雪泉「まさか、招待された舞台で殺人事件が起こるとは思いませんでしたね。残された劇団のスタッフや女優達は大丈夫でしょうか?」
闇影「大丈夫だろう。彼らの目は光を失っていなかった。希望の光さえあれば、また最高の舞台を作るだろうさ。」
雪泉「フフッ、そうですね。」
タクシーに乗って泊まっているホテルに帰還中の闇影と雪泉は、先ほどの事件の事を話していた。その時……。
2人「っ!?」
闇影「雪泉。」
雪泉「ええ。」
闇影『すまない運転手さん、ここで止めてくれ。』
タクシーを降りた2人は運転手にお金を払い、急いで近くの路地裏へと向かった。
闇影「いないな。」
雪泉「ええ。でも、確かに先ほど……」
闇影「コスモ幻獣拳の力を感じた。という事は奴が……。」
???「あらあら、まさかこんな所で貴方達に会うなんてね〜。」
2人「っ!!」
2人はタクシーに乗っている時に感じたコスモ幻獣拳の力を追って路地裏に来たが、周囲には誰もいない。すでに立ち去った後かと思った時、2人の背後から???が現れた。
―少し前
???「依頼人の指定場所に到着っと。」
アリサ・ヴィンヤードの変装を解き、ビルの屋上から屋上へと飛び移って移動していた???は依頼人に指定された場所に到着した。
?「早かったわね。」
???「もちろんよ。〈依頼は正確に素早く〉をモットーにしているから。シャロンいや、クリスいいや、今はこう言った方が良いかしら?〈千の顔を持つ魔女〉ベルモット。」
?→ベルモット「ウフフ。貴方にかかったら、組織のメンバー全員の素性が暴かれそうね。」
???「フフッ。出来ない事はないけど、やる気はないわ。それより、この後はどうするの?」
ベルモット「貴方はこのままここに居てちょうだい。私が最近噂になっている通り魔に変装し、“彼”をポイントに誘導するわ。そうしたら……」
???「私の力で亡き者にすれば良いのね。了解。」
そして、ベルモットは銀髪の通り魔の男に変装するとその場を後にし、???は右手をグッと握り込むとコスモ幻獣拳の力を解放する。
―数十分後
???「遠くで銃撃戦の音が聞こえるわね。後、少しかしら?」
―ギュッ。
遠くでベルモットとターゲットが行っているであろう銃撃戦の音を聞き、???はさらに強く右手を握る。すると彼女の右手は青黒いオーラを纏う。
―バンッ!!
『動くな!!』
???「っ!?FBIか!!ハアッ!!」
―バシュンッ!!
『グッ!?アッ……。』
―ドサッ!
しかし、彼女が青黒いオーラを右手に纏った瞬間、屋上の扉が開いて成人男性5人が駆け込んできた。
それを見た彼女は彼らがFBIだと分かり、青黒いオーラを弾丸のように放つと、それが1人の男に命中し、すぐに絶命した。
『なっ!?いったい何が!?』
???『驚いてる暇は無いよ。フッ!ハッ!ハアッ!』
『グワッ!!』
『ガッ!!』
『ギャアッ!!』
『クッ、クソッ!!』
―パンッ!パンッ!
???『ざんね~ん。当たらないよ。』
仲間の1人がすぐに絶命した事に驚いていると、すぐに???が側に移動して青黒いオーラを纏った手刀で3人の男達を瞬殺した。
そして、残りの1人が???に向かって拳銃を発砲するが、???は顔をそらす事で回避する。
???『フンッ!』
―ドスッ!
『グアァァァッ!!』
???「こいつらがここに来たという事は、ベルモットの方もヤバいという事かな?予定時間をオーバーしてるし、ちょっと見に行ってみるか。」
FBIを片付けて、ベルモットの方にもヤバい事が起きているのではと考えた???は彼女の元へ向かう。その途中で……
???「ん?ホテルに帰ったと思ったら、まさかこんな所にいるなんてね〜。ちょっとだけ、ちょっかいかけようかな。フッ!」
劇場前で別れた闇影と雪泉を発見し、???は彼らの背後へと降り立つ。
―そして現在
闇影「さっきコスモ幻獣拳の力を感じたが、やはりお前だったか。」
雪泉「アメリカでいったい何をしているんですか?」
???「それはこっちのセリフなんだけどな〜。貴方達こそ、このアメリカのそれも路地裏で何をしていたの?もしかして、あんな事やこんな事をしようと――」
2人「「違う!!/違います!!」」
???「アハハハ!!冗談冗談!!」
???の目的を聞き出そうとする2人だが、???はそれに答えずに2人をからかう質問を飛ばしてきたので、2人は速攻で否定した。
???「何をしているかっていう答えは、至極単純よ。依頼だから。」
闇影「依頼だと?」
???「そっ。とある人からの依頼を受けたのよ。誰からとか、依頼内容は話せないけどね。でも、私は運が良いわ。まさか、この遠い異国の地で貴方達に再会出来たんだもの。」
雪泉「私とお兄様も運が良いですね。おじい様の仇である貴女と出会えたんですから。」
闇影「そうだな。またどこかへ雲隠れされる前に、お前を倒す。」
???「フフッ、良いよ良いよ。最近、強い奴と戦ってなくて不完全燃焼だったんだよね。ハアァァッ!!」
闇影「こちらも最初から全力でやらせてもらう。ハアァァッ!!」
雪泉「私も全力でお兄様をサポートします。忍転身!!」
そう言うと、???はコスモ幻獣拳の力を完全に解放すると闇影もコスモ幻獣拳の力を解放し、雪泉は忍転身して白い着物姿になる。
???「ハアッ!」
闇影「セアッ!」
―ズンッ!ドガッ!
???「セイッ!」
―ビュンッ!
闇影「くっ…!」
雪泉「黒氷!!」
―バシュンッ!
???「おっと!」
戦闘が始まり、闇影と???の拳と蹴りが激突して衝撃波が起こる。そして???は間を空けずに回転蹴りをくらわそうとするが、間一髪で闇影は顔をそらす事で回避した。
しかし、回避した瞬間にバランスを崩してしまい、このままでは???の攻撃をくらうと思われたが、雪泉が先端が尖った氷を弾丸のように撃ち出す〈黒氷〉を放って???の追撃を阻止した。
???「へぇ~、なかなかの連携だね〜。」
闇影「お前を倒す為に鍛錬を重ねたからな。」
雪泉「今こそ、おじい様の仇を討ちます。」
???「確かに、以前より強くなってるけど、まだ私には及ばないかな〜?」
闇影「何だと?」
???「ハアッ!!」
???が2人の事をまだまだと言った後、先ほど両手に纏った青黒いオーラを再び纏う。
???「シャアッ!!」
闇影・雪泉「っ!?」
―ズドンッ!!
青黒いオーラを纏った左手を突き出して攻撃する???。それを回避した2人だが、攻撃が命中したビルの壁を見て絶句した。
何故ならそのビルの壁がドロドロに溶けていたからだ。
雪泉「壁が…溶けた?」
???「これが私の新たな力、〈
雪泉「魔蠍……毒手拳?」
闇影「まさか……」
???「貴方達の想像通りよ。私は禁断のコスモ幻獣拳、〈土遁魔蠍拳〉を手に入れてから数年間、この力をさらに強力な物にする為に色々と試行錯誤してきた。」
雪泉「そして完成したのが……その〈魔蠍毒手拳〉ですか。」
???「そういう事。さっきも、この力でFBIを5人殺してきたわ。でも、あんなひ弱な奴らじゃどれほど強力な物になったか分からなくてね〜。そんな時に貴方達を見つけたから、〈魔蠍毒手拳〉の実験台になってもらおうと思ってね。」
闇影「外道が……。」
???「ウフフ。それじゃ、第2回戦開始よ!!」
闇影「ハアァァッ!!」
―ズガンッ!!ドゴッ!!バコッ!!
???「隙あり!!」
闇影「ハッ!!」
―バキィ!!
???「クハッ!?」
雪泉「樹氷扇!!」
〈土遁魔蠍拳〉を〈魔蠍毒手拳〉に強化した???はそれを使って再び闇影に攻撃を始める。それに対して闇影は相手の攻撃を捌き、隙を見つけては攻撃を加える。
そして、闇影の攻撃をくらった???は雪泉の方へと吹き飛び、その瞬間に雪泉の攻撃もくらってしまった。
???「あぁぁ〜、さすが黒影の愛弟子に孫ね。良い攻撃だったわ。」
闇影「まだ倒れないか。」
雪泉「どうしますか、お兄様?」
???「ああ、対策を練る必要は無いわよ。そろそろ、私はお暇するから。」
闇影「何だと?」
???「そろそろ依頼人の元に向かわないと、怒られちゃうから。」
雪泉「そう簡単に逃がすと思いますか?」
???「逃げれるわ。だって……こうすれば良いんだから!!魔蠍毒手弾!!」
闇影「っ!!閃光烈破弾!!」
―ズドォォォンッ!!
2人の攻撃を間を置かずにくらったにもかかわらず、あまりダメージを受けていない???。それを見た2人は驚きながらも、次の対策を立てようとする。
しかし、???はベルモットの元へ向かう為、ここまでだと言う。もちろん2人は逃す気はないが、なんと???は闇影と雪泉に向けて〈魔蠍毒手拳〉の派生技である〈魔蠍毒手弾〉を放ち、闇影は〈閃光烈破弾〉を放って誘爆させると、爆煙で周囲が見えなくなった瞬間に???は姿を消していた。
闇影「クソッ!逃がしたか!」
雪泉「せっかくおじい様の仇を見つけたのに!」
その時、???の声が2人の周囲に響く。
???「あぁ、そうそう。今回、私を楽しませてくれた礼として私の名前を教えておいてあげるわ。どうせ、あのジジイからは聞いてないんだろうし。」
???「私の名は“刹那”。これからよろしくね、お2人さん。」
闇影「ふざけるな!!出てこい!!」
???→刹那「あはは。残念ながらこの声は符術を用いて届けてるから、近くにはいないのよね〜。残念でした〜。それじゃ、またね〜。」
それだけ言うと、刹那の声はもう2度と聞こえなくなり、闇影と雪泉は仕方なくホテルへと帰り、翌日には日本へと帰国した。
離脱後の刹那
刹那「フッ。ずいぶんと手痛くやられたみたいねベルモット。」
ベルモットが待っているビルに到着すると、そこには脇腹を抑えた彼女がうずくまっていた。
【挿絵表示】
ベルモット「ええ。彼は……私の計画に感づいていたみたいでね……。」
刹那「という事は計画は失敗したって事か。」
ベルモット「残念ながらね。でも……ここまで手伝ってくれたから…当然報酬は払うわ……。」
刹那「そう?まぁ、貴女がそう言うなら受け取っておこうかな?それにしても貴女、嬉しそうな顔をしているけど、何か良い事でもあった?」
ベルモット「ええ。実は私にも天使がいたみたいでね。」
刹那「ふ~ん?それは良かったわね。それじゃ、貴女の家に帰ろうか。手当しないとね。」
その後、刹那は転位の印を結んで共にベルモットの家へと帰還し、彼女の手当をする。
刹那「ああ、そうそう。アリサ・ヴィンヤードの事だけど、上手い具合に始末しといてね。もう2度とその姿で人前に出る事は無いし。」
ベルモット「あら、良いの?なかなか似合ってたけど?」
刹那「良いの。めったに海外から依頼なんて来ないから今回は受けたけど、普段の私の活動拠点は日本よ?ずっとアメリカ人のフリをしてるのは疲れるの。」
ベルモット「私的にはもったいないけど、分かったわ。任せておいて。」
刹那「よろしくね。」
そして翌日、報酬を受け取った刹那は日本へと帰国した。
さらにその翌週には、シャロンの娘であるアリサ(別人)が交通事故で失くなったという報道がアメリカだけでなく、日本でも流れてそれを見ていた刹那は満足気に頷いていた。
―――
月閃の闇こと???の名前は刹那でした。
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