで言った時、セイバーが口を開いた。
「...ほう。面白いサーヴァントがいるな。それに、もう一体...」
「なぬ!?テメェ、喋れたのか!?」
キャスターは驚く。それに対し、セイバーは変化が乏しい顔で淡々と答えた。
「何を語っても見られている。故に案山子に徹していたが...面白い。その宝具は面白い」
セイバーはマシュの方向を向く。そして、聖剣を構え言った。
「構えるがいい、名も知らぬ娘。その守りが真実かどうか、この剣で確かめてやろう!」
「っ!」
マシュが構える。同じく、セイバーは聖剣を構えた。
セイバーの聖剣が輝き、エネルギーが収束していく。龍魂珠ですらその力を恐れる。これは、当たるどころか近くにいるだけでも駄目だと。
「“
ただ、目の前の敵の為に。それだけの為に聖剣の光は輝く。そして、マシュへとその漆黒の魔力は放たれた。
「―――
マシュ、いやその後ろにいる全員ごと呑み込み消滅させようとする力の前に、マシュは
絶望...
「宝具、展開...!」
するわけがなかった。道中のキャスターとの特訓、そして、信じてくれる
「“
少女の覚悟は光の盾となり、その漆黒の力を全て受けきるのだった。
次で冬木は終わりです。