表の顔は探偵で、裏の顔は忍び   作:カオスカラミティ

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プロローグ
★月閃女学館、唯一の男子生徒


ーとある場所にて

 

?「ハッ!セヤッ!」

―バシッ!ズンッ!

 

?2「うむ。なかなか良いぞ。だが……」

―ドンッ!

 

?「うおっ!?」

 

?が素早い動きで?2を圧倒するが、?2は一瞬の隙をついて?に掌底(しょうてい)をくらわせて吹き飛ばした。

 

?2「フム。“(ツルギ)”よ。だいぶ腕を上げたな。」

 

ここは善忍養成のエリート校『死塾月閃女学館』。その学校にただ1人だけ、『剣』という忍名の特待生男子生徒がいる。

 

彼は今、月閃女学館にある模擬戦用の広場にて黒影という伝説の忍びである『半蔵』の友にしてライバルの老人の手ほどきを受けていたのだ。

 

 

?→剣「まぁな。黒影じいさんにずっとしごかれてきたんだ。嫌でも、強くなるさ。」

 

?2→黒影「ハハッ、そうだな。しかし、お前の卒業試験が1ヶ月後か。感慨深いな。」

 

剣「10歳の時に孤児になり、その数ヶ月後にじいさんに拾われてから8年間、ずっと1人前になる為に鍛練してきたもんな。」

 

黒影「ああ。さて、今日の鍛練はここまでにして晩飯にするか。」

 

剣「おうよ。」

 

 

 

―それから1ヶ月後、剣の卒業試験当日

 

遂に剣の卒業試験当日になると、黒影の孫娘である雪泉(ゆみ)、そして養子の(むらくも)夜空(よぞら)四季(しき)美野里(みのり)の5人と女学館の忍び生徒全員が見に来ていた。

 

剣「おいおい。卒業試験とはいえ、こんなに集まるか普通?(汗)」

 

黒影「フフッ。皆、お前の事を認めているからな。それに、この月閃のトップ生徒の卒業試験だ。見に来ないわけがあるまい。」

 

剣「やれやれ。それじゃ、無様な所は見せられないな。」

 

そう言って、剣は深呼吸して気持ちを落ち着かせると、キッと黒影を鋭い眼差しで睨んで一言。

 

剣「それでは黒影“様”、お願いします。」

 

黒影「うむ。ではこれより、死塾月閃女学館の特待生である剣の卒業試験を行う!!」

 

黒影の言葉で卒業試験開始が言い渡されると、剣は一瞬で黒影の(ふところ)に移動し、右拳を握り込む。

 

剣「先手必勝!!セイヤッ!!」

―ブンッ!!

 

黒影「甘い!!」

―ガシッ!!

 

剣「なっ!?」

 

黒影「デェェヤッ!!」

 

剣「グハッ!!」

 

黒影「セイッ!!」

―ブンッ!

 

剣「ハッ!!」

―バシッ!バシッ!

 

剣は、握り込んだ右拳を黒影の腹に向けて突き出したが、黒影はいとも簡単にその拳を片手で受け止め、さらにそのまま剣の腕をひねって地面に転ばした後、正拳突きを繰り出した。

 

しかし、剣はその正拳突きを左足の蹴りで弾き、すかさず今度は右足で自分の腕を拘束している黒影の腕を蹴って、拘束から逃れた。

 

剣「やっぱり、伝説の忍びの友にしてライバルには先手必勝は通じないか。ならば、次はこれだ!!」

 

―ボゥンッ!

 

黒影「煙幕(えんまく)か。だが……」

 

黒影に、真正面からの攻撃は通じないと分かった剣は自分と黒影の周囲に煙幕を張り、姿を見えなくする。

 

―バッ!!

 

黒影「気配察知が出来ないほど、耄碌(もうろく)したつもりはないぞ!!」

―ブンッ!!

 

剣「グゥッ!?」

 

煙幕を張った後、黒影の背後から剣が模造刀を構えて現れるが、黒影はすぐさま振り返って拳を振り抜いて、剣をふっ飛ばした。

 

と思われたが……。

 

黒影「むっ!?これは、実体のある分け身の術か!!」

 

剣「シャッ!」

 

黒影「っ!!フンッ!!」

―ズドンッ!!

 

剣「はずれだ。」

 

黒影「くっ……またか。」

 

剣は実体のある分身の術で回避し、今度は黒影の目の前から現れて模造刀を振るうがまたしても黒影に吹き飛ばされた。しかし、それも実体のある分身だった。

 

分身で攻撃し、黒影がそれを吹き飛ばす。それを3回ほど繰り返した時、黒影は違和感を覚えた。

 

黒影(おかしいな。いつもの剣なら、分身に攻撃を任せっきりにはしない。分身の中に紛れて攻撃してくるはずだ。なのに、攻撃してくるのは分身だけ……。いったい何を考えて……っ!?)

 

その時、黒影は正面から物凄い気の流れを感じて目を凝らすと、そこには腕をクロスして気を練り上げている剣がいた。

 

黒影「なるほどな。初めから、お前のその得意技の一撃で私を倒そうとしていたわけか。だが、その技をそのまま撃っても私に止められる。だから、気を練り上げて威力を上げているのだろう?」

 

剣「さすがだな、大正解だ。」

 

黒影「だが、お前の目論見は崩れ去った。」

 

剣「それはどうかな?」

 

そう言う剣の目には諦めの色は一切無かった。それを見た黒影もギュッと右の拳を握り込み、気を練り上げて攻撃の体制に入る。

 

黒影「どうやら、まだ何かしらの策があるようだな。ならば、見せてもらうぞ剣よ!!」

 

剣「来い!!」

 

黒影「ムウゥゥ……ハアァァァァッ!!」

―ズドォォォン!!

 

黒影が突き出した右の拳から気で練り上げられた弾―『気弾』が剣に向かって飛んでいく。通常ならその気弾を回避するか、もしくは真っ向勝負をするものだが、剣はそのどちらも行動に移さなかった。

 

黒影「先程の威勢の良さはどうした、剣!!やはり諦めたのか!?」

 

剣「フッ、まさか。俺はこの時を待ってたのさ!!術式発動!!」

 

黒影「なっ!?その方陣は!?」

 

―ズドォォォンッ!!

 

剣「オォォォ……ハアァァァァッ!!」

 

剣が何のアクションも起こさない事に、黒影は諦めたと思ったが剣はニヤリと笑い、とある術式を発動させる。そして、その術式を発動した瞬間、巨大な陣が現れると黒影の気弾は命中したが剣は吹き飛ばされる事はなく、逆にその気弾を徐々に吸収していった。

 

―ドオォォォンッ!!

 

黒影「グッ!?」

 

剣「くらえ、じいさん!!これが……俺の成長の証だぁぁぁぁっ!!」

 

―キィィィィンッ!!

 

剣「閃光烈破弾(せんこうれっぱだん)!!!」

 

―バシュウゥゥゥッ!!!

 

黒影「フッ……。」

 

―ズドォォォォォンッ!!!

 

黒影の気弾を吸収しきると爆発が起き、黒影は一瞬の隙を見せてしまった。剣はそれを見逃さずに得意技を放つ為、クロスした両手を真横に広げた後に、練り上げた気を両手で丸く集めて放った。

 

それを見た黒影が軽く笑い、自身の敗北を悟ると爆発に包みこまれた。

 

 

剣の技が黒影に命中し、爆煙が周囲を覆うがしばらくすると晴れていき、そこから少しだけボロボロの黒影が出てきた。

 

黒影「見事だったぞ、剣。」

 

剣「ありがとうございます。」

 

黒影「しかし、まさかワシの気弾を吸収する陣を構築していたとはな。あんな巨大な陣をいったい、いつの間に?」

 

剣「煙幕を張った後、分身体達があちこちから攻撃してきただろ?あの時に、攻撃に参加させていない分身体達に作らせたんだ。」

 

黒影「ハハッ、なるほどな。あの煙幕は分身体達に攻撃させ、お前の得意技の威力を上げる時間稼ぎであると同時に、ワシの力を利用する陣を構築する為の物であったか。」

 

剣「かなり疲れたんだぜ。分身の術が得意とはいえ、一気に10人出して半分は攻撃に参加させ、半分は陣を構築する。出来れば、もう二度とやりたくない方法だ。」

 

黒影「そうだな。体への負担も大きかろう。だが、そのおかげでお前は見事、卒業試験を突破した!おめでとう剣!」

 

―ワアァァァァッ!!

 

黒影が剣の卒業試験合格を言い渡すと、広場にいた忍び生徒達が大歓声を上げた。すると、雪泉達が剣に駆け寄る。

 

夜桜「おめでとうございます剣さん!!」

 

美野里「剣お兄ちゃん、おめでとう!!剣お兄ちゃんも黒影おじいちゃんも、凄かったよ!!」

 

四季「黒影おじいちゃんとあそこまでやり合うなんて、やばすぎっしょ〜。さすが月閃のトップだね〜。」

 

叢「これで晴れて、政府公認の善忍になれたというわけか。」

 

雪泉「おめでとうございます、剣お兄様。私達もお兄様の後を追って、必ず政府公認の善忍になってみせます。」

 

剣「ああ。その時を楽しみにしているぞ。」

 

 

―卒業試験後

その後、剣と雪泉たち5人は黒影の部屋へと移動すると、黒影がなにかの箱を持って、剣の前に立つ。

 

黒影「これの事は前に話したな?」

 

剣「この世界を守る守護獣から託されたと言い伝えられている、この月閃に代々伝わる巻物だよな。」

 

黒影「うむ、その通りだ。」

 

そう言って、黒影は巻物が入った箱を剣の目の前で開けると、6本の巻物が入っていた。

 

黒影「これに手をかざせ。そうすれば、お前と契約したい守護獣の巻物が光る。」

 

剣「ああ。」

 

―スッ。

 

黒影に言われた通り、巻物に手をかざすと3本の巻物が光った。これにはさすがの黒影も驚いていた。

 

黒影「ほう?まさか3体もいるとはな。どうする剣?」

 

剣「俺みたいな、まだ政府公認の善忍になったばかりの奴を選んでくれた奴が3体もいるんだ。ありがたく、こいつらと契約するぜ。」

 

黒影「うむ。では意識を集中しろ。」

 

剣「………。」

 

―剣の精神世界

 

剣『ここは俺の精神世界か?』

 

すると何かの気配を感じて振り返ると、そこには先程の巻物に描かれていた守護獣達の紋章が浮かんでいた

 

剣『火炎赤龍拳のコスモドラゴン、電撃白虎拳のコスモタイガー、高速凍豹拳のコスモレオパルドだな。俺の忍名は剣だ。これからよろしくな。』

 

剣の言葉に呼応するかのように3体の守護獣達は光り輝いた。

 

―現実世界

剣「フウ〜。」

 

黒影「無事に契約出来たようだな。」

 

剣「ああ。3体ともとても頼りになりそうだ。」

 

黒影「うむ。剣よ、今これよりお前の善忍としての人生が始まる。辛く苦難にまみれる事もだろうが、お前は1人ではない事を忘れるな。」

 

剣「『1人で出来る事はたかが知れている。どうにもいかなくなった時は、仲間を頼れ』だよな?」

 

黒影「そうだ。では行くがよい、剣よ!!」

 

剣「はい!!」

 

 

 

―1ヶ月後

剣「さてと、ここが『東都』か。犯罪発生率がダントツらしいがこういう所でこそ、善忍である俺や守護獣達の力が活きるってもんだ。」




とりあえず、プロローグは完成しました。

ここから主人公がどう動くかはすでに決まっています。
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