半蔵学園の伝説の忍びである大道寺と会ってから数ヶ月後のある日、闇影と雪泉は船に乗って伊豆沖にある小島を目指していた。
雪泉「そろそろ到着ですね。」
闇影「ああ。」
2人がなぜ伊豆沖の小島に向かっているのか?それは1週間前に遡る。
ー1週間前・天宮探偵事務所にて
雪泉「どう思いますか、お兄様?」
闇影「そうだなぁ〜……」
七槻「あれ?2人とも、そんなに難しい顔してどうしたの?」
2人がテーブルに置いてある一通の封筒を見ていると、事務所の所員の1人である越水七槻が話しかけてきた。
雪泉「ああ、七槻さんおかえりなさい。依頼の方はもう?」
七槻「ええ。それより今は貴方達の方よ。何があったの?」
闇影「これを見てくれ。」
そう言って、闇影はテーブルに置いてあった封筒を七槻に渡すと彼女は封筒から手紙を取り出し、読み始める。
七槻「『次の満月の夜、月影島で再び影が消え始める。調査されたし。麻生圭二』。確かに2人が難しい顔するのも分かるわ。」
闇影「しかも、麻生圭二という人物は12年前に家族と共にすでに死亡している。」
七槻「なら、誰が何の為にこの手紙を出したのかしらね?ってあら?宛先が毛利探偵事務所になってるけど?」
雪泉「最初は毛利探偵宛に来たんですが、蘭さんが『その日は絶対に外せない用事がある』と言うもので。」
七槻「もしかしなくても『あれ』?」
雪泉「『あれ』です。」
闇影「お互いに意地はらずにさっさとよりを戻せって思うわ。まぁ、そういう理由があるなら俺達が代わりに行こうって事になってな。」
封筒の宛先が『毛利探偵事務所』になってるのに気がついた七槻だが、雪泉が理由を話すとすぐに合点がいった。実は天宮探偵事務所は自分達ではさばききれない量の依頼が来たら、毛利探偵事務所に回しているのだ。(もちろん、依頼人に了承を得てから回している。)
その為、毛利家の今の状態も知っているのだ。
雪泉「なので、なるべく早く戻ってくるつもりですが、もし長引くようなら事務所を任せてもよろしいですか?」
七槻「全然大丈夫よ。安心して行ってきて。」
闇影「ありがとう。」
そういうわけで、2人は月影島へと向かう船に乗っているのだ。
ー数分後
闇影「到着っと。まずは役場に行って麻生圭二の事を聞こう。」
雪泉「はい。」
2人は役場に向かい、麻生圭二の事を尋ねるがやはり彼は12年前に家族と共に焼死していた。しかし、収穫もあった。
この島の村長が麻生圭二の友人との事なので、村長がいるであろう公民館へ向かう事にしたのだ。その時、役場の側にある診療所から女性ドクターが出てきたので公民館への道を尋ねた。しかし、道を尋ねた瞬間に3人の横を選挙カーが通り過ぎた。
女性ドクター「あはは…(汗)普段は静かなんですよ…(汗)」
闇影「いや、分かりますよ…(汗)」
雪泉「見たところ、次の村長を決めるんですよね?(汗)」
女性ドクター「そうなんですよ。あっ、そういえば自己紹介してませんでしたね私は医者の浅井成実です。この島でドクターをしています。」
雪泉「私は天宮雪泉と申します。」
闇影「兄の闇影です。米花町で妹と一緒に探偵をしています。」
女性ドクター→成実「探偵さんなんですか。何かの調査で?」
雪泉「本来は私達が来る予定じゃなかったんです。本当なら、毛利探偵が来るはずだったのですが、外せない用事ができたので私達が代わりに…。」
成実「っ!そ、そうなんですか…。」
闇影「……。もしかして毛利探偵のファンでした?」
成実「えっ、ええ。そうなんですよ〜。生で毛利探偵見たかったな〜。」
闇影「貴方が諦めない限り、まだ終わらないでしょう。」
成実「そうですね。」
そして3人は村長選の候補者名を聞いたりと、色んな話をしたが…
闇影「あっ、すっかり立ち話してしまいましたね。公民館への道を教えていただきありがとうございました。」
雪泉「失礼しますね。」
そう言って闇影と雪泉は公民館へと向かった。
成実「……。」
その後、2人は公民館に到着したが現村長・黒岩の秘書の平田が『前村長の法事が終わるまで待ってほしい』との事で公民館の玄関で待っていた。しかし、その時…
2人「っ!!」
2人は殺気を感じて公民館の中に入り、殺気が発せられている一番奥の部屋へと駆け込む。するとそこには……
成実「……え?」
ずぶ濡れの川島英夫を引きずっている浅井成実の姿があった。そこからの2人の行動は早かった。まず雪泉が成実を引き離し、闇影が川島を蘇生させる為に動き、それに雪泉も参加する。
結果、川島は無事に息を吹き返したが彼の証言で自分を殺そうとしたのが、浅井成実であると判明し、闇影は警察へと連絡する。
毛利小五郎の上司である目暮警部が到着すると、浅井成実はなぜこのような事件を起こしたのか話し始めた。
浅井成実は麻生圭二の息子の麻生成実(あそうせいじ)であった。彼は父の死に疑問を持ち、息子だとばれないように女装してこの月影島で情報収集していたのだ。そして2年前に前村長の亀山に公民館に呼び出された時に、麻生圭二の息子だとバレると亀山は麻薬の事、暗号の事、麻生圭二を殺した事を話したら心臓麻痺で亡くなった事。
川島「そっ、そんな話はデタラメだ!亀山の作り話だ!」
成実「何だと!?」
黒岩「そもそも、そんな証拠がどこにある!?殺人犯の話なんか、誰が信じる!?」
川島と黒岩の言葉に拳を握る成実。しかし、その拳に手を添える者たちがいた。
成実「闇影君…、雪泉ちゃん…。」
闇影「ギャアギャア喚くな、おっさんども。」
黒岩「なっ、なに!?」
雪泉「証拠なら、今から警察が見つけます。日本の警察は優秀ですから。」
闇影「知ってるか?日本での殺人事件の検挙率は96%を超えているんだぜ。」
雪泉「つまり殺人を犯せば、ほぼ確実に捕まるという事です。」
闇影「首を洗って待ってるんだな。」
2人の言葉に顔が真っ青になる川島と黒岩と西本。その後、警察の捜査が進むと公民館の倉庫に麻生圭二が残した譜面の暗号が見つかり、それに全ての事が書かれていた為、川島と黒岩と西本の3人は逮捕された。さらには黒岩の秘書の平田も麻薬の密売で逮捕された。
当然、麻生成実も殺人未遂で逮捕されたのだが……
ー天宮探偵事務所にて
成実「本当にありがとうな。」
闇影「気にするな。」
雪泉「私達は当然の事をしただけですので。」
成実「でも、執行猶予がついたのは間違いなく2人のおかげだ。だから、ありがとう。」
そう言って成実は深々と頭を下げる。
実は2人は成実が逮捕された後、毛利探偵に成実の罪が少しでも軽くならないか相談していたのだ。すると毛利探偵は今は別居中の妃英理に相談したところ、快く彼女はOKしてくれたのだ。
その後、裁判が始まると成実は殺意があった事も含めて正直に話したのだが、妃英理の弁論術に加えて動機に対しても情状酌量の余地があり、さらには闇影と雪泉が再び月影島へ行き、成実が医者の仕事を問題なくこなしていたという証言まで取ってきたおかげで、罪はかなり軽くなり、情状酌量までついたのだ。
闇影「だが、まさか俺の事務所で働きたいと言い出すとはな。本当に良いのか?」
成実「ああ、2人に恩返ししたいんだ。それに医者を続けて良いと言われたからな。この手で救える人はどんどん救いたいんだ。」
雪泉「良いんじゃないですか、お兄様?実際、医療関係の方は居ても困りませんし。」
闇影「まっ、そうだな。救命処置が必要な時に出くわしたら、テキパキ行動出来るだろうし。それじゃ、ようこそ天宮探偵事務所へ。これからよろしく頼むぞ。」
成実「よろしくお願いします。」
こうして、天宮探偵事務所に新たな所員が入った。
ーちょっとおまけ
成実「あっ、女装は続けるつもりだから。名前も浅井成実のままで。」
闇影「まさか、そっちの方向に目覚めたのか?」
成実「違うから!!」
闇影「冗談だ。」
成実「全くもう…。」
無事に浅井成実を救済できました。次は何を書こうかな?
ちなみに雪泉は表の人間に対して自己紹介する時、闇影の名字である天宮を名乗るようにしてます。