原神✕仮面 〜アギト、『契約』の地にて〜   作:ジュンチェ

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 最新話更新となります。


正義 Ⅵ

 

 

 

「何事!?」

 

 揺れる群玉閣。執務室にてダイレクトに衝撃を受けた凝光…幸い、壁に捕まり転倒は免れたものの…床には資料などが散乱し酷い有様。たまたま野暮用で呼び出していた甘雨と刻晴もで突然の事態に混乱していた。

 

「凝光様、お怪我は!?」

 

「大丈夫よ。それよりも外を確認して!」

 

 主の無事を確認し、すぐさま外へ飛びだした甘雨は屋根に飛び移る。群玉閣の一部が燃えている…幸い、空に浮くための浮遊石はまだ無事のようだが一体誰が…?

 弓矢が届く高さではないし、砲撃だとしたら千岩軍が気がつかないわけがない。

 

 一息遅れて追いついた刻晴も惨状に目を見開く。

 

「何処からの攻撃…?」

 

「! あそこをッ!!」

 

 そして、甘雨は気がついた。璃月港外れにある崖の上…そこに立つ黒い影。

 仮面ライダーG4が4連巡航ミサイル・ギガントを担いで群玉閣を狙っている。怪人やアギトですら直撃を受ければ容易く粉砕し灼き尽くす、テイワットとは別世界からやってきた兵器。仮にも人類を守るべきと創られた叡智と業の結晶が人に牙を剥くとは何たる皮肉か。

 無論、甘雨と刻晴がそもそもミサイルなんて知る所以も無く…ただ見慣れないそれを向ける存在に直感が『敵』だと判断した。

 

「…」

 

 そして、続くギガントの第2射。バシュッ!!と音をたて巡航ミサイルが再び群玉閣を狙い飛翔する。 

 即座に刻晴が飛びだし、甘雨は弓を引いた。最初の2発を空中にて刻晴は雷撃の刃をを飛ばし迎撃、爆発は雷元素の瞬間移動で回避しG4の懐目掛け飛んでいく。甘雨も研ぎ澄ました氷の矢で残る2発を射抜いて群玉閣への攻撃を阻止してみせた。

 

「流石、七星と言ったところか。」

 

 感動無き賞賛を呟きながら、空になったミサイルポッドを投げ捨て降臨の剣をサッと構えるG4。眼前には風の翼を拡げ、猛禽のように空を滑り刻晴が迫る。

 

「はあっ!」

 

「むんッ!」

 

 ギャン!とぶつかりあう2人の刃。激しく火花を散らす中、G4の顔をマジマジと確認した刻晴はそのマスクに既視感を覚えた。

 

「黒い…アギト!?」

 

 似ている…あの黄金の戦士に。しかし、明確な敵意を向ける仮面は彼女を振り払うと手をあげ合図…すると、何処からともなくアビスの魔術師やヒルチャールたちがワラワラと湧き出しはじめる。

 ここでやっと理解した。璃月港を襲うこの襲撃者どもは…

 

「アビス教団か…!」

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

「―――やれやれ、盛大に狼煙をあげてくれる。」

 

 広場から燃え盛る群玉閣を見上げる須晶。港の人々が頭上に気をとられどよめいているのは都合がよい…足許への注意が程良くおざなりならこちらも仕掛けやすい。

 

「さあ、出番だぞテメェら。深追いはするな、あくまで岩神を誘き出すまでが俺達の『契約』だからな。」

 

「「「「…」」」」

 

 須晶の声と共に背後の人影が散っていく。

 同時に地面を突き破り、アントロードの軍団が湧き出し阿鼻叫喚の地獄絵図となる。逃げ惑い叫ぶ人々、その中をゆらゆらと微笑みながら歩む須晶。荒れ狂うような人の波も悲鳴もそよ風のように後ろへ後ろへ流れていくだけ……

 

「さあ、目を覚ます時間だぞ…星野。」

 

 …そして、儚い夢から『目覚めた』お前を迎えにいってやろう。

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

『『『グルルル…!!』』』

 

『『『『yaaa!!』』』』

 

 璃月港は瞬く間に怪人と魔物で溢れかえった。奴等は無差別に人々に襲いかかり、その魔の手は万民堂にも大挙として押し寄せる…

 

「逃げて!」

 

 咄嗟に前に出るホシノ。腹に手を当てオルタリングを………出てこない!この期に及んで尚もアギトのチカラに光は灯らないのだ。

 その隙に一斉に飛びかかるヒルチャールたち。だが…

 

「逃げるのは君のほうでしょ!?」

 

 すかさず飛びだしたのは胡桃。槍を片手に炎元素を振り回し、あっという間に撃退。散り散りになるヒルチャール…されど、入れ替わりにゾロゾロとアントロードたちが近寄ってくる。圧倒的な数の暴力…火すら呑み込む蟻の大波に流石の胡桃でさえ嫌な汗が滲む。

 

「白朮、いるんでしょ! はやくホシノくんたち連れて逃げて!」

 

「やれやれ、気がついていましたか。まあそう言わず、ご一緒しますよ。」

 

 物影に隠れていた白朮を引っ張りだし、異形の軍団を前に身構える2人。人間関係は別として、胡桃は炎元素で白朮は草元素の使い手と相性は決して相性は悪くはない。アントロードの大群とはいえ渡り合うことは可能な筈…

 

「…」

 

 そんな様子をアントロードの群れに紛れながら窺う人影。まだ幼さを残す少女はテイワットには無い派手なスカジャンを着こなし、鋭い眼を見開きながら胡桃と白朮に向け手を翳す。

 すると、みるみる2人の神の目から光が失われはじめ…呼応してか武器も元素力が消失、突然の不調に胡桃と白朮も驚かずにはいられない。

 

「あれ? あれ? どうしちゃったの、肝心な時に!?」

 

「――これは一体!?」

 

『しっかりしろ、ふたりとも!来るぞ!?』

 

 長生の警告とほぼ同時に迫りくるアントロード。

 混乱する人間などお構いなしに牙を剥く怪異の軍団。璃月の危機はただの魔物の襲撃というものを遥かに超えた大事件へとなりつつあった。

 

 

 

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