わちきは今日もいつも通りにのほほんと過ごしております。
春になったは良いものの、やっぱりちょっとだけ寒かったりするので毛糸の帽子は手放せない今日この頃。
まぁそんな事ここで言っても仕方がないので「続きを所望するZOY。」と仰る方は、ゆっくりしていってね!
ここはププヴィレッジ。
キャピィ族達が暮らしている村で呆れ返る程平和なのは最早言わずもがな。
ついこの間まで行われていた一人のとある迷惑大王による魔獣遊びが無くなってからというもの、村人達は平和な毎日を過ごしている、それも退屈するレベルで。
ププヴィレッジには基本的に色んな店があったりするのだが、その中で娯楽施設と呼べるものは殆ど無く、かけっこ等をする子供達は兎も角、大人達は遊びに興じるという機会があまり無いのだ。
仕事に勤しむ大人達が行う息抜きといえば、バーに寄って店主との世間話を酒の肴にして酒を飲んだり、村のシンボルと言える大木の前で井戸端会議をするくらいで、あとはゴールデンタイムにテレビで有名人がダラダラと長ったらしいトークを繰り広げるのを眺める事しかやる事が無いのである。
といってもそのテレビには殆ど同じ人物しか映らない訳だが。
だからこそこの村で時折行われる祭りや肝試し等といったイベントでは皆、童心に帰って気合い十分といった具合に盛り上げるのである。
閑話休題。
そんなこんなで退屈する程平和な村であるププヴィレッジにも、犯罪が何一つ起こらないという訳ではない。
その証拠にここ、ププヴィレッジでただ一人の警察官、ボルン署長の職場である警察署にある牢獄にて静かな毎日を過ごしている犯罪者がいる。
名前はドロンという口の周りに髭を生やしたキャピィ族で、詳細は不明だが過去に窃盗容疑で逮捕され、今に至るらしい。
普段は牢獄の中で静かに体育座りをしている事が主なのだが、どういう訳か度々牢獄の外に出ている事が多いのだ。
ある時はボルン署長が不在なのを良い事に机の上に寝転がりながらワインを片手にアニメを観たり、またある時は嘗てププヴィレッジに外国から観光客が訪れた際に何故かスター扱いされた事もあった。色々と凄い男である。
そんなドロンはというと現在、牢獄から脱獄している。
牢獄の中は退屈だからという理由により、これまたボルンが不在の時を見計らって外へ飛び出したは良いものの、すぐさまボルンに見つかってしまい全力で脱走、現在はコンビニの近くでダンボールを被り、隠れている所である。
ボルンを振り切ったのは良いのだが、さてこれからどうしたものかと思案する。
ドロンには行く宛が無く、脱獄を試みるもその先の事までは考えておらず、完全に行き当たりばったりだった。
何処かで匿って貰おうかとも考えたがすぐに首を降る。
犯罪者であり脱獄している自分を匿ってくれる人はいないだろうと思い直し、すぐに別の案を考えようとした途端....。
グゥウウウ...。
....お腹が減ったのである。
何処かで食料調達でもしようかと思案して、ふと近くにある物件の事を思い出す。
今ドロンはコンビニの近くでダンボールを被った状態で隠れている。
コンビニならおにぎりやらパン等が売られているが生憎
その為ドロンは買い物が出来ないのだ。
ならどうするか?
彼の場合やる事は一つである。
そう、頂くのだ。
思い立ったらまず行動、それ即ち人生の基本ルールである。
それを体現するかの様に、ドロンはダンボールを被ったままこそこそとコンビニの裏口へと歩いていく。
抜き足、差し足、忍び足、抜き足、差し足、忍び足と、足音を一切立てぬ様に少しずつ、それでいて確実に裏口へと近づいていく。
そうしていくうちに、漸く目的地に辿り着いたドロンは、ダンボールを被ったまま立ち上がって、裏口の扉のドアノブに手を掛ける。
ガチャッ
........ガチャガチャガチャッ
....カギが掛かっていて入れなかった。
しかしここで諦めるドロンではない。
こういう時の為に隠し持っている針金を駆使してピッキングを............................。
....しようと思ったら肝心の針金を牢獄に忘れてきてしまったらしい。
これでは扉を開けられないとうんうんと唸りつつも足元に目を向けると、とても細くて小さな小枝が落ちていた。
....もうこれしかないと思い立ったドロンは小枝を手に取り、一か八かのピッキングというギャンブルに出た。
慎重に小枝の先をドアノブの鍵穴に入れていき、ちょちょいのちょいと
ボキッ
........小枝を折っちゃったのでピッキングは強制終了を強いられたのだった。
☆
そんなこんなでコンビニ訪問を自粛
ピッキングが出来ないという事で作戦変更、何処かに落ちている筈の小銭を集めて買い物をしようと企み、目を皿の様に大きく見開き、道という道の中を隈無く探している。
相変わらずダンボールは被ったままだが。
道行く人々は歩くダンボールを目にしてひそひそ話を繰り広げている。
何でダンボールが歩いているんだろう?
かくれんぼと鬼ごっこを両方やってるんじゃないのか?
それってどっちにしろ目立つから意味無いんじゃないの?
ポヨポーヨポヨポヨ?
オイ誰だ俺のプリン取ったの。
さあ?カービィじゃねえの?
ふーん、で?ブンの口の周りに付いてるカラメルソースは何だ?
歩くダンボールという不思議な光景は、人々の注目の的となっているのだが、小銭探しに夢中になっているドロンはまるで気づいてない。
そして小銭探しを始めて十数分、気づけばドロンはレストランカワサキの裏口に辿り着いていた。
ダンボールに空いている小さな穴から裏口の方を覗き見ると、裏口の扉が半開きになっていた。
それを目にしたドロンは、ダンボールを被ったまま裏口へと近づいていく。
抜き足、差し足、忍び足、抜き足、差し足、忍び足と、これまた足音を立てぬ様に慎重に歩いていく。
そして裏口のすぐ目の前までくると、半開きになっている扉の隙間から中を覗き見る。
見ればこの裏口は厨房に繋がっている様で、中には誰もいない。
調理場に置いてあるまな板のすぐ隣に一人分の黄色いスパゲッティが置いてあるくらいで、他にこれといって変わったものは見当たらない。
扉が開きっぱなしなのに誰もいないとは無用心極まりない....と、検討違いな考えを抱いている不法侵入者が一人、直ぐ様その思考を忘却の彼方にかなぐり捨てて、潜入任務を開始した。
厨房に入ったドロンは静かに扉を閉めると、真っ直ぐスパゲッティの元へ歩いていく。
と、その時、何処からか突然足音が聞こえてきた。
ドロンは慌てて壁際に寄って、その場でしゃがみこみ、被っているダンボールの中に隠れた。
中から穴を通して外の様子を覗き見ると、コックカワサキがやって来ていた。
見ればカワサキはスパゲッティの前に立つなり、うんうんと頭を捻っている。
恐らく新作メニューの開発をしているのだろう、あぁでもないこうでもないと一人スパゲッティの前で自問自答を繰り返している。
そんな事を繰り返しているうちに客席の方から声が聞こえる。
この店にお客さんが来るとは、評判通りの店ならあまり考え付かないな....と、一人そんな事を考えているドロンを余所に、カワサキは客席の方へ向かっていく、注文を伺いに行ったのだろう。
考えてみればこの店には他に従業員はいないのだろうかとドロンは疑問を抱く。
が、今はそんな事を考えている暇は無いと、ドロンは直ぐに先の疑問を捨てて、スパゲッティの元へ歩み寄る。
黄色いスパゲッティの前に立ち、ドロンはある事に気づく。
フォークも無いのにどうやって食べよう....?と。
辺りを見渡しても食事に使えそうな食器は見当たらない。
探せばあるかも知れないが、いつカワサキが戻ってくるかわからない状況で悠長に探している余裕は無い。
故にドロンは決意する。
素手で食べようと。
そうと決まれば行動に移るのは早かった。
ドロンは数本のスパゲッティを手掴みで口元へ運んでいき、それを口に入れて食べたのだ。
口に入れたスパゲッティを急いで咀嚼
それを数回繰り返した所でドロンは突然咀嚼する口を止めた。
心無しか若干顔色が蒼くなっている様に見える。
そうして固まっていると、再び足音が聞こえてきた。
恐らく注文を承
そう感付いたドロンは急いで裏口から脱出していった。
何でバナナ味のスパゲッティなんか作ってるんだろう....?という疑問を抱きつつ、再びダンボールに身を隠しながらその場を離れていったのだった。
☆
それからというもの、ドロンは空腹で多少ふらつきながらも、ダンボールを被って歩いていた。
食を求めて三千里、もうそれくらい歩いたのではないかと一人大袈裟な事を考えていた。
だが食は万里を越えるとはよく言ったもので、歩いていれば必ず何かが見つかるだろうと信じて歩みを止めないドロン。
....であるが、流石に少し疲れたのか、その場に腰を降ろして休む事にした。
ドロンは今、村の真ん中にある大木の前のベンチの隣でダンボールの中に隠れる形で休んでいる。
すると、すぐ隣から話し声が聞こえてくる。
どうやらドロンのすぐ隣に誰か二人いる様だ。
様子を伺う為にその話し声に耳を傾ける事にした。
「全く、ブンの奴俺のプリンを勝手に取りおってからに。折角食べようと思ってた矢先になぁ。」
「ポヨポヨ?」
「....まぁ良いんだけどさ別に。コンビニで余分に買っておいたやつがまだ一個残ってるし。」
「ポヨ!?」
「....オイ、何だその輝かしい目は。」
声からしてどうやらカービィと、最近新しく村の住人になった人間の様だ。
人間の方の名前は........あまり印象に残ってないから覚えてない、はて何だったか。
ドロンはそんな事を考えてると、二人は何やら口論を繰り広げている様だった。
「ポ~ヨ~。」
「....んな顔してもやらんぞ?一応これは俺のおやつだからね、自分のお金で買ったものなんだからアンタも自分で買ってくれば良いでしょうがよ。」
「ポヨポヨ。」
「いや、そこでハッキリと首を横に振られても対応に困るのですが........もしかしてアンタ、金無いのか?」
「ポヨ。」
「....あー、わかった。少しくらいなら分けてやらんでもない。」
「ポヨ!?ポヨポーヨ!」
「お、オイオイ!んなはしゃがんでも良いだろうに!なんとまぁ、食べ物の事になるとわっかりやすい反応するのなぁ。」
「ポヨポヨ!」
そんな二人のやりとりを聞いているうちにドロンの空腹は更にエスカレートしていく。
このままでは本当に倒れかねないので取り敢えず二人が食べようとしているプリンを頂く事にした。
ダンボールの穴から様子を見ると、人間の膝の上にプリンがあるのを確認する。
二人は会話に夢中でこちらの存在に気づいてない様だ。
今がチャンスと言わんばかりに、ドロンは被っているダンボールから顔を出してプリンを頂く為に慎重に腕を伸ばしていく。
二人に気づかれない様に静かに息を殺して、慎重に少しずつ腕を伸ばす。
慎重に、慎重に、慎重に、慎重に、慎重に、慎重に。
ガチャン
....腕を伸ばしていると、突然金属音が聞こえてきた。
それと、伸ばしていた腕を拘束された様な感覚もする。
そう、例えて言うならまるで手錠でも掛けられたかの様な感覚に凄く似ているというか....。
「あ、ボルン署長、こんにちは。」
「ポヨ!」
「おぉカズマにカービィ、こんにちは。」
「こんな所で何をしてるんです?巡回ですか?」
「うむ、さっきトッコリから変なダンボールが村を歩き回ってると通報を受けてな、さっき駆け付けてきたのだよ。この腕がその正体だよ。」
「ん?腕?....うぉっ!?アンタ誰!?いつからここにいたの!?」
「ポヨ!?」
「君達気づいてなかったのか........まぁ良い。ドロン、もう逃げられないぞ?大人しく署に戻りなさい。」
「....え、何?何事なのちょっとねぇ。」
「ポヨ?」
そんなこんなでまた獄中生活に戻るハメになったドロン。
ダンボールを被っての逃走も空しく、今日も今日とて自身の不運を恨みつつ、今日の晩御飯は何だろうな....と、一人検討違いな考えを抱きながら、強制連行されるのだった....。
御閲覧ありがとうございます。
もうすっかり春でGESねぇ....とはさっき言ったかしら?
もうすぐ春休み、皆さんはどう過ごされますか?
わちきはちょいと同志達と共にカラオケに行こうと思います、19時間耐久で!!
あぁ、わちきの喉は大丈夫かしら....?
皆さんも良い春休みをお過ごし下さいませ。
それでは、これにて失礼します。