原神✕仮面 〜アギト、『契約』の地にて〜   作:ジュンチェ

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 今回でアンケートは締め括りになります。次回予告は後書きにありますので是非是非!

 


帰る場所

 

 シュタッ!と着地したアギト……その頭上でG4は爆発四散し、戦いの決着は璃月の悪夢の夜の終わりを告げる。

 

 間一髪、装着者である王子は爆発に紛れて脱出し建物の影へ着地。皆から死角になる位置になるため、これを好機と苦苦しい顔をしながら夜闇に紛れるように転移して逃走……アギトもそれに勘づいたがあえてそれ以上は追わなかった。G4システムを破壊した以上、暫くはもう何も出来ないだろう。

 

 さて、もうお暇しようか……

 

「ホシノさん…!」

 

 と思ったが、甘雨に呼び止められた。やっぱり無言で立ち去ることは出来ないらしい…

 

「甘雨さん…」

 

「どうして…! アギトだと教えてくれなかったんですか!!」

 

「いや、その………」

 

 まあ、聞かれてない…し? ――隠してたのは事実だけども…

 

「ご、ごめんなさい…?」

 

「私が守らないといけなかったのに! この璃月を! 生きる人々を!! なのに……傷ついた貴方を戦わせていたなんて!!」

 

 半分、狂乱したかのように泣きじゃくる声と自責が混じってぐちゃぐちゃな感情を肌で感じる。

 ……ああ、そうか。自分は彼女の中では流れ着いて心身共にボロボロだったあの日から変わっていないのか。多分、無関係で壊れかけた人間に頼らなければどうにもならなかったと。

 

 ―――じゃあ、彼女にもちゃんと気持ちを伝えるべきだ。

 

「違うよ甘雨さん。俺はもう元気になったし、この璃月に帰る場所が出来たんだ。大切な人、大切な場所…だから、俺は戦うって決めた。それは海の藻屑になりかけていた俺を救ってくれた甘雨さんのおかげ。だから、自分を責めないでほしいな。」

 

 欲しいのは謝罪じゃない。――感謝とも言わない、せめて笑ってほしい。

 

 すると、甘雨は溢れかけの涙を拭い真っすぐ堂々と英雄の仮面を見据えた。

 

「すみません、こんな情けない姿を… コホン。

 

 璃月七星・秘書…いいえ、璃月に生きる人々を代表して貴方に感謝を。ありがとうございます、璃月を救ってくれて。」

 

 小さい笑みが口許に……ホシノとしては料理でさせてあげたかった表情だが、まあそこは良し。 

 ……というより、気にする余裕が無い。

 

「あら……あれ…?」

 

「ホシノさん?」

 

 実のところ病み上がりの身体で全力で戦ってきたせいか、一段落したために緊張の糸が切れてしまったのか足のチカラが抜けて……そのまま、甘雨に前のめりに…

 

「うぅ…?」

 

「ホシノさん!?」

 

 変身解除、からの倒れこんだところを甘雨に抱きとめられる形に。どうやら、限界なんてとうに突破していたようで身体は至るところから血が流れて服はベトベト…… いくらアギトとて不死身ではないので、このままでは幾度か目の生死の境を彷徨う羽目になるだろう。

 

「しっかりして下さい、ホシノさん! 今、不卜盧に…!」

 

「へへ、今回は護り抜けました……」

 

 

 ―――姉さん。 

 

 そう小さく呟きホシノは目を閉じる。

 

 こうして、璃月の長い長い暗い夜は終わり、日が昇る。

 新しい朝がまた始まるのだ。

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 それから、不卜盧に放り込まれたホシノは当然のように白朮にこっぴどく怒られて絶対安静の名の下に数日の間、ベッドに括りつけられた。と言っても、ホシノ自身も動ける状態ではないので大人しく眠りにつく…… いつ以来かぶりの心身共に安らぐ眠りに落ち、良い夢を見ているのか微笑んでいる。

 

「―――やれやれ、こっちの気苦労も知らず呑気なもんだよ。」

 

 そんな彼の横、溜息をつく胡桃…その隣には鍾離の姿も。見舞いに来たが、当の本人は目を覚ます気配は無い……。

 

「安らかな寝顔。今までは昼間にどんなにヘラヘラ笑ってても、夜はずっと魘されて苦しそうにしてたのに。」

 

「それは堂主の尽力があってこそだろう? だから彼はここまで立ち直れた。」

 

「いいや、私は何もしてないよ。ホシノくんは自分のチカラと意思で立ち直った……思ったより、強かったね。」

 

 謙遜……いや、本当に自分が何かを施せたとは思っていないのだろう。

 しかし、鍾離は知っている。彼女の優しさを知ったからこそ、己の深淵に呑まれかけた光は輝きを取り戻したのだと。ある意味、胡桃も璃月を救った裏の功労者と言っても他言ではない。

 

 そんな彼女の顔に影が少し暗くなる…

 

「――ねえ、鍾離先生。ホシノくん、往生堂に残りたいって。

 自分は多くの人との別れを見てきた。その大半は思いも寄らない上に望まない形のものばかりで……だから、ちゃんと人の命を見送りたい。だから往生堂に居たいんだってさ。

 

 人の人生は十人十色・千差万別とは言うけども、彼はどんな人生を歩んで来たんだろ。」

 

 それは、いくら鍾離でも解ることではない。

 

 ただ、願わくば…どうか彼がこれから自分たちと歩む日々にせめてもの安らぎがあらんことを……

 

 

 

 

 きっとその想いはふたりとも変わらないだろう。

 

 

 

 

 





 次回予告! 特別編!!

ホシノ「俺以外にも仮面ライダーがいるんですか!?」

 タルタリヤからもたらされた自分以外の仮面ライダーの情報…
 フォンテーヌ…『正義』の国の仮面ライダー…!

ヌヴィレット「これより、判決は仮面裁判に委ねられる。」

龍騎「…判決は!」

インペラー「僕が決める!」

 歌劇場、大衆の前…己の信念をかけて戦う仮面ライダーたち。しかし……


王蛇「祭りをはじめようじゃねえか?」

リネ「メロピデ要塞が…破壞された!?」


 水底より蘇る暴力の化身、揺らぐ法と秩序。

フリーナ「そうか…彼が仮面ライダー龍騎。――『暖炉を飛びだした火の粉』。」

龍騎「俺は戦う、自分が信じる正義のために!」

 舞台の幕は今、上がる。さあ、悪夢に踊れ……


 【 原神✕仮面 〜龍騎、正義の地にて〜 】

―特別編/第1幕、暖炉を飛びだした火の粉編―


 ―――戦わなければ、『正義』はない!


 
  
 ★ ★ ★ ★ ★ ★


 というわけで、次回はフォンテーヌ龍騎編!
 エイプリルフールの話を膨らませたもので、アギトの物語には直接の影響は無いはず……

 その次あたりに申鶴の話をやる……やれたら良いなぁ。

 次回もお楽しみに!
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