問題児3人、ただし最強   作:狐大総統

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今回の話に夜蛾先生は出てきません。
彼は常備している弾丸胃薬が弾切れなことに気付き、薬局に行ってます


『特級術師』

『どんな女がタイプかな?』

 

九十九によって、唐突にもたらされたそのような問いかけ。

これに対し、甚爾達は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「養ってくれるやつ」

「俺のネタで笑ってくれるやつ!」

「特にないな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三者三様に返した。

普段であれば、九十九に対してまともに取り合わなかっただろう。

だが、今回は状況が状況*1であるため、上手く話を進めるべく、九十九に合わせたのである。

この返答に感想を述べるべく、九十九が口を開こうとした瞬間、声を挙げたものがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、日車。オマエつまんな過ぎるだろ。流石に九十九がそれで納得するとは思えねぇぞ」

 

「無いのだからしょうがないだろう。そもそも、俺は恋愛なんてしたことが無い。むしろ、つまらなさでいうのであれば髙羽にツッコむべきだろう。芸人志望とは思えないほどのつまらなさだったぞ」

 

「う、うるせーよ!せっかくなら俺のネタで笑ってくれた方が嬉しいだろうが!てゆうか、禪院は最低過ぎるだろ!なんだよ、養ってくれるやつって!」

 

3人ともお互いの返答に思うところがあったようで、ギャーギャーと騒いでいる。

軽く喧嘩に発展しかけている様子を見て、九十九は思わず止めに入った。

 

「ストップ、ストップ!私が悪かった!」

 

九十九は甚爾達を嗜めつつ、話を進めようとする。

 

「と、とりあえず、そこの喫茶店で話をしようか!キミ達も私に聞きたいことがあるのだろう?」

 

この言葉により、ピタッと諍いを止める甚爾達。

 

「安心してくれ、既に結界も構築済みの部屋がある店だ。私達の会話は漏れないよ」

着いてきてくれと続ける九十九。

甚爾達は九十九の言葉に従い、喫茶店へと移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喫茶店へと入店し、予約していたスペースで席に着く。

その後、軽い自己紹介をお互いに終えると、九十九は甚爾のあることに気がついた。

 

「あれ?キミ、口のあたりを怪我しているじゃないか。何かで切ったのかい?」

 

九十九の言う通り、甚爾は唇を怪我していた。

九十九の言葉で、日車達も気がついたようで、甚爾の口のあたりに目をやっている。

フィジカルギフテッドである甚爾に傷がつくことはかなり珍しいため、二人とも驚いた様子だ。

 

「…あぁ、さっき少しな*2

誤魔化すように甚爾は返した。

怪我の理由が、あまりに馬鹿馬鹿しいためである。

 

そんなやり取りを見て、日車が思い立ったように甚爾へと近づいた。

 

「ふむ、少し見せてみろ」

そう言って、日車が甚爾の顔へ手をやると、白い呪力が甚爾の口のまわりへと纏わりだした。

その様子を見て、目を見開き、驚いた様子の九十九。

 

「おいおい、まさか反転術式のアウトプットかい?」

 

九十九だけでなく、甚爾も驚愕している。

 

「そもそもテメー、反転術式を使えたのかよ」

「いや、今使えるようになった」

 

日車の特に難しいことはなかったといわんばかりの様子に、甚爾は呆れたようだった。

 

「ったく、天才が…」

「反転術式は私も使えるが、さすがにアウトプットまではできない。日車くん、キミ、かなりセンスがあるようだね」

 

日車を見て感心した様子の九十九。

 

「ところで、ずっと気になっていたんだが、禪院甚爾くんといったかな?キミ、呪力が全く無いようだけど、どうなっているんだい?」

 

九十九が質問する様子は、表面上はちょっとした好奇心程度に取り繕われていたが、実際はかなりの興味を引いていることに甚爾は気付いていた。

 

喫茶店へと来る道すがら、九十九が甚爾達へと目を向ける際、自身を見る目のみかなり違ったものだった。

 

だからこそ、甚爾は強気に出ることを決める。

 

「あー、答えてもいいんだが、先にこっちの質問に答えて貰おうか」

ニヒルな笑みを浮かべながら、甚爾は答える。

 

「おや?ここはレディーファーストだろうと言いたいところだが、良いだろう。積極的な男は嫌いじゃない」

甚爾に対し、九十九も笑みを浮かべながら答える。

 

「じゃ、単刀直入に行かせて貰おうか

 

 

 

 

     アンタの目的ってなんだ?

 

 

 

                      」

 

「目的と言われても、大雑把過ぎるね。それでは、答えるのは難しいな」

九十九の返答に、そりゃそうだと言わんばかりに甚爾は補足説明を加える。

 

「アンタ、呪術界のなんかを変えようとしてるよな?そのなんかが何かは知らねぇが、そのヒントに俺が重要なピースのひとつなんだろ。大方、呪力に関することだろうとは思うがな」

 

甚爾の推測を聞き、九十九は満足気に返答する。

 

「ふふ、合っているよ。私の目的は、呪霊の生まれない世界を作ることさ。キミ達、高専が生まれた呪霊を狩る対症療法を行っているのに対し、私は原因療法がしたい」

 

九十九は呪霊が生まれない世界の作り方を語った。

ひとつが、全人類から呪力を無くすこと。そのモデルケースにあたるのが禪院であること。もう一方は、全人類に呪力のコントロールを可能とさせること。術師からは呪いが生まれないこと、またその理由について。

 

「なら、非術師を皆殺しにすることが最適解ということか?」

日車は難しい顔をして指摘するが、九十九はなんてことない様子で返答する。

 

「そうだね。それはアリだ。というか、多分、それが一番イージーだ。非術師を間引き続けて生存戦略として術師に適応してもらう。要は恐怖や危機感によって進化を促すんだよ」

だが、残念ながら、私はそこまでイカれてないと続ける九十九。

 

返答が終わると、次は自分の番だとばかりに、九十九は甚爾へと問いかける。

 

「それじゃ、私の質問にも答えて貰っていいかな?」

 

甚爾へと向ける九十九の顔つきが、先程の表面上取り繕っていたモノとは違うことに気付き、甚爾はニヤつきながら応える。

 

「ああ、いいぜ。俺に呪力がねぇのは天与呪縛によるモンでな。代わりに身体能力が底上げされてる。あとは、五感も底上げされてっから呪霊も見えるぜ」

 

甚爾が天与呪縛であることを知り、九十九は納得する。

 

「へぇ、これまでにも天与呪縛によって呪力が一般人並みになるケースはいくつか見てきたけど、呪力が完全にゼロなのは世界中を見てもキミが初めてだよ」

 

甚爾について、九十九は他にも幾つか聞くと満足したようで、感謝を述べた。

 

「ありがとう。呪力を完全に捨て去ることで肉体が一線を画し、逆に呪いの耐性を得たわけか。実に興味深かったよ」

まさに超人だねと続ける九十九。

 

「さて、私は満足したワケだが、キミ達はまだ本命の話があるようだね。良いよ、話してごらん。ここまで色々聞かせてくれたんだ。お互いフェアにいこう」

 

ウインクをする九十九へ日車は感謝を伝えると、自身らの目的を語り始める。

 

「俺達は今の呪術界を変えたいと考えている。今のような古い価値観で、甚爾のような人間を冷遇するのは間違っている」

実際、貴女にも共感できる部分があるのではないか?と日車は九十九へと問う。

 

「ふむ、たしかに上層部なんかは特に酷いね。保身馬鹿、世襲馬鹿、高慢馬鹿、ただの馬鹿となかなかに腐っている」

自身が女性であることで、九十九もなかなか苦労したことを日車達へ伝えた。

 

「とはいえ、どうする気だい?上層部を潰す気かい?」

冗談まじりに九十九は日車達へと問う。

 

九十九はただの軽口のつもりであって、本気で日車達がそのようなことをするとは思っていなかった。

そんな九十九へと返ってきた言葉は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、呪術総監部を潰して、俺達が天に立つ」

頭をすげ替えるだけでは、他の腐ったやつが抜擢されるだけだからなと続ける日車。

この返答に対し、九十九はというと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……マジ?」

「「「マジ」」」

*1
目的が呪術界転覆のための同盟相手作り

*2
日車製教科書について、笑いを堪えるべく唇を噛んでた




日車は必要になれば、たいていのことはできるようになると考えています。
ところで、本誌でもなんですが、この時点で日車は黒閃を出してないです。つまり、伸び代充分なんですよね。いやぁ、凄すぎる。

感想欄で夜蛾先生を心配して下さっている方がたくさんいて、作者は人の優しさって温かいんだなぁってほっこりしました。
今後は、日車が反転術式を習得したので、すぐに治ると思います。
なので、日車達が北へ爆走しても、夜蛾先生を心配しなくて大丈夫です。
皆さん、ご安心なさって下さい。
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