原神✕仮面 〜アギト、『契約』の地にて〜   作:ジュンチェ

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 フォンテーヌ龍騎編、これにて一区切り!

 そして、節操はナタとガンブレ4に潜るので暫く更新は超低速になりますぞ!



 あとムアラニちゃん、すり抜けました(白眼)


正義の炎、照らす先は

 

 仮面ライダー王蛇=ヨシノの脱獄から明日…

 

 まだ暗い早朝…メロピデ要塞を後にするシン。頭から腕、身体の至る所はぐるぐる巻きの包帯に手にはシグウィン特製の薬を持たされ晴れて退院。エレベーターまでリオセスリに見送られ、一応は感謝の言葉は贈られたものの…獄長に一個人として認識されてしまったのは喜ぶべきか、憂いに思うべきか。

 取りあえずは病人・怪我人にせよ、囚人にせよ二度と世話になりたくはない。

 

「――もう海底監獄は懲り懲り…ん?」

 

 1日ぶりのシャバの空気を味わいながら進む一歩目。見覚えがある従者を連れた日傘をさす後ろ姿… 気を遣わせないように早朝にわざわざ出たのに彼女は待っていてくれていたらしい。

 

「出所、おめでとう…で良いかしら?」

 

「人聞き悪いな!? 退院だっての!」

 

 縁起でもないジョークをかますナヴィア。

 ぷんすかと怒るシンにご満悦な笑みな彼女だったが、見兼ねたマルシラックが……

 

「…お嬢様、シン様が無事、目を覚まされて何よりでしたね。一晩中、心配していた甲斐がありましたな。」

 

「マルシラック!!」

 

「え?」

 

 まさかの部下からの裏切り。思いもよらぬ告発に顔を真っ赤にするナヴィアに対し、逆に今度はニヤニヤとしだすシン。

 

「なんだよ、心配してくれたんなら素直に言えば良いのに…」

 

 それに対し、『フンだ!』とそっぽを向くナヴィア。

 すると、ボソボソと呟く…

 

「全く人の気持ちも知らないで… アンタが死んだら、お父様にあわせる顔がないじゃない……」

 

「!」

 

 ……確かに無遠慮が過ぎたようだ。

 仮にも生死の境を彷徨った自分を想ってくれていた人を茶化すなんて、少し冷静になれば失礼以外何物でもないとわかるはずなのに。彼女にかけるべき言葉は…

 

「…心配させて、ごめん。それと、ありがとう。」

 

「…」

 

 謝罪と感謝……それと…

 

「ナヴィア、俺はカーレスさんの汚名を晴らして棘薔薇の会を復活させてみせる。そして、この国の正義を変えるその日まで絶対に死なない。約束するよ!」

 

 破れぬ決意と誓いを伝える。

 すると、彼女は涙を浮かべた顔で振り返るとシンを強く抱き締めた。

 

「……死んだら絶対に許さない。破ったら、地獄の底までひっ叩きに行ってやるんだから!」

 

「いだだだだ!? わかった! わかったから!? 痛い痛い!? 俺、怪我人!?」

 

 悲鳴をあげようがお構いなしにキツく腕にチカラを入れて、もう二度と大切な人がこの手をすり抜けないよう願いを込めるナヴィア。それを察してかマルシラックとシルヴァも『助けてぇ〜』とバタバタするシンを穏やかに見守っている。

 

 そんな彼等を祝福するように、フォンテーヌを包んでいく朝焼け光。

 

 

 

 

 そして、多くの人間…果ては神すら狂わせる巨大な事件が幕開けに自分たちがいることなど知る由もない。

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

「事件!事件!大事件だよ!メロピデ要塞からの脱獄囚は仮面ライダー!? 詳しい内容は今日のスチームバード新聞の朝刊で!」

 

 激震。フォンテーヌの正義の象徴を担うはずの仮面ライダーが悪用される…それは、民たちに衝撃を与えるのみならず、自らによる管理による安全を豪語していた水神フリーナにも疑念と非難の目が向けられる。

 もたらされる情報が決して良くないものでも人々には真実を知る権利はあるのだ……その事実をいち早く伝えるために記者としてシャルロットはフォンテーヌ中を走り続けていた。

 

 

 そんな様子をとある事務所の窓から見下ろす稲妻人の男。

 

「やれやれ、フォンテーヌも騒がしくなってきたねえ。犯罪者が仮面ライダー…笑えないジョークだよ本当に。クロリンデちゃんもこれじゃ暫くデートに誘えないなぁ。」

 

 緑色のライダーデッキを片手で弄ぶスーツ姿の彼は弁護士にして決闘代理人……前者の実力はフォンテーヌにおいて1位の座を争うほど。

 このキタオカ法律事務所の主である『北岡ケンジロウ』は愛すべき第2の故郷の動乱を嘆きながら、予定外の来客の対応にあたっている。

 

「それで、稲妻からわざわざ遠路遥々、何の用かな――ゴローちゃん?」

 

「キタオカ先生…」

 

 相対するは獣人の若き青年。凛々しく強い瞳は擦り切れた中年の眼とは対照的であるが…彼は助け求めて此処に来た。

 

「先生、アナタを迎えに来ました。」

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 暖炉の家、前にて…

 

「取りあえず、今回の一件はシン兄さんの意向で大事にならずに済んだけど…ちゃんと、改めて謝りにいくよリネット。」

 

「うん…」

 

 リネとリネット…兄妹は話し合いに折り合いをつけ、取りあえずは一区切り。仲直りはまだ時間がかかるだろうがひとまずほっと胸を撫で下ろすフレミネ。

 

(シン兄さんから頼まれた調べ物についてもやらないといけないし…これで自分のことに専念出来る。)

 

 シンから渡されたライドウォッチ。曰く、カードに頼らずライダーを強化出来る装置、この懐中時計ともつかぬ奇怪な機械の謎を解き明かさなくては……

 

 

 ――キイィィィン……

 

 

「―――ん?」

 

「どうしたのフレミネ?」

 

「…いや、何でもないよリネ。」

 

 今、耳鳴りが………気の所為か。色々ありすぎて疲れが溜まっているのかもしれない。大して気にもかけず兄妹の後を追って走り出す……

 

 

 ――その背後の扉の硝子に、白い仮面ライダーが映りこんでいることに気がつかずに

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

「―――それで、此度の件の対応はどうする気だフリーナ?」

 

「いちいち言わないでくれヌヴィレット。クロリンデはいるかい?」

 

 自らの執務室にて頭を抱えるフリーナ。

 ヌヴィレットからの小言に耐えながら直属の部下であるクロリンデを呼びつける。

 

「お呼びですか、フリーナ様。」

 

「事態は火急だ。フォンテーヌ中の仮面ライダーたちの招集をかけてくれ。 それと、これを。」

 

 やってきたクロリンデにカードデッキを投げ渡す。刻まれたライダークレストは蝙蝠を模しており、受け取った彼女は少し動揺したような顔をするもすぐに平静を取り繕う。今は公職の最中、個人の感情を表に出すべきではない。

 

「……フリーナ様。」

 

「君がライダーシステムを好まないのは知っている。だが、相手も仮面ライダーならばいくら最強の決闘代理人だろうと危険過ぎる。現にリオセスリすら遅れをとった。

 ――今回の一件はボクの名誉だけじゃない、正義の理念を掲げるこの国の威信と民の安寧もかかっているんだ。理解してくれ。」

 

「………わかりました。」

 

 渋々、ライダーデッキを受領したクロリンデ。

 やがて、その執務室を後にする彼女は物思いに耽りながら廊下を歩く……

 

(カーレスさん… こんな形ですが、同じ正義の名の下で彼と共に戦う日が近いようです。)

 

 龍騎を担った幼馴染…一度はファデュイの道を行きながら、強い意思で表舞台に這い上がってきた男。 ファデュイという闇から飛び出した火の粉……それが、消えゆく儚い光か全てを灼き尽くす大火になるかは判らない。或いは……

 

(願うことなら、行く道が違えることが無ければ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 さあ、演劇の幕が上がる。悪夢の舞台に立つ役者は仮面ライダーたち。

 

 それぞれの情熱を胸にする彼・彼女らの運命は…神すらも知らない。

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――璃月港・新月軒前にて…

 

 

「はああ……」

 

「落ち込まないで下さい、ホシノさん。いつかきっと仲間の方ともきっと会えますから。」

 

 タルタリヤから一通りの話を聞いたが、アギトに関わるものはなにひとつ無く落胆するホシノ。それを甘雨が慰める中、鍾離はふと遠目に忙しくなく動く人影を目にする。

 

(あれは煙緋と…フォンテーヌ人か?)

 

「ほら、新人! こんな程度でへばっていたらキタオカ先生に笑われるよ? ほら、ファイト!」

 

「ひぃぃ〜!? 煙緋さん、訴訟抱えすぎじゃないです!?」

 

 珍しい組み合わせだ。弁護士である煙緋がゼェゼェと肩で息をする異国人に世話を焼いている……『新人』というからには同業者の後輩か?

 ただ、彼からホシノのような暖かくて不思議な雰囲気を感じる。

 

(―――まさか、彼は…)

 

「鍾離先生、どうしました?」

 

「……いや、なんでもない。」

 

 奇妙な縁……もしかしたら、またあり得るかもしれない。

 ふと、そんなことを思いながら彼は呼びかけるホシノに微笑みを浮かべながらついていく。

 

(これもまた…巡りあわせか。)

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 一方、その頃……

 

 淑女は会食を終えた後、璃月港を離れて隣国のモンドを目指していた。

 差し掛かった遺跡平原…そこで、石柱に寄り掛かりながらスチームバード新聞を読んでいたデッドエージェントと合流する。

 

「待たせたわね。」

 

「構わない…」

 

 仮にも上司である彼女に冷たく言い放つデッドエージェント。『普通の』デッドエージェントならすぐに折檻の対象だったが、淑女は気にする様子は無い。

 

「さあ、行きましょう同志。無責任な神に怨みを持つ者、互いに同じ目的のために…」

 

「…」

 

 彼を同志と呼ぶと、その周囲を黒いドラグレッダーがぐるぐると飛び回りドス黒い炎が舞う。やがて、その姿は龍騎と酷似した漆黒のライダーへ変身。彼の名は『仮面ライダーリュウガ』。

 慟哭の炎を纏う姿に淑女は微笑み、モンドへの旅路を急ぐ…

 

 そんな彼女の背を見ながら黒い龍騎士は呟いた。

 

 

「俺の願いはただひとつ……人に仇なす神、その尽くをこの手で滅ぼしてやる!」

 

 言葉は揺るがぬ決意と憎悪に満ちる……

 

 そんな彼の足許でフリーナの写真が一面を飾るスチームバード新聞が焼けて灰になりつつあった……まるで、この先の未来を暗示するかのように。

 

 

 

 

 





★ 次 回 予 告

ホシノ「食堂・往生堂開店します!」

胡桃「( ゚д゚ )」


???「哀れな民たちよ、料理の真なる価値に誰も気がついていない。」


行秋「このままじゃ、璃月の食文化は滅茶苦茶だ…」

ホシノ「フランチャイズにしちゃやり過ぎじゃないかな…」


凝光「璃月、料理対決の開催を宣言する!」



アギト・トリニティS2「料理は…人の心を弄ぶ道具じゃない!」


  ―――再び目覚めよ、その魂!

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