★ヨシノについて
→リオセスリ
リオセスリ「こう言った発言は立ち場状況、控えるべきなんだが… あれが人間だとは思えん。神は襲う、常人の倫理が通じない、人を操るなら言葉や暴力を使い分けて心の弱さにつけ込んでいく。そんな奴が仮面ライダーのチカラまで……笑えないジョークだ。」
→シグウィン
シグウィン「ウチもなんとかしようと手は尽くしたんだけどね… 基本、大人しそうでも確実に隙を窺ってて…悪い意味で賢いって言えばいいのかな。全身拘束はウチとしては不本意だったけど他の囚人たちに悪影響を与えかねない以上はああするしかなかったんだよね。」
→フリーナ
フリーナ「なんで犯罪者がカードデッキを持ってるんだい!?!? しかも、ボクを襲った奴じゃないか!?」
【 SWORD VENT 】
「ハハハハハハハハハハ!!」
響く死神の高笑い。蛇杖型の召喚器・ベノバイザーへカードを装填する王蛇… 呼び出され手元に握られるは大蛇の尾を模したベノサーベル。これを振り回し、シュヴルーズ率いる特巡隊に向かって突撃していく様はまさに狂気そのものだ。
「次弾、装填急げ!!」
いや遅い。
銃の装填なんて間に合うはずもなく王蛇はシュヴルーズの眼前に迫り…
「オラァ!!」
「!」
寸前、側面からリオセスリのガントレットが迫りベノサーベルで王蛇はこれを即座にガード。無粋な奴め…蛇と番犬が睨み合い、その隙に特巡隊は退避していく。
「なんだ、まだやるのか?」
「何故、貴様が水神の権能であるライダーのチカラを持っている?」
「あァ? 何言ってんだテメェ??」
ベノサーベルが王蛇の苛立ちを込められてガントレットを圧していく。仮面ライダーのパワーは常人のそれとは比較にはならない…徐々にリオセスリと足腰も低いくなっていくが……
「まあ、事情は後でゆっくり訊くさ。 ――看護師長!!」
「任せて! ヨシノちゃん、ちょっと冷たいからね!」
――!?
油断。王蛇の背後にシグウィンが巨大な注射器を抱えて針先をこちらに向けていた。
リオセスリに気を向け過ぎていた致命的な隙を突かれ、背後に注射器から大量の水流を受け呻く王蛇。これ事態は深刻なダメージにはならないが、被った水元素と崩れたバランスに集中力…
「ナイスだ、看護師長。」
それは、『氷元素使い』であるリオセスリにとっては絶好の好機だった。
「――ハァァ…」
握る鉄拳、迸る零度の息吹…… 深く息を吸い込み…
「オラァ!!」
ズドン!!とぶち込まれる凍てつく右ストレート。唸る一撃は容易く王蛇を弾き飛ばし、氷漬けのベノサーベルも主を離れ宙を舞う。
水と氷の合せ技による元素反応『凍結』も追い打ちとなって、地面に伏す王蛇の身体はピシピシと霜が覆っていく。流石にどんな人間でもひとたまりもないだろう。
「……クク、そうだ…お前たちはそういう戦い方をするんだっけな。」
「…まだ動けるのか!」
されど、狂い笑い立ち上がる毒蛇の姫。今度こそ沈めねばとガントレットを握り飛びかかるリオセスリを背に、ベノバイザーへ新たなカードを装填される。
【 STRIKE VENT 】
――ガンッ!!
「なにっ!?」
次の瞬間、王蛇の両腕にもガントレットが装着され、リオセスリの鉄拳を迎えうつ。ただ、そのデザインは守護者の拳とは対照的な肉食蟲の鋭い3本爪。ドリルのように突きだすそれの名は『ハイドラクロー』…番犬の冷気すらものともせず、力任せに押しかえす。
「…くっ!?」
どういうことだ? リオセスリが抱く何度目かの疑問…
――どうして、犯罪者が水神の権能であるライダーデッキを持っている?
――どうして、脱獄できた?
――どうして、明らかに契約モンスターに由来しない武器を持っている?
そもそも、未遂を含めた殺人・恐喝に公務執行妨害などなど罪状のオンパレードなヨシノという女…不思議なほどにまで『過去』と呼べる経歴が無い。 何処で産まれ、何処で育ち、何処で何をしてきたのか……直近の犯罪歴以外、何も出てこなかった。
ある日、突然に湧いてきたコイツは特巡隊と大立ち回りを演じた挙げ句にたまたまフォンテーヌを散策していたフリーナに襲いかかり、側近のクロリンデに制圧された以上のことは何も分からない。
(まあ、なんにせよ…コイツをここで止めなきゃならねえよな!)
素性はどうあれ、野に放つわけにもいかない。
今一度、地面を踏みしめ秩序を担う拳を無法者に叩きつけるため立ち向かう。が……
「……余所見をしていていいのか?」
「!?」
すべてが王蛇の目論見通り。シグウィンと特巡隊たちと距離を意図せずとってしまった隙を突き、頭上をけたたましい羽音と共にトンボ型のモンスター『ハイドラグーン』や『レイドラグーン』の群が飛び越えてシグウィンや特巡隊に襲いかかっていた。
彼女の目的はあくまで脱獄し逃げることで、リオセスリを倒すことは別に今やるべきことではないのだから。
「どうする? まだやるか?」
「貴様…!」
ここで王蛇を逃がせばフォンテーヌは未知数の脅威に晒されるのは明白…脱獄を許したリオセスリの責任の訴追も激しいだろう。されど、シグウィンと特巡隊に犠牲を出すわけには…
「――ハアッ!!」
「む?」
その時、王蛇の死角から飛びかかる影。
寸前でヒラリとかわせば、そこに立つのは拳を空振った龍騎・ブランク態。続いて飛んでくる火元素の矢が数発当たり、射撃の方向に弓を構えるリネの姿…… 更に頭上には大剣を振り上げるフレミネが迫る!
「ハァァ!!」
「!」
手厚い歓迎だ。ハイドラクローで大剣を受け止めながら仮面の下で裂けるように笑む王蛇…ああ、これが戦いに心置きなく集中できる万全の状態だったらどれだけ良かったか。なんと、なんと…惜しいこと……
一方の龍騎はリオセスリを助けに入る。
「リオセスリ、あとは俺達に任せて!」
「お前……」
「大丈夫、俺はこれでも『仮面ライダー』ですから。」
……一応か。リオセスリは複雑そうな顔をしつつも、考えたのは数秒、すぐに『任せたぞ。』と告げ、踵を返して後方のレイドラグーンとハイドラグーンの群れへと駆け出していく。
さて……
「―――ほう? 龍騎か… この世界にもいやがるのか。」
フレミネを払い退け、ハイドラクローから地面に突き刺さっていたベノサーベルを引き抜いた王蛇が迫る。
色を失ったままの龍、正義の地を侵す毒蛇姫… 守護者と冒涜者、相容れぬ存在が今…対峙しようとしていた。