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「「「ギャハハハハ」」」
洞窟に反響し、耳が痛いほど笑い声が入ってくるが、今日はそれでも茶髪で筋骨隆々の男は酒を飲みつつ、いい気分で入れる。
何故か?
それは、上から押し付けられた仕事が一瞬で片付いたからだ。
内容は子爵家の悪魔憑きのガキの誘拐。
(まっ、俺にはこれがあったし、あんなカスには負けないけどな!
これで俺のラウンズ入りも確定したようなもんだ!
最近はゼノンがでかい顔してやがったからな、ざまぁ見やがれ!!)
「カマセさまぁ〜、こんなはしゃいでていいですか〜」
「問題ねぇよ!
無能な騎士共に教団のアジトが見つけられるわけねぇ。
それに仮に見つかったとしても、俺が全員ぶち殺してやるから安心しろ!
それより、お前ら今日は俺のラウンズ入り祝いだ!!!!!!
もっと飲め! 飲め!
………………ぁ?」
違和感を覚えた俺は奥──牢屋のある方へと振り返った。
この奥には牢屋しかない。
見張りとして2人部下を立たせている。
異常があれば、信号を送るよう、既に話してある。
だから交代の時間までこっちに来ることはない。
(じゃあなんで、こっちに向かってくる足音が聞こえんだ)
「おい、まだ交代の時間じゃねぇぞ。
持ち場に戻りやがれ!!」
俺の大声に宴に興じていた部下も視線をこちらに向ける。
しかし、足音は止まらない。
壁に立てかけていた大斧の柄に触れ、足音の人物を警戒する。
そして、そいつは通路の闇から姿を現した。
「は? ガキ?」
室内の明かりが照らし出したのは十か、そこらのガキ。
観察するように部屋全体を見たあと、俺の方に視線を向けたところで動きを停めた。
「てめぇ、どこから入っ……お前、どこかで見たことあるな。
あっ! 今回のターゲットの弟か!」
その声を聞き、酔いが回っている部下たちは一斉に笑い出す。
「姉ちゃん、助けに来たのか!」だの「痛い目見る前に帰れ」
だの、さっきの緊張感の反動で好き放題言っている。
だが、俺はそう出来ずにいた。
(こいつ、どうやって入ってきた。
というか、どうやって俺らの居場所を?
後をつけてきた……ありえねぇ)
いくら考えても答えが出ない。
だから、俺はもう一つの疑問を本人に問いかけることにした。
「おい、ガキ。
お前が来た方向には監視が居たはずだ。
そいつらどうした?」
俺の声を聞き、今度は静まる部下たち。
ガキの方はそこで初めてアクションを見せた。
《コネクト プリーズ》
「……は?」
ベルトに変な指輪をかざしたと思ったら、空中に絵が出てきた。
脳がこの現象に処理を終える前に更なる衝撃に襲われる。
その絵の中から監視役の部下が出てきたからだ……死体で。
「お前が……トップか?」
混乱する頭を無視して話しかけてくるガキ。
俺は全て疑問を置き捨て、ガキに斬りかかった。
「てめぇ! よく──」
《バインド プリーズ》
しかし、突然現れた鎖によって右手を絡め取られ、壁に拘束された。
魔力による強化で引きちぎろうとするが、ビクともしない。
「お前は後だ」
《シャバドゥビタッチヘンシーン シャバドゥビタッチヘンシーン》
「変身」
《フレイム プリーズ》
《ヒーヒー ヒーヒーヒー》
「……ショータイムだ」
奇妙な姿に変身した奴は、そのまま部下がいる方へ突っ込んでいく。
呆気に取られていた部下は、慌てて、武器を持つが遅かった。
回転蹴りによって、近くにいた一人が数人を巻き込み、壁まで吹っ飛ばされた。
さらに、攻撃を受けた奴は蹴られた箇所が発火した。
あまりに現実味のない光景に、恐怖し、固まる部下たち。
「そのヘンテコな鎧は多分アーティファクトだ!!
お前ら、囲んで一斉に攻撃しろ!!」
俺の声で再び動き出した部下は、奴を中心に円陣を作り、伝えた通り一斉に向かっていく。
《コネクト プリーズ》
再び浮かび上がる絵に怯み、攻撃の手を止める。
次の瞬間には奴の手に、手のひらの装飾が付いた銀の大型拳銃が握られていた。
《キャモナシューティングシェイクハンズ キャモナシューティングシェイクハンズ》
《フレイム シューティングストライク》
銃口から火球が出現。
連続で発射された火球は、数十人いた部下たちを全て灰に変えた。
背を向けていた奴が振り返る。
仮面で見えていないのに、やつの瞳が俺に向いてるのが分かる。
(俺だってただ呑気に見てたんじゃねぇ……これさえ飲めば――)
赤い薬の入った小瓶を内ポケットから取り出し、一粒、口に含む。
すると、魔力が湯水の如く溢れ出す。
「おい、仮面野郎!!
雑魚倒した程度で調子乗んじゃねぇぞ?
所詮こいつらは使い捨ての手駒、俺の足元にも及ばない。
死にたくなきゃ、その上等なアーティファクトと悪魔憑きの姉ちゃん置いて、消えろ」
「………」
「スカしてんじゃね──……ッ、なんでだ!?」
驚愕したのは、奴に襲いかかろうとしても出来なかったからだ。
「なんでこんな鎖が引きちぎれねぇんだ!?
俺の魔力量はゼノンの野郎より多いんだぞ!!」
鎖に悪戦苦闘しているうちに、奴がジリジリとこちらに歩いてくる。
「………」
「お、おい!?
俺に手を出すってことがどういうことか分かってんのか?
ディアボロス教団を敵に回すってことなんだぞ!!」
「………」
言葉が効いたのか、奴は俺の前で硬直する。
「お前がトップじゃないのか?」
「あ、あぁ!! そうだ!!
ようやく自分が何に手を出したのか理解出来たみたいだ──」
「そうか……よかった。
俺の収まらない怒りをぶつけれる相手はまだいるんだな?」
思わず「はぁ?!」という声が出た。
「実の所、お前らには少し感謝してるんだ。
前世の俺は親の愛を受けられずに、生涯を終えてしまった。
だが、この世界で俺を拾ってくれた二人は、確実に俺を愛してくれてる。
そんな父さんと姉さんのことを俺自身は愛せているのか……ずっと疑問だった。
だが、今回の事件で、お前らのこの怒りではっきりした」
「な、なら!?」
「だから、最高の一撃で弔ってやる。
受け取れ、フィナーレだ」
《チョーイイネ キックストライク サイコー》
「ぁ、ぁぁぁ……」
奴の足元に現れた絵に絶望したんじゃない──奴の魔力量にだ。
伝説の存在と言われても、納得してしまう。
「化け物」
自然と漏れたその言葉と共に俺は命は終わった。
――――――――――
時が過ぎた。
あの後、俺は姉さんの様子を見に檻まで戻った。
さっきは怒りで気づかなかったが、姉さんの体が魔力暴走を起こしていることに気づいた。
(カーバンクルと一体化するときに俺も発症した。
成長痛みたいなもんだな)
治す方法は自身の体で体験しているので、姉さんのこともすぐに治すことが出来た。
すやすやと眠る姉さんを前に、俺の心はある決断をしようとしていた。
「この世界で俺は夢を叶えた。
この世界でも成し遂げたい目標がちゃんとある。
……だけどそれは輪野 晴人としての夢であり、目標だ。
ウィド・オルバとしての生き方を決めかねてた」
キックによって、崩壊した洞窟。
外はすっかり暗くなり、月明かりが彼を照らす。
「生き方は決まった。
俺は、俺を愛してくれた、姉さんと父さんのために生きる。
二人が平和に暮らせるように俺が最後の希望になる」
《コネクト プリーズ》
魔法陣から取り出したのは紙とペン。
『やることリスト』と記してある紙に、俺は新たな書き込みをした。
【《大目標》二人のために生きる】
【《小目標》ディアボロス教団壊滅】
これにてプロローグ完結となります。
次回からよーーーーーーーーやく、例の陰の組織が登場予定です!
お待たせしました!!!!!!
オリジナル要素あってもいいですか?
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あって欲しくない!
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新スタイル(形態)だけならOK!
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新魔法だけならOK!
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スタイル、魔法、両方OK!