Fate/DisspectOrder   作:一般デーモンコマンド

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戦闘描写って難しい...それはさておき、色々感想ありがとうございます。


色々なディスペクトあって、凄いなぁと思いながら見ています。


龍魂珠Destroy冬木

「...私も知らぬうちに手を抜いてしまっていたか。完全に防がれるとはな」

 

 

 

 圧倒的な威力だった、セイバーの宝具。このまま全滅か...と龍魂珠は思っていたが、マシュも宝具を展開し、完璧に防ぎきってくれた。消耗している今がチャンス。龍魂珠は意気揚々と前へ出た。

 

 

 

「よくやった!人間モドキモドキ!ここからは我に任せるが良い!」

 

 

 

 

「も、モドキモドキ?」

 

 

 

「さぁ、セイバーとやら。今の貴様ならコイツで充分よ」

 

 

 

 そう言ってピカガジラを呼び出す龍魂珠。そのまま高らかに命令を出した。

 

 

 

「さぁ!思う存分に暴れろ、ピカガジラ!」

 

 

 

 

 ピカガジラが咆える。そして、セイバーに向かって剣を向けながら突進した。

 

 

 

 

「成る程、それがお前の力か、球体。自身の使役する存在に戦闘を任せ、自分は指示を出す...まるでマスターとサーヴァントのようだな?」

 

 

 

 

 ピカガジラの剣による連続攻撃。上、横、下と不規則な剣の動きをセイバーはまるで未来を見ているかのように全て防いでいる。

 

 

 

 

「ぐぅっ、何をしているピカガジラ!そんな疲弊した奴の一人ぐら、い...」

 

 

 

 

「誰が疲弊していると?」

 

 

 

 

 龍魂珠は呆然とした。なぜなら、セイバーの手には再び輝き始めた聖剣があったからだ。

 

 

 

 

「な、なんだ、と」

 

 

 

「中々だったが...お前に時間をかけるつもりはない。自身の使い魔ごと散れ」

 

 

 セイバーが今度は龍魂珠のみにターゲットを絞り、宝具を放つ。

 

 

 

 

「“約束された勝利の剣(エクスカリバーモルガーン)”!」

 

 

 

 極太の光が放たれる。先ず、ピカガジラを呑み込んだその光はEXライフを失っていたピカガジラをチリ一つ残さず消滅させた。

 

 

 

 

「ピカガジラ!ぬぅっ、使えん奴め!ならばぁ...アレをブロックしろ、星樹ジェイド−1、王機バウラ−1!!」

 

 

 

 二体のディスタスが現れ、龍魂珠を宝具から守ろうとする。

 

 

 

 が、少し勢いを落としたぐらいでまだまだ止まらなかった。

 

 

 

「なにぃぃぃぃ!!!???馬鹿なっ!ブラッドウ−2!フンヌ−2!ドルブロ−1!ブロックしろブロックしろぉ!」

 

 

 

 

 今度は三体のディスタスが現れた。数が少し増えたおかげか、だんだんと光が弱まっていく。

 

 

 

そして、龍魂珠は立香達に叫んだ。

 

 

 

「貴様らぁぁぁ!見てないで助けろぉぉぉ!」

 

 

 

「...やれやれ、自分で前に出たくせに。手のかかる球体だ」

 

 

 

 キャスターが渋々といった様子で呪文を唱え始める。

 

 

 

 

「マスター、あんなでもここで出会った仲間ですし...助けておきますか?」

 

 

 

 

「...うん、そうだね」

 

 

 

 

 マシュが龍魂珠の前に立ち、スキルで龍魂珠を守る。それと同時にディスタス達が消滅した。

 

 

 本来ならば先程のように宝具を使わなければならないが...ディスタス達によって弱まった状態なら、宝具を使わなくても防ぐことができた。

 

 

 

 宝具を撃ち終わった後の隙。そこをキャスターが見逃さず攻撃していく。

 

 

 

「大丈夫?」

 

 

立香に抱えられる龍魂珠。龍魂珠は立香に言う。

 

 

 

「おい、人間の娘」

 

 

 

 

「立香。ちゃんと名前で呼んで」

 

 

 

「何故我が人間如きを名で...」

 

 

 

「...」

 

 

 

「...聞け、立香。我はさっき出したディスペクターより強力なディスペクターを作る。貴様は、他の連中に指示を出して時間を稼げ」

 

 

 

 そこまで聞いた立香はにっこりと笑うと、何も言わず表情を引き締めてマシュ達に指示を出し始めた。

 

 

 

「...ふん」

 

 

 そして、龍魂珠は再び白い空間へと意識を集中させた。

 

 

 

          ◇

 

「ピカガジラでは駄目だった。ならばそれ以上の...王の力を持ったディスペクターでなければ」

 

 

 

 

 龍魂珠は二枚のカードを引き寄せ、クリーチャーを具現化させる。

 

 

 

time, the devils manipulate(時間を、悪魔は操る)...『勝利王』よ...『魔刻王』と連結し、再び我に従え!」

 

 

 

 

 龍の上半身に、悪魔の下半身が連結したディスペクター。超獣の中でも、王と呼ばれた超獣の力を宿した存在。

 

 

 

「その名を、魔帝連結ガイゼキアール」

 

 

 

 

誇りを失った勝利の王は悪魔のように咆えた。

 

 

 

          ◇

 

 

 

「チッ!こんだけ攻撃当ててんのによ!しぶといやつだぜ、本当!」

 

 

 

「いくらお前が私と相性が良かろうと、根本が違う。今のお前では相手にならん」

 

 

 

 

 セイバーがキャスターを一蹴する。マシュもかなり疲弊していた。

 

その時だ。龍魂珠が声をあげる。

 

 

「...待たせたな!今度こそ、本当の本当にこれで終いだ!」

 

 

 

 

 龍魂珠が赤、白、黒に輝く。そしてその前にシルエットが現れた。そして輝きが収まった時、そこには龍の上半身に悪魔のような下半身を持った怪物がいた。

 

 

 

『!?何だこれ、さっき出した奴の数倍以上の魔力(マナ)だぞ!?』

 

 

 

「ほう。どうやらそれが本命のようだな」

 

 

 ロマニが通信ごしに驚き、セイバーは冷静に観察する。

 

 

 

「コイツは勝利王の力を持った存在。その名は魔帝連結ガイゼキアール!さぁ、生意気な人間モドキをぶっ飛ばせ!!!」

 

 

 

 ガイゼキアールが咆える。そして、その場から姿を消した。

 

 

 

「っ!?消え...がっ!?」

 

 

 

 

 セイバーが吹き飛ばされる。そして、何度も何度も打撃音が響き続ける。何度かは剣で防ぐも、それでも全てを防ぎ切ることができなかった。

 

 

 

「...ははっ、成る程。消えたのではない、私の目が追いつけない速度で動いていたのか!」

 

 

 

 

 

 気付けばセイバーの身体はボロボロだ。最後の力を振り絞り、セイバーは聖剣に力を込め始めた。 

 

 

 

 

「勝利王と言ったか。私の勝利の剣とどちらがその名にふさわしいか...これで決めてやろう!」

 

 

「そんな事はどうでもいい!ただ目の前の敵を討ち滅ぼすのみだ!殺れ、ガイゼキアール!!」

 

 

 

セイバーの宝具が撃ち出される。

 

 

「“約束された勝利の剣(エクスカリバーモルガーン)”!」

 

 

 

 

「アタックチャンス、”連結秘伝アンビバレンツリンク”!!」

 

 

 

 

それはあらゆる倫理を超越した、粉砕の一撃。

 

 

 

 ガイゼキアールは、セイバーの宝具に呑み込まれたながらも、その身体を再生していき...

 

 

 

 

 

「――――!!!」

 

 

 

「がっ...はっ...」

 

 

 

 

 堕ちた勝利同士の戦いは、歴史の冒涜者の勝利で終わるのだった。

 

 

 

          ◇

 

 

セイバーの体が端から魔力に還っていく。

 

 

 そんな中、一瞬だけ彼女の口元が自嘲するかのように小さく歪んだ。

 

 

 

「...聖杯を守り通す気でいたが、己が執着に傾いたあげくの敗北。結局、どう運命が変わろうと、私ひとりでは同じ末路を迎えるという事か」

 

 

「あ?どういう意味だそりゃあ。結局のところ、テメェは何を知ってるわけだ?」

 

 

 

 キャスターが消えかけのセイバーに問いかける。敗者となったセイバーは顔を無表情へと戻した。

 

 

そしてただ一つ、彼女は語った。

 

 

 

「いずれ貴公も知るだろう。ケルトの戦士、アイルランドの光の御子よ。グランドオーダー(・・・・・・・・)。聖杯を巡る戦いは、まだ始まったばかりだという事をな」

 

 

 

 

 問い詰めようとするキャスターを後目に、ただ彼女は自身の消失を前に目を閉じた。

 

 

(今っ!)

 

 

 

 すい、と龍魂珠の中に輝く断片が吸い込まれたが、それに気づく者はこの場にはいなかった。

 

 

 彼女の体はやがてただの魔力の残滓でしかなくなり...そのまま、虚空に混じって消え失せていった。

 

 

そして、キャスターもまた同じように。

 

 体の端から空気に溶けるように、光の粒子に還り始めた。彼はそれを見て仕方なさそうに頭を掻き回す。

 

 

 

「ここで強制帰還かよ!?チッ、納得いかねえがしょうがねえ。お前ら、後は任せたぜ。次があったらランサーとして呼んでくれ!」

 

 

そうして、キャスターの身体は消えていった。

 

 

 

 勿論、龍魂珠はキャスターからも僅かに断片を回収した。

 

 

 

「セイバー、キャスター、共に消滅を確認しました。...わたしたちの勝利、なのでしょうか?」

 

 

 

 死闘の後に残った静寂。そのギャップに困惑するようにマシュが疑問の声をあげた。

 

 

 

『ああ、よくやってくれたマシュ、藤丸立香!

あと龍魂珠さん!所長もさぞ喜んでくれて...あれ、所長は?』

 

 

 

 言われていなくなっている事に気付き、辺りを見回す。

 

 するとオルガマリーの姿はセイバーが消失した場所に向かっていた。

 

 

 

冠位指定(グランドオーダー)。あのサーヴァントがどうしてその呼称を...?」

 

 

『おーい、マリー。特異点の原因となる現象の排除が終わったんだ。トップであるキミの口から終わりを告げなきゃ、彼らだって休めないよ』

 

 

「え!?そ、うね。よくやったわ、藤丸立香。それにマシュ。...あと龍魂珠」

 

 

 

「なんか扱いが酷くないか?」

 

 

 

それを無視して、所長は言った。

 

 

 

「...不明な点は山積みですが、ここでミッションは終了とします。まずはセイバーが消滅した地点にある謎の水晶体の回収を。恐らくあれがセイバーが異常をきたした理由、この特異点の発生源になっていた理由と思われます」

 

 

「はい、至急回収を...な!?」

 

 

 

 所長の指示に従い回収にかかろうとしたマシュが驚愕した。セイバーの所持していただろう水晶体が、ふわりとひとりでに浮遊したのだ。

 

 

 

...洞窟の奥から歩いてくる何者かの影がある。

 

 どうやらその者に引き寄せられているようだ。

それは、ゆっくりと洞窟の奥から姿を現してみせた。

 

 

 

「いや、まさか君たちがここまでやるとはね。計画の想定外にして、私の寛容さの許容外だ。

...まったく。見込みのない子供だからと善意で見逃してあげた私の失態。ふん、どちらにせよ私の失態か」

 

 

 

 

 水晶体はゆっくりと、現れた男の手の中に納まった。

 

 

 カルデアの中を旧時代に居残ったかのように魔術師然としたまま歩いていた男。男の名は...

 

 

 

「レフ、教授...!?」

 

『レフ!?レフ教授だって!?彼がそこにいるのか!?』

 

 

 

 通信を聞いたレフが、柔和な表情で帽子を上げる。だが、その口が発する声はまるでどうしようもなく呆れているかのような様子だった。

 

 

 

「うん? その声はロマニ君かな?君も生き残ってしまったのか。すぐに管制室に来てほしいと言ったのに、私の指示を聞かなかったんだね。まったく...」

 

 

 

その瞬間、一気に表情が切り替わる。

 

 

 

「どいつもこいつも統率のとれていないクズばかりで吐き気が止まらないな。人間というものはどうしてこう、こちらが善意で定めてやった運命からズレたがるんだい?」

 

 

 

 全てを唾棄するかの如く、怨念染みた感情で構成された言葉。周囲に一気に緊張感が走る。

 

 

 

「マスター、下がってください!あの人は危険です...あれは、わたしたちの知っているレフ教授ではありません!」

 

 

 

マシュが立香を庇う。

 

 

 

しかし、それに近づく者がいた。

 

 

 

「レフ...ああ、レフ、レフ、生きていたのねレフ!良かった、あなたがいなくなったらわたし...!この先どうやってカルデアを守ればいいか分からなかった!」

 

 

「所長...!いけません、その男は...!」

 

 

 

 彼女はレフの元に辿り着く。そして吐き出すように言った。

 

 

 

「やあオルガ。元気そうでなによりだ。君もたいへんだったようだね」

 

 

「ええ、ええ!そうなのレフ!管制室は突然爆発するし、予定外のレイシフトには巻き込まれるし、この街は廃墟そのものだし、カルデアには帰れないし!

予想外の事ばかりで頭がどうにかなったみたいだったわ!でも、あなたがいれば何とかなるでしょう? だって今までそうだったもの。今回だってわたしを助けてくれるのよね?」

 

 

 彼女はレフに縋る。だが、伝えられた事実は残酷だった。

 

 

 

「ああ。もちろんだとも。本当に予想外のことばかりで頭にくる。その中でもっとも予想外なのが君だよ、オルガ。爆弾は君の足下に設置したのに、まさか生きているなんて」

 

 

 

レフの目が見開かれる。

 

 

「...え?レ、レフ? あの、それ、どういう、意味?」

 

 

「いや。生きている、というのは違うな。君はもう死んでいる。肉体は既にね。トリスメギストスはご丁寧にも死後の残留思念になった今の君を、この土地に転移させてしまっていたんだ」

 

 

「ほら、君は生前レイシフトの適性がないことに悩んでいただろう?適性の無い肉体はレイシフトには耐えられない。肉体を保持したままでは転移ができない。わかるかな?君は死んだ事ではじめて、切望していたレイシフトの適性を手に入れたんだよ」

 

 

「肉体を失った君はそんなことを考慮する必要がなくなった。だからカルデアにも戻れない。だってカルデアに戻った時点で死者である君のその意識は消滅するんだから」

 

 

「え、え? 消滅って、わたしが...?ちょっと待ってよ...カルデアに、戻れない?」

 

 

「そうだとも。だがそれではあまりにも哀れだ。君にはもうカルデアの現在を知る術がない。

だから特別に用意したとも。生涯をカルデアに捧げた君のために。せめて今のカルデアがどうなっているか知ることのできる特等席をね」

 

 

 

 そう言って手にした水晶体、聖杯を掲げるレフ。二人の近くの空間に穴を開け、その先にカルデア管制室の光景を映した。

 

 

 

 そこにあるのは地球環境モデル、カルデアス。地球そのものに魂があると仮定し、その魂を転写する事で作り出された擬似天体。

 

 

 その姿がいま、本来とはまるで違う様相を呈していた。

 

 

 

「な...なによあれ。カルデアスが真っ赤に? 嘘、よね?あれ、ただの虚像でしょう、レフ?」

 

 

「本物だよ。君のために時空を繋げてあげたんだ。ただ、聖杯があればこんな事もできる、という実演をしてみせているだけさ」

 

 

「さあ、その目に刻むがいいアニムスフィアの末裔。あれこそおまえたちの愚行の末路だ。どうだい、人類の生存を示す青色は一片もないだろう?

あるのは燃え盛る赤色だけ。あれが今回のミッションが引き起こした結果なのだよ」

 

 

レフは所長に笑って言った。

 

 

「良かったねぇマリー? 今回もまた、君のいたらなさがとりわけ甚大な失敗を招きこんだ。それが今度こそ、世界を滅ぼす悲劇を呼び起こしたというワケだ!」

 

 

「ふざ、ふざけないで!わたしの責任じゃない、わたしは失敗していない、わたしは死んでなんかいない!アンタ、どこの誰なのよ!?わたしのカルデアスに何をしたっていうのよぉ...!」

 

 

そんな所長に呆れたようにレフは続けた。 

 

 

「アレは君のものではない。まったく、最期まで耳障りな小娘だったなぁ、君は」

 

 

 

 ガクン、と彼女の体が何かに引っ張られ、宙に浮き始める。

 

 

「なっ、何、体が、何かに引っ張られて...!?」

 

 

「言っただろう?そこはいまカルデアに繋がっていると。このまま殺すのは簡単だが、それではあまりにも芸がない。最後に君の望みを叶えてあげよう。君の宝物とやらに触れるといい。

なに、感謝はいらないよ。私からの最期の慈悲だと思ってくれたまえ」

 

 

「え、なに言ってるの、レフ? わたしの宝物って...カルデアスの、こと?

や、止めて!お願い!だってカルデアスよ?高密度の情報体よ?次元が異なる領域、なのよ...!?」

 

 

 

「ああ。ブラックホールと何も変わらない。それとも太陽かな?まあどちらにせよ。人間が触れれば分子レベルで分解される地獄の具現だ。遠慮なく、生きたまま無限の死を味わいたまえ」

 

 

所長の身体がカルデアスに近づいていく。

 

 

「いや!いや、いや、助けて、誰か助けて!わた、わたし、こんなところで死にたくない! だってまだ褒められてない!誰も、わたしを認めてくれていないじゃない!どうして!? どうしてこんなコトばっかりなの!?誰もわたしを評価してくれなかった!みんなわたしを嫌っていた!」

 

 

彼女の慟哭。レフは無感情に見つめている。

 

 

 

「やだ、やめて、いやいやいやいやいやいやいやいや!だってまだ何もしていない!生まれてからずっと!ただの一度も、誰にも認めてもらえなかったのにぃ...!!」

 

 

「所長っ!」

 

立香とマシュが走る。が、間に合わない。

 

 

 そうして、彼女の身体はカルデアスに吸い込まれ...サーヴァントのように、彼女は消滅していった。

 

 

「所長ーーーー!!!」

 

 

『マリーーーーーー!!!』

 

 

 マシュとロマニが叫ぶ。そんな中、レフは愉快そうに笑った。  

 

 

「ハッハッハ!呆気ないものだねっ!?」

 

その時である。レフになにかが襲いかかった。

 

 レフが攻撃を防ぐ。襲ってきたのは、ガイゼキアールだった。

 

 

「長ったらしい演説ごくろう。ようは貴様を倒せばいいのだろう?」

 

 

龍魂珠の言葉に、レフは苦々しげに言った。

 

 

「...成る程、君か。私の感じた違和感の正体とは。奇妙なモノを扱うようだが、それでマリーを助けてやればよかったんじゃないかい?」 

 

 

「ふん、人間の女1人消えようが我には関係ないわ」 

 

 

「短い間とはいえ、共に歩んだ仲間だろうに。薄情なものだね。まぁいい」

 

 そう言ってレフはガイゼキアールから距離を取る。そして、深々と頭を下げて言った。

 

 

 

「改めて自己紹介をしようか。私はレフ・ライノール・フラウロス。貴様たち人類を処理するために遣わされた、

2015年担当者だ。

通信で聞いているのだろう、ドクター・ロマニ? 共に魔道を研究した学友として、君に最後の忠告をしてやろう。カルデアはもう用済みになった。おまえたち人類という種は、既に滅んでいる」

 

 

『...レフ教授。いや、レフ・ライノール。

それはどういう意味ですか。2017年が見えない事に関係があると?』

 

 

 

 ロマニの探るような声色。この状況で、出来うる限り情報を集めようとしていた。

 

 

 

「既に関係のあるなしではない。もう終わったという事実の提示だ。未来が観測できなくなり、おまえたちは『未来が消失した』などとほざいたな。まさに希望的観測だ、楽観的にもほどがある。これは未来が消失したなどという話ではない。お前たちの未来などという害悪は既に焼却され、燃え尽きたのだ。

カルデアスが深紅に染まった時点で結末は確定した。貴様たちの時代はもう存在しない。カルデアスの磁場で未だカルデアは守られているだろうが、その外はこの冬木と同じ末路を迎えているだろう」

 

 

『そうでしたか...外部と連絡がとれないのは通信の故障ではなく、そもそも受け取る相手が消え去っていたのですね』

 

 

「ふん、やはり貴様は賢しいな。真っ先に殺しておけなかったのが悔やまれる。

だがそれも虚しい抵抗にしかならん。2017年が訪れぬまま人類が消失することは証明された。カルデア内の時間が2016年を過ぎれば、そこもこの宇宙から消滅する。もはや誰にも結末は変えられない。なぜならこれは人類史による人類の否定だからだ。

おまえたちは進化の行き止まりで衰退するのでも、異種族との交戦の末に滅びるのでもない。自らの無意味さに!自らの無能さ故に!我らが王の寵愛を失ったが故に!何の価値もない紙屑のように、跡形もなく燃え尽きるのさ!」

 

 

 

そんなレフに龍魂珠は言った。

 

 

「不遜だな、人間如きが」

 

 

「何だと?」

 

 

 

「あぁ。人類の未来がないと?滅び、何もなくなるだと?...そんなもの、我の望む新世界以下だ!...未来の焼却だと?そんなもの、知ったことか!」

 

 

そんな龍魂珠に、レフは笑った。

 

 

「なんとでも言うがいいさ」

 

 

 その時である。大空洞が...いや、空間が震え始める。

 

 

「おっと、この特異点もそろそろ限界か。全く、セイバーめ、大人しく従っていれば生き残らせてやったものを。聖杯を与えられながらこの時代を維持しようなど、余計な手間をとらせてくれた」

 

 

 

「では、さらばだロマニ。そしてマシュと最後のマスター。...そして、別世界からの異物よ」

 

 

そう言ってレフの姿が消える。

 

 

マシュが立香に言う。

 

 

「地下空洞が崩れます...!いえ、それ以前に空間が安定していません!」

 

 

『レイシフトによる帰還を実行中だ!

でもゴメン、そっちの崩壊が早いかもしれない!』

 

 

「...待て、不味くないか?主に我が」

 

 

 

 これは、龍魂珠が立香達と出会った時に言われたことである。

 

 龍魂珠はいつの間にかここに居た。すなわち、戻るとどうなるかが分からないということだった。龍魂珠、再び消滅の危機である。

 

 

 

『龍魂珠はともかく、立香、マシュ!とにかく意識をしっかり持って!そうすればなんとか...!』

 

 

 

「おい優人間!とうとうお前まで呼び捨てか!というか我を見捨ててないか、ほぼ!」

 

 

 

 周りがどんどん白く染まっていく。龍魂珠は、やぶれかぶれに立香に張り付いて、その意識を手放すのだった。

 

 

 

 




エピローグは次に回します。もうちっとだけ続くんじゃ。
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