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『『『yaaa!!』』』
『『『グルルル…!』』』
北国銀行の正面口に殺到する異形の群。打ちつける攻勢の波に鍾離が張った障壁もピキピキと音をたて、限界の接近を物語る。これを破られれば最期、中に逃げ込んだ人間たちはあっという間に餌食になってしまうだろう。
危機を察したタルタリヤだったが、その前にクイーン・アントロードが立ちはだかる。
「どけ!」
『ハハハハ…!』
こんな奴等、本調子なら片手間でどうにかなるのに!
嘲笑する怪人の女王を睨む…その時
――バァァァァァァァァァァァァ!!!!!
『『『ya!? yaaa!?!?』』』
『『ギャァァァ!?!?』』
轟く銃声。拳銃なんて生易しいものじゃなく、重く激しい連射の音と共に怪人たちが逃げ出していくか、蜂の巣にされ倒れていく。
何事か!? タルタリヤが知る限り、北国銀行に重火器なんて置いてなったはず…… すると、ガチャ…ガチャ…と音を立て青いメカニカルな甲冑の仮面ライダーが中から現れる。
「……よし、まだ動くな。」
仮面ライダーG3-X。神や超自然的存在に抗うために人が生み出した科学と叡智の結晶にして最高峰…警視庁、驚異のメカニズム。
折りたたみ式のガトリング砲のケルベロスを引っ提げ登場したその装着者はホシノである。鍾離が持ってきた棺の中身はこれであり、実弾兵器を主軸にテイワットに存在しない技術から成る故に元素力での影響をほぼ受けることはない。
渡り廊下からサッと飛び降り、戰場へ舞い降りるとたじろく異形たちへケルベロスの銃口を向ける。
『な、何故それが!? ええい、恐れるな!ぶち壊せいッ!!』
「!」
無論、敵も怯んでいる場合ではいられない。アビスの魔術師の号令により大盾持ちのヒルチャール暴徒たちが突撃してくる。
その巨躯から繰り出される質量こそが一般人にとってはトラックが突っ込んでくるような凶器そのものだが、科学の到達点がそんな原始的な攻撃など取るに足らない。
ケルベロスのトリガーを引くや、回転する銃口から激しく火を噴き弾丸の嵐が一瞬で大盾を粉砕。同時にヒルチャール暴徒たちを一瞬の悲鳴しか許さず挽き肉にしてみせた。
『な、ナニぃぃ!? ええい!』
「逃がすか!」
逃げようとするアビスの魔術師にも容赦なく掃射。お得意のバリアすらも1秒足らずで木っ端微塵にして撃破…並の冒険者では危険極まりない相手を次々と容易く捻じ伏せていく。
「す、すっげえ…何それ…」
タルタリヤも驚愕していた。元素力に頼らない高火力…あっという間にアビス勢力を蹴散らしていくその様はまさに戰場の風向きの変化だろう。しかし、
『『シャァアアア!!』』
「む!?」
死角から飛びかかるアントロードにG3-Xは飛び退いて回避するが、ケルベロスを手離してしまう。されど、彼は焦ることなく跳躍した僅かな腿にマウントされていたサブマシンガン・スコーピオンを抜き正確に反撃の弾丸を撃ち込む。
神秘の化身たるアギトとは別物ながら、戦い方に不慣れどころか長く扱ってきたような身のこなしで敵をいなす。やはり、アギトとしての持ち前のセンスと経験が活きているのだろう。
「ホシノ、これを使え!」
「!」
頭上から声、北国銀行の橋から鍾離が装備を投げ渡す。
怪人を捕縛するアンカーの装備、アンタレス…こんな物まで漂着していたなんて。驚いている暇は無く、すぐに右腕へ装備するとクイーンへ目掛けアンカーを射出して首に巻き付かせ拘束。そのまま力任せにブンブンと振り回し、ヒルチャールやアビスの魔術師、働き蟻たちを巻き込みながら地面へと叩きつける。
『グ…ェ゙ェ……』
「よし!」
女王の動きは封じた。王手へのチャンスを逃すことなく、アンタレスを外してケルベロスを再び拾いあげたG3-X。これに手早くスコーピオンを連結し、銃口に弾頭・GX弾を取り付け狙いを澄ます。
その用途と威力を察したアビスの魔術師は『ヒィッ!?』と仲間を置いてテレポートし逃げ去り、残された異形たちはフラフラとするばかり。そんな彼等に正義の鉄槌が放たれた。
『!!』
気がついた時にはもう遅い。眼前に迫ったGX弾が炸裂。
アギトのライダーキックに匹敵する爆風は簡単にアントロードとヒルチャールを一瞬で焼き尽くし、クイーンにも致命傷を与える。
『ガ…ァ…… オノレェ゙!!』
それでも何とか逃げようと這いずるクイーン。その背後にゆらりとG3-Xがゆらりと爆炎に照らされながら迫りくる。スコーピオンを右手に装備を換装…グレネードランチャーの砲身を取り付けたサラマンダーは敵へとトドメを刺す火竜の業火。逃げる背を踏みつけ、0距離となった今…愚かな女王蟻の末路は確定する。
『…グ、アァァアアア!!!?』
「…」
バシュッ! バシュッ! バシュッ! と火を吹く音…
数秒後、醜い断末魔と共に大爆発が起こり…その炎の中心にはG3-Xが佇んでいた。