指輪の魔法使いになりたくて!   作:すかいスライム

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指輪の魔法使いは危機を察したい!

 

 

(本当はフレイムスタイルで言いたかったー)

 

「なんだその奇妙な姿は?

宝石を加工した鎧……アーティファクトか?」

 

「似たようなものかな?

オリジナルは別にあるんだけど、これは俺が作った」

 

 さすがの龍も異世界の現代科学によって最適化された魔法には疎いらしい。

驚きが伝わってくるほどには表情が動いていた。

 

「そうか……まぁ、よい。

貴様がどのような力を用いようとも、上には上がいる、それが世界の真理よ!」

 

「………」

 

 再び口に魔力が集約される。

先程と全く同じモーション。

しかし、集まる魔力は桁違いに多い。

 

《コネクト ナウ》

 

 空中に魔法陣が出現し、俺はその中心に手を入れる。

途切れた腕が亜空間から戻ってくると、手には笛が握られていた。

魔力のチャージを終えた龍を前に俺は笛を構える。

 

「音色で、わしの心でも、鎮めようといるのか?

小僧、無駄なあがきよ!!」

 

 再びブレスが放たれる。

威力は先程とは比べる必要がないほどにかけ離れたもの。

ブレスが直撃する一瞬、俺は(ハーメルケイン)を奏でた。

直後、龍のブレス──いや、魔力は奏でられた旋律とともに霧散した。

 

「なっ……!?」

 

「ハーメルケイン──笛と剣が一体化したこれは武器としても申し分ない性能を誇るけど、その真価は笛の音による魔法の無力化にある。

けど、この世界には魔法がないに等しいから、魔力自体を無効化できるようにした」

 

「魔力の無効化だと!?

毒の霧まで……賢しいぞ!!

英雄の血族よ!!」

 

「褒め言葉として受け取っておく」

 

《スモーク ナウ》

 

 エリア一帯に張られた魔法陣から発生する煙幕。

俺はもちろん、龍すら煙幕の中に飲み込み、視界を奪う。

龍は翼を羽ばたかせ、強烈な風を起こす。

しかし、煙幕は吹き飛ばず、そこに居座った。

 

「貴様の魔力が含まれているのか。

しかし、貴様の魔力の配分が粗末なせいで、感知のカモフラージュになっておらんぞ。

傲ったな、小僧!!」

 

 魔力による攻撃がハーメルケインよって防がれることを悟り、龍は爪で八つ裂きにする気らしい。

 

「それはあんたの方だ!!」

 

俺がわざと居場所を晒していたことにも気づかずに──

 

《テレポート ナウ》

 

 転移先は空。

自身が落下していることなど気にせず、俺は右手の指輪を付け替える。

 

「──ッ!!!!」

 

 龍も頭上の俺の存在に気づき、ブレスを放とうとする──が遅い。

 

「フィナーレだ」

 

 それは白い魔法使いを象徴する魔法にして、作中でも最強クラスの魔法。

 

《エクスプロージョン ナウ》

 

 龍の真下に現れた魔法陣は、空間の収縮を起こし、直後、大規模な爆発が発生した。

 

「ガァ……!!」

 

 爆煙が晴れると、そこには血まみれで地に伏している龍が見えた。

息は絶え絶えとしているが、事切れるそうな様子はない。

 

本気(マジ)か。

十分な威力だと思ったんだけど……ちょっとショック」

 

 龍の前に降り立つと、苦しそうに、だが、威厳は損なわれない声で語りかけてくる。

 

「定命の者には分からん感覚だろうな。

……この恐怖、この痛み、嬉しいぞ。

悔しいが、認めよう。

貴様はわしより遥かに強い。

だが、『龍』という存在から真の勝利を──龍殺しを達成するには、それだけでは足りん」

 

「──!?

まさかあんた不死なのか!!」

 

「いかにも。

『龍』は、世界からの呪いで、忌まわしくも、平凡な死を許されない」

 

 この言葉を聞いて、俺は心を踊らせた。

『不死』──それは俺が現状、掲げる最終目標に必要な条件だ。

 

「やっぱり、あんたに会いに来て正解だった!

……これで俺も成長する"奴"に追いつく糸口が見つかったかもしれない。

約束通り、血はもらっていくぞ」

 

「好きにしろ。

条件を出したのはわしだ、苦言は呈さん。

ついでだ。わしの力も受け取っておけ」

 

 突如、ブレスとして放たれた特殊な力。

どうやら俺は『霧の龍』に認められたらしい。

 

(龍の力か……ん?

もしかして、これ、ドラゴンの力って判定されるんじゃあ──……変身してみるか)

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン シャバドゥビタッチヘンシーン》

 

「変身」

 

《フレイム プリーズ》

 

(エラーじゃない!? イケる!!)

 

《ヒーヒー ヒーヒーヒー》

 

 赤い魔法陣が展開され、身体を通過する。

すると、そこには赤い宝石を模した仮面の戦士が立っていた。

 

「この世界に来て十年……やっと変身できた。

しゃぁああああああああぁぁぁ!!!!!!」

 

「……小僧、その姿になれたことがそんなに嬉しいのか?」

 

「当たり前だ!!

本気(マジ)でありがとな!!」

 

「あ、あぁ」

 

 俺は困惑する龍を気にも止めず、この後、20分程度上がったテンションに従い、変身しまくった。

 

 

 悲劇が起きているのにも気づかずに。

 

 

――――――――――――

 

「あぁ〜、楽しかった!」

 

 興奮冷めぬまま、俺は、手に龍の血が入ったビンをしっかり抱えて、あの倉庫に戻ってきていた。

本当はもっとウィザードの姿を堪能したかったが、明日ははミリア姉さんがミドガル魔剣士学園へ出立する別れの日。

今生の別れという訳では無論ないが、しばらく会えなくなるのも、また事実。

今日は父さんも早く仕事を切り上げ、3人で夕食を頂くと約束していた。

 

(遅れたら姉さんが拗ねるだろうし、早めに帰ってきて正解だ──……屋敷の様子がおかしい)

 

 それは倉庫から出てきて、すぐに気づいた。

いつもは倉庫前などにいない、それもオルバ家の警備でない者達がいる。

 

(あれは父さんの私兵……普段、町の巡回を命じられてる彼らが何故ここに?)

 

 疑問が浮かんだが、ある人物がすぐそれを解決することになる。

 

「ウィド!!」

 

「父さん……!

この騒ぎはいった──」

 

 言い終えるより先に、俺は父さんに抱きしめられた。

 

「よかった。

お前は無事だったんだな。

どこにいたんだ? 探したんだぞ!」

 

「え、えぇ……ごめんなさい。

剣の整備用の砥石を取りに倉庫へ……それより何があったんですか?」

 

「屋敷に賊が入った」

 

「賊……何か盗まれたのですか?」

 

 こんなこと思うべきでは無いが、盗まれたのは金貨や貴重品であって欲しい。

 

(さっきから魔力が感じられないのは俺の不調とか、買い物に行ってるとか、そんな理由であってくれ)

 

「ミリアが連れて行かれた」

 

「───ッ!!

姉さんが!? なんで!!」

 

「分からん……金が目的な線が高いと思っているが、ただの賊にしては手際が良過ぎる。

……ミリアの捜索隊は既に編成した。

ウィド、お前は部屋に戻りなさい」

 

「……はい」

 

 あれほど悲しげな表情を浮かべる父さんを初めて見た。

言われた通りに俺は自分の部屋へと戻る。

そうじゃないと俺も行動を起こせない。

 

《ガルーダ ユニコーン クラーケン ゴーレム グリフォン ケルベロス ガルーダ プリーズ》

 

「みんな頼む」

 

 使い魔達がいっせいに窓から飛び出し、姉さんの捜索を開始した。

この子たちにも、俺が手を加えていて、性能が上昇している。

 

(犯行は俺がいなかった30分から1時間で行われた。

いくら犯人側の手際がよくてもまだ近くにいる……いや、近くに拠点があると考えた方がいい)

 

 俺の読みは当たり、使い魔達が捜索を始めてから1時間後、赤ガルーダが姉さんを見つけ出した。

俺は赤ガルーダを基点として、《テレポート》を発動。

赤ガルーダの横に現れる形で、転移を完了した。

 

「……ウィ、ド」

 

「………」

 

 赤ガルーダがいた場所は屋敷の東にある海岸洞窟──その中にある、姉さんが入れられた檻の前だった。

 何度か抵抗したのか、顔や腹部にはアザができており、ルンルンで着ていた学校の制服もビリビリに破られている。

慰みものにはなっていないが、下着姿。

制服姿の姉さんが父さん、そして俺と一緒に撮った写真が入っている──姉さんが大切に、大切にすると言っていたペンダントも奪われている。

 

「「「ギャハハハハ」」」

 

 奥……いや、手前からは実行犯共の笑い声が聞こえる。

 

《ドルフィン ゴー》

 

 俺は姉さんにドルフィンの治癒魔法をかけた。

アザなどは消えたが、まだ意識が戻ることはない。

 

「待っててね、姉さん」

 

 一言声をかけた後、俺は笑い声が聞こえる方向に歩みを進めた。

 

 

 

オリジナル要素あってもいいですか?

  • あって欲しくない!
  • 新スタイル(形態)だけならOK!
  • 新魔法だけならOK!
  • スタイル、魔法、両方OK!
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