転生したら追放系主人公の姉でした~やることが多すぎる〜 作:パンプジン
クエビーの部屋から少し離れ、ベルトに触れる。
《黄金の鳥は言葉を届けた「今から伺います。」》
聖典の一節を使った聖言が金の砂になり、金の鳥になる。そうして兄がいるであろう方向へ飛んで行った。
この聖言は短い言葉を相手に送るもので便利なんだけど、覚えるのがすっごく大変だった。二度とやりたくない。
近くにいた衛兵に声をかけ、兄の執務室まで案内してもらう。奥に行けば行くほど装備が良い衛兵に代わっていく。オリハルコンの剣とか初めて見たわ。儀式装具は見たことある。触らせて欲しぃ〜。
そんな事を思っていると着いたらしく、衛兵の足が止まる。部屋の中の誰かといくつかやり取りをし、重厚な扉が開いた。
「お待ちしておりました、聖人サンデマム」
私を迎えてくれたのは兄の側近だった。髪をオールバックに固めており、神経質な印象。この国じゃ高級品のメガネなんかしちゃって、顔がいいぃ〜!!メガネってだけで100満点のビジュしてるわ。
一瞬見惚れたが、ふわりと香る甘い匂いで我に返る。兄ヴァーベのギフトだ。ちゃんと挨拶しろって言ってるわ。
「突然の訪問ですが、対応して下さりありがとうございます。カールヴァーサ教のサンデマムです。殿下はいらっしゃるかしら?」
「はい、歓談の準備は整えております。」
案内をしてくれた衛兵に軽く頭を下げてお礼を言い、部屋に入り案内されたふかふかのソファーに座る。私的な客を招けるように、応接間の役割がこの部屋にはあるのだろうと、考えながら出された紅茶をすすり一息つく。
ヴァーベがゆっくりと対岸のソファーに座り、にっこりと私の目を覗き込む。目が合うと甘い匂いと兄の美しい空色の瞳に頭がクラクラしてくる。
ヴァーベのギフトは抑制。彼の魔力には人にリラックス効果や多幸感を与える。依存性は無いはずだが疲れた人間にはよく効くらしく、彼の信者は多い。聞いた時思ったのはダウナー系のあれだった。依存性が無いのが良心的だと思っておこう。
私はベルトに触れて祈りを捧げる。癖になっている動作は解呪の聖言で、自分に降りかかった邪気や悪意を払う聖言だ。
聖言はきちんと発動し、クリアになった頭を携えて兄を睨む。
「家族であっても、いきなりギフトを使うのは失礼じゃない?」
「はは、ごめんね。手紙のやり取りはしていたけど会うのは久しぶりだろ?ちゃんと成長してるのかなって気になっちゃった。大きくなったねサンデマム」
「お兄ちゃんのその父親役は変わらないね」
「ふふふ。それで、フィリップの件だろ?聞いているよ、王から追放宣言されたんだろ」
「流石王位継承第一位」
「賞賛だと受け取るよ。しかし、我らが父も面倒なことをするもんだ。僕でもあの人の考えることはわからないよ」
「何も考えてないんじゃない?」
思わず出た言葉に兄は腹を抱えて笑った。こういう話ができるのはヴァーベしかいなかったし、ヴァーベも私しかいなかった。山に行くまで二人で愚痴を言い合って頑張ってたなぁ。
「とりあえず領地やら爵位やらの手続きとかは全部やってあげる。君たちがここでできることは無いよ。とりあえず、周辺の情報はまとめておいたから」
ばさりと出された紙の束に思わず顔が歪む。これ全部読まなきゃ行けないの?いや経典よりマシか?
「色々と式典やらなんやらやらなきゃ行けないけど、やるとしたら来年か再来年だね」
「授与式とか任命式とかだよね?」
「そうそう、任命式とかは王城じゃなきゃ出来ないから準備に時間がかかるよ。」
「めんどくさい……」
「そういうもんだよ、僕もやったしね」
「あぁ〜、頑張ります……」
「そうしてください。あとさっさと王都から出た方がいいよ、足の手配はしてあげるから」
さっさと動きな、と資料とともに部屋から追い出されてしまった。
誤字多すぎ問題