原神✕仮面 〜アギト、『契約』の地にて〜   作:ジュンチェ

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 アギト新作映画ですって……新作映画!?
 
 当時キャストで井上脚本なのがマジで衝撃… 


迫る怪刃ッ!! Ⅳ

 

 ―――さて、一方のその頃…

 

 

 往生堂の存在するか怪しい有休休暇を取得した鍾離はある場所を訪れる。

 

 

「――いずれ、いずれと先延ばしにしてようやくだな。」

 

 

 璃月の山々の狭間にある谷…そこにそびえるうねった竜のような巨木。見上げればその迫力に常人なら息を呑むが、彼はその雄大な存在には目もくれずに、根本に存在する洞窟を目指す。吸い込まれるような暗闇が拡がるが、恐れなどその足取りには皆無。ただ、抱くのは確信に近い最悪の予想。

 

 

(ホシノに璃月港を任せられる迄とは思っていたが、もっと早く来るべきだったか。)

 

 

 踏み込んだ洞窟の壁面はまだ真新しい…掘ってからそこまで月日が経っていないのか?

 やがて、ぶち当たるのは壊された石碑と祠。かつて、施された『封印』は見る影も無い。

 

 

「――ッ」

 

 

 やはりか。ホシノが連れていたジャックンを初めて見た時から予感こそはしていたが……ええい、よくもこう当たってくれる!

 すでに、封じられていたモノはここにはいない…恐らくは逃げたか。奴のことだ、積年の怨みを晴らさんと怒りのまま璃月港を襲ってもおかしくはない。―――ないはずなのだが、姿を現していないのは機会を窺っているからか?或いは… 

 

 もし、この封印を意図的に封印を解いた者がいたら?

 

 

「――早く伝えなくては…」

 

 

 何にせよ、もう神罰殺人どころの騒ぎではない。下手をしたら、璃月港が文字通りに怨嗟の土石流に呑まれてしまう可能性は大いにありうる。身を翻し……

 

 

『動くな。』

 

「…」

 

 

 その時、鍾離の首に後ろから大鎌の刃にかけられた。

 ゆっくりと視線を動かせば、柄を握るのは女性型の灰のアギト…ミラージュサイズ。その後ろには黒いフードの人影…姿をローブですっぽりと隠しているが、はみ出している手は死人のように血の気が無い。

 

 

「灰のアギト…… ホシノが言っていたミラージュシリーズか。そして、もうひとりは『本物のアンノウン』だな。」

 

『ホウ? 我ノ正体ヲ見抜クカ。』

 

 

 フードの人影の背後にうっすらと異形のシルエットが浮かぶ。捻れた2本角に爬虫類のような肌がギリギリ判別できるが、どの系統のロード怪人かまでは分からない。そして、コイツからは以前、撃破したトータスロードと違って明確に『魂』を感じる。

 

 

「前に戦ったお前の仲間は自立した思考はある程度できるが、まるで土塊で出来た人形のような脆さだった。だが、貴様は存在こそは比較にならないくらい安定しているが、その人間の身体に憑依しているのはさしずめ、テイワットの環境に馴染めていないからだろう?」

 

『…』

 

 

 図星か。黙りこくるフードの人影だったが、ミラージュサイズが鍾離の腰に引っさげた神の目を鷲掴む。

 

 

『お喋りはそこまでさ! わざわざ、こんなとこまで来てくれたんだ…骨の髄まで元素力を吸い取ってやるよ――』

 

 

 ――ガシャン

 

 

 

 

 は? その時、掴んでいた神の目は硝子玉のように握力に耐えきれず、粉々に砕け散った。

 ありえない、元素力を行使するのに必要な物がそんなに脆いわけがない!?

 

 

 すると、鍾離はやれやれと溜息をつく。

 

 

「――全く、高くつくぞ?」

 

 

 直後、岩元素シールドが張られて弾き跳ばされるミラージュサイズ。

 

 神の目を失った人間が能力を使っている!?身構えたフードの人影は頭を巡らす。まさか、この男は…

 

 

『『仙人』…カ!』

 

「――当たらずも遠からずと言っておこうか。」

 

 

 今、大事な真実はお前達の口から語られるべきだ。

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「別に、フーちゃんまで付いてくることは無かったのに。」

 

「気になってさ。ホシノくん以外のアギトってどんな変人なのかなって。」

 

 

 アギト界隈へのアツい風評被害……でもないか。

 というわけで、前夜祭の2日目はホシノは胡桃と共に、例のアギトらしき男をさがし求めてまた会場に来た。商人としてオークションに出るという話なので、待っていればステージの上に立つだろう。

 

 一方、今回は別行動で凝光はオークションの審査員として飛びいり参加。甘雨と共に審査員兼、鑑定員の椅子に座っている。

 

 

(―――さて、そろそろかしら?)

 

 

 凝光は目を光らせる。予め把握していた順番によれば次は彼が現れるはず…

 

 

「! ――凝光さま!」

 

「ええ、来たわね。」

 

 

 そして、甘雨に耳打ちされると同時に現れた。

 天権の飛び入り参加という想定外のイベントに動揺する商人も多いながら、全く臆することなく堂々とステージへ上がる福郎。司会の秘書官から軽く紹介をされるとマイクを受け取り、観客の前に出るなり自己紹介をはじめる。

 

 

「この度、紹介に預かりました南十字船団の福郎と申します。まずは、機会を与えて下さった璃月の方々へ感謝を。

 さて、堅苦しい挨拶はここまでにして…品の紹介に参りましょう。」

 

 

 パンパン!と手を叩いて合図をすると、荷車に乗せられた布がかけられた品がステージへ運びこまれた。盛り上がり方からみて複数の品がある様子……

 

 

「それでは、ご照覧あれ!」

 

 

 次の瞬間、布をめくられ姿を現したのは『刀』。そして、系譜を同じとする長柄武器や両手剣といった武器たち……ニヒルに輝き、シンプルながらも美しく飾られたそれらは稲妻の品だった。恐らく、それなりの値打ちのものだろうが…観客の反応は鈍い。

 ここは稲妻ではなく璃月、刀に馴染みが無い土地である故に価値は見いだしにくいのだ。ましてや、オークションに集まる商人ともなれば尚の事…

 

 しかし、ここで怖じ気ては商人などやってはいられない。

 

 

「この刀をはじめとした武具は失われし、稲妻の刀工流派・雷電五箇伝の流れを汲むものでして……」

 

 

 雷電ご……なんだって? 首を傾げるホシノ。遠目に見る凝光と甘雨といった知識人たちはううむ…と頷いているが、その手合いに明るくない自分にはさっぱり。胡桃もつらつらと連ねる説明に欠伸でもしそうな目を向けている。それに、やはり相変わらず商人たちの反応が芳しくない。

 

 

「ホシノくん、あの人まずいんじゃない? 刀の価値は知らないけど、下手したら捨て値で買い叩かれるか、買い手すらつかないかも…」

 

「う〜ん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雷電五箇伝…まさか、璃月の地でお目にかかれるとは夢にも思わなかったでござるな。」 

 

 

 

 

 うおっ!? 突然、ぬっと隣に現れた浪人とおぼしき青年に腰を抜かすホシノ………ん?この白髪を纏めた頭は見覚えがある。

 

 

「あ、あなたは昨日の傘の…!」

 

「拙者は楓原万葉と申します。昨日はお買いあげいただき、おかげさまで完売いたしました。大変、感謝でございます。」

 

 

 『楓原万葉』と名乗る彼は先日の傘職人…いや、傍らの刀から見て恐らくは内職を営む浪人か。確か、ホシノも自分の故郷でも浪人などの侍が貧しい生活への幾分かの足しにするために、傘を作っていたとか時代劇でやってたなぁ。―――あれ、テイワットの侍がいる国って稲妻じゃなかったっけ?

 まあ、色々と事情はあるのだろう。わざわざ、訊くのは野暮だ。

 

 

「いえいえ、此方こそ素敵な傘をありがとうございます!俺は星野ショウイチ、往生堂で居候をさせて貰っています!」

 

「――え?たしか、貴方…天権さまの愛人と……」

 

 

 困惑する万葉。無理もない、最高権力者の愛人として練り歩いていた人間が居候しているなんて口にしたら、誰だって耳を疑う。

 それに対し、『混乱を招く言い方をするんじゃないの。』とたしなめる胡桃。

 

 

「改めまして、私は往生堂の主の胡桃。ホシノくんは確かにうちの居候で従業員で、なんと凝光さまの愛人なのも事実!まあ、色々あって凝光さまの御眼鏡にかなったとだけ………

 

 あ、今、『本当でござるかぁ〜〜〜??』って思ったでしょ?」

 

 

「あ、いや……………別に……」

 

 

 沈黙は饒舌に語る。

 

 そんなやり取りをステージ上から福郎は、喋る傍らで横目ながら視線を向けていた。

 

(ほう?堂々と私語とはなんとなんと…… ふむ、客の反応も悪い。すれば、ここはひとつ…『目』を奪わせてもらおう。)

 

 

 ここから語るのは口にあらず。福郎は刀を手に取ると、待機していたある人物を呼び寄せる。

 

 

「では、長々とした説明にお飽きしたてあろう皆様のために、特別ゲストをご紹介いたそう…………タルタリヤ殿!」

 

 

 ――なにッ!?

 

 ホシノだけではない、凝光も目を見開く。

 そして、不敵な笑みを浮かべながらステージ上に現れたのは間違いなく、ファデュイの執行官・タルタリヤその人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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