指輪の魔法使いになりたくて!   作:すかいスライム

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遅くなってしまいすみません。
…ポケモンしてました。


〜陰と指輪〜
指輪の魔法使いは出会いたい!


 

 

 あれから3年が経った。

俺は13歳になったが生活はあまり変化していない。

オルバ家の人間として、努力を重ねつつ、裏では指輪の魔法使いの腕磨きに励む日々だ……ある一点を除いては。

 

「で、出やがったぞ!?

最近、教団の拠点をあっちこっち、潰して回ってる宝石野郎だ!!」

 

「……もっと良い呼び方あるだろ」

 

 ゴミ掃除……もとい、ディアボロス教団狩りだ。

 

《ブラスト プリーズ》

 

「「「ギャァアアア」」」

 

 冷めぬ怒りのまま、知らせが入る度、現場へ向かい、敵を壊滅させ、教団の情報を奪い取る。

数年はこれを繰り返していたのだが……

 

「……お前ら多すぎるんだよ」

 

 3年の間に調べてわかったが、この教団、どうやら世界規模の大組織だったらしい。

 

(ファントム程度の組織だと思ってたのに、まさかのスケールがショッカーや財団Xだとは)

 

 魔法による衝撃波で敵を蹴散らしつつ、今後のことを考える。

 

(3年間で見つけられた拠点は127ヶ所……その中に重要そうな施設とかはなかったし、幹部クラスの人物もいなかった。

ほとんどが悪魔憑きの監禁、研究の場所。

やっぱり怒りに任せて、姉さんを誘拐した奴を殺ったのが不味かったか?)

 

「「「う……」」」

 

(俺と使い魔だけじゃ戦力面はともかく、情報面はそろそろ限界だ……協力者がいる)

 

 そうこう考えているうちに、奴らが倒れていた。

 

《トルネード プリーズ》

 

 目の前のゴミをトルネードで、()()に送ったら処理終了──テレポートで帰ろうとしたとき、1枚の紙が飛んできた。

 

(手紙か、内容は……『カゲノー家の娘、クレア・カゲノーに悪魔憑きの可能性あり。誘拐は完了。今夜の運搬の際、応援求む』ね。

この手の施設にしては警備が多いと思ったが、お出かけ前だったってことか)

 

 カゲノー家……確か、この周辺をを治めている男爵家。

主に魔剣士を輩出する、階級こそ違えどオルバ家と同種の家系だったはず。

 

(クレア・カゲノーとは父さんに勧められて出場した剣術大会で戦ったことがある。

あのレベルの魔剣士を誘拐したとなると……幹部クラスが関わってる可能性がありそうだな)

 

《テレポート プリーズ》

 

 稽古の時間が迫っていたため、俺は拠点の場所が書かれた手紙を握り、この場所を後にした。

 

 

――――――――――――

 

 

 姉さんが誘拐された。

僕は目の前で行われる喧嘩(母の圧勝)を無視し、扉を閉める。

 

(まさかあの姉さんを誘拐するとは今回の盗賊は少し面白そうかな?)

 

 実の姉が誘拐されているというのに、呑気に思考を巡らせていた僕は空に向かって、仲間の名前を呼びかける。

 

「出てきていいぞ、ベータ」

 

「はっ」

 

「姉さん、生きてる?」

 

「おそらく。

今、クレア様の痕跡をアルファ様が追っています。

私たちよ調べでは今回の事件、ディアボロス教団、それも幹部クラスが関わっているもので間違いないかと」

 

「ほう……?

何故教団は姉さんを?」

 

「クレア様が『英雄の子』だと疑っているのです」

 

 その後も行われる事件の説明に僕は感心していた。

 

(さすが『堅実』のベータ。

アカデミー級の演技はもちろん、この設定の細さは七陰随一だな〜。

やっぱり、僕が知ってる物語とかを聞かせまくったのが良い方向に行ったんだな)

 

 その後、拠点の場所とか聞かれたので、適当にナイフ投げたら、なんか納得してくれた。

 

「シャドウ様、最後に本件とは関係ないのですが報告しておきたいことが」

 

「構わん」

 

「ありがとうございます。

どうやらまた()()が現れたようで……我々が目をつけていた教団の拠点が3ヶ所、跡形もなく消しされていました」

 

「………」

 

「現在、イータが跡地をの魔力を解析、ゼータが追跡を試みてはいますが成果は……宝石を模した仮面をつけている人物ということしか」

 

「そうか」

 

「──っ!! 申し訳ありません!!

二人とも最善を尽くしてくれているのですが、どうやら未知のアーティファ──」

 

 なんか最近、ディアボロス教団(盗賊)を潰して回ってるヤツが現れたらしい。

そいつがどうやらなかなかの曲者らしく、あの天才(ゼータ)天災(イータ)が協力しても尻尾すら掴ませてくれないそうだ。

 

(人知れず悪を狩り、陰も踏ませず去っていく仮面の男。

うーん……キャラ被りの気配を感じるな〜。

どうしよう?

けど、同士がいたことに喜びを感じない訳じゃないんだよね〜。

…………そうだ!)

 

「ようやくか」

 

 説明中のベータを遮り、零すように僕は言葉を告げる。

 

「まさか!?

シャドウ様はヤツの正体を知っておられるのですか?」

 

「過去に……少しな」

 

 ベータからの問いに対し、意味深げな返答をすると同時に額の右側に指先を当てる。

 

「──ッ!!」

 

(どこからともなく現れた二人目の陰の実力者に対し、まるで過去に何らかの因縁があるような仕草をする最初の陰の実力者──これやってみたかったんだよねぇ!)

 

 テンション上昇中の僕とは対照的に、悔しそうな顔を見せるベータ。

しばらく、動くことなく棒立ち状態だったので「今夜、抜かるなよ」と声だけかけておいて、そこから立ち去った。

 

 

 

――――――――――――

 

 

「時間だな。行くか」

 

 空は闇に包まれ、辺りはすっかり暗く、静っていた。

 

《ルパッチマジックタッチゴー ルパッチマジックタッチゴー》

 

 その静寂を台無しにするようにドライバーの音が自室に響く。

 

《テレポート プリーズ》

 

 転移したのは森の中。

3年前は怒りのあまり、直接拠点に乗り込んでしまったがあんな軽率なマネはもうしていない。

 

(──敵を侮るなかれ。終わりの時まで決して驕らぬ戦いを。

父さんに教えてもらった家訓のひとつだ)

 

 だから、この3年間も魔力探知を用いての敵戦力の把握を抜かったことはないし、魔法を使うまでもない奴ら相手でも容赦なく魔法を連打した。

 

(魔力探知、魔力探知──ん?

やけに数が少ないな。

誘拐のときにやられたのか?

ひ、ふー、みー……8──いや、下で魔力抑えてるやつが1人いるから10人か。

クレア・カゲノーが捕まってるから敵は9)

 

「変身」

 

《フレイム プリーズ》

 

《ヒーヒー ヒーヒーヒー》

 

「今回こそ、幹部クラスに出会いたいもんだ」

 

 開演時間が訪れた。

 

 

――――――――――

 

 

 彼の姉、クレア・カゲノーを誘拐したカイユ子爵……いや、ディアボロス教団幹部カイユをシャドウがいる隠し通路まで、追い込み終えたところのこと。

 

「──ッ!?

ウゥウウウウウウウウ」

 

 最初、ヤツを感じ取ったのはあの子(デルタ)だった。

前触れもなく、出口の方向へ唸り始めたのだ。

 

「バカ犬、うるさい」

 

「うるさいのはそっちなのです!!

メス猫、気づかないのですか!!

入ってきたところの辺りから、何かヤバいやつが近づいているのです!!」

 

 ゼータは驚愕する。

あの戦闘狂犬がどうやら本気で威嚇していることに。

 

「ちょっと待って。

………ほんとだ。いる!!」

 

「嘘!?

私の魔力探知には何も引っかかってないわよ!」

 

「全員戦闘準備。

デルタ、ゼータ、敵の実力がどの程度か、分かる?」

 

「……私たちよりは遥かに強い。

もしかすると──」

 

「ボスに似たような気配なのです」

 

 デルタは次の瞬間、地面を蹴った。

 

「デルタ!!」

 

「こいつを倒したら、絶っっ対ナンバー2になれるのです!」

 

「あのバカ犬!!」

 

 暗闇と爆発的な脚力が相まって、通路の奥へ行ってしまったデルタの姿は見えなくなる。

 

「ガンマ、イプシロン、ゼータは私とガンマの後を。

ベータ、イータは待機。

シャドウが戻ってきたら、報告を──ッ!」

 

《ライトニング プリーズ》

 

「うわぁぁぁぁ」

 

 独断専行をしたデルタを追うための最低限のアルファの指揮は無駄に終わる。

本人が壁まで吹っ飛んできた。

すぐ体制を立て直し、四速の獣人特有の構えを取るデルタ。

彼女の射殺すような視線の先には、暗闇にはあまりにも似合わない宝石を模した仮面をつけた者が立っていた。

 

「さぁ、ショータイムだ」

 

 

 

 

 

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