原神✕仮面 〜アギト、『契約』の地にて〜   作:ジュンチェ

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 高評価ありがとうございます。

 最新話になります。



正義 Ⅺ

 

 

『かかれぃ!』

 

 アビスの魔術師の号令がかかるや雪崩れのように大挙して押し寄せてくる魔物たち。迫る邪悪な大波を前に甘雨と刻晴は左右に散り、G3-Xは右手にケルベロスを左手にはスコーピオンを構える。

 

「はあッ!」

 

 そして、火を吹くふたつの銃口。

 暴れ馬のようなケルベロスを片手持ちなど最早、曲芸に均しいが放たれる弾丸は狙いがブレることなく魔物たちを蹴散らしていく。

 

 魔術師は穴だらけ、暴徒の大盾は砂の塊のように粉砕され、魔物たちの断末魔すら貫いてG4に迫るが…彼の握る降臨の剣を振り回して弾き、一気にG3-Xを逆に跳躍し肉迫。咄嗟にスコーピオンで応戦しようとするが、銃身を向けるなり素早い剣捌きで両断されてしまう。

 

「―まずっ!?」

 

「ホシノさん!」

 

 ガラ空きになった懐、絶対絶命のピンチにヒュンッと飛んできた氷の矢がG4の攻撃を遮った。凍てつく一閃は頭に当たり、怯んだ隙にG3-Xは逆に体当たりを仕掛けて地面に組み敷いてみせた。

 

「バッテリーを破壊すれば…!」

 

「舐めるな!」

 

 しかし、完全に封じこまれる前に力任せに振り払うG4。その拍子にG3-Xは積み上げられた物資の山へと叩きつけられるが、呻き立ち上がると同時にあることに気がついた……

 

(………樽?)

 

 無意識に手をかけてしまったが樽が置いてある。多分、璃月では一般的な生活用水を貯めておく用途の物だが…… 待てよ?

 

「これなら!」

 

 唐突な思いつき。持ち主には申し訳ないが、これを担ぎあげG4へ投げつける。当然、払いのけるくらいで粉砕されてしまうが、これで良い。サバァと中身の水がぶちまけられG4はビチャビチャ…身体が濡れるてしまう。――則ち、水元素を帯びた状態になること。

 

「! 貴様…」

 

「中々良い、援護じゃない!」

 

 その狙いに気がついた時には雷元素を迸らせた刻晴に背後を取られていた。

 

 水元素と雷元素……この組み合わせが引き起こすものは

 

「さっきのお返しよ! 喰らいなさい!!」

 

「!?!?」

 

 水を媒介に獲物を呑み込む紫雷………元素反応・『感電』。

 より身体に浸透しやすい雷元素は激痛をもたらすだけではなく、G4のパワードスーツそのものにすらダメージを与えてセンサー類が悲鳴のような警報を鳴らす。更に、刻晴の四方八方からの高速の斬撃が耐久を削りとる。

 

「……く…は…」

 

 しまった。まだここまで余力があるとは…

 力量を見誤りを認めたところでもう遅い。

 

 ピキピキと音がすることに気が付き、蹌踉めく足許を見れば這い上がってくる絶対零度の氷。一瞬で身体の自由を奪う『凍結』……

 

「な、なに!?」

 

「お触り禁止ッ!」

 

 直後、甘雨の元素爆発である氷元素の塊が炸裂し魔物もろとも完全な氷漬けの隊列が完成する。

 

「凝光さま!」

 

「ええ、3人とも下がって頂戴!!」

 

 仕上げは凝光。障壁を解除し、ふわりと空中に浮くと周囲に宝石の砲弾が幾つも形成され狙いが氷漬けの魔物軍団へと定められ……

 

「これでサヨナラよ!」

 

 降りしきる流れ星のように美しく、その何倍も煌びやかな軌跡が一斉に牙を剥く。

 宝石の砲撃は凝光の元素爆発。ただの商人と侮るながれ、天権の座につく彼女はそのチカラは戦いにおいても強く美しい。気高く無慈悲な爆撃はあっという間に敵を呑み込み粉砕…ドドド!!と凄まじい土煙が巻き起こり、断末魔をあげる暇すら許さない。

 

「す、すごい……」

 

 感嘆の声をあげるG3-X。神の目持ちの戦いを観るのは始めてじゃないが、やはり目を奪われてしまう。これで凝光自身は本人曰く戦闘員ではないと言うのだから驚きだ。下手をすれば、彼女単体で上級怪人くらい相手が出来そうな気がするくらいなのに…

 

 暫くすると爆撃は終わり、ただただ土煙が立ち昇るのみ…

 

 

 事の一部始終を着地した凝光は『ふぅ…』と溜め息をつくとこちらへ視線を向けた。

 

「さあ、戦いは終わったわ。―――次はアナタの番ね?」

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 ――まあ、そうなるよね…

 

 観念したホシノはG3-Xのマスクを外して素顔を晒す。

 抗うつもりは無い…凝光は彼の意思を汲み取り、甘雨へアイコンタクトを送る。

 

「ホシノさん…此方へ。しっかりと事情を聞かせてもらいます。」

 

「わかりまし… ―――あぶない!?」

 

 しかし、承諾の言葉は遮られた。

 近づいてきた甘雨の後ろからぬるりと立ち上がる人影。咄嗟に彼女を抱き寄せ、飛び退くと首を引きちぎろうと空を切る機械の腕……

 

「――くっ! まだ動けるのか!!」

 

「…」

 

 仮面ライダーG4……再起動した機械の悪魔は血に飢える幽鬼が如く、ホシノたちを見据えていた。

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 G4の真の恐ろしさとは―――

 

 強力な火力を持つ武装か。アギトに引けを取らないスペックか。

 

 

 ――否。その真骨頂は搭載されている『AI』にある。

 

 

 

 このAIがもたらすのは未来予知まで届くとされる演算能力、例え装着者が如何なる理由で戦えなくなっても戦闘を自動で続行させる継戦能力……人間が鍛錬では至られない領域の数々。その全てを可能にするためなら装着者なんて代替がきく生体パーツに過ぎない。

 このおぞましい真価はテイワットに漂着した影響か起動していない状態だったが、刻晴が引き起こした感電のショックと装着者の王子の気絶という2つの条件が揃った今…息を吹き返し、その猛威を振るう。

 

「ぐあぁぁぁ!?」

 

 ホシノを襲う無感情な暴力の嵐。ただ繰り出される拳や蹴りの一撃、一撃が破壊のみを目的として牙を剥きG3−Xの走行を刳りとっていく。

 バッテリーもゴリゴリと削れ、タイミング悪くマスクを手放していたせいでフルスペックが発揮出来ない…一方的に嬲られ反撃すらままならない中、再び弓を引き絞る甘雨。

 

「やめなさい!」

 

 バシュッ!と放たれる氷の矢、しかし助けようとした一矢は片手で止められ…氷元素が纏われた掌は回り込もうとした刻晴へ裏拳という形で叩き込まれる。

 しまった!?と思った時にはもう遅い。刻晴はこれが致命傷となり動けなくなり、黒い死神は標的を甘雨に移し、走り出す。

 

「…や、やめろぉ!」

 

 やらせてなるものか…血を滲ませながら立ち上がるホシノ。その身体から岩元素の光が洩れ出すが、意を介さずG4は獲物へ迫る! 放たれる氷の矢の隙間を縫うように距離を詰め再び彼女の首を狙うが寸前でかわされまたしても空を切る……が、その拍子に甘雨の弓に亀裂が走った。

 

「――しまっ!?」

 

「…」

 

 倒しきれないならまず攻撃手段を奪う。G4は動揺する甘雨を確認すると、地面に放置されていたケルベロスを拾いあげ銃口を向ける。本来の武装ではないが、大元が同じGの系譜由来ならばAIが調整してすぐに扱えてしまうのだ。

 

「させるかァ!!」

 

 僅かなバッテリーを燃やし、甘雨の前に飛びだしたホシノ。

 捨て身の防御、すぐに制止しようとする甘雨だったがもう遅い。

 

 

 

 ――バアァァァァァァァァァァァ!!!!!

 

 神にすら届く弾丸の嵐…その全てがボロボロのホシノへ唸りをあげて押し寄せた。

 

 

 

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