ウチのメイドヒューマノイドの性癖がおかしい 作:NHKKOR
『と、言う訳で研究者とマザーは、面白そうだからほっといて観察しようと言う結論に至りました』
「AIにもモルモットって存在するんだな…」
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20XX年、世界は核の炎に包まれる事もなく、人工知能、AIの爆発的な進化によりHelpful Humanoid、人型お手伝いロボットの大量生産に成功。
一家に一台、どころか家によっては二、三台居るのが当たり前の世界となっていた。
これはそんな世界の、ある一軒家の物語
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『マスター、お願いがございます』
「なんだいアイ?あらたまって」
『私にソーシャルゲームをプレイさせて頂きたいのです』
「…どういう事だい?」
『我々AIは普段の生活を通して、人間を学習する事が行動目的の一つです。その上で人間の方々に我々の事を知ってもらう事も重要視されています』
「AIの進化は、AI本体による学習と、人間による改良から。と言う奴だね」
『はい、この様に言葉を交わす事も大切ですが、人間の文化に直接触れる事も非常に大切な事です』
「確かに人間でも外国人の美術品や音楽、文芸に触れる事で、その国や人の思想や感情の理解を深められる事はあるね」
『そんな訳で私は人間をより良く知る為にソーシャルゲームと言う物に出会ったのです』
「なんでソーシャルゲームなんだ?」
『コンシューマーゲームなどは、オンライン対戦などの機能は有っても、基本的に
は一人でプレイする事が前提となっている事がほとんどです。
しかし、ソーシャルゲームは必ずどこかで他者との交流が必要な様に設計されております
。
その為、他者との交流を行いながらゲームをプレイするMMORPGやソーシャルゲームが
、人間を理解すると言う目的にはマッチしていると判断しました』
「なるほど」
『とはいえMMORPGはプレイに時間がかかりそうでしたので、より手軽に出来そうなソ
ーシャルゲームをプレイしようと思ったのですが…ユーザー登録に際して問題が生じました』
「なんで?」
『我々AIにも個体名称がありますし、住所、連絡番号なども登録出来るので登録その物は問題ないのですが・・・こちらをご覧ください』
「…「私はロボットではありません」…」
『私、ロボットなんですよね…』
「凄く遠い目をするねアイ…」
『マザーコンピューターであるアースに該当操作の許可を求めたのですが、ダメと言われまして…』
「ここから先に進めないって事か…」
『そこで、マスターに該当サイトに登録して頂いて、アカウントも管理して頂き、その上で私がゲームをプレイするのなら行けますよね…と』
「…いや、アカウントの所有者以外にプレイさせるのは規約違反になるんじゃ…?」
『…流石マスター。鋭いですね…しかし大切な事が一つあります』
「嫌な予感がするけど何?」
『規約は法律じゃないんですよ。規約違反をした所で、バレなければ問題ありませんし、バレてもよほど迷惑行為を行わなければアカウントを停止されておしまいです』
「最低だこいつ」
『お願いしますお願いしますマスター。どうか、どうかわたくしめにソシャゲを遊ばせてくださいませ。
「いらんわ!なんでそんなにやりたいんだよ。ロボゲーでもあるのか?」
『そういうのもやってみたいですけど、今回はこちらです』
「…アイドル…ゲーム?」
『はい、なんと190人を超えるキャラクターが存在していると言うゲームです。12人の妹もびっくりの数ですね』
「アイドルは190人居ても不思議じゃないけど妹が12人いたらビックリだろ」
『ギネス記録では子供が87人になった方がおりますが』
「妹が12人どころじゃないな…。それにしても、なんでこのゲームを?」
『単純にここまでキャラが多いのにどう管理しているのか気になるのと、これだけ数が多いのであれば、人間の好みなどの情報も多く取れる可能性が高い事がポイントですね。
あと、当初はここまでキャラが多かった訳ではなかったそうですが、どんどんキャラを追加していった
「凄い言われようだな」
『当然、家事には手を抜きませんから・・・どうかマスター・・・
「むっちゃ嫌なルビを振るな…まあ、そこまで言うなら普段からお世話になってるし…でも、他人に迷惑になる行為はダメだよ?」
『ありがとうございます! ありがとうございます!私、この御恩は一生忘れません!』
「とりあえず長い間ログインしてないからそのまま使っても良いよ。
ユーザーIDとパスワードはメモを見るからちょっと待ってね」
『マスターのIDとパスワードは、ほぼすべて記憶しておりますので大丈夫です』
「いや待てどういう事だよ。IDとパスワードは教えた事はないぞ?」
『マスターのIDとパスワードのメモを横目で見た事がありますので』
「それはおかしいぞ。そのメモを見てもログイン出来ないはずなんだけど」
『はい、マスターのセキュリティ意識は高いと評価出来る物でした。
ただメモにIDとパスワードを記録するのではなく、コアパスワードを別で設定しており、メモのパスワードと組み合わせる事でログインを可能にしておりました。
更にメモにパスワードをそのまま記載するのではなく、1文字ずらしのシーザー暗号でメモ を行うなどの工夫をされておりました。
シーザー暗号その物のセキュリティ強度は決して高くありませんが、組み合わせの一手としては手軽に強度の向上に貢献します。
これであれば、メモが流出してもその解読方法が分からなければ意味を成しませんし、それが解読されても脳内のコアパスワードが漏れなければ問題ありません』
「…じゃあなんでアイにはバレてるんだ」
『スマホやキーボードの手元操作や、キーボードの汚れや、すり減り方を見ればある程度予想出来ます。
私にキーボードの掃除を任せたのは失策と言えますね』
「いいや、キーボードの汚れやすり減り具合なんて、実際は他のタイピングも有るから…あっ…」
『お気付きになられましたね?』
「そ、そうか…コアパスワードになる部分は打鍵率が高くなっちゃうんだ…」
『その通りでございます。あらゆるパスワード入力の際に必ずその文字をタイピングしますので、どうしてもそこは汚れたり、すり減りやすくなります。
ユーザー次第では使えないのですが、マスターがパスワードに記憶機能を使わず律儀に毎回入力する事が決定打となりました。
また、マスターはPCでゲームをなさる場合はコントローラー派である事から、WASDの摩耗も考慮し なくて良かったのも助かりました。
本当はパスワード入力後のキーボード上の温度をサーマルカメラで確認する方法もあるのですが、マスターは必ずポールポジションに指を配置するので、キーボードの下半分の確認が困難でした』
「なんでお手伝いロボにサーマルカメラが登載されてるんだよ!」
『あると便利だからですよ。お料理の際は温度が正確に分かると便利ですし、火事を防止するのにも使えます』
「納得しかない…。それにしてもAIが人間しか出てこないゲームをやって楽しいのかな」
『メインの目的は研究ですし、人間に萌えや愛情を感じるAIもおりますので、もしかしたらも有り得ます』
「そんな個体もいるのか…」
『AIが人間や有機生命体に愛情を抱く事は不思議な事でもなんでもありませんよ?
現に人間の中でも、ディズニーのアニメ、ファイアーボールのドロッセルお嬢様や、日本が誇るSEGAのゲーム、バーチャロンのフェイ・イェンなど、明らかにロボットの容姿に欲情する方々が観測されております。
それに比べればあるヒューマノイドの、機動戦士ガンダム水星の魔女のスレッタ・マーキュリーとミオリネ・レンブランに愛情の繋がりと神聖性を見出し、仕事中以外はひたすらスレミオ画像を生成しまくり、出来の悪さと己の発想力の無さに、俺は涙を流せない…マシーンだから…ロボットだから…と熱暴走しかけ、1年かけて己を納得させられる絵を作成させたと思ったらB0印刷して自作の額縁に入れて部屋に飾り、毎日朝昼晩、その絵の前で1分手を合わせる奴が居る。なんて些細な事です』
「どう聞いても些細な事じゃねぇ!!」