Fate/DisspectOrder 作:一般デーモンコマンド
「さて、それじゃあそろそろレイシフトを始めようか」
ロマニがそういうと、3つのコフィンへと身体を向ける。が、その中の一つだけ妙に小さかった。
「これだけ小さいようですが...」
マシュがそう言うと、ロマニは笑って言った。
「それは龍魂珠用だよ。彼を解析したらレイシフト適正はあったからね。マスター適正はなかったけど」
それなら合点はいった。確かに龍魂珠のサイズならこれぐらいの大きさで充分だろう。
「フォーウ!」
が、フォウが喜んで入ってしまった。それを見て龍魂珠は怒る。
「勝手に入るな、リスモドキ!」
「フォッ!フォウ、フォーウ!」
2人は睨み合い...やがて飽きたのかフォウは何処かへと歩いていった。
「ふん、所詮リスモドキか」
龍魂珠はどこか勝ち誇った感じでコフィンに入った。
「じゃ、わたしたちもいこっか」
「はい、先輩」
立香とマシュもコフィンへと入る。
「じゃ、行くよ!皆の健闘を祈る!」
コフィンが閉じる。すると、機械音声が聞こえ始めた。
『アンサモンプログラム スタート。霊子変換を開始します。
レイシフト開始まで あと3、2、1...全工程 完了クリア。
グランドオーダー実証を開始します』
そして、龍魂珠達の身体は転移し始め...
「ぬぉぉぉぉぉぉ!?」
龍魂珠の叫び声と共にレイシフトは完了した。
――1431年 邪竜百年戦争 オルレアン―――
目を開けばそこは見渡す限りの草原であった。
マシュは辺りを見渡すと言った。
「ふう、無事レイシフトできましたね、先輩。前回は事故による転移でしたが、今回はコフィンによる正常かつ安全性を保証された転移です。
おそらく大丈夫でしょうが、身体状況に問題がある方はいませんか?」
「フィーウ!フォーウ、フォーウ!」
「フォウさん!?またついてきてしまったのですか!?」
「フォーウ...ンキュ、キャーウ...」
マシュの声に萎縮したのか、落ち込むフォウ。それを見ながら、立香は言った。
「フォウもレイシフト出来るんだね」
「...そのようです。恐らくは先輩かわたしのコフィンに忍び込んだのでしょう。幸い、異常はどこにもありませんので、わたしたちが帰還すれば自動的に帰還できるはずです」
「じゃ、フォウのためにも無事に帰らないと、ね...!?」
立香がそこまで言って言葉を止める。顔は空を向いていた。マシュは首をかしげて同じように上を見ると、その顔を引きつらせた。
『よし、なんとか回線が繋がった!ってどうしたんだい、二人共?そろって空を見上げちゃったりして』
「ドクター、映像を送ります。あれは、いったい何ですか?」
目線の先には、まるで包むように光の線があった。いや、線というより、帯と言ったほうが正しいかもしれない。
それを見てロマニは推測する。
『これは、光の輪?いや、衛星軌道上に展開した何らかの魔術式か?とにかく、なんにしてもこれは尋常じゃない大きさだ。下手をすると北米大陸と同サイズ、あるかもしれない。』
『とにかく、1431年にこんな現象が起きた、なんて記録はない。間違いなく未来消失の理由の一端だろう。アレはこちらで解析するしかないな...とにかく、キミたちは現地の調査に専念してくれ。まずは霊脈を捜索し、ベースキャンプの設営だ』
「ドクターの言うとおりです。やることは山程あります」
マシュの言葉に立香は頷く。その時、立香は気づいて言った。
「そういえば、龍魂珠は?」
「...そういえば、いませんね」
『通信は...繋がらないな。...取り敢えず、彼を探しながら調査を進めていこうか』
そうして、立香とマシュは特異点の調査を始めるのだった。
◇
「...ここは何処だ」
冬木でも同じことを言ったような気がするが、それはともかく。
龍魂珠は何処か分からない謎の森に転移していた。周りを見ると魔性の存在が多数見つけることができた。ようするに敵だらけであった。
「...はぁ。なんでこう、いつもまわりに敵ばかりなのだ、我は」
龍魂珠の身体が輝いたかと思えば、そこから冬木で戦った骸骨達が現れた。
「行け、新たなディスタス、『骸兵ケルトン−1』」
このディスタス達は、冬木の時に回収した断片のうち、カードに吸い込まれなかった物から出来たものである。何故それらは吸い込まれなかったかは謎だが、龍魂珠はカードに刻むにはその断片の持つ情報が足らなかったのではないかと予測していた。
ともかく、新たなディスタスであるケルトン−1を三体呼び出した龍魂珠は周りの雑魚を任せ、他の場所の探索に乗り出した。
「そういえば、立香とマシュとかいう人間モドキモドキがいないな。まぁいいか。いないほうが色々都合がいいし」
その時、龍魂珠は出会った。
「あら!見てアマデウス!なにか丸っこいのがいるわ!」
「...ホントだ。なんだ、コレ」
そこに居たのは、フランス革命期に消えた王妃。ヴェルサイユの華と謳われた少女。
そして、神に愛された子。揺るぎない才能と異常なまでの音感を有した、奇蹟の天才。
マリー・アントワネット、そして、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトであった。
「何だ、貴様ら?...よく見たら人間モドキ...サーヴァントではないか」
龍魂珠がそう言うと、マリーは頬を膨らませて言った。
「モドキなんて失礼しちゃうわ!私はマリー・アントワネットよ!」
「ほー、マリーか。私は龍魂珠だ」
そう言った龍魂珠に、マリーは身体を震わせて言った。
「な」
「な?」
「なんって、ステキな呼び方!はい、マリーですわ!」
何度もそういって喜ぶマリー。アマデウスもにっこり笑って言った。
「良かったねぇ、マリア」
「もう、アマデウス!あなたもマリーって呼んでちょうだい!」
「いやいや、遠慮させてもらうよ」
そんなマリーとアマデウスのやり取りを龍魂珠が見ていると、マリーが龍魂珠に提案した。
「ねぇ、あなたのこと、アンさんって呼んでもいいかしら?」
「は?」
「だってアントマタンゲンドって長ったらしいもの。あなたがわたしのことをマリー、って呼んでくれたように、わたしもあなたをそう呼びたいわ」
「...不敬だ。...だが」
龍魂珠はばっとマリーの方を見て言った。
「良いだろう!そう呼ぶと良い!今の我は気分がいいのでな!」
龍魂珠がそう言うと、マリーはぱっと顔を輝かして言った。
「わぁ!それじゃあもうわたしとあなたはおともだちですわね!」
「あぁ」
しかし、龍魂珠は内心こう思っていた。
(クックック、丁度いい。こいつらはここのサーヴァント。前の特異点ではキャスターとやらが聖杯まで案内してくれたからな。こいつらを使えば聖杯まで辿り着ける!それならなんと呼ばれようと気にすることはない!)
そう思い、龍魂珠は、心の中で笑うのであった。
オリジナルディスタス
骸兵ケルトン−1
冬木で現れた骸骨をディスタス化した。何体も作ることができ、腕などの身体の一部分が陶器に入れ替わっている。
エネルギーの高い物から作り出すことが可能で、サーヴァントの断片の中でもディスペクターの素材にならないようなものから龍魂珠は作り出した。